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にゃんす
にゃんす

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リング 外伝

「ショウ、ねぇショウ、早く起きなさいってば、もうお昼なんだけど?」  遠くから母さんの声がする、恐らく階段の下から俺を呼んでいるのだろう。まったく、今日は平日かもしれないが大学は夏休み、早く起きる必要はないというのに。 とはいえ、このまま無視していては部屋に殴り込みをかけてくるのが我が母だ。自らのプライベート空間の平穏を守るため、俺は自ら部屋を出ることを選んだ。 「あ、起きた? 起きたんでしょ? お昼ご飯できてるから、早く降りてらっしゃいよ」 「うん起きた、起きたよ、今行く・・・」  母さんの声を隔てていた扉が無くなったからか、先ほどよりもクリアにその声が耳に届いた。俺は寝癖を軽く手櫛で整えながら階段を下る、すると母さんが食卓の準備をする音だろうか、カチャカチャと食器の音が続いて俺の耳に届く。 「おはよう母さん・・・って、今日もそうめん?」 「だってぇ、仕方ないじゃない、沢山あるんだもの」  こちらが俺の母、名前をカオリという。若くして俺を生んだがために、大学生の母にも関わらずギリギリ30代。それも息子である俺から見ても美人と言える範囲であり、中学や高校の時は母さんを見に学友が遊びに来たものだ。 しかし流石に若さに任せた美貌は、年齢を重ねるにつれて衰えていく。特にここ数年は肉付きが良くなったように思うが、元々が細すぎたと言える母さんのこと、今の方が俺は好みだ。シャツの胸はパツパツに張っていて、腰回りも少しむっちりしている。ジーンズにねじ込んだ下半身もムチムチそのもの、素晴らしいボリュームだ。 そして念のため、一応主張しておくが、俺はマザコンではない。 「毎年毎年、本当にご苦労なことだよ・・・単身赴任で家にいないってのにさ」  ここで俺が話題に出したのが俺の父、名前をテツヤという。世界的に有名な医療機器メーカーに務めている父だが、今年度から海外の研究所へ単身赴任で出向している。その仕事柄から交友関係も広く、毎年お中元やお歳暮などの季節の贈り物が大量に我が家に届く。 「まぁまぁ、そのおかげでいつも高級で美味しいそうめんが食べられるんだから」 「確かに生まれてこの方、高級なそうめんばかり食べられて幸せなのかもしれないけどさ、俺はその高級なそうめんが普通のモノだって認識になっちゃってるのさ」 「言われてみれば確かに・・・でも美味しいものを知ってから美味しくないものはツラいから、これが美味しいものなんだって自己暗示かけながら食べなさい」 「急に精神論で攻めてくるじゃん・・・まぁいいや、いただきます」 「はーい、召し上がれ」  なんだかんだと文句を言いつつ、目の前にすると腹が空いてしまうのが人間のサガ。目覚めの一発目にめんつゆを多めに絡めてすするそうめんの何と沁みる事か、俺の身体に足りなかった水分と塩分が一気に補給されていく・・・というのは少し言い過ぎか。俺は合わせて用意されていた麦茶もグイっと一気に飲み干した。 「ご馳走様でした・・・ふぅ、結局随分と食べたな」  俺は結局、山のように盛られていたそうめんを中々の短時間で平らげた。何と言うかもはや、夏の風物詩とでもいうのだろうか。嫌々な部分はありつつ、これをしなければ夏になった気がしないのも事実である。個人的には昼までの惰眠もそれに含まれているのだが、母さんはそれを許してはくれないらしいのが残念なところだ。 「お粗末様でした、それじゃあ片付けちゃうわね」   そんな母さんも気が付けば結構な量のそうめんを平らげて、俺のと合わせて食器を下げていく。何とも出来た人だと思う反面、こうして母さんに世話をされている限り俺は一人暮らしなどできないだろうなと、ときどき思うのだ。まぁ、思うだけで何かアクションを起こそうという気は無いのだが。  そうして片づけを終えた母と二人、リビングでゆったりとした時間を過ごす。普段はこの時間のテレビなどを見ることはないのだが、母の時間を邪魔することもあるまいと思って俺はそれに付き合っている。共感や感銘が無ければスマホでも弄ればいいのだ、俺は夏休みというものを堕落に堕落を重ねて過ごす、そう決意した瞬間である、我が家のインターホンが鳴り響く。 「あら、何かしら・・・またお中元?」 「そうなんじゃない?」 「「・・・・・・」」  鳴り響いたインターホンと同時に母さんと向き合う俺、母さんはソファに寝転がり、俺はクッションに身体を預けている。どうやら母さんは動くつもりはないらしい、良いじゃないか、俺も同じ気持ちだ。 「・・・ねぇショウ、家にいるときくらいは出てくれても良いんじゃない?」 「いやいやなにを仰る、いつも出てる人じゃないと配達員も驚くでしょ」  しばしの沈黙、見つめ合う俺と母さん、不意に母さんの右手がゆらりと持ち上がった。なるほどな、それなら俺も応じねばなるまいと、力強く右腕を掲げる。 「「最初はグー! じゃんけんぽん!」」  そう、俺と母さんの決闘はじゃんけんと相場が決まっている。俺は勝利を確信し、掲げた右手はがっしりと握りしめられたグーを讃えている。 対する母さんはというと・・・パーだ。