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【支援者限定】『リトル・ミス・コンテストは今年で中止になりました』メイキング

毎度まいどのメイキング、今回は『moinmoin2』展に出品した「リトル・ミス・コンテストは今年で中止になりました」です。トンチキなタイトルとトンチキな内容の絵ですが、会場で直接「これ、めちゃくちゃいいね!」って褒めてくれる人が一番多かった絵で、自分自身でも大変気に入っています。そうそう、グループ展のほう、無事終了しました。お越しいただいた方も、少しでも気にかけて下さった方も、皆様ありがとうございました。



さて、いつものようにラフは、ハーフペーパーという実際の半分のサイズの枠に描いていきます。

この時点では、画面内にキャラが何人入るかとか、どういうキャラ配置にするかとか、そのくらいのざっくりとした事しか決めてません。



このラフを一回うすくコピーして、上から更に加筆して、もうちょっと細かく髪型や服装、持ち物などを決めていきます。

ベリショ、ツインテ、超ロング、縦ロールなど、各キャラの髪型がはっきり決まっていきます。真ん中の子の髪型はようわからん、昔の写真みるとなんか不規則なウェーブかかったボブヘアがめちゃくちゃ流行ってて、子供とかみんなそのヘアスタイルしてるんだけど、あれ何て言うんだろうな。マルセル・ウェーブでいいのかしら。規則性や対称性がないので、キャラクターデザインに落とし込みづらいというか、すげえ難しい髪型で、ラフの時点から苦戦しました。



ともあれ。ラフをベースに、昔の服装だとか、ガスマスクだとか、カエルとか、さまざまな資料を参考にしながら下描きをしていきます。ここで用紙は倍の、通常サイズに戻ります。

「リトル・ミス・コンテストは今年で中止になりました」の発想は、色んなところからきています。たとえばミス・ペアーズといって、ペアーズ石鹸(ジョン・エヴァレット・ミレイの絵画に石鹸を描き足して広告イラストとして使ったことで有名)が開催していた美少女コンテストの写真だったり、あるいは最近の趣味で回遊している、海外のヴィンテージフォトだったり。ヴィンテージフォトは、海外のオークションサイトなんかで古い家庭写真が安価で売りに出されていて、やっぱり親が子供を撮ったものが多いんですが、これがけっこう面白くて、海水浴場の記念撮影でひとりだけ骨折してる女の子とか、でけえ七面鳥をつかまえて無理やり羽を広げてご満悦の女の子だとか、ストーリーを想起させる奇妙な写真がちょいちょいあるんですよね。そういうのを1枚にギュッと濃縮した「子供らしくてかわいいんだけど、何がどうしてこうなった?」というような絵を目指しました。



下描きの段階で資料を見てかなり正確に線を決めてしまったので、ペン入れはそれを丁寧になぞるだけです。普段のギャル子の原稿と同様、0.7mmの紫色のカラー芯でペン入れをしていきます。

最近は0.5mmの紫のカラー芯も見つけたので、細かいところはそれも使います。0.7mmと0.5mmのカラー芯だとメーカーが違うんで、ちょっと色が変わるんですが、まあ普通の人が見ても気づかないレベルの違いですね。



線画をスキャンして、デジタルでクリンナップします。

何度も書いてますが0.7mmのカラー芯は耐光性がないので、太陽光が当たるところにほっとくだけで色が薄くなって、そのうち消えてしまいます。なので一回スキャンしてクリンナップしたものを、コンビニのカラーコピー機で出力し(線が消えなくなる!)、それに彩色するという手法を最近は採用しています。



遠い昔、コミッカーズとかのメイキングだったと思うんですけど、村田蓮爾さんがコピックで塗るときに線画をコピーしてその上から彩色してるのを見て、え、そんなことしていいんだ! とびっくりしました。今の自分の手法もそのへんがヒントになってます。というわけで、コピー機で出力した線画に色鉛筆で彩色していきます。

髪とか、服とか、靴とか、いろいろ塗っていきます。あんまり色がかぶらないように気をつけるくらいですかね。優勝した真ん中の子と、右のお嬢様なんかは同じ金髪でも色味がちょっと違います。お嬢様の持ってるカエルはとにかくデカイのがいいと思ったんでヨーロッパヒキガエルを描きましたが、模様はヨーロッパミドリヒキガエルの方が綺麗なので、そっちの模様を描いています。ヨーロッパミドリヒキガエルは手のひらサイズのかわいいカエルさんなので、こんなにデカイのはレアですね。



途中経過。同じ出品作品である「ぼくたちの夏の最大の戦果」と並行して進めています。



色鉛筆だけでなく、途中からコピックも使い出します。

コピックは筆なので、なんといっても広い面積を一気に濡れるのがありがたい。あと模様とかを描くとランダム性が出てそれっぽくなる。壁紙の模様なんかはコピックでスピーディーに描いたんですが、短時間でそれっぽくなりました。

ただ、調子に乗って地面の絨毯もコピックで塗ったんですが、これは失敗しました。青が強すぎて、キャラクターの彩色より目立ってしまう。これ描いてたのは搬入日の深夜から朝にかけてなので、あと数時間で絵を仕上げてギャラリーに向かわないといけない状況。アナログ一枚絵なので、どう修正すればいいのか、非常に困りました。



結局、隠蔽性の高いドクターマーチンのペンホワイトを使って、濃い絨毯の上から白でカケアミを大量に描くことによって……



なんとかそれっぽくなり、完成しました。

白のカケアミのおかげで絨毯の青が目立たなくなり、かつゴワっとした毛の質感も出てくれました。よかったよかった。本当にギリギリの勝負でした。何があったんだかようわからんし、みんな(大体は)なぜか笑顔だけれども、まあ何かひどいことがあったんやろなあ…という、目論見通りの変な絵になったと思います。右端のほうにいる6人目、お前いったい誰やねん、とか。ね。



実際のギャラリーでの展示の様子はこちら。

リッチな額装がいいな〜と思っていたので、額はあらかじめ注文しておいてました。マットはライティングの関係で黒に見えますが、濃いめの青色です。


絵って面白くて、こうやって描いたあとに、描いた本人にもわかって見えてくることが色々あるんですよね。だいたいざっくりと、何がどうしてこうなったのか考えながら描いてはいるんですが、たとえば右端のお嬢様がカエルを持っているのって、単に「お嬢様が持ってたらイヤなものって何だろう」って思って選んだんですけど、描いたあとから「多分これはあれだな、このお嬢様は自分がかわいいことを知っているから『超かわいいわたくしが出場したら確実に優勝してしまうから、他に出場なさる方が可哀想ですわ……そうだ! 代わりに私の庭でつかまえたカエルのエリザベスちゃんを出場させましょう!』とか言って、たぶんそのカエルをミス・コンテストに出場させたと思うんですよね。だからすごく可愛いのに本人は優勝していない。とかなんとか、自分でもいろいろ想像がふくらむ絵になって、描いたあともニヤニヤと楽しんでいます。


こういう絵のアイディアはもう何枚かあるので、「エヴァレット町シリーズ」としていつか1冊のイラスト集にしたいな〜とも思ってます。でもまあ、FLASHING NUNSの方が先か。ではまた、次回で。

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