「蝋燭姫」の新しい表紙メイキング、今回は2巻のフルゥの絵です。1巻のスクワ姫が「金髪で肌の白い、美しいお姫さま」に対して、侍女であるフルゥは「黒髪で褐色の肌をした、粗野な下女」という、対照的なキャラクターとなっています。なので、表紙でもこのふたりの対比をきっちり出せればと思いました。
前回も紹介したラフがこちら。今回は右側のフルゥのメイキングを掲載していきます。
前回同様に、ラフをベースに下描きをしていきます。
スクワ姫の背景が緑に包まれた修道院だったのに対し、フルゥの背景は炎上するお城です。ラフではほぼわかりませんが、背景めっちゃ燃えてるイメージです。あとアクセントとして手前に剣を置きました。剣を置く位置をちょっと迷いましたが、別紙に描いてスキャンしたのでデジタルで調整しました。デジタル便利(あたりまえだ)。
ここからシャープペンシルでペン入れをしていきます。
手前のフルゥは0.7mmの紫シャーペンで濃く、後ろの城壁は0.3mmの黒シャーペンで細かく書き込んでいきます。実際は炎上しているのですが、炎のエフェクトは後から足すので、今回は普通に石壁をチマチマと描きこんでいきます。
スキャンして色を整えます。まだ城は燃えてません。
しかし燃える城ってどう描けばいいのか難しいですね。どうしたものか。イメージとしてあるのは聖剣伝説3の、炎上する故郷の城を後にするリースの絵とか。他に「城 炎上」などで検索してみると、最近炎上した首里城の写真が出てきたので参考にします。ある程度資料は集まったものの、どんな色合いにするのかおっかなびっくりしていたので、いちどテストで小さい用紙に試し塗りしてみることにします。
ハガキサイズの用紙に線画をプリントして、ためしにコピックで簡単に塗ってみたもの。オレンジが中心の画面になりましたが、わりといけそう感が出てきました。ので、この色プランのまま進めていくことにします。
左側にハガキに塗ったものを置いて参考にしながら、実際のB4大の用紙にコピックと色鉛筆で塗りすすめていきます。
アナログで下塗りしたものがこちら。城壁をオレンジに塗り、炎を描き、顔は下からの不気味なライティング。剣にも血を足します。髪は毛先がツンツンしていてコピックで塗るのは不向きなので、デジタル作業(短編集表紙でも使った、深みのある黒テクスチャ)に任せます。ここからスキャンして、デジタルでの仕上げ作業をしていきます。
背景で燃え盛る炎。コピックでややラフに塗っておいたのを、デジタルで補正し、筆塗りのアラがあまり目立たないようにします。
また、画面全体に炎っぽいエフェクトを足してリッチにします。このエフェクトは10年以上前に「少女というより痴女だった」の作画用に薄墨で作った素材を使っています。この素材が大変使い勝手がよく、空や海・アスファルトの質感から、肌に生っぽさを足す等々なんにでも使えて重宝しています。今回初めて炎にも使ってみたんですが、なかなかいい感じになりました。
下からのライティング、いわゆるアッパーライトというやつですが、あまりリアルにやりすぎると絵柄と合わないので、そこそこリアル程度の感じにしておきます。それでもできるだけリッチになるよう、情報量を足していきます。
できあがり。
静かな表情で、燃え盛る城の只中にいるフルゥ。1巻と落差のある、だいぶ怖い絵になったと思います。1巻だけ読んだ人に『あの(バカだけど)忠実なフルゥが、どうしたの?』 みたいに思ってもらえると嬉しいです。ここまで炎が強く、オレンジを主体とした絵というのも初めて描いた気がしますが、案外うまくまとまったと思います。
2枚並べるとこんな感じ。対照的なふたりのキャラクターと、1巻と2巻での物語の落差を象徴しています。新規の読者の方にも読んでいただきたいですが、旧版を愛読して下さった方々にも喜んでもらえるような表紙になればと思いました。
自分でもけっこう気に入った表紙になったので、せっかくなので何かグッズを作りたいなと思っています。両面印刷のクリアファイルなんか良いんじゃないだろうか。また面白いものが出来たら告知しますのでよろしくお願いします。ではまた次回に。