NokiMo
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居残りバイト

こんにちは〜〜ぱぱを🐼🐾です。


だんだんと暖かくなってきましたね。それに伴い、花粉がぶわぶわ飛んでますね。許せん。そして原稿、間に合うんだろうかと若干不安になってきたり。その前にけもケット受かってくれるかしら〜〜という方が心配です!


さてさてお待たせしました、500円プランでの2作品目です!1万6000字ちょいの、まぁつまるところいつものヤツです。……それだけだと何のこっちゃとなりそうなので、もうちょい語ります。引越しアルバイトをして働いている学生人間くんと、ベテランの犀おっちゃんのお話です。いつものテイストですので、人間くんが何かしらの理由で喰われます。ええ。


似たようなシチュを今まで何度も書いてますが、そんな人たちでも新しいお話を読んで新鮮な気持ちで抜いていただけるように書きました。お楽しみいただけますと幸いです🐼


※以下、本編。

****


 ハウスダストが遠慮なく舞い散るアパートの一室。それもそのはず、机やテレビ台の裏に溜まっていたホコリは引越し当日までそのまま残っていたのだから。今日も会社で支給されたマスクを着用しながら、僕は先輩と一緒に作業へと取り掛かる。


「せーのっ!」


 犀獣人の先輩と大型冷蔵庫を持ち上げながら、家財に傷をつけないようにドアの外へと運び出す。疲れはするものの、普段部活動でやっているようなトレーニングに比べたら全然だ。中高と柔道部、大学で剣道部に所属していた僕は、今年で四年目となる引越し業者のアルバイトに精を出していた。人間は力仕事に向いていないなどとよく言われるが、持ち前のガタイの良さもあって面接を受けたら即採用。今ではバイトの中でも正社員に近い働きっぷりに上の者から大きく評価され、大学卒業後の進路も流れでこの引っ越し業者に決まっていた。


 夏場の引越しであったが為、制服のシャツには汗がじんわりと滲んで気持ち悪い。だが悲惨なほど汗でぐしょ濡れとなった犀郷(さいごう)先輩を見ると、自分の不快レベルがいかに低いものかを思い知らされた。


「……ふーっ、これで完了、すね。搬入は午後一に伺いますんで」


 ありがとうございますと礼儀正しく話してくれたのは、依頼主であるメガネをかけた初老の虎おっちゃんだった。引っ越しの荷造りが当日朝になっても終わっていないと聞いた時はどうなるかと思ったが、手際のいい先輩と協力すれば意外と何とかなるものだ。しかしそんな突発作業が完遂できたのも、今日は引っ越しの依頼が他になかったから。普段であれば特別料金を徴収するところを、サービスという形で承ったのだ。


「は〜……あちー……」


 トラック内の冷房をガンガンに効かせながらアクセルを踏み込む犀郷先輩は、手首に巻いていた手甲と呼ばれる黒いリストバンドのようなもので首元の汗を拭う。土方仕事時代に使っていたものらしいが、あれをつけているとちょっと職人っぽくて羨ましい。僕も社会人になったら買ってみようか、だが装着すれば先輩からバカにされるのは目に見えている。


 それに先輩はタオルを頭部に巻き付けて汗を吸わせているというのに、頬は滝のように流れ落ちた汗の跡が見受けられた。汗、止まってないじゃんか。タオルが汗を吸いすぎて、もう限界だというサインを出している。


「犀郷先輩、ホントに汗っかきですよね。体毛ないのに」


「……しょうがねぇだろ、生まれつきなんだからよ」


 最後にマズルの上へと生えていた汗まみれの二本角を手甲で無理やり拭き取り、僕らは今日の昼メシを調達する目的でコンビニへと到着した。トラックから降ろしてもらい、各々自由に買い物を済ませてまたトラックの中へ戻ってくる。今日は暑くて食欲も出ないし、おにぎりと……それからアイスでも買うか。棒状のソーダアイス、これ大好きなんだよなぁ。早々に買い物を終わらせて戻ろうとしたものの、トラックのキーは犀郷先輩持ちだ。あれ、先輩はお惣菜コーナーに居なかったような……?


「……あっ」


 ものすごく真面目な顔をして何か雑誌を立ち読みしているかと思えば、そこは十八禁コーナーと呼ばれるエロ雑誌が置かれている場所。獣人のくせに人間のエロい姉ちゃんの際どいカラー写真を見て、先輩は無表情のまま会社の制服ズボンを押し上げていた。


「先輩、ちょっと、早くメシ食べたいんで買い物済ませてくださいよ! 何読んでるんすか!」


「ん」


 僕の問いかけにもまるで興味がないのか、たまにグヘヘと笑いながら女性の裸体が映し出されたページを端から端まで舐めるようにして見始める。


「……お前の分も買ってやろうか?」


「いっ、いや僕は、その」


 ……そういう雑誌に興味がないわけじゃない。僕も思春期を終え、体も成熟しきったオトナになったのだから。だが仕事の休憩中にそのようなエッチなものを見るのはどうかと思う。


 犀郷先輩は大事そうにその雑誌を腋に抱え込むと、僕の買っていたアイスが気になったのか同じものを冷凍庫から二本取り出してレジへと向かっていった。昼飯、それだけで足りるとは思えないのだけど。獣人だから少なくとも僕の倍ぐらいは食べていかないと午後作業の体力がもたないのではなかろうか。


