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バニーギャル子 色紙メイキング

先日、富山県善意銀行の第58回善意色紙等頒布展に、色紙を2枚提供しました。展示期間や購入方法等についてはpixiv投稿(https://www.pixiv.net/artworks/85130893)で書いたので、ここでは色紙自体のメイキングを解説していきます。


まず題材や構図を考える。ちょうど直近にいい感じのバニーガール写真集を仕入れていたので題材はバニーでいこうとすんなり決まったが、問題は構図である。ちなみに去年、同じ展示に提供したのはこんな感じ。


シンプルにギャル子のピースサインを描いたが、とにかく(ほぼ)正方形の色紙というのは、構図取りが難しい(というか、パターンがない)。バストアップで顔をそれなりに大きく入れるとなると大体パターンが決まってしまい、頭をやや切り、胸は半分くらい入る形が定番になってしまう。加えて何かしらの仕草をしている「手」を入れようとすると、もうこうしかならないよねえ、という感じ。


それでも何か工夫ができないものかと、他の仕事の合間を縫って、スケッチで構図を探っていく。最近の資料の中から、正方形におさまりそうで、良さそうなポーズがないかとササッとスケッチをする。(※左上のは、歯並びの悪い女の子を描こうと別のイラスト用にスケッチしたやつなので、今回のとは無関係)


もちろん、題材はバニーなのだから、バニーガールの写真集からもスケッチ。

最後のページ右側のやつは、全然関係ないけど渡辺直美さんのCMでの眼鏡お姿がとても良かったのでスケッチしたけど、全然似なかったやつ。マジでこの1000倍良いので実際のCM見てほしい。


さて、このへんでイメージを固め、構図案を小さくスケッチする。


いきなり本番一発勝負で色紙に描くよりも、一回こうしてラフにスケッチすると、だいぶ楽になる。特に色紙は何度も下書きをすると紙が痛んだり線が消えなくなったりするし、厚みがあるので逆から透かして修正したりということも難しい。色紙の上で構図を探らずに、ラフでも一回こうして構図を固めておくとよい。

これまで、なるべく色紙等でキャラを描くときは顔だけでなく手も入れて情報量を増やそうとしてきたのだが、今回はあえて手を描かず、よりシンプルな構図で勝負することに挑戦した。


構図を決めたあと、それに似たポーズの資料を集めて、再度スケッチする。特に難しいポーズではないのだが、それゆえ特に鎖骨周辺や脇の肉のつながりを出来るだけ生っぽく描きたかったので、準備としてリアルの写真をスケッチしておく。どれかのポーズをそのまま使うというわけではなく、複数の写真をスケッチした上でニュアンスを吸収し、本番に生かすためである。


本番の色紙に下書きをする。色紙じたいは提供先の富山県善意銀行さんの方から立派なものが送られてくるのだが、これは実は使わない。紙が良い(やわらかい)ので、下描きの線に耐えられないのだ。何回も消しているうちにケバ立ち荒れて、見た目も悪くなるし、次の彩色に支障が出るようになる。なので、ここは100円ショップで買ってきた3枚セットの安い色紙を使うことにする。これは使われている紙がだいぶがさつ、よく言えば丈夫なので、下描きをかなりやり直してもそうそう紙が荒れることがないので重宝している。


水色の色鉛筆でアタリをつけ、その上から1.3mmのかなり太いシャープペンシルで下描きをする。ペン入れで迷いたくないので、この段階の下描きで引く線を全部決めてしまう(ので、この作業が一番疲れる)。水色の色鉛筆は三菱のアーテレーズというブランドのもので、これは消しゴムでも消せる優れものだ。1.3mmのシャーペン芯も、Bの柔らかいものを使っているので、これも消しゴムでだいぶ綺麗に消せる。



