6月19日より、南青山のビリケンギャラリーさんで漫画家7人のグループ展『moinmoin2』展が開催されています。これは2019年のグループ展『moinmoin』展のパワーアップ版で、人数を増やし、新たな作家さんを加えての開催となりました。なんつって、僕(鈴木健也)も今回から加わった新しい作家の一人なんですけどね。今回はその『moinmoin2』展のほうを、写真を多く交えて諸々紹介していこうと思います。
ちょっと今回は長い記事になってしまったので、順繰りに読んでいくと疲れてしまうかもしれません。スクロールして写真だけフンフンと眺めて、気になるとこだけ読んでみても全然大丈夫です。ではどうぞ。
参加作家は(アイウエオ順に)、鈴木健也・高津マコト・鶴谷香央理・ばったん・フナヤマヤスアキ・まつだこうた・三輪まこと、の7名。
会場のビリケンギャラリー さんは、南青山にある、古いおもちゃ専門店兼ギャラリーで、アクセスは地下鉄表参道駅からが一番わかりやすいですね。B1出口を出て、青山通り〜骨董通りと、大きな通りを歩いていくとたどり着きます。骨董通り周辺は小さな路地が多く、曲がるところを間違えやすいので注意してください。
店の外観とか近所の風景を撮っておけばよかった。普通の住宅街にあるギャラリーさんです。赤いネオンサインがカッコいい。
入り口はこんな感じで、ドアが開いているので入りやすいですね。ガラス張りで、外から見てもオモチャがたくさん並んでるのがわかるので、間違えにくいと思います。
ちなみに写真奥で、イカしたTシャツを着て担当さんと打ち合わせ電話をしているのは、今回の参加作家の高津マコトさん。搬入日のひとコマでした。
さて。ビリケンギャラリーさんに入ると、まず入り口に膨大な数のオモチャがあります。もう圧巻、すさまじい量です。
ビリケンギャラリーさんは古いおもちゃの専門店で、絵本などの出版や今回のような企画展も行なっているほか、オリジナルソフビキットの製造販売で大変有名なお店だそうです。その方面ぜんぜん詳しくないんですけど、これだけ並んでいるのを見るとすごさがわかります。繰り返しになりますが、圧巻というほかないです。
反対側の棚にも、ステキな趣味の商品がいっぱい並んでます。店内は縦長の構造で、この入り口から奥に進むと、企画展などを行うギャラリーがあります。
さて、この日は展示スタートの2日前ということで、搬入と設営にやってきました。
奥のギャラリーの白い壁には、まだ何の作品も飾られておらず、
今回の展示のための絵や、物販商品が大量に搬入されています。これをすべて荷ほどきして、作家陣とギャラリーさんとで会場に設営していきます。
設営に立ち会えない作家さんは、絵や物販だけをギャラリーに送って、現地にいる人たちに任せます。まつだこうたさんも今回は立ち会えなかったのですが、
丁寧なお手紙とともに、明太子のせんべい「めんべい」を差し入れてくれました。かわいいな。これ、めちゃくちゃおいしかった。
そんなこんなで設営です。グループ展なので、まず誰から誰へ、どういう作家の順番で絵を並べるのかを、皆で話し合って決めます。一番最初はばったんさんの絵がいいだろう、というのは満場一致ですんなり決まりました。作家として人気も勢いもありますし、絵も万人受けする入りやすい、それでいて深みもある作品です。仮にこんな感じで設置しよう、と、適当に釘を打って飾ってみます。
これは最初の位置決めで、後でギャラリー代表の三原さんが、本職としてきちんと角度や位置関係を調整してくださいます。
次はなんとなく(最初にそのへんに置いておいたから)僕、鈴木健也の絵が飾られることになりました。あまり深く考えず、描いた順番に真横に並べたんですが、
代表の三原さんから「この(おっぱいの出てる)2枚の絵がメインなんだろ? この2つをカッコよく見せたいから、配置をちょっと考えさせてくれねえかな。いい感じにしたいんだよね」との申し出をいただき、ありがたくお任せすることにしました。どんな配置になるのか、当日までドキドキします。
等々、次の順番は誰がいいかとか、この二人は一緒に並べた方がいいんじゃないかとか、絵描きどうしなんで話がはずみ、なんやかんやワイワイさわぎながら、楽しく設営が終わりました。
前述の通りこれは仮止めで、後から三原さんが高さを揃えたり、微妙な調整をして、お客さんが鑑賞しやすいように細かく調整してくださるそうです。完成を楽しみにしつつ、準備を終えてこの日は解散します。
展示の前日夜。英気を養おうとマトンカレーを注文する。おいしい。
そして展示初日。朝からあいにくの雨が降っていましたが、ギャラリーでの準備はしっかり終わっていて、絵も物販も綺麗に並んだ状態になっていました。よかったよかった。
ここからは順番に、作家さん一人ずつの作品群を紹介していきます。
(あんまり絵を大きく載せちゃうのもよくないので、引きの写真が中心になります。ごめんなさい!)