 トラックに戻るや否や、アイスを二本まとめて咥えながら行儀悪くエロ雑誌を読み始める犀郷先輩。本当にこの人、頭の中がずっとピンク一色なのではなかろうか。これじゃあオンナにモテるわけないよなぁ……ああならないように僕も気をつけよう……。


「お前も読むか。今月の、めちゃんこエロくてたまんねぇぜ」


「…………」


 さっき腋に抱えながらレジへ持っていったせいで雑誌の紙が一部分ふやけているのを僕は見逃さなかった。おそらく犀郷先輩の腋汗が雑誌に染みているのだろう。上着を脱いで黒シャツを晒しているからよくわからなかったが、後部座席に投げ捨てられた上着の腋部分を見れば布団に小便を思いきり漏らしたかのような大きな汗染みが広がっていた。


「読み終わったら貸してやろうか?」


「……いえ、結構です」


「なんだ、連れねぇなぁ。先輩がエロ本貸してやろうって言ってやってんだから素直に受け取れっての」


 こうやって何度かトラックの中でエロ本の譲渡会が行われた経験があるのだけど、借りたら借りたであの乱交漫画どうだったよとか種付けプレスんとこのシーンたまんねぇよなとか、とにかくエロ本の感想を聞きたがるので非常に厄介だった。本自体はその、僕も何度かお世話になるレベルのエロさですごく……良かったけど……。先輩とエロい話に花を咲かせるのはあまり好きではなかった。


「ん……」


 アイスを早々に食い終わり運転席の背もたれを限界まで倒してから、先輩は使い込まれたボロ運動靴から引き抜いた両足をフロントガラスの手前に上げてリラックスできる体勢をとる。汗ぐっしょりの黒シャツの上へ読みかけのエロ雑誌を開いて置き、体勢が整ってから仰向けになってもう一度雑誌を見て……股間の辺りを揉みしだくようにして弄り回した。車高が高いしこのコンビニは駐車場が広いから一般人の目には映らないだろうが、それでも肉竿を揉みしだく姿を誰かに見られたらたまったものではない。


「ちょっと、先輩! こんな真っ昼間っから何やってるんすか!」


「だってよぉ、こんなエロい漫画読んじまったら我慢する方が無理だろ」


 先輩はベルトを外しながら半分ズリおろして股間をまさぐり、色んな汚れが付着して黄ばみが目立つ褌を指でめくりながら黒々とした男根を握り締める。トラックの車内では既に先輩と僕の汗の臭いが混ざり合って鼻が曲がりそうだと言うのに、褌を見ているだけでもっと雄のニオイが濃くなりそうだ。一緒に銭湯へ行ったこともあるから何度も見たことはあるのだけど、今日は一際太長い上に鈴口からヨダレを垂らしている。


「ふぅっ……ふっ……」


「……ちょ、僕外で休憩してきます」


「おい待て。お前は誰かトラックの中覗き込んでねぇか、ちゃんとそこで見張ってろ」


「…………」


「先輩命令だぞ」


 トラックの中でそこそこ歳のいった犀獣人がセンズリこいている所を、未成年の子供なんかが見たら大きくショックを受けるかもしれない。だけど今、僕はこのトラックから早く脱出したくてたまらなかった。何せ咳き込みそうなぐらい汗の香りが酷くなってきたし、グチュグチュという上下に激しく扱く音を聞いていたらこっちまでおかしくなってしまいそうだ。僕はイヤイヤ先輩の命令に従うことにしたが、おかげで貴重な昼休みの時間をドブに捨ててしまった。


「……ティッシュ、用意、ん゛っ、しろっ」


 先輩がこうなってしまうともう誰にも止められない。また車内が汗ではない別のニオイで臭くなるのだろうなと思うと気分が沈んでしまいそうだ。僕の近くに置かれていたボックスティッシュから五枚ほど取り出し、犀郷先輩の左手に渡してやる。手が届く距離に居るというのに、先輩は大きな声を上げて僕へ次の命令を言い渡してきた。


「お前がオレにエロ雑誌、見せろ、ふぅっ、ふっ‼︎」


 ザーメンを受ける為のティッシュを用意させ、センズリに勤しんでいる間見えないからと腹の上で半開きになっていた雑誌を持てと言われ、僕は先輩の召使いか何かだろうかと自分が自分でイヤになった。仕事ではかなり尊敬しているが、それ以外の部分では正直ああはなりたくないと思ってしまう。犀郷先輩は鼻の穴をヒクつかせながら最後、声を押し殺すようにしてニヤリと笑う。


「ん゛おっ、ん゛ぐうぅうっ、出るぞっ、お゛おっ、たまんねっ‼︎」


 他人の射精シーンを見るのは気が引けたので、僕は犀郷先輩が射精する瞬間に目を逸らしてエロ雑誌の表紙に視線を向けた。……またエゲツないもん読んでるなぁこれ、またレイプものじゃんか。女性がめちゃくちゃ嫌そうな顔をしながらも声を荒げ、獣人に組み敷かれながらヨガっている一枚絵。それからブヘヘと気味悪く笑いながら豚鼻を寄せてオンナのニオイを嗅いでいる竿役の猪は、かなり汚らしい作業着を身に纏ったブサイク系の男だった。表紙に映っているシーンだけでこれなんだ、中身はもっとエゲツないものばかりなのだろう。