ゆるりと脱力したパーを俺に向けている母さんの顔は年甲斐もなくニヤニヤとしていた。 「ほら、負けたんだから早く行く、待たせてるんだから、早くしないと居留守だと思われちゃうでしょ!」 「分かった分かった、行くよ、行くって・・・」  負けたのならば仕方がないと、俺はリラックスモードになっていた身体に喝を入れて身体を起こす。そして身体を引きずるようにしながら玄関まで出ると、配達員は今にも帰ろうとしている瞬間だった。俺は今出せるだけの声を、久しぶりに出した大声はかすれにかすれ、獣の雄たけびのような俺の声に驚きながら、配達員は小走りで戻って来る。 「いやぁすみませんね」なんて言いながら受け取った荷物は思っていたよりも小さい小包で、それほど重くも無いものだった。お中元にしては小さいしノシも付いていない、その差出人が誰かと確認してみると・・・ 「母さん、父さんから荷物が届いてるよ」 「え・・・えぇ!? お父さんが!?」  リビングに戻って荷物の差出人を母さんに告げると、母さんはその場で飛び上がるかのように起き上がった。まぁ母さんが驚くのも無理はない、父さんが単身赴任に出てからこの方、連絡の一つも寄越さなかったのだから。父さんの言うには相当な極秘の研究を行っているとかで、外部との連絡はほぼ取れないだろうとは聞かされていた。 「ねぇ、なにが入ってるの、早く開けて見せてよ!」 「待って、今開けるから・・・ちょっと母さん、邪魔しないで!」  父さんが絡むと母さんは子供のようにテンションを上げてはしゃいで見せる。父さんと母さんは随分と仲が良く、単身赴任以来父さん成分の足りない母さんにとって、久しぶりの父さん成分の接種は何よりも優先したい事柄なのだろう。  横で急かす母さんを払いのけつつ、海外からの小包特有の以上に頑丈で堅牢な梱包を開いていくと、その中にはいくつかのリングが梱包材に包まれる状態で入っていた。アクセサリーにしてはあまりにもシンプルすぎるような気もするが、そう言ったものの方が高級だったりする世界、何も知らない俺が口を出すべきではないのは明白だ。 「あらブレスレットかしら、お父さんからなんて珍しい・・・」 「待ちなよ母さん、説明書みたいなのも入ってる」  早速興味津々の母さんを咎めつつ、俺は同封されていた説明書らしきものに目を通す。随分とシンプルな文字の羅列を見るあたり、テキストメッセージを印刷しただけのものだろう。出だしは父さんからのメッセージで、送られてきたものは父さんが開発に関わっているものだということが書いてあった。そして一定のレベルまで達したものを開発者や縁深い人間に配布して、研究データの収集を進めたいのだと書かれていた。そこから先は例のリングの説明に入るようだが、そこまで俺の視線が進む前に母さんの驚く声が俺の耳に届く。 「あ、え・・・えぇ・・・?」  珍しく狼狽えるような様子を見せる母さんは、俺が目を放していた隙にリングを左の手首にハメていたらしい。母さんの視線はリングを付けた左腕に向けられていて、俺も何事かと視線を向ける。 その瞬間、母さんが何に驚いたのかが一瞬でわかった。母さんの左の手首から先が無くなっていたからだ。リングを境にすっぱりと姿を消した母さんの左手、その手首から覗く断面は光沢のない黒に塗りつぶされている。 「いや、ちょっと、何してんの母さん・・・!」  母さんの消えた左手はどこに、それはすぐに見つかった。母さんの手元、テーブルの上にゴロンと転がるように母さんの左手が落ちていた。その薬指にはめられている結婚指輪がその証拠、間違いなく母さんの左手だ。 俺は急いで母さんの左手を拾い上げた、まだ温かい。そして母さんの左手首と同じように、その左手の断面にはリングが巻かれていて、断面は黒く塗りつぶされているかのようだ。 「え、えぇ・・・!? どうしよう、私の手が・・・!?」 「待って母さん、リングが、このリングが何か悪さをしてるんだ・・・!」  よく見てみると母さんの手首のリング、そして切り離されてしまった左手のリングはそれぞれ細くなっている。つまり母さんの左手はリングを境にして切断されてしまっているというわけだ。沿いうことはこの事態の原因はリングに他ならない。俺は内心焦りつつ、母さんの左手を持ったままで父さんからのメッセージの続きへと目を向ける。 「えぇと・・・これは人体を疑似的に切断するリングで・・・なんだ、どういうことだ・・・?」  書かれていたことは到底、俺の頭では理解の及ばない事だった。どうやら送られてきたリングというのは父さんが開発に関わっているもので、人間の身体を生きたまま切断する道具だというのだ。その中でも素材を伸縮性に優れたものと置き換えた試作品の一つで、そのあとには何か小難しいことがつらつらと書かれている。この文章を打ち込んだのは父さんで間違いない、父さんは語りたいことがあると本題に入るまでが長い、今はとにかくこの状況を収める方法が知りたいだけだというのに。 「あぁ、全く父さんは・・・ん、こ、これか・・・!?」  ようやく見つけたリングの使用方法に従って、俺は母さんの取れてしまった左手を母さんの左手首に押し付けた。すると合わさったリングは淡い光で点滅し、三回の点滅の後にその光は消えていった。そうしてゆっくりと母さんの左手から手を離すと、左手は元通り母さんの身体に繋がっていた。 