まずは1番手、ばったんさんの作品。「恋人よ」という連作で、それぞれの作品には「初夏」や「10月」など季節のタイトルがついてます。色鉛筆に水彩で描かれていて、赤や黒を中心とした少ない色数なのに、非常に湿度や体温をリアルに感じる絵で、また構図やキャラクターのしぐさ、服の乱れからも被写体の「恋人」との距離の近さが伝わってきます。ほか物販では「かけおちガール」「姉の友人」「まばたき」「いてもたってもいられないの」といった単行本に加え、少し前に開かれた個展のフルカラー画集「Munich」も(個展では完売してしまったのですが、増刷して)取り扱っています。あと同人でのミニ画集とポストカードセットも!
次いで僕、鈴木健也の作品です。アクリル絵の具を使った色紙イラスト3枚と、普段のギャル子と同じ手法で描いた色鉛筆のイラストを2枚、計5枚の出品です。
物販では、「蝋燭姫」のクリアファイルや『博内和代』評論集、ホログラムステッカーやフォトプリントなど色々取り揃えています。普段から通販で取り扱っているものもありますが、今回は直接手にとってじっくりお選びいただけます。
例の三原さんが配置を考えさせてくれ、と言っていた絵はどうなったかというと、このように、ティッツィ・モルガネのイラストを頂点に、トリニティな配置になりました。これはとてもいい。横一列より見やすいですし、ある種の統一感が出た。えろい絵なのに神々しさすら出てきた気がする。配置を考えてくれた三原さんに感謝です。
さて、その横は高津マコトさん。眼鏡をかけた黒髪ロングの女性のイラスト群。高津さんの描く女性って、品のあるエロスがありますよね。真面目でえっち、というか。A5サイズの小品なんですが、間近で見るとそのサイズと感じさせない広がりがあります。どことなく南国っぽい雰囲気が漂っていて、横に添えられたネコちゃんたちも可愛い。(右下は会期中に1枚、追加となる予定です)
高津さんの物販は「シャボンと猫売り」「渡り鳥とカタツムリ」の各単行本のほか、ステッカー2種と缶バッジ5種があります。蓄光仕様で暗闇で光る、高津さん自画像のバッジが一番人気で売れてました。
その隣は三輪まことさん。水彩作品を3点と、モノクロのペン画が1点。水彩はどれも植物をモチーフにした女性の作品です。シチュエーションが気になる絵ですが、なんと下2枚は次に描く予定の漫画のキャラクターとのこと(なので、内容のネタバレになってしまうから、あまり深くは語れないそうです)。完成した漫画を読むと、いろいろ意味がわかって、また全然違った絵に見えてくるかもしれませんね。楽しみです。
あと三輪さんの絵は額装がとてもいい。プロの店員さんに絵を見せて、かなりこだわって選んでもらったそうですが、非常に絵を引き立てる見事な額装になっています。マット紙の色との相性が抜群すぎる。
三輪さんの物販は「わるいあね」単行本のほか、昔の同人誌(レアもの!)を少し取り扱っています。
角を曲がったところから並んでいるのは、まつだこうたさんの作品。ミリタリーな装備をした、ケモミミ&尻尾のかわいらしい女の子たち。まつだワールド全開という感じで、そのギャップがたまらないんですが、絵の色味自体も「モノクロでしっかりと描き込まれたキャラクターたち」と「カラー1色でパキっと塗られた背景」というギャップが効いています。彼女たちが、いったいどんな戦場にいるのか想像が広がる作品です。
こちらは初日の配信イベントの際に、遠方から電話で参加するまつださんのために、フナヤマヤスアキさんが即興で描いたまつださんのアバター。最近まつださんが飼い始めたナマズをモチーフにしています(なので本人には特に似ていない)。
これ結局、会期中にギャラリーにずっと置いておくことになったので、会場を訪れるといつでもまつださんに会える状態になっています。(※実際のまつださんは、7月から在廊予定です)
ほか物販では、今回出品したイラストのシールが販売されています。かわいいから、いろんなとこにぺたぺた貼ろう。
青いドアを一枚はさんだ次に飾られているのは、鶴谷香央理さんの作品です。ハガキサイズの小品が4枚並んでいて、ほっとするひと時になります。かわいらしいキャラクターたちが看板や信号機といった、空の近くにちょこんといるのが愛らしい。ニコニコしながら眺めてしまう作品で、眺めているうちに、彼らの会話やひとりごとが聞こえてきそうになります。
また物販で、このハガキサイズの絵がそのまま、絵はがきとして売られているのが良いですね。飾るもよし、人に贈るもよし。もらった方も思わずニコニコとしてしまう1枚です。ほか「メタモルフォーゼの縁側」の単行本も置いてあります。