「あ〜〜……やっべ、窓まで飛んでら」


「…………」


 当然五枚のティッシュで全てを受け入れられるはずもなく、手のひらにも、フロントガラスにも、何なら窓ガラスにまで飛び散っていた。少なからず僕の体にもぶっかけられる危険性があったのだが、助手席で先輩から距離を取るように少し左へ体を寄せておいたから助かった。自分の座るシートに飛び散った僅かな粘液をティッシュ二枚分贅沢に使って拭き取ったあと、換気をするようにして窓を開けさせてもらった。


「オレがトラックん中でセンズリこいても怒鳴り散らして怒らねぇ、やっぱお前は最高にいい相棒だな! ガッハッハッハ!」


 僕らは一人暮らしの引越しを手伝う部門に所属して活躍しているわけだが、基本は二人一組で引越しの現場で作業を行う。キャリアの長い犀郷先輩とペアを組まされるのは大体僕のような新人なのだが、以前は何度もペアを変えてくれと新人から上司へクレームがいっていたらしい。犀郷先輩は新人からかなり嫌われていたようだった。理由は言わずもがな、車内で突然センズリなんておっ始めるし、常に黒シャツが汗臭いから鼻がおかしくなるし、休憩時間中にフロントガラスへ足を乗っけたら車内のガラスが曇るぐらい饐えた香りが広がるし、ヘビースモーカーで……もう挙げればキリがないな。仕事はできるが、他の部分ではまるでダメというか……。


 それからアルバイトで入った僕と仕事をするようになって、なんか変わった人だな……と思いながらも先輩の行動には何も口出しせず我慢していたらなぜかずっと固定で組まされてしまったのだ。相棒、と言われれば聞こえはいいものの、僕は複雑な心境で先輩の射精後気持ち良すぎてヘニャヘニャになった顔を眺め続けていた。


「ふあぁ……眠た……わり、仮眠すっから目覚まし頼むわ」


「……は? え、ちょっと、褌でちゃんと股間隠してくださいよ、もう‼︎」


 ティッシュでは拭いきれなかった手の指の間に入り込んだザーメンを舌でぺろぺろ舐め取りながら、先輩は下半身を半分露出させた状態で眠りに入ろうとする。だからそこはセンシティブな部分だと何度言えばわかるのだろうか。警察官がパトロールで車内の近くを通りかかったら絶対見られるだろうし、そうなれば会社にも僕にも迷惑がかかるのは当然のこと。と言っても先輩はもう大口を開けてイビキをかき始めていたからどうにもならなかった。


 午後の作業中、依頼人の虎獣人に何かザーメン臭くないですかとか言われないだろうか。色んな心配が自分の中でグルグル渦巻いてくるものの、昼過ぎの肉体労働は夏場にとってかなり体力を消費する仕事だ。僕もここでしっかりと休憩しておこうと、先輩を見習って両脚をフロント部分へと持ち上げながら座席を倒すことにした。……こんな日常の光景に慣れてしまったから。そりゃ新人は皆、逃げ出すわな。




「なっ、なんすか先輩、ちょっと」


「お前、よく見たら色っぺぇ顔してるよな」


「は? 酔ってるんですか?」


 引越し作業も滞りなく済み、僕らは会社の車庫へと引越しで使っていた社用トラックを停めてから更衣室で着替えて帰宅する所だった。未だ着替える様子もなく話しかけてくる犀郷先輩はどうにも違和感ありまくりで、僕は首を傾げながらイヤな顔を見せつける。絡みすぎは嫌われますよと言ってもなぜか僕と人一人分もないぐらい近い距離でニヤニヤしていて、我慢強い僕でも流石に限界がきそうだった。


「ちょ……近いんですけど、あの、僕のロッカーの前で陣取らないでください」


「なぁ、追加でちょっと別のバイトしてみねぇか」


 突然何を言い出すかと思えば……。確かに金はあるだけ有難いものであるが、今日は特に昼休み中あまり休めなくて疲れているんだ。早く帰りたいのでと言おうとしたところで、犀郷先輩は更にそのバイトの詳細を話してくれた。


「なぁに、簡単なバイトだよ。短時間、高収入。オレが満足するまでヤってもらえたらコイツを一枚、チップとしてお前にやるよ」


「えっ、あまりに待遇良すぎませんか? でもバイトったって何をし……」


 僕の顔が、先輩の胸元に引っ付きそうなぐらい距離を詰められる。ムワッとした雄の香りが僕の顔全体を包み込むようにして降りかかり、思わずお゛ぇっ……と声を上げて後ろへ足を下げてしまった。距離をとった瞬間、僕の目は先輩の体全体を捉えていて。……股間の異様なほどの膨らみ方を目視し、僕は昼間に起きた出来事と重ね合わせながらゾッとしていた。何かよくない予感がするな、と。直感でわかっていたのだが、ロッカー前を陣取られたせいで逃げ出すにも制服のままだし。静止したままでいると、先輩はバイトの内容を説明するように喋り始めたのだ。


「溜まってんだよ。どうせ風俗行っても汗クセェからって門前払いされるだけだ、それならお前に金払ってしゃぶってもらった方が助かるんだがなぁ」


「ちょ、ちょ……先輩、オンナにしゃぶって貰えないからって僕にしゃぶれっていくらなんでも無茶振りしすぎっすよ! ……冗談で言ってるなら僕、帰りますね。……どっ、どいてください。着替えたいので」


