日本人と韓国人の保健体育11
Added 2020-12-09 14:42:24 +0000 UTC改めてこの男を見てみる。 キム・ジンス。 同い年なのに、僕よりはるかに大きい身長、そしてはるかに重いであろう体重。 この年齢では類稀な運動能力。 声も大きくて、食べる量も多くて、とにかくガサツ。 僕のいちばん苦手とする人種だ。 しかし、なんだろう、この敗北感。 勉強は僕の方ができるのに、女の子との会話も僕の方がうまくできるのに、そして大人から好かれているのも僕の方なはずなのに、拭いがたい引け目があるのは、やはり「男」として負けているという意識が僕の中に芽生えてしまっていたからだった。 事実、クラスの男子たちも、ジンスとミンギュの二人に最近では尊敬の念を抱いているように思われる。大人に言われたことをそのまま守っている子供よりも、ジンスやミンギュのように、既成概念をぶち壊してくれる人間の方が子供にとってはヒーローだ。 そして、それは女子も同じだ。 今よりも低学年の頃、乱暴者のジンスに対して嫌な目を向けていた女子たちは、高学年になるにつれ、彼のことを「強いオス」として見るようになっていった。 あちこちで聞こえる彼ら二人に対する評判。それは、つまり、「ジンスは芸能人の○○に似ている」とか「ミンギュはスポーツ選手の××みたいだね」とか、そういう言葉の端々に、彼らを男として賞賛する意図が透けて見える。 気づいていたんだ。気づいていたはずなのに。 麻里ちゃんだけは違うと思っていた。おしとやかで、上品で、僕のことを好きでいてくれる。他の女の子と同じように、男らしいだけのジンスなんかに興味を持ったりしないと思っていた。 あの時と同じように、麻里ちゃんに付き合っている人がいるのか、と聞いたときと同じように、ジンスとの関係をもう一度明らかにしなければならない。すべてが健人の見間違いであってくれたら良いのに。 そんなことを考えていて、僕は後ろから接近してくる気配に気づかなかった。 「圭吾くん!」 「ま、麻里ちゃん!びっくりした……」 「どうしたの?考え事?驚かせちゃってごめんね」 「いや、全然大丈夫だよ」 「本当に?圭吾くん、最近ぼーっとしてること多いから、何か悩み事でもしてるのかと思った。ねえ、今日の勉強会なんだけど、図書室じゃなくて私の家でも良い?お母さんが用事があって夕方から出かけちゃうから、私がお留守番してなきゃいけないの。お母さんも圭吾くんと二人なら良いって」 「麻里ちゃんの家で?も、もちろん良いよ!うん、行くよ!」 「よかった!じゃあ、放課後ね」 麻里ちゃんは友達に呼ばれていなくなる。 あの屈託のない笑顔。麻里ちゃんがジンスと何かしていたなんて本当にあるのだろうか。しかし、それよりも何よりも、麻里ちゃんの家に行けるなんて。これは実質「おうちデート」ではないか。ああ、ジンスのことなんて頭の隅においやって、麻里ちゃんと二人きりの時間を存分に堪能したい。