最後はフナヤマヤスアキさん。仙台在住の作家さんで、設営日から初日まで上京して作業してくれました。作品は水彩やペン画、コピックと幅広く画材を使っていて、同様に題材も様々です。右上は、令和になって「過去の遺物」となってしまった様々なモノたち──使い捨てカメラとか、MDとか、PHSとか、二千円札とか、ルーズソックスのギャルとか──それらが、平成行きの電車に押し込まれているイラストです。細かい小ネタが光る作品で、彼女たちはもう令和には帰ってこれないのかと、心配になります。
真ん中の楕円形の珍しい額に描かれているのは、ある家族の古い集合写真…なんですが、よく見ていくと、いろいろと奇妙なことが見つかります。一体この家族は何者なんでしょうか。だいぶ古い写真に見えますが、彼らの一族は、今もどこかで暮らしているのでしょうか──たとえば、うちのアパートの隣の部屋なんかで。
フナヤマさんは物販に、数年前に保護して飼い始めた猫「船長」とのエピソードを描いた同人誌「ネコとエゴ」(サイン入り)を持ってきてくれています。また名刺が無料で置いてありますので、こちらご自由にお持ちください。
ほか、ガラス棚には高津マコトさんが描いたポストカードサイズの小イラストと、
その下には三輪まことさんの線画集が2冊、鈴木健也の原画集が1冊、フナヤマヤスアキさんの漫画をまとめたクリアファイル、そしてばったんさんのかけおちガールのフライヤー(無料でお持ちいただけます)が置いてあります。あと、ここから右を向いて上を見ると、シークレットな展示作品が見つかったり……。
いろいろお花もいただきました。ありがとうございます! 会場の隅に飾ってありますので、色とりどりなこちらもぜひご覧ください。
そうそう、物販で置いてある各作家さんの単行本には、今回の展示用にサインが入っているものもあります。数に限りがあり、1作家につき1冊までの購入という制限がつき、既に品切れになってしまっていることもありますのでご了承ください。
ギャル子のサイン入り単行本も置いてあったのですが、初日でなくなってしまったので、現在再発注しています。入荷されたらまたサインを描きますのでよろしくです。
さてさて、moinmoin2展の歩き方、ようやく終わりが近づいてきました。長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。これから展示に来る方や、今回は残念ながら行けないな〜という方にも、ギャラリーの雰囲気が伝わると嬉しいです。とてもいい空間で、じっくり絵が鑑賞できますよ。
オーナーである三原さんご夫婦も大変良い方で、代表の三原宏元さんには前述のとおり設営の技術的な部分でとてもお世話になりましたし、管理人の三原ミミ子さんには搬入・在廊時に面白く貴重なお話をたくさん聞かせていただきました。どちらも芸術・文化に非常に造詣が深く、それでいて気さくで楽しい方々です。ほんといいお店。
また、展示作品の購入についてはギャラリーに直接いらっしゃる方が優先になってしまうのですが、23日(水)から通信販売がスタートするとのことです。詳しくはビリケンギャラリーさんのツイートを参照のうえ、ギャラリーの方に23日以降から、お電話いただけるようお願いいたします。
そうそう、展示の初日には、ギャラリーから直に、作家陣が集まったトークライブ配信を行いました。
チケットは有料で1000円で、会期中はアーカイブを購入して視聴することができます。2時間くらい、今回の絵や普段の漫画仕事についてやいのやいの話したり、ライブペイントで色紙に寄せ書きをしました。この色紙は、チケットを購入された方が後日セブンイレブンにてプリントアウトできるサービスを行うほか、現物も1名の方にプレゼントします。今からアーカイブを購入して申し込んでも大丈夫です。
このライブペイントは本当に面白かった。みんなすごい速度で描くんですが、全員その描き方が本当に全然違って、作家どうしでも「え!?」「なにそれ!!」「すごい!」「わけわかんない!!」の連発。本当に楽しい配信になりました。
※フナヤマヤスアキさんは新幹線で当日中に仙台に帰る予定だったため、あらかじめ絵を描いてもらったので、描いているところは配信では視聴できません。また、まつだこうたさんはこれから描き加える予定です。ご了承ください。もうあんまスペース空いてないけど大丈夫かな……。
『moinmoin2』展は、南青山のビリケンギャラリー さんで、6月19日から7月4日まで開催しています。ビリケンギャラリー さんは昼12時から夜19時までの営業で、月曜と火曜は定休日になります。お越しになる際はご注意ください。
#moinmoin2展 でツイッターを検索すると様々な絵の制作工程が見られます。また、ギャラリーを訪れた際の感想をつぶやくときのハッシュタグとしてもお使いください。
では、また。沢山の絵が、あなたをお待ちしております。