「し、ショウ、今なにしたの? マジック? マジックなのね?」 「違うよ、違うって母さん、今のは母さんが勝手に付けたリングの機能で・・・」  自分の身体に何が起きたのかを全く理解できていない母さんに合わせて、父さんの書いた難解な文章の要点だけを掻い摘んで説明していった。そのリングは人間を生きたまま切断する道具であること、そのことによって健康的な被害は起こらないということ。そしてリングを付けたままその部位を強く引っ張るとリングを境に外れることと、元の場所に押し付けてリングが三回点滅したら元通り繋がること。最後に注意点として、切り離された身体のパーツは自動的に仮死状態となって、一切の感覚が共有されなくなること、母さんに説明しなくてはならない事柄としては以上だ。 その他にも色々と小難しい説明や、実際には実装される予定の様々な機能の説明もあったのだが、それは母さんには関係のないことだ。 「へ、へえぇぇ・・・お父さんって、ものすごいものを作ってたのね・・・」 「母さん、知らなかったんだ・・・まぁ、俺も知らなかったんだけどさ」  理屈が分かってしまえば怖いことはないのだろう、母さんは自分の左手を付けたり外したりして遊び始めてしまっているほどだ。俺も試しにリングを一つ付けてみる、場所は母さんと同じでは面白くないかと思って左腕の肘に付けてみた。  リングは伸縮性のある素材で出来ていて、伸ばせばかなり広がった。さらに付けてみると適度な圧迫感があり、ズレないようにと滑り止めもされている。そして意を決して左腕をぐっと引っ張ると・・・外れた。俺の目の前で、俺の手によって、俺の左腕が外れたのだ。同時に左腕の肘から先の感覚は消え失せて、一切動かせなくなってしまった。  取り外された俺の左腕は力を込めた時の握り拳の状態で固定化されている。体温もあって、触っている感覚は普段のままだというのに、それが自分の身体から離れている、そして触られているという感覚が無い。するとどうだろうか、自分の腕のはずなのに、何かモノのように感じてしまう。  少しばかりの恐怖を感じながら腕の断面同士を押し付ける。すると母さんの時と同じようにリングが淡く発光し三度の点滅、途端に戻ってくる左腕の感覚、何とも不思議なものだ。  その後も何度か試してみたが、左腕の着脱は何ら問題なく行うことが出来た。その結果分かったのは、切り離されたパーツはその直前の状態を保持すること。そしてその保持力は弱いもので、ある程度なら取り外した後で動かせるということだ。 「わぁ、見て見てショウ、足も取れちゃった!」  興味深いアイテムだが、自分の身体が分解されてしまうというのはあまり気分の良いものではない。左腕を元に戻してリングを外す俺とは対照的に弾んだ声の母さんは、今度は自分の右足を外して遊び始めていた。太ももの真ん中あたりに巻かれたリングはその締め付けで太ももに微かなくびれを作り、そこを境に母さんの右足は取り外されている。 身体の結構大きな部分を外したせいかバランスが取れていないようで、椅子に座っているにも関わらすよろよろとして不安を感じさせた。 「母さん、あんまりはしゃがないで・・・」 「良いじゃない、お父さんが使ってって送ってくれたんだから・・・足って意外と重いのね」  人間の足の重さは体重の15%程度だっただろうか。筋肉量が身体の他の部位に比べて多く、運動量も多いために発達している事を考えるとそれも納得だ。  母さんはようやく抱え上げた足を気持ちよさそうに揉みしだいている。ムチムチのふとももに沈み込む指がその柔らかさを端的に伝えてくれた。 昔は膝枕で耳かきなどをされたものだが、それも小学生くらいまでだっただろう。そのころの母さんはまだ痩せていて、意外と心地が良くなかったことを今でも覚えている。そう、膝枕とはある程度の肉が付いていないと気持ちが良くないのだ。 今の母さんなら心地の良い膝枕が堪能できるだろうが、大学生になってまでねだることでもない、そして何より恥ずかしい。名残惜しくはあるが、大人になるということはそう言うことも含んでいる。 「ほら母さん、いつまでやってるの。 そろそろ元に戻して、いつまでも終わらなくなっちゃうからさ」 「うぅん、確かにそうね・・・うん、そうしましょうか」  意外と素直に俺の言うことを聞いて足を元に戻した母さんだが、理由はわかっている。それは間違いなく、手持無沙汰になったからだ。 手や足が取り外せるというのはその場限りでは面白い出来事なのだが、きっとそれ以上の展望が無かったのだろう。現に母さんは取り外した自分の足を揉みしだくだけだった、それ以上の何かを見つけられなかったに違いない。  元に戻した足が動くことを確認した母さんは、その足にはめていたリングをグイっと広げながら外していく。そして外したリングを伸ばしたり縮めたりしながら眺め、何か考え込んでいるようだ。 「これってさ、頭も取れるのかな?」  いったい何を言っているんだ・・・と思わなくもないが、手足が取り外せるのなら頭も当然出来るはずだ。しかしここで問題なのが、頭を取り外したとして意識のある側がどちらになるかということだ。 先ほどまではいわば身体の末端、四肢の取り外しだったがために問題にならなかったが、頭となると話は別だ。  