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弓道部のアイドル系美少女と僕と韓国人⑤

「ジュンイン様かっこいい〜!」 モニターを見つめる亜里沙は、お目当ての「ジュンイン」が出てくると開口一番そう叫んだ。キム・ジュンイン。進境目覚ましいCCIの中でも一番人気のメンバーだ。亜里沙はこのジュンインに出会ってから、美醜の基準がすべて「ジュンインに似ているかどうか」で判断するようになっていた。 ジュンインは若干17歳で、日本の学年で言うとまだ春人たちと同じ高校2年生だ。韓国の高校に通いながらアイドル活動をしている。年齢が同じということもあり、亜里沙はジュンインのことを手の届かない王子様としてではなく、どちらかと言うと身近にいても好きになれる親近感のある存在として認識していた。名前に「様」をつけるのは、KPOPファンの日本人女子のならわしのようなものである。 「ジュンイン、かっこいいですよね」 奈緒が亜里沙に同調して言う。春人は、なるほど奈緒はこういう男がタイプなのかと思った。ジュンインの顔は、人形のように白く整っている。ニキビもシミも、液晶を通して見る限りでは一つも見つけることはできない。もちろんメイクはしているだろうが、その透明感は韓国人特有のものであるように春人には思えた。 日本で韓流ブームが起こるたびに、春人の、いや、おそらくすべての日本人の心を捉えて離さない一つの観念がある。それは、嫌韓の人々もおそらく心の深いところでは意識しているだろうこと、すなわち、「容姿の美しさ」という一点に限って言えば、日本人は韓国人に敵わないだろうということである。これは、韓国人俳優や歌手は世界の舞台で正当に評価されるのに対し、日本人はどこか「色物」としてしか扱われないことからもなんとなく察される。欧米人に近い韓国人に対し、日本人はどことなく貧相で野暮ったく見えるのだ。 春人も含め、10代や20代は韓国人を良く言うことに対してなんの抵抗もない。良いものは良い、と認める素直さを持っている。これが、もう少し上の世代になると、韓国へ張り合う感情が生まれ、素直に日本の負けを認められないことが多い。だが、偏見のない若者を見ればもう勝負は決まっているのだ。日本人は韓国人に容姿においては敵わない。きっと女子高生にアンケートを取れば、半分以上は韓国人と付き合いたいと答えるだろう。それが叶わないから日本人と付き合っているだけで。 「やっぱりCCIは良いよな。メンバー全員歌上手いし、ダンスもめちゃくちゃかっこいいんだけど、ファンを置き去りにしないで一緒に楽しめるっていうの?こうやってみんなで観てリズムに乗るだけでも楽しいしさ。エンターテイメントってこういうことだよな」 佐々木が一丁前のことを言うのにも春人は微笑ましい気持ちだった。そうなのだ。もっと上の世代も俺たちと一緒にKPOPを楽しめば良い。韓国に負けたって良いじゃないか。そんなことは気にならないくらい韓国は素晴らしい国なのだから。 「お、佐々木くんわかってんじゃーん!最初は嘘かと思ってたけど本当にCCIのこと好きなんだね」 「もちろんだよ!CCIがなかったら今生きてないよ!」 「あははは!何それー!」 佐々木と亜里沙は次第に距離を縮めていく。春人は自分も奈緒と話すためのきっかけを探らねば、と思っていた。 「春人先輩大丈夫ですか?」 考えすぎて無口になっていた春人に奈緒が心配そうに話しかける。 「あ、ああ。大丈夫だよ。ごめんごめん、パフォーマンスに集中しすぎてた」 「春人先輩も本当に好きなんですね。嬉しい」 にっこり笑った奈緒の口元にできたえくぼは、奈緒の少女時代の面影をそのまま残してきたかのように可憐だった。 「あ、次が多分、春人先輩が好きな『Love your heart』ですよ!」 「お〜、楽しみだなあ。生歌で歌ってくれるのかな」 「他の曲と同じできっと生歌ですよ!」 「最高」 曲が始まると自然と部屋の温度も上がっていく。『Love your heart』はCCIの曲の中では珍しくかなり激しいダンスナンバーで、メンバーも上半身のジャケットをはだけて踊っている。奈緒が何気なく、横に振る手を伸ばして春人の手を取った。ぎょっとして春人は奈緒の方を見るが、奈緒は映像に集中している。ライブではきっと横の客同士の手を取って振ったりするのが定番なのだろう。一度もライブに行ったことのない春人は戸惑いながらも思わぬ僥倖に嬉しさを隠せない。 「ラ〜ブ、ユァハ〜ト〜!」 奈緒が手を振って口ずさむ。 「ラ〜ブ、ユァハ〜ト〜!」 春人は奈緒の手を強く握って口ずさんだ。KPOPは最高だ。春人はそう思った。


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