 ここに居るのは危険だ。今日の先輩はやけにグイグイ来るし、ちょっと怖いところがある。制服のまま手荷物を持って出て行こうと俊敏な動きで足を進めたのだが、咄嗟に片腕の手首を掴まれて足が動かなくなった。しかも悲鳴を上げたくなるほど強い力で握りしめられ、僕は声を荒げながら先輩から離れようと必死に抵抗する。


「あだだだっ、腕っ、腕痛いですっ‼︎ 馬鹿力すぎる!」


「うるせぇ。ちょっと仮眠室来い」


「無理無理無理無理っ、今日用事あるんで離しっ、てっ‼︎」


 引きずられるようにして、僕は会社の薄暗い廊下を無理矢理歩かされる。もう片方の自由な手はベルトをしていないズボンがずり落ちないように抑えるのがやっとで、僕はまんまと先輩に連れられて仮眠室と呼ばれる狭苦しい部屋へと押し込められてしまった。


「お゛〜〜……そんなに押し付けんじゃねぇよ。反応しちまうだろ?」


「ひっ、ひぃっ‼︎」


 押し付けてなどいない。先輩が自ら股間を僕の胸辺りに押し付けながら変なことを言っているだけだ。夏場は帰宅用に別のキレイなシャツを用意して着ているのだが、今日は仕事着のままで僕も相当に汗臭い。そのシャツを更に上書きして汚すようにして、先輩は制服ズボンの前辺りからムワッとした熱気を放ち続ける。中身を出していないのに、布を貫通して汗の香りが突き抜けているようだ。それはすぐに僕の制服を蒸らし、ニオイをこびり付けられる。間違いなく帰ったらすぐに洗いたくなるようなムワッとくる蒸れた雄の香りに、僕は反抗的な目で抵抗しながら腕で押し退けた。


「かっ帰りますっ、退いてください、先輩っ‼︎」


「オレの方がこの業界は長ぇんだ、それに獣人に力技で勝てるって本気じゃ思ってないんだろう? ほぉれ、お前の腕力なんざハナクソ程度の力なんだよ」


「あっ、あああっいだっ‼︎」


 赤子の手をひねるように僕の行動を制限し、頭に巻きつけたタオルを僕の腕へと回して背中側で固定する。いくら引っ張っても千切れないように、かなりキツく巻かれているようだ。しかも動かせば動かすほど手首がジメッとしていて、なんだか気持ちが悪い。何せさっきまで頭に巻いていたタオルだ、そりゃもう汗がたっぷりと染み付いているのだろう。手首が腐って肉が溶けてしまうんじゃないかというファンタジーな妄想が頭の中をよぎりながら、僕は腕の自由を奪われてそのまま仮眠用シーツの上へと押し倒されていた。僕が背中から倒れ込んでも怪我をしないように腕を回してくれる優しさは、まるでか弱い女性を想ってエスコートする女性のようで。僕をオンナと見立てているのかと思うと、すごくゾッとする。


「へっへっへ……ちょっと待ってろよ、今からいいモン出してやっから」


 焦るようにベルトのズボンをシュッと引き抜き、仕事で使った汗まみれのズボンを脱ぎ捨て、先輩は僕の肩の横辺りに足を置いてしゃがみ込みながら股座を見せつけてきた。昼間見た通り、汗と小便みたいなもので汚れた黄ばみ褌だ。こんなに間近で見せられたら鼻の中を通り抜ける臭気がたまったものではない。アンモニアのキツい臭いが細胞に働きかければ、僕の鼻はすぐにツンとした痛みを伴って目を背けたくなる。だが横を見れば長時間靴に押し込められていた足にまとわりついた汗のニオイで目が痛くなり、どこを向いても地獄という状況。そこへ今度は褌の布を横へとズラしながら、先輩は僕の顔面に合わせるような形で股間を寄せてきた。


「ちょっ……汚っ‼︎ お゛ぇえっ、やめっ、やめてっ‼︎」


「汚ねぇとはなんだ汚ねぇとは。よく見てみろよ、でっけぇだろ? オンナが見たら口の前に手ぇ持ってきてギャッと驚くレベルの巨根だぞ」


 犀郷先輩のブツは、人間のものを二回りほどデカくしたような凶器だった。外人の人間でさえもこんなにデカいものをぶら下げているのを見たことがない。しかもズル剥けで、エラの張り方が異常なほどに鋭い。カサが大きいと言えば良いのだろうか。言わば、相手の膣に挿入すれば中に注がれていた他人の精子を掻き出せそうな構造をしている。あんなもので突かれたらひとたまりもないであろうその巨根は、僕の鼻へピトリと乗せられた。


「ん゛う゛っ、え゛っ‼︎」


「お前がしゃぶりたくなるまで擦り付けてやるよ。ほぉれほれ、雄の粘液はいいニオイだぞ? 嗅いでみ?」


 ちょっと鼻先に引っ付いたかと思えばもう遠慮はいらないと言わんばかりに腰が下ろされ、僕は先輩の股下で顔全体を包み込むようにして肉竿を擦り付けられた。自分の体温よりも高い肉竿から垂れ落ちるぬるぬるの粘液は僕の額に、鼻に、唇に塗りたくられて、ネチョネチョと音を立てるように引っ付けたり離したりを繰り返される。気分が悪くなるどころの騒ぎではなく、呼吸もままならないほど密着されて僕は大きく声を上げた。声帯を震わせることによる振動が先輩の股間を刺激し、べっちょり擦り付けられていた我慢汁の量がドッと増えていく。