難しい話はさておいて各個人としての意識は脳、つまり頭にある。しかし取り外した頭に意識が残るとなると、首から下がすべて仮死状態になるということだ。それが生命の維持に問題が無いのかどうかが気になるし、生首になってしまった際のケアが考えられているとは思えない。 それとは逆に首から下の身体に意識が残るとなると、取り外した頭が仮死状態になるということ。そうなれば身体に意識があるにも拘わらず、頭は仮死状態になるという矛盾を孕むことになる。  どちらにせよ生命の維持という面においては不安が残り、仮にそれが自分であれば絶対にしないだろうという自信がある。と、そんなことを考えている間にも、母さんはリングをぐっと広げて頭から被ろうとしているところだった。 「ま、待って母さん、それはあんまりよくないんじゃないかな」 「手足が大丈夫だったんだし、頭も大丈夫なんじゃないかしら?」 「そんな簡単なことじゃないと思うんだけど・・・!」 「まぁまぁ、見ときなさいって」  押し広げられたリングはショートヘアの母さんの頭を通り抜け、縮められていく。母さんの手を離れたリングは母さんの首にぴったりと吸いつくように密着して、そこに固定された。そして母さんは両手で頭を支えると、何の躊躇いもなくぐっと持ち上げた。 すると母さんの頭はリングを境に身体から切り離されて、頭を数センチ持ち上げたところでその動きを止める。 「か、母さん・・・?」  呼びかけに反応はない、持ち上げられた頭はニコニコと笑ったままだし、身体もピクリとも動かない。沈黙の中、俺の視線は母さんの頭と身体を行き来する。 反応はないということは、頭の方が仮死状態になったと言うことか。いやしかしそれならどうして身体も動かないのか、身体の方が仮死状態に? もしかするとこのリングで頭を取り外すことはやはり考えられていなかったのか、となると母さんはどうなってしまうのか。俺が思考を巡らせていると、母さんの持ち上げられた頭がぐらりと揺れる。 「危ない・・・っ」  俺は慌てて手を伸ばす、ぐらりと揺れた頭を支えるために。すると突然、首の無くなった身体も焦るように腕をバタバタと振り始める。なるほど、仮死状態になったのは頭で、視覚や聴覚などが失われて困惑して動けなかったのか。俺は俺の中で母さんに起きていることを噛みしめながら、母さんの手から転がり落ちた母さんの頭を掴み取る。その顔は笑ったまま動かない、つまりは手足と同じく、頭が仮死状態となっているのが確定的になったわけだ。  俺の手にズシリとかかる母さんの頭の重さ、まさか自分の母親の生首を持つことになるとは思ってもいなかった。俺の手の中で笑う母さんの顔は見知ったそれで、なのに生首であるがためにどこか違うような、不思議な感覚を覚える。ともかくこれは本物の母さんの頭だ、落すわけにはいかない。  そして視線を向けたのは頭の無くなった母さんの身体の方。何も見えない、聞こえない状態だからか椅子に座ったまま身体をかがめて、落したと思い込んでいる頭を手探りで探している。なんだか見ていていたたまれなくなり、俺は母さんの肩に手を置いた。 驚いたように肩を震わせた母さんだが、その手が俺のものだと気が付くと安心して身体を背もたれに預ける。そして落ち着いた母さんの手に母さんの頭を手渡してやると、母さんは自らの頭を両手で胸に抱いた、やはり不安だったのだろうか。  しばらくして落ち着いたのだろう、母さんは腕を解いて頭を膝に置くと、もう一度持ち上げて目の前へと突きだした。これに懲りて頭を元に戻すのかと思ったが、何のつもりなのか・・・少しの間母さんの様子を伺っていると、まるでボールを押し付けるかのように頭を揺らしているというのが分かった。 「え、えぇ・・・なに、持ってろっての・・・?」  仕方なしに俺は母さんの手に触れながら母さんの頭に手をかけた。すると母さんは自らの頭を俺に預けてしまった。それから何をするのかと思えば、両手で自分の首周りを手探り始めた。 肩から立ち上がる首に指を沿わせ、リングをなぞってからその手は首の断面へ。少し躊躇いながらも母さんの手は首の断面をさすり始め、本当に頭が取れてしまったことを改めて確認しているようだ。 最初は指の腹で優しく撫でていたのだが、慣れてきたのか今度は爪を立ててカリカリと引っ掻き始めた。どうやらそれが気持ちがいいらしく、母さんは首の断面を引っ掻きながら身体をピクピクと振るさせている。  なにをしてるんだか、そう思いながら眺めていたのだが、何やら母さんの様子が少しずつおかしくなっていく。くすぐったそうに震えていた身体だが、段々と胸の上下が早くなっていく、頭がなくとも呼吸はしているようだ。段々早くなっていく母さんの呼吸は見るからに荒くなり、首の断面を引っ掻く手にも段々と力が籠っていく。さらには母さんは身体が疼いてしまっているのか、身体を背もたれに完全に任せながら腰をビクビクと震わせ始めた。 「母さん、もしかして・・・」  そう、母さんはすっかり発情してしまっていた。頭があれば荒い呼吸音が聞こえるほどに肩を上下させ、首の断面を引っ掻く母さんの指は止まらない。 俺が見えていないからなのか、歯止めが利かなくなっているのかもしれない。両手とも首の断面を引っ掻いているのが、母さんに残された最後の理性といったところか。 