そして、ペン入れをして、下描き線を消したものがこちら。


ほとんどの線を筆ペン(ゼブラ 筆サイン 極細)で描いている。100円ショップの安い色紙の紙はツルツルよく滑るので、筆ペンと大変に相性がよく、びっくりするほど素早く主線のペン入れができる。髪の描き込みと、まつ毛などの細かい部分はミリペン(呉竹 ZIG MANGAKA 01)を使っている。髪の描き込みはさすがに時間がかかるが、ギャル子の特徴でもあるし、ここで丁寧に仕事をしておくと後が楽なので、コツコツ描き込んでいく。そうして線画が終わったら、練り消しゴムで紙やインクを傷めないようにそっと下描きを消し、いよいよ彩色に入る。


普段は色紙には水彩絵の具やコピックを使うのだが、今回はスピードを重視して色鉛筆を中心に組み立てていく。シュシュやボウタイ、瞳といった小さな部分を簡単に塗ったあと、肌を色鉛筆(前述した、消しゴムでも消える三菱のアーテレーズ)で塗っていく。ラフや下描きの時に考えていたわけではないが、この頃に読んだ沙村広明さんの責め絵画集「人でなしの恋」の最初のイラスト(リンク先のAmazonの試し読みでも見られるが、食事してる女性のやつ)のライティングが非常に良く、またバニーガールという題材も相まって、ライティング要素の強い塗りを試みてみた。色鉛筆はとにかく手早く塗れて、少しぼかしたり調子をつけるのも手軽で、かつ良い感じの塗りムラが出るので情報量が増える。また、光と影の境目を彩度の高い黄色でちょちょっとっと塗ると、ライティング感が増しリッチになる。



肌の次は、ボディスーツと背景を塗り、ここで絵全体の色味が決まる。普段は赤い服には青い背景、みたいな感じでなるべく絵の中の色数を増やす方向で塗っているのだけど、今回は赤青それぞれバシっと色の方向を固めた塗りを試みる。背景などの広い面はやはり筆塗りが早いので、ここは水彩絵の具で塗る。またボディスーツのハイライトの多い質感も、筆塗りと相性がいいので筆でササッと塗ってしまう。



残った髪を黄褐色の色鉛筆で塗り、全体を整える。髪の毛は一見複雑に見えるが、これは色鉛筆でごく単純に塗っただけである。線画を細かく描いてあるのと、色鉛筆による塗りムラで、簡単な塗りでも複雑に見えるようになるのだ。ハイライトの周囲には、肌と同じように彩度の高い黄色を塗り足してツヤを増している。ボディスーツのハイライト周辺にも、同様に彩度の高い水色やピンクを塗り足し、情報量を増やしてある。背景は水彩での塗りムラがあったのを、似た色のサインペンで加筆して調整してある。この段階で、ほぼ完成と言っていいだろう。



細かい部分を調整して、サインを入れたら完成。サインはゼブラのマッキーペイントマーカーのゴールドで入れており、数ある金色ペンの中でもこれが最も隠蔽力が高く、金色にキラキラ光りゴージャス感が強い。またサイン以外にも、色紙フチの金色部分にはみ出た絵の具を、これで上塗りして修正することもできる。


最後に、写真ではわかりづらいが、実は全体にフィキサチーフ(定着液)をかけてある。これは色鉛筆が落ちないようにするという意図もあるのだが、フィキサチーフをかけると絵の全体にパリっとツヤが出るのだ。特に今回の絵は複数種類の画材を併用しているので、それぞれに反射の具合に違いが出てしまうのだが、フィキサチーフをかけることで全体に一枚のコーティングができ、絵に統一感が出る。写真ではほぼわからないが、実物では相当に違いが出るので、大事な工程だ。




かかった時間はトータルで丸1日くらい。商業原稿となるとスピードと印刷での再現度から、どーやってもデジタルの方が便利なんだけど、たまにこうしてアナログで、画材をああだこうだ使いながら仕上げていくのは楽しくて好きですね。何かの参考になれば幸いです。ではまた次回に。


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