「んはっ、はぁっ、人間の顔は、ふぅっ、床オナしやすくていいなっ、ん゛おっ……」


「――――っ、――っ‼︎」


「鼻下にしっかり汁が馴染むように先っちょを何遍も擦り付けてやろうか。……お゛〜……いいぞ……」


 足で蹴り飛ばしてやろうと自転車漕ぎのようにバタバタ動かしても、そこに先輩の体はない。僕の上半身を覆い隠すように体を押し付けているから、本当ならばつっかえ棒のように股の間へと腕を立てればいいのに。今の僕にはその手段を取る方法もなく、一方的にただヤられるのみ。顔中がベトベトした汁で汚されるのはもう時間の問題だった。犀の重量級ボディが容赦なく僕の顔面に襲いかかり、時折むにゅっとした感触のものが鼻や目を覆う。一際汗のニオイがキツいその部位は……玉裏だ。僕も興味本位で指を這わせて汗のニオイを嗅いだことがある。うわっとなる程度のニオイが、獣人の股座だとこんなにも暴力的で激しいニオイになるのか。血液が大量に流れ込んで体温を上昇させている又の間に挟み込まれた顔が無事で済むはずもなく、僕は股による蒸し焼きによって意識がどんどん遠退いていった。


「がはっ、はぁっ、はぁっ……ん゛え゛えぇっ、ゲホッゲホッ!」


「さて、もう一度聞こうか。しゃぶる気になったか?」


 先輩が股座を離してくれた時には、もう顔中我慢汁まみれでベトベトになっていて。額から引き剥がされた肉竿からは銀色の糸を引いていて、その汚らしい竿と自分の顔が粘液で繋がっていると思うと何とも言えない気持ちとなる。やがて重力に従って僕の鼻、唇、顎を汚しながら落ちていった我慢汁の糸。口の中へ少し入ってしまったのか、しょっぱさが尋常ではない不快な味に僕はまた咳き込んで苦しみ続ける。


「そうか、まだしゃぶる気にならないか」


「ゲホッ……え゛っ、待――」


「はっ、はぁっ、このままでもイケそう、だなっ、ぐっ……んおお……」


 滑りの良くなった僕の顔面を使い、先輩は滑らかな動きで太長い竿を擦り付ける。顔面では受けきれなくなった我慢汁が頬を伝い、耳たぶを伝い、シーツへと流れ落ちるほどまで汚い体液を撒き散らす。鼻がバカになったみたいに雄のニオイしか感じ取れなくて、口を開けていないと呼吸ができないほどに鼻の穴を粘液で塞がれた。口の中の唾液が犀郷先輩の我慢汁で置き換えられ、目を開けたら絶対にヤバいと思えるぐらい額の辺りにもぶっかけられて、口呼吸を余儀なくされた僕の様子を見た先輩はすぐに僕の口へ肉棒の先っちょを当てがい始める。それが開始の合図となり、僕はしゃぶりたくもない男根を無理矢理しゃぶらされてしまった。


「お゛げぇっ、ん゛ぶっ⁉︎」


「お゛〜〜いい口まんじゃねぇか、もっと奥まで入るっ、だろっ、おら喉開けろ‼︎」


「ごっ……おぶっ……ん゛ぉお……」


 すぐに喉奥を突いてきた先輩の肉竿、だがそれでも僕の口に半分も入っていない。これ以上どうやっても入るわけないだろう、そう思っていたのに。無理矢理奥をこじ開けるかのように腰をガンガン打ちつけられ、いつしか閉じ切っていた喉が肉竿の太さほどに拡がってしまった。一度そこを杭のような肉竿で挿し込まれれば、もう二度と喉肉が閉じることはない。むしろ閉じたほうが逸物に刺激が多く与えられるのだろう、先輩は気持ちよさそうに声を上げながら僕の喉を掘り進めていった。


「こんだけで金が貰えるんだぞ、な? 簡単なバイトだろ?」


 どんな抵抗をしたって、先輩はもう口からちんちんを引き抜いてくれないんだ。まだ逃げられるチャンスがほんの僅かでもあるのならと耐え忍んでいたが、もう限界らしい。蹴り飛ばそうと思っていた足は徐々に力を失っていって、最後はピクリとも動かずに物のようにただ佇むだけの存在となった。口を無理矢理犯されて苦しさは止まらないし、目元は粘液まみれでまともに開けられないし、生きたまま地獄を見せられている。割のいいバイトとは言えないような状況の中で、僕はただひたすらに男根にこびり付いた塩の味を舐めながら組み敷かれて腰をグッと押し付けられていった。


 陰毛が鼻に押し当てられれば、さっきまで半分も咥えきれていなかった男根が奥までしっかり入り込んだと理解させてくれる。何か食べたわけでもないのに胃袋が苦しいのはなぜか。それはきっと、僕の顔面を大量に汚してきた体液を直接注いでいるから。舌の上で感じた先輩の我慢汁は相当塩気が強いから、むしろ喉奥へ直接注いでくれた方がまだマシだ。


「……おい、息してんのか。おーい」


 男根を咥えたまま動かない僕を心配したのか、先輩は前に倒していた上半身を起こして僕の顔を見る。ペチペチと肌に手のひらを当てられ、その痛みで僕の意識は覚醒していった。まだ口に男根を含みながら薄目を開けて先輩を見る。太長い舌をペロペロと動かしながら、鼻の穴を大きく拡げて呼吸しているのが伝わってきた。エロい気分が収まることもなく、ただひたすらヤりたそうに僕を見下ろしながら見ている。昼間見たようなあのスケベ顔よりも更に凶悪で、雄みのあるその顔に僕はどうすればいいのかわからなかった。


