先日、箱根のポーラ美術館に行ってきました。「ラファエル・コランと黒田清輝―120年目の邂逅」という展示を観るためです(現在は終了しています)。黒田清輝は美術の教科書とかにもよく載っているのでご存知の方が多いかと思いますが、近代洋画の父と呼ばれる画家で、ラファエル・コランはその黒田が留学先のパリで師事した人物です。
そのラファエル・コランの「眠り」という作品が今回、パリ万博以来の、実に120年ぶりに展示公開されました。上記のリンク先で画像が見られますが、草原に横たわる美しい白い肌の女性のヌードで、非常に良い作品だと思うのですが、実はコランはフランスではあまり重要視されていない作家だそうで、この「眠り」についても財団の倉庫に眠っていたものが最近発見されて「120年ぶり」の公開となったとのこと。フランスの画家層の厚さとか、時代による評価の趨勢など色々と考えさせられます。とはいえ120年ぶり、次にいつ見られるかわからない作品ということで、現物を拝みに箱根まで出かけてきました。せっかく箱根なので温泉に一泊して…などということはなく、日帰りの弾丸小旅行です。
ポーラ美術館へは車かバスを乗り継いで向かうんですが、なんとなく歩いてみるかと「美術館まであと1.2km」の看板があるとこで降りて、乗り継ぎのバスを待たずに徒歩で向かってみました。1.2kmくらいならすぐだろ、と思ったんですが、この1.2kmが
ぜんぶ上り坂の、いわゆる「箱根の山道」だったので、けっこう疲れました。他に歩いてる人マジで誰もいなかった(そりゃそうだ)。まあそんなこんなでポーラ美術館、けっこう山の上の、見晴らしの良いところにあります。
ガラス張りのエントランス。まだ春先だったのでぜんぜん緑がないんですが、もっと暖かくなったらさぞ良い景色だろうなという感じ。ここからエスカレーターを下るとロビーがあるんですが、全体的に非常に採光が良く、明るい美術館です。
ちなみに国内の美術館では珍しく、基本的に展示作品が「写真撮影可」でした。せっかくだから撮ってくれば良かったんですが、いつもの習慣でスマホもロッカーに預けてしまったんで、作品の写真は撮れず。展示じたいは日本の洋画黎明期のヌード作品を中心としており、どの作品も良かったですが、やはりコランの「眠り」が展示の目玉になるのも当然の、出色の出来でした。こんな絵が120年も眠っていたとか本当にもったいない。実物を間近で鑑賞できて、大変有意義でした。
ちょうど昼時だったので、そのまま美術館併設のレストランで昼食にします。
レストランオリジナルのシーフードカレー。美術館併設のレストランって大体お値段高めで、ここもそうなんですが、シーフードカレーは思ったよりもしっかりとボリュームがあり、味も大変美味しかったです。この内容でこの値段なら納得大満足。
あと見晴らしもめちゃくちゃ良かった。
食後、腹ごなしにと、美術館の外周にある遊歩道を散歩します。
ツイッターにも投稿したクソデカ飛び跳ね喜びワンチャンたち。タイトルは「しあわせな犬」。非常によい。
この他にも、遊歩道にはあちらこちらに立体作品が展示されているのですが、
マジで森の中に無造作に置かれているので
非日常感がすごい。
異世界に通じてそうな扉とか。
ガンツとか、あるいは円谷の特撮番組を見ているような、日常の中の非日常感を味わえる遊歩道で楽しかったです。また緑がいっぱいの季節に来たら、そっちも面白いんだろうなー。季節のせいもあってか遊歩道まで散歩する人はとても少なかったんですが、訪れた際はぜひひと回りするのをオススメします。
帰りも、せっかくなんで1.2kmの坂道を降って帰ったんですが、
最高の消火栓標識とか、
もはや擦り切れて読めなくなった、味わい深い表札などを見つけて興奮しました。そういや箱根って「サザエさんうちあけ話」で出てきた、長谷川町子さん家族が別荘を持ってたとこですよね。「ヒットラー」「ワンマン」とあだ名されていた剛腕家の、町子さんの母親が軽率に別荘を買って(しかも別荘番の一家付き)、渋々行ってみたら隣近所が吉田茂(当時の首相)だったり薩摩治郎八(バロン薩摩と呼ばれた大富豪)だったりというエピソードが面白かった。これもどこかの富豪の表札だったのかもしれない。なんとなくだけど、今の金持ちはもう、箱根に別荘とか買わないんじゃないかって気がしますね。
帰りの高速バスまで時間があったので、せっかくなんでもう少し散策してみました。
さすが箱根。観光地なんで、けっこう面白い建物がいっぱいあります。
その一方で
めちゃくちゃに寂れた、昭和の残骸のような建物もたくさんあり、それらが並存するギャップが面白かったです。いいな箱根。1時間くらいしか散策できなかったけど、今度はもっと時間をとって散策してみたい。ポーラ美術館も緑の季節の、天気の良い日なんかに行ったら最高だろうしな。また行きたいですね。
最後に、おみやげにミュージアムショップで買ったものをいくつか。美術館とか博物館のミュージアムショップが大好きで、それ目当てに展示見に行っているとこまである。
これは途中が曲がっているスプーンで、ジャムとかヨーグルトをすくったあと、そのまま容器のフチなどに引っ掛けておける優れもの。便利だし、デザインがとてもいい。気に入ってます。
あと、これはアクリル板にポストカードを挟んで、屏風のように展示できるグッズ。四隅のゴムを入れ替えれば、縦型にも置けます。気の利いたグッズだなーと思って購入し、さっそくコランの「眠り」のポストカードを飾っています。行って良かった、いい小旅行だった。あんまり外に出かけたりはしない派なんですが、またどっか面白いとこに行ったら写真付きで紹介したいと思います。では、また次回に。