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アクリルフィギュア原画 メイキング(前編)

生ブロマイドに始まり、お風呂ポスター・マグネット・スキットル・ジッポー・バスタオル等々、さまざまなティッツィ・モルガネのグッズを作ってきた。そんな中で、今回はアクリルフィギュアを作ってみようと思い立つ。しかも高さ30センチの、そうとう大型なやつ。本記事は、その原画のメイキングである。だいぶ調整を重ねたので、そのぶんラフなどの枚数も、普段のイラストより格段に多い。


きっかけは、おとぎてつろうさんが冬コミのスペースで展示していたリューコちゃんのアクリルフィギュア。これはやはり高さが30センチもあり、しかも両面印刷なので後ろ姿もしっかり拝める逸品だ。非常に迫力があり、うわ〜スゲーいいな〜と思ったが、販売はしないとのこと。「両面印刷だと反対側の面の印刷がちょっと透けちゃってるんで、売り物にはできないんですよ」と仰っていた。しかし実物を眺めてみても、そのくらいは気にならない、十分なクオリティに感じる。これを自分でも作れないだろうか、たとえばティッツィで……そんなところが発想の元だった。



まずはラフを描いて、ポーズや衣装を探っていく。どんなポーズがいいだろうか。なんとなくイメージにあったのは、ブグローの「ヴィーナスの誕生」のような、美しい立ち絵。完璧な彫像のような、均整の取れた美の中に不釣り合いに巨大な乳房を描くというのは、ティッツィというキャラクターそのもののコンセプトでもある。

衣装には当時流行っていた逆バニー、あるいはスリングショットの水着姿なども検討するが…


結局は、ティッツィの定番衣装にイメージは流れていく。つば広のカプリーヌ、オペラグローブ、ハート形の二プレス、真珠のネックレス、ストッキングにハイヒールといった、自分の好きな要素が収束していく。その中でも股間のファー付きGストリングスは、この頃に仕入れたヴィンテージ洋雑誌のショーガールが付けていたもので、かなり気に入っていたので新たに採用した。また、日傘というアイテムも新しいものだ。これは立ちポーズを安定させる意図と、場所が「屋外」であることを説明する小道具にもなっている。屋外でこの格好をしている、というのがポイントなのだ。


ここからは一旦、参考用に細かいスケッチをしていくことになる。

ファッション写真集を参考にした、ファー付きGストリングスやストッキングに加えて、今回重要となる足のポーズを何度もスケッチしている。これらは前述したブグローのヴィーナス誕生や、アングルの「泉」などといった、古典絵画の巨匠の立ちポーズだ。はっきり言って目標にするには偉大すぎるのだが、まあそのくらい上を見ていた方がちょうど良い。こうした巨匠たちの仕事をまとめて参照するのに、以前に銀座の教文館で購入した『ヌードの絵画史』(辰巳出版)という本が大変役立った。教文館、4階にエインカレムというキリスト教グッズ専門店があって、修道女とか好きな人にはとてもおすすめ。


また、スケッチのみならず実際に鏡の前で同様のポーズをしてみて、なるほど膝が内側に向きつつ、つま先が外側に向いているというのは、絵に描くと美しいが実際にやってみるとかなり不自然なポーズなのだなと参考になった。さすがにその写真は載せないけれど。

他に、モデルの写真からも足をスケッチ。髪型や帽子、タッセル、おっぱいのスケッチも。真ん中下のねじれた輪っかみたいなのは、海外のオークションサイトで見つけた、ヴィンテージものの日傘の柄。ねじれた金属の形が美しく、これを参考にすることに。



さて、準備スケッチも終わったので、ここから下描きに入る。薄く方眼をプリントした用紙に、作ろうとするフィギュアの実寸(30cm×12cm)で枠線を引き、水色で下絵を描いていく。