 ……もっと言うと、体が言うことを聞かずに動かなかった。


「おい、勃ってんじゃねぇかよ。へへっ、こんな酷ぇことされてんのに勃起か。そりゃ発情期の獣人が出すフェロモン嗅ぎまくってりゃなぁ」


「ひっ……ひぃっ……あ……なん……で」


 粘液にまみれ酷い有様となった僕をジロジロと眺めながら舌を出してヘッヘッ……と呼吸を荒くする先輩。傍にある棚から何かを探し出すと、それを僕に差し出して新たな要求を命令する。まだ終わりじゃないのかと絶望すると同時に、僕の心臓が大きくドクンと鳴った。


 先輩の、あのちょっと低めな声で命令されると僕はいつもの自分じゃいられなくなる。顔中雄の汚い我慢汁でぬるぬるにされて正直吐きそうなぐらいの臭気を吸っているというのに、股間の猛りは鎮まることを知らない。


「これでケツ、洗ってこい」


 尻の中に溜まった便の排出を促し、腸内をキレイにする為の浣腸キットと洗浄剤。説明は裏側にでも書いてあるから読んどけと言われ、彼は仮眠室の本棚にあったエロ本を適当に数冊引っ張り出してきてシーツの上で胡座を掻き始めた。僕の目線はまだ先輩の股座から動かせなくて、ジッと見ていたらさっさとトイレ行ってこいとキツめに命令されてしまう。仕事では元からそうだったが、こんなことで先輩の言いなりになってしまう自分が本当に情けなくて……どうにかなってしまいそうだった。


 その割には体が気持ちいいことを期待して、発熱しながら待ち続けている。口で無理矢理先輩のをしゃぶらされたせいもあり、僕はフラフラと揺れながら仮眠室を出て行った。ここで自由になれたのだから、今のうちに更衣室へ戻って着替えて帰ればよかったのに。どうにもそうする気になれず、僕は足取りをトイレの方向へと向けていた。


 排泄にしか使ったことのない自分のケツ穴を使って、あんなデカいものが挿れられて、僕はどうなるのか。痛いだけじゃなく挿れられた方も気持ちよくなれるという先輩の言葉が尚更僕の脳内に響いて、消えることがない。エロの象徴みたいな顔をしながらニヤついている先輩の顔を思い浮かべながら、僕は自分の体がどんどんオンナのように作り変えられていくのを感じていた。



 これからどんな風にヤられるのか、考えれば考えるほど僕は股間を大きく、硬くしていく。自分でもわかるぐらい我慢汁の大きな露が鈴口に溜まり始め、どうしようもなくエロい気分になってしまう自分が情けなかった。




「ひゃあっ、あっ、ああっ‼︎」


「……洗浄はうまくいってっけどよ、なんだよこのキツい穴は。こんなんじゃオレのブツが入るわきゃねぇだろが」


「ああっ、お゛ぇえっ‼︎」


 先ほどと同じようにしてタオルを僕の腕へと巻き付けられ、ケツの穴が先輩の目に映りこむよう仰向け開脚の体勢で待機させられる。それだけではない、もっと興奮できるようにと先輩は股座に巻いていたあのおぞましい色の褌を僕の鼻から顎までを覆い尽くすようにしてギュッと縛り上げてきた。


「オレの発情フェロモン、たっぷり吸ってトロットロにするんだぞ。そら、吸い込みが足んねぇぞ! 掃除機ぐらいの吸引力で吸ってみろ!」


「……ん゛うぅうううっ‼︎」


 獣人の発情フェロモンは、怪しいアダルトグッズを取り扱っているような店で商品として流通している。医療として使うことはまだ許されていないが、勃起不全となった人間の男が瞬く間にギンギンとなったり、我慢汁やザーメンの分泌量が増えたり、効果は様々だ。自分だけでなく相手をムラムラさせる成分がたっぷり含まれた獣人のフェロモン、その効能の高さから人間に嗅がせるのは基本的に推奨されていない。嗅ぎすぎれば脳の細胞が破壊され、雄のフェロモンを求めて止まない存在となる。


 僕は先輩と一緒にトラックへ乗りながら常日頃から作業しているおかげで幾らか耐性がついたと、そう思っていた。だが現実は違った。トラックの車内や現場で嗅ぐような汗のニオイはまだまだ序の口、あんなの発情フェロモンの内に入らないのだ。本当の発情フェロモンとは……股座の一番濃い雄のニオイがたっぷりと染み付いた褌、それからシャツの内側、腋などが挙げられる。靴下も外側ではなく内側にこびり付いたあの饐えたニオイがそれに当たるらしい。僕は乾ききっていない我慢汁を拭うことも許されず、上から覆い被さられるようにして褌を押し付けられて白目を剥いていた。


「三本、か。まぁ三本入りゃあとは押し拡げてやりゃあ……」


 最後にケツをパシィンッと打楽器のように手で叩きつけてから、先輩は僕の股の間に割り入って肉竿をシコシコ扱き始める。当然我慢汁と僕の唾液でニチャニチャ、ぬるぬるになった太い男根はいつでも挿入準備万端と言いたげに震えながら新たな我慢汁をぶっ放していた。洗浄済みの尻穴の味を堪能するがごとく押し付け、擦り付け、そして先っちょだけ挿れたりして焦らしてくる。鼻息が顔に当たると褌越しにヤニ臭いニオイを感じられ、僕はこれから男に抱かれるのかとようやく実感した。煙草を嗜む女性と寝れば、間違いなく先輩のことを思い出してしまうぐらい刺激的なニオイだ。