「おいおい、何してんだよ・・・」  目の前の発情した首の無い身体は母さんのものだというのは分かっている。しかし少し肉が付いたとしても見た目の良い母さんの豊満な身体、そして頭が無いことで目の前の身体を母さんのものではなく女体として認識している俺もいた。自然と固くなる俺の男の部分、そんな自分が抑えられるか俺には不安だった。  俺は理性を取り戻すため、その手に預けられた母さんの頭を見下ろした。俺と母さんは当然ながら親子、母親に欲情なんてするはずがない、そう自分に言い聞かせるのだが、想いはなぜだか募っていくのだ。 見慣れた母の顔ながら、その美しさは俺も承知している。それがこうしてただのモノのように俺の手の中で笑みを浮かべている。今なら頭になにをしたとしても母さんに知られることはない、歳の割には潤いを讃えてプルンとした唇が俺を誘惑する。母さんにそんなつもりはないのだろうが、その魅力が俺を、いや男を狂わせる、父さんもそうだったのだろうか。 「う、あぁ・・・っ、ダメだ、ダメだ・・・!」  俺は俺を抑えることが出来ないだろう。それを悟った瞬間、俺は母さんの頭を抱えたまま首の無い母さんの身体が首の断面を引っ掻く手を払いのける。そして勢いよく首の断面に俺の手にある母さんの頭を押し付けた。 見た目だけなら一つになった母さんの首元でリングが点灯する。一回、二回、三回、その点滅の瞬間に母さんは身体をビクンと跳ね上げて、乱れた呼吸で俺を見上げていた。 「・・・っ、はぁ、ん、あぁ・・・・っ、し、ショウ・・・?」  表情を取り戻した母さんの顔は一瞬で真っ赤に染まり、明らかに発情していたのだということを俺に知らせた。母さんもそれに気が付いたのか、頬を手で隠しながら俯いて取り繕うが、もう隠すことはできない。何よりも母さんが自らしたことだ、もう見せつけられてしまっている。 「母さん、あんまりはしゃがないでって言ったよね」 「あ、う、うん、ごめんね、なんだか頭が無くなったら、ふわふわしちゃって・・・」 「あんまり遊びすぎないようにしてくれよ・・・俺、ちょっと出かけてくる」  俺は母さんとは視線を合わせず、そのまま家を出てしまった。発情した母さんを見てしまったという罪悪感と、そんな母さんに発情してしまった罪悪感。その二つが俺にのしかかって、母さんと顔を合わせるのがツラくなってしまったからだ。  ショウが出かけると言ってから数時間が経ち、外もすっかり暗くなっていた。私はそろそろ夕飯の準備を始めないと、なんて思いながらショウにメールを送った。するとそれほど時間を置かずに帰ってきたのは『外で食べてから帰る』という味気のない返事。 あぁ、明らかにショウを怒らせてしまった、それとも気分を害してしまったのか。ショウが私と顔を合わせるのが嫌になって出かけてしまったのは分かる、そして私が悪かったのも分かる。 「確かにやり過ぎちゃったけどさ、気持ちいいんだもの・・・」  頭を外した瞬間、目の前は真っ暗になって何も聞こえない。段ボールの独特の匂いも感じなくなって、声を出しているのか出していないのかも分からない。そんな風になってしまったことに興奮してしまって、思わず外した頭を落してしまった。 もちろん優しいショウが頭を拾ってくれていて、優しく私に手渡してくれた。だけど私は頭が取れてしまった、という事になぜだかとても興奮してしまって、受け取った私の頭をショウに押し付けてしまった。  本当に頭が取れてなくなってしまったのか、それを確かめるために自分で触って確かめてみると、リングの先から何もない、そこには平坦な断面が広がっていた。その断面を指で撫でてみると、身体の内側を触っているような不思議な感覚。断面を触っているのだから当然ではあるのだけど、それは初めての感覚だった。  くすぐったいような不思議な感覚をさらに求めて、私は爪を立てて首の断面を引っ掻いてみた。その瞬間に身体に流れる電流のような感覚、いつか感じた快感に近いものを私は感じていた。 ショウを生んでからというもの、テツヤさんとの夜の営みも回数が少なくなり、かといって自慰に耽るわけにもいかない。そんな中で十数年、身体に流れた電流は確かにその時の感覚を思い出させてくれた。  それからの私はショウが見ているかもしれないのに、その快感を貪ってしまった。こうしなければ感じられない感覚をもっともっとと求めてしまった。それが気が付けばショウによって止められて、戻ってきた私の頭。意識していなかったけれど呼吸は明らかに乱れて、顔もどんどん熱くなっていく。 私、興奮していたんだ。目を合わせようとしてくれないショウの姿と合わせて、親として見せてはいけない姿を見せてしまったのだと後悔した。でもそれは遅かった、ショウはそれから一度も私を見ることなく、家を出ていってしまった。 出かけると言って出ていったショウだけれど、もしかしたらもう二度と帰ってこないんじゃないか、そんな不安が私を包む。 「・・・それでも、私だって女なんだから」  言い訳がましく呟きながら、私はしなければならないことに手を付けていった。夕飯を作り、思いがけず作ってしまったショウの分の料理を冷蔵庫にしまい、後片付けをする。そして思い出したように取り込んだ洗濯物を片付けてから、一日の疲れを流すようにお風呂に入る。その時に見た鏡に映る私は確かに女で、まだまだ通用するようにも思えてならない。  