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【支援者限定】蝋燭姫表紙 メイキング(スクワ編)

さて、今回は「蝋燭姫」の新しい表紙のメイキングです。前回、短編集の正式な電子書籍版が出ると書きましたが、同じく正式な電書版が存在しなかった「蝋燭姫」についても、全2巻で電子書籍版がリリースされることになりました。よろしくお願いします。

蝋燭姫の紙版は表紙に「ある仕掛け」がしてあって、それがとても評判が良かったのですが、電子書籍でその姿勢を再現するのは難しいこともあって、今回新たに表紙を描き下ろすことにしました。ちなみに旧版の表紙は表紙で、これもきちんと収録されるのでご安心ください。



まずは表紙のラフを描いていきます。イメージはキャラクターを真正面から見据えた、肖像画のような絵。それを1巻と2巻でキャラクターを変えて、対となるようにします。あと、∀ガンダムの8巻のビデオグラムジャケットのロランとソシエも意識していたり。記念写真というシチュエーションで緊張して少し硬い表情のふたりが印象的な一枚です。


方眼紙にそれぞれラフを描きます。真正面で、なるべくお互いの顔が重なるようにします。シンプルな構図なので、目力が問われます。



ここからそれぞれ下描きを進めていくのですが、今回は左側の「スクワ姫」の方を掲載していきます。「蝋燭姫」というタイトル通りの、蝋燭のように肌が真っ白で、まっすぐと立ったお姫さまです。実際の漫画の連載中も、いつでもまっすぐ立っています(前半は)。

豪奢な衣装を身につけたスクワ姫、覆い繁る薔薇たち、その背後に修道院…という構図。以前も書きましたが、蝋燭姫を描く際に植物園に取材に行っておりバラの写真が大量にあります。その中でも蝋燭姫の時代に咲いているのはいわゆる「オールドローズ」と呼ばれる品種で、ツバキとかに近い形をしています。今現在われわれがよく見る形状の「バラ」というのは19世紀に品種改良されたもので、中世ヨーロッパには存在しません。なので蝋燭姫の作中のバラは、この「オールドローズ」を描いています。


下描きをもとに、ペン入れをしていきます。おなじみの3種類の太さのシャープペンシルを使います、太い線は紫の0.7mm、中くらいの線は赤の0.5mm、細い線は黒の0.3mmです。基本的に手前は太く、奥は細く描いてますが、お姫さまの髪の描き込みは3種全部使ってメリハリをつけています。

ヘンテコな色の線画ですが、これをスキャンして色調整すると、

きちんと一色のビシっとした線画になります。今回はレトロな感じのセピア色に調整してから、セブンイレブンのマルチコピー機で出力し、コピックと色鉛筆でアナログ彩色をしていきます。このとき予備に1〜2枚多く出力しておくと、失敗したときにすぐ交換できて便利です(実際1枚失敗した)。



コピックと色鉛筆で、コピー用紙に実際に彩色している様子。

植物の葉のように面積が広く、かつベタ塗りだと単調になってしまう部分はコピックである程度のムラを作りながら塗っていくとスピーディに濡れます。衣装はもうちょっと複雑な処理がしたいので、融通のきく色鉛筆で塗っています。髪の毛は黄色の色鉛筆でハイライトを作りながら塗るという、ギャル子色紙でもおなじみの手法です。


塗り終えたものをスキャンすると、こんな感じ。

かなりの部分をアナログで塗ったので、ほとんど完成形が見えています。ここからデジタルで処理を加えて、最終的に仕上げていきます。基本的にはリッチに情報量を増やしたり、色を整えたりする感じですが、たとえばバラの花の色などは(ひとつ前の写真と見比べるとわかりますが)ピンク色がスキャンでうまく拾えずに薄汚くなってしまっています。こういったものもデジタル作業で補正していきます。



修道院は遠景にあるので、そこまで処理を加えず、あっさりとしたままにしておきます。輪郭線も定規を使わずフリーハンドで描いて、わざと「ボケ」を出しています。もっと崩して描いてもよかったかな。望遠の遠景なのでほとんどパースをつけていません。


お姫様らしくなるよう宝飾品も塗り込みます。金の飾りなどは、まわりの金髪と差別化できるよう、ゴールドのテクスチャを一枚上から乗せて濃くしています。バラの花もピンクを上乗せして、スキャン時の薄汚さを補正しました。


顔は一番大事なので、ほとんど陰影がない中で情報量を塗り足しました。唇などはそこまで主張しないながらも、美しく、リッチな感じに。反面、頬には赤みのブラシなど何も入れていません。あまり意識していなかったんですが、ビスクドールや球体関節人形のような肌の塗りになったと思います。実際に連載時にはよく人形雑誌の写真などを見て参考にしていました。



できあがり。

薔薇に囲まれ、修道院を背にした、金の巻き毛のお姫さま。中世ヨーロッパでは「長く美しい巻き毛と、少年のような身体」をした女性が最も美しいとされたそうです。衣装の肩に大きく開いた裂け目は「スラッシュ」といい、実際は中世以降ルネサンスの流行なのですが、お姫さまっぽいイメージがあるので採用しました。スラッシュの中がドロドロと赤い色をしているのは、スクワ姫の心情をあらわしています。お人形のような美しく澄ました顔をしている彼女が、やがて燃え盛る蝋燭のように変化していく姿──それは漫画本編をお読みいただければ幸いです。ではまた次回に。

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Comments

美しいです。 本当にありがとうございました。


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