「いい声で鳴いてくれよ?」


「…………ん゛んんんんんんっ⁉︎」


 なぜこんなことになったのか、引っ越しの仕事以外のアルバイトなんかしたくなかったのに。嗅ぎたくもない雄のキツいニオイを嗅いでいたらいつしかムラムラしただけで、もっと明確にイヤだと声に出して帰っていれば今頃はこうなっていなかったはずだ。自分の意思が弱すぎて、力が弱すぎて、その結果こうなってしまった。僕をオンナのように扱い、抱き締め、腰を打ちつける先輩は仕事中よりも真面目な顔で僕を見る。すぐにヤラしい目つき顔つきに変わって、僕の両足首をしっかりと掴みながら軽く上へ引っ張り上げるようにして持ち上げられた。


「んん……おっ、ここか。へへっわかりやすいところにあるだろ」


「あ゛あああっ、な゛にっ、やっ、んやっ‼︎」


 最初、もっと激しく腰を振られるのかと身構えていたのに。僕はそのゆっくり、ドッシリと構えるような腰の振り方に拍子抜けしていた。だがそれも最初の数回突かれた時だけ。とある一点のポイントを小刻みに震えながら突き上げられると、僕は自分でも信じられないぐらいあんあんヨがり狂って声を上げてしまう。そう、自分が普段出すような声からはあり得ないほどの高い声が。


「野郎同士でヤる交尾の特権だ。おらっ手コキもサービスしてやらぁ!」


「ひゃっ、ぎっ、刺激っ、ひっ、おかしくなっ、ん゛っ‼︎」


 一瞬にも満たない時間だったと思う。腰を打ちつけられて、射精と似たような感触を覚えて。さらにいつもヤってるような手コキを、それも先輩のゴツゴツした手のひらでヤられて……。僕は小便を漏らすように白い液体をビュウウッと吐き出し、体を震わせながら射精の余韻に浸っていた。雄同士抱き合って行う交尾で、こんなに気持ちのいい射精を体験できるなんて。先輩の嘘で丸め込まれていいように組み敷かれただけだと思っていただけに、この測り知れないほどの快感数値は僕を更にムラつかせる要因となった。


「…………おい、なにオレの手のひら勝手に汚してんだよ。きったねぇな」


「あっ……あぁっ……」


「テメェで出した汁だ、自分の体で拭けよな。ったく、うえぇ……手のひらにこびり付いてやがる。人間のくせにドロドロしたモン出しやがって」


 素肌をタオルのように扱ってきた先輩は、僕の体のキレイそうな部分に手を擦り付けてザーメンを拭き取っていく。これは自分がたくさん出したせいだ、僕が悪かったんだ。ケツを掘られて、ちょっと手コキされただけでイクこの敏感な体が……。握りしめるようにして体の至る所を揉みながら先輩は僕のザーメンを拭き取って、再び腰の打ちつけを開始する。


「ひゃああっ、キツッ、い゛っ‼︎ はげしっ、あっ‼︎」


「そりゃ初モンだからキツキツなのはしゃーねぇよ。これからオレのサイズに拡がるまで掘り倒してやっから、そしたらココはオレ専用の名器ってわけだ」


「な゛に言゛ってっ、ああっ、あああっ‼︎」


 僕の足首を引っ張り上げる手が怠くなったのだろうか、先輩は両肩に僕の足を乗せてから折りたたむようにして上半身を近づけてくる。胸元に溜まりまくった汗の香りが一気に僕の鼻を襲いかかり、汚れ褌のフィルターも相まって激臭に成り変わったニオイがフェロモンを纏って周囲の空気へと拡散していった。マズルの中に溜め込んだ唾液が抑えきれないのか、たまにボタボタと首下へ垂れ流しながら僕の顔付近にまで落ちてくる。雄の厳つい交尾中の顔を見て、僕はまたケツがキュッと引き締まるのを感じていた。


「ん? どうしたぁ、へへっ。そんなに物欲しそうな顔してよ、んん? またココを突いて欲しいのか?」


「――――っ、――っ⁉︎」


「おおっと、声にならねぇぐらい気持ちよかったか。ははは。何せまだまだ本気なんて出しちゃいねぇからよ、意識飛ばすんじゃねぇぞ?」


 ギアをもう一段階、いや二段階ほど上げたかのような腰の突き方。交尾の際に必要になるからと洗浄ついでに軽くローションを塗りたくったままだった腸内は、今や全部あの凶悪なほどのエラに掻き出されて先輩の我慢汁で上書きされているかもしれない。滑りの良くなった肉竿は激しく出入りを繰り返し、グチュグチュと泡立つような音さえ聞こえてきた。