そこで突然湧きあがる私の中の性欲、私はバスルームで自らの蜜壺をかき回し、幾年ぶりの自慰に耽った。でも足りない、身体を突き抜けるような快感は感じられない、首の断面を引っ掻いた時のような、過激な快感は。 「うぅん・・・ショウ、絶対怒るわよね・・・」  入浴を終え、リビングでテーブルに頬杖を付きながらだらしなく座り、空いた手の人差し指でリングをぐるぐると回しながら眺める。これを使え昼みたいな快感があるだろうけど、一人で頭を外してしまうと元に戻すのが難しいかもしれない。かといってショウが帰ってくるのを待って、頭をショウに預けて一人で自慰に耽りでもしたら、絶対にショウは怒るだろう。したいのにできない、気持ちよくなれるのになれない、そんなもやもやが私の胸に渦巻いていた。 「はぁ・・・気が付いたら、もうこんな時間・・・」  もやもやしたままで不意に時間は過ぎていき、いつの間にか時計の針は両方とも頂点から少し傾いていた。ショウが帰ってくるまで待っていようかと思っていたのだけど、私はいつもこの時間には寝てしまう。ショウももう大学生で子供ではない、財布やスマホは持っていったようだし、家の鍵も持っているはず。そして何よりショウも私も、もう少し時間を置かないと顔を合わせられる気がしない。 「んん・・・大丈夫、よね・・・?」  これは私のためでショウのためでもある、心の中でそう唱えながら私は寝室へと向かう。その手には未練がましく、リングを持ったままで。  何も考えないようにと床に就いたものの、身体は疼いて仕方がない。寝室は私一人のモノではなく、夫婦の寝室。二人用のベッドを一人で使うことを、これほど寂しく思ったことは無いかもしれない。 目を閉じても眠れる気がしない、うっすらと目を開いて仰向けで天井を見つめる。 (こんなの、何時ぶりかしら・・・それくらいに、私は・・・)  もう落ち着いてすらいられない、横向きに寝返りを打って身体を丸め、私の手は自然とデリケートゾーンへと伸びていく。元より疼いていた身体はそこに触れた途端に身体がビクンと反応するほど敏感に、そして快感を求めていた。指を割れ目に押し込んで入口をぐにぐにとかき回すと、下腹部が段々と熱くなっていき、もっともっとと内なる私が囁き始める。 「んん・・・んっ、んうぅ・・・っ」  自然と漏れる声が湿っぽさを纏っていく、解れた始めた私の膣は私の細い指なんかすぐに飲み込んで、一段上の快感を与えてくれる。そうして指をもっと奥へ奥へと挿入して、気持ちのいい部分をトントンと叩く。 自分の身体のことは自分が一番わかっている、私が一番気持ちよくなれるのはここだった、そのはずだった。 「う、あぁぁ・・・っ、うあっ、ああ・・・っ!」  私の身体がビクビク震えて、快感が身体を駆け抜けていく。昔のままの私ならこれで満足できたのかもしれないけれど、もっと上の快感を知ってしまった私の下腹部はまだまだ熱く疼いている。  暫く経つと快感が身体からすうっと抜けていって、残されたのはまだ快感を求めている私自身、普通の自慰では私は満足出来なくなってしまっていた。 「はぁ・・・ん、ふぅ・・・っ、ダメ、全然足りない・・・」  一度知ってしまった快楽を、人間はそう簡単に忘れることはできない。もしも忘れられるとしたら、もっと大きな快楽を知ってしまった時だけ。だけどそんなモノは普通の手段では得られない、今の私が満足するには、その知ってしまった快楽に手を出すしかない。私は枕元に置いたリングを無意識のうちに手に取っていた。 「もう、これしか・・・」  このリングを付けて頭を取り外せば私は満足できる、だけどそれは容易に手を出してはいけない禁断の果実。でも手を出さずにはいられない、理性を外れた私の身体はリングを広げて頭を通し、リングを首へと巻きつけた。 「大丈夫、見失いさえしなければ・・・元に戻せるんだから・・・」  ここまで来てしまったらもう戻れない、私は自分の首に手をかけて、そのまま持ち上げる。途端に視覚や聴覚が消え失せて、思い出されるのは昼に快感に溺れた時の感覚だった。取り外した頭を見失わないように左腕で抱きかかえ、空いた右手を首の断面へ。数時間ぶりに触れた首の断面は触れただけで身体が震え、火照りが広がるとともに快感が走っていく。 (あぁ・・・っ、もう私は、これじゃないと・・・っ!)  首の断面を手のひらの全体で撫でまわして、私はその感覚を楽しんだ。首の断面はその全体が性感帯のように反応が良く、触れれば触れるほどに快感も興奮も高まっていく。それから爪を立てて首の断面をかきむしるようにすると、私の身体は私の意識から離れてビクビクと震え始めた。 (うああぁぁっ、これよ、これじゃないと!)  求めていた感覚がそこにはあった、常に身体が快感に包まれている。もう私はこれでないと満足することが出来ない、そう確信した。 非日常に足を踏み入れてしまった私は、もう戻れない。日常に戻るために必要な私の頭、左腕から放さないようにと抱えているそれすらも邪魔に感じてしまうほど。そこで私に一つの考えが浮かぶ、この頭を何かに使えないものかと。 (動かせないけど、頭は確かにそこにある・・・利用するなら、こう・・・?)  考えついたのは一つ、取り外した私の頭を股の方へと降ろしていって、顔の方を股に密着させる。