ポーズは二種類、最後まで迷ったが、片手で帽子を押さえ(脇が見えているのが得点が高い)、身体はほぼ正面、顔は斜め45度でやや見下ろし、という立ち絵を採用した。右側の小首を傾げるようなポーズも可愛らしくていいのだが、今回は見送る。水色でずいぶん描きすぎたので、ここでいったん下絵を薄くコピーして、今度はコピーの上に暗緑色の色鉛筆で加筆する形で、さらに下描きを進める。


肌や髪にも色鉛筆で軽く彩色してみて、完成図を想像する。線は粗いが、ここでほぼイメージが固まった。また、この正面立ち絵をベースに、後ろ姿もラフに描いてみる。こちらは必然的に、背中の大部分を覆う髪の毛と、尻がメインになる絵となった。


試しに実寸(30cm×12cm)でプリントアウトし、切り抜いて、実際にアクリルフィギュアになった時のサイズ感を確認する。写真では見えないが、実は裏面のお尻もプリントして貼り付けてある。

ニンテンドースイッチと比べて、このくらいの大きさ。これは、なかなか良いのではないか? ティッツィの身長はかなり高めに設定しているのだが、それでも1/6くらいのサイズといったところか。うん、いいぞいいぞ、いけそうだ。こういうのが、我ながらニンマリとする瞬間だ。



とはいえ、このままでは線がラフすぎて、ペン入れをするには些か心もとない。再度、下絵を薄くコピーして、その上からより丁寧に下描きを清書してく。

右側は、下描きをコピーしたものに、色鉛筆で彩色のテストをしたもの。この時点で色の設計をある程度固めておくと、後の作業が楽になる。水色とピンクをベースにした衣装(というほど面積はないが)で、なかなか良くなりそうだ。

が、問題は清書した下描きのほう。なんだか、細かく描いたのはいいけれど、前のラフだった方が良くなかった? 出た、はい出た〜、ラフの方が良かったやつ! 真面目に検証すると、細かいニュアンスを拾いすぎたために、全体のバランスにズレが生じて、いろいろちぐはぐになってしまった。ラフの時点であった足の前後感がなくなり、のっぺりとしている。また、やや見上げだった顔も完全に真横からの角度になってしまい、空間を感じなくなってしまった。あ〜あ、全部お前のせいです。


こういう時は、チマチマ修正するよりも、反省点を踏まえた上で最初からやり直すのが、実は一番てっとり早い。ということで再び、前の下描きをもとに清書をやり直していく。

足の前後感、顔の立体感が、わりと改善されたのではないだろうか。また、正面立ち絵で固めた輪郭線をベースに、裏面も丁寧に下描きをする。髪の毛はこの後ろ姿のメインになるので、できるだけ情報量を多く丁寧に描きたい。高橋真琴御大の少女画集を横目に見ながら、なるたけ美しいウェーブを描けるよう試みた。

足元に描き加えた草は、傘の設置点を誤魔化す(表と裏とで整合性が取れないため)意図もあるが、日傘同様に「屋外」という印象を強く与える、重要なアイテムでもある。屋外露出最高〜。


さて、思ったより長くなってしまったので、以降は後半に続けることにする。ここからペン入れと、アナログ→デジタルそれぞれの彩色作業に入っていく。ではまた次回で。



おまけ。

今日届いたばかりの、アクリルフィギュアの色校アクリル板。実はこれ、3回目の色校正である。なんとか今回で色がばっちり決まって、印刷所さんの方で量産作業を始めることができた。


裏面も、ばっちり印刷されている。

正直、この色校正もめちゃくちゃ難しかった。表面と裏面の色を合わせるのが非常に大変で、なんでかというと……このへんのグッズへの印刷の話も、今度まとめて書くか。横にちょっとだけ写っているガラスコースターが直径10センチなので、しっかり全長30センチの大型サイズなのがわかると思う。


もちろんこれは色校正用のものなので、実物はきちんと絵柄に合わせて周囲がカットされ、台座に差し込み固定できるようになっている。11/23のコミティア134で先行販売、そのあとBOOTHにて通販する予定。よろしくです。


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