それから頭を身体に押し付けると、疑似的にではあるけれどクンニをしているような感覚に。少しだけ頭の位置を調整しながら口を割れ目に向けて、すると上の口と下の口がキスをするような形に。その感覚がなぜかたまらず私の疼きを加速させて、快感を求めさせた。 (んっ、これすごい・・・っ、こんなの…っ)  そうして私は再び首の断面を搔きむしる。加えて股へ押し付けている頭も玩具を扱うかのように割れ目へと押し付けると、首の断面を責めるだけでは感じられなかった快感がさらに押し寄せてくる。この快感はどこまで私を喜ばせてくれるのだろうか、私の理性は既に吹き飛んで、快楽を貪るだけになっていた。 (んあぁぁっ、すごい、おかしくなっちゃいそうっ、あ、ダメ、ダメ・・・っ)  その瞬間、私の中に渦巻いていた疼きが一気にはじけ飛んだ。身体の自由が利かなくなって、身体の端々まで快楽に満たされている。そして頭を股に押し付けていた左腕が濡れていく感覚もある、私は派手に潮を吹いているみたい。  こんな気持ちよさは始めて、何度でも味わいたい。とどまることを知らない私の快感は私の思考を埋め尽くしていって、私の意識を飲み込んでいった。  なんだか顔を合わせるのが気まずくて、結局帰ってくるのが深夜になってしまった。この時間なら母さんは寝ているはずだ、そんな確信があったからだ。予想通り家の明かりは消えている、母さんももう寝てしまったのだろう。俺は出来るだけ物音を立てないように家へと入り、自分の部屋へと向かう。母さん・・・というか父さんと母さんの部屋は俺の部屋と廊下を挟んで向かい合わせ、物音を立てて母さんを起こすことがない様に、俺は慎重に廊下を進む。  そんな風にしていたからだろうか、母さんの部屋からの物音がやけに気になった。廊下を進むたびに母さんが寝ているはずの部屋からの物音が耳に突き刺さる。まだ暑く寝苦しい夜ではあるのだが、それにしても物音が激しすぎるように思う。まるでベッドの上で暴れているような、そんな感じだ。 (母さん、まさかな・・・)  たどり着いた廊下の奥、俺の部屋の目の前であり、母さんの部屋の目の前。すぐに俺の部屋に入ってしまえばいいのに、俺は母さんの部屋に聞き耳を立ててしまった。ベッドがギシギシと軋む音がリズミカルに響いてくる、そのリズムは段々とテンポを上げていき、軋む音も大きくなっていった。そして突然響くガタンという物音、ランダムに響き渡るベッドの軋む音、それも暫くすると静かになって、不気味なほどに静かになった。 (急に静かに・・・いや、絶対おかしいだろ・・・)  昼の事を考えると、母さんが何かしでかしているかもしれないと考えてしまう、聞き耳を立ててみてもそれ以上の音は聞こえない。試しに扉をノックしてみるのだが、返事もない。 それで母さん寝ているだけなら問題ないのだが、まさかまた頭を外していやしないかと心配になる。何もないならそれはそれでいい、しかし何かトラブルにでもなっていると不安だ。確認するだけ、ただ確認するだけだ、俺は母さんの部屋の扉に手をかけて、ゆっくりと開く。 (うわ、なんだこの匂い・・・?)  ゆっくりと扉を開き、部屋を覗き込む。するとその瞬間に鼻へと抜けていくのは濃厚な女の匂い、この部屋に入ったのは数えるほどしかないが、少なくともこんなにむせ返るほどの匂いではなかった。明らかなおかしさにさらに部屋の奥を覗き込むと、部屋の真ん中に置かれたベッドの上には首の無い母さんの身体が横たわっていた。 「お、おいおい母さん、何してんだよ・・・!」  思わず声を上げながら部屋に飛び込んでベッドに駆け寄ると、リングで頭を外した母さんの身体が小さく痙攣している。股をおっぴろげてビクビクとしながら、それも股はぐしょぐしょに濡らしている母さんの身体はやけに色っぽく、そして艶っぽい。まさに女の乱れた姿で横たわる母さんは気を失っているようだ。 「母さん、またこんなことを・・・頭はどこだ、多分大変なことに・・・」  ベッドの上に母さんの頭が見当たらない、どこかに置いたにしては手の届く場所に置いていないのはおかしい。辺りを見回してみると、それはすぐに見つかった。それがただの道具であるかのように、まるで適当に転がしたかのように母さんの頭はベッドの横に落ちていた。 それを拾い上げようと手を触れると頭の全体が濡れている、その母さんの頭にまとわりつく液体は甘く生臭い匂いを放っている。恐らく母さんは自分の頭を玩具にして自慰でもしたのだろう、酷い話だ。 とはいえこのままにしておくわけにもいかない、仕方なしに母さんの頭を拾い上げて顔を合わせるが、その顔もひどい。普段の母さんの温和な印象は成りを潜め、ひたすらに快楽だけを求める女の顔をしていた。それは母さんが自ら望んでしたことだろう、母さんはこんなにも淫乱な面を持っていたのか、それを思い知らされたような思いだ。 「これはひどい・・・母さん、なんてことを・・・」  そんな女の顔をした母さんの頭を前にすると、俺の男の部分も刺激されてしまう。その手にあるのは母さんの頭という認識は薄れ、淫乱な女の頭を象った道具であるような、倒錯した感情に飲まれていた。 俺の股間で窮屈そうに膨らむ俺のペニスが、目の前の女で気持ちよくなりたいと叫んでいる。俺はたまらずズボンを降ろし、ペニスを取り出した。ビンと立ち上がる俺のペニスは活力にあふれ、それを解き放つ瞬間を今か今かと待ち構えているようだ。 「なぁ、そんなに気持ちよくなりたいのかよ・・・ほら、どうだよ俺のは・・・!」  身体から取り外されている母さんの頭になにをしようが、母さんに知られることは無いはずだ。いくら玩具にしてしまおうが後処理をして身体に戻せば良い、それだけだ。リングの仕様を知っているからこそ、俺は母さんの頭を玩具に出来ることを知っている。  俺は母さんの顔に俺のペニスをこすり付ける。きめの細かいすべすべとした肌が触れ合う感触が心地よく、さらに美人な女の顔を穢しているという状況が俺を焚きつける。 さらに固さを増した俺のペニスは爆発寸前、もう我慢が出来ない。俺は母さんの口をこじ開けて、そこにペニスを突っ込んでやった。 「ん・・・っ、うおぉ・・・っ!?」  動かない玩具であるにもかかわらず口内は熱く、そして唾液が絡みつくような感覚があった。そして母さんの小さな口を俺のペニスで埋め尽くし、俺のペニスはぴったりと包み込まれている。身近にこんな名器があったなんて、思っていなかった。母さんは特殊な自慰に目覚めてしまったようだが、俺も母さんの頭をオナホにする自慰に惹かれている。こんなところも親子ということだろうか、こんなことで知りたくはなかったのだが。 「おら、俺のチンコはどうだよ、美味いか、なぁ!?」  ここまでしてしまって後に戻れる俺ではなかった、俺は母さんの頭をオナホにして自慰に耽る。激しく前後させるたびに母さんの顔が俺の股間に打ち付けられて、パンパンと乾いた音を響かせる。そして俺のペニスは母さんの喉奥を突くが、ただのオナホになっている母さんはむせ返ることも苦しがることもなく、ただただそれを受け入れてくれた。  母さんは父さんにフェラをしたのだろうか、今さらそんな親の性事情を聞くつもりもない。俺は母さんの頭をオナホにしている、その事実だけで十分だ。 「う、あぁ・・・っ、クソ、気持ちいい・・・っ、んぐっ、出る・・・っ!」  それから程なくして、俺は母さんの口の中に精液を注ぎ込んでいた。母さんは何の反応もしないが、オナホなのだから俺の精液を受け入れてくれればそれでいい、それだけが俺の求めたものだ。 そうして精液を解き放った俺のペニスは段々としぼんでいき、俺はそんなペニスを母さんの口から引き抜いた。途端に母さんの口からは収まりきらなかった精液がどろりと垂れる、淫乱な顔はそのままに、まるでそれが口に射精されて喜んでいるような、感謝しているような、そんな印象を受けた。 「ふふ、ははは・・・オナホに似合いの顔だ、はは、ははは・・・ん、おわっ!?」  母さんの口を征服した優越感に浸っていると突然に、ベッドに横たわっていた母さんの身体が起き上がった。あまりの驚きに母さんの頭を取り落とし、母さんの頭が床に転がる。そして母さんの身体は自分の身体に頭が付いていないことを確認すると、頭を探してなのか辺りを手探りで探り始めた。 マズい、俺の精液を口に注いだ母さんの頭を見つけられるわけにはいかない。俺は母さんの身体に触れないよう慎重に母さんの頭を回収すると、ゆっくりと母さんの頭を抱えて部屋を飛び出した。そしてバスルームに駆け込むと母さんの口にシャワーを突っ込んで口内を洗い、俺の精液を出来る限り掻きだした。  濡れた母さんの頭を俺のシャツで拭いながら、急いで母さんの部屋に戻る。すると相変わらず、母さんの頭のない身体は自らの頭を探していた。ベッドから降りて四つん這いになり、とにかく手当たり次第に動き回っている。そんな母さんの姿はあまりにも無残で無様ではあるが、母さんの頭をオナホにした挙句、それがバレないように証拠隠滅を謀った俺も同じ穴の狢か。  母さんに母さんの頭を返す前にもう一度確認、口の中に精液は恐らく残っていないだろう。ちょうど母さんの身体も俺の方を向いている、チャンスだとばかりに俺は母さんの身体に頭を押し付けた。  驚いたように肩を跳ね上げてぴたりと動きを止めた母さん、リングの三回の点滅の後に母さんの頭は身体と繋がった。淫乱な女の表情をした母さんはそこにはもういない、ぽかんとした表情の母さんが俺を見上げていた。 「え・・・あ、あれ、ショウ、なんで・・・!?」 「あんまり物音がするんで見に来たんだよ、そしたら頭のない母さんがうろうろしてるし、頭は部屋の隅に転がってるしで・・・本当にやめてくれよ、心臓にも悪い」 「ご、ごめんなさい・・・どうしても昼のことが忘れられなくって・・・」 「はぁ・・・もういいって、今日はもう満足したろ、時間も遅いし早く寝なよ、じゃあお休み」  俺は平静を装いながら、あくまで母さんだけが悪いのだという雰囲気を醸し出しながら母さんの部屋を後にした。実を言うと心臓はバクバクと鼓動を繰り返しているのだが、それに気付かれないように部屋を出たというのもある。そのまま俺は自分の部屋へと戻り、ベッドに身体を投げ出した。そして母さんの頭をオナホにした感覚を思い出しながら、もやもやとした感情を奥へと押し込めるのだった。

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モノ扱いされるパーツ最高です!

まやみ


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