「仕事終わりにそのまま抱けるってのは、お゛っ……いいな、お前も雄クセェの好きだろ? ん?」


 好きです――咄嗟にそんな声が、返事が出そうになった。いつも嗅ぎたくないのに嗅いでいたあの雄の不快なニオイを、僕は自分から嗅ぎたいと声に出して言いかけたのだ。身体中からポタポタ垂れ落ちる犀の汗は、自分が出す汗よりもベタついてニオイもキツいはずなのに。汚いとは微塵も思わないし、もっと体を押し付けて……マーキングしてもらいたいとさえ思ってしまう。一度抱かれたらこんなの絶対無理じゃんか。無理だ、無理。痛みを通り越して気持ちがいいと一度でも感じてしまった体は、もう雄の体を求めて止まない存在となる。汚く思っていた汗が全部媚薬の類だと勘違いしてしまうし、だらしなく垂れ流した肉厚な舌を見ているとつい吸いたくなってしまうし。できることなら自分から抱きつきたい。今体の自由を奪っているタオルさえなければ、もっと腕を絡めて――。


「ふぅっ、そろそろっ、いいだろっ、なぁっ、出してもいいよな、ナマハメ交尾してんだからよ、ん゛っ、んう゛っ……ふぅっ……」


 そう、だ。僕、ナマでちんちんをケツに……。ゴムをしてくれ、なんて言う余裕もなかったし、そんな考えもなかった。先輩と一緒で、僕もエッチしたかったんだと思う。だってナマじゃないと気持ちよくないってよく聞くし。それにオンナじゃない僕の体は子を孕むことなんて絶対ないんだから、獣人とセックスする時は病気も移らないと聞くから。色んな理由をつけて、僕はゴムを使わせる選択肢を自分の中で消去していたのだ。


「おらおら、ケツ締めとけよっ。初モンだからって油断してんじゃねぇ、オレの本番汁は昼間車内で出した時とは、う゛っ、比べものになんねぇほど多くて、濃いぜっ! ん゛んっ、ん゛お゛おおおおっお゛っ出るっ、中に出すっ、ぞっ‼︎」


 グッと身を乗り出してきた先輩によって体が半分に折りたたまれ、僕と先輩との距離はより一層近くなった。先輩のデカい鼻穴の中が見えるほど近づかれ、スンスンと激しくニオイを嗅がれ、黄ばみ褌を顔に巻き付けている僕なんかお構いなしに首筋を舐め始め、最後は胸元をギュッと軽く片指で摘むようにして……。中に出す直前にしてはえらく情報量が多く、僕は今まで感じたことのある射精の中で一番強い快感を全身で感じ取っていた。ケツの中に出される感覚は、ウォシュレットトイレでケツ穴を洗う時のような感覚。何倍にも濃いお湯みたいなのを注がれ、しかもケツから中々出せないぐらいべっとりしたヤツを奥まで出されたような感触だった。


「くそっ、一発で収まる、わきゃ、ねぇよなっ、ぐっ、ん゛っ‼︎」


「せんぱ、あ……はげっ、しっ、あっ……ぁ……」


「……おい、なに寝ようとしてんだ。バイト中に寝るんじゃねぇ! 起きろや! 起きてケツ穴キュッと引き締めてオレにご奉仕すんだよ‼︎」


「ひゃあああっ、あ゛っ、ぎゃっ‼︎」


 飛ばしかけた意識を戻し、現世へ引きずりこむようにして先輩は痛いぐらい乳首へギュッと掴みかかってきた。スイッチだ、スイッチに近い。胸の突起部分を触られると電流が走り、僕は体の至るところを震わせて快感というエネルギーへと変換する。それどころか頭を撫でられても、横腹を揉まれても、どこを触られても気持ちいいような気がしてしまうのだ。


「なぁっ三発ヤる分の金やっからさ、中出し回数無制限にさせてくれよ。な、いいだろ?」


「い゛っ、意味わかっ、んなっ、い゛っ‼︎」


「どうせオレたちお互いに体がもう求め合ってんだ、断る理由なんざねぇやな」


「ぎゃあっ、あっ、抜いてっ、い゛っ、ぎいぃっ‼︎」


 中に出したザーメンをグチョグチョに掻き混ぜるようにして、先輩は粘液の泡まみれになった肉竿を何遍も何遍も出し入れし続けた。股の間に入り込まれたことで一切抵抗できなくされた僕は、先輩が満足するまでずっと組み敷かれたままでケツを差し出すことになる。あと何度中に出されれば終わるだろうか。三発分で無制限って……。万年発情期、昼間はコンビニでエッチな本を立ち読みするのが趣味、体臭がキツめで会社の中でも浮いた存在、そんな彼とヤるセックスは極上の快感。僕は先輩のエロい顔を見ながら雄のキツいニオイを嗅ぐことで、新たな性癖を開花させていった。



 寝起きはもう、最悪のレベルを超して死にたくなるレベルだったと思う。しかも寝かされていたのは仮眠室ではなく、全く知らないどこかの部屋。そこら中に下着やティッシュが散らばっていて不潔極まりない部屋を見渡していると、ベランダのような場所で見覚えのある後ろ姿を見かけた。


 ……犀郷先輩、だ。制服から着替えてシャツとトランクスを見に纏い、どこか遠くを見ながら右手の指に煙草を挟み込んでいる。ここ、どこなんだよ。もしかして……先輩の……。そう思って立ちあがろうとするも、腰が痛くて力が入らなかった。違和感を覚えてケツの辺りに指を這わすと、ビチャッとした気持ちの悪い粘液みたいな感触が指に絡みつく。一瞬下痢でもしたのかと思ってその指を見たら――。


 黄ばんで、ドロドロしていて、生温かくて。僕はこの体液を見て、さっき起こったことが夢ではないと実感した。


「おう、起きたか。待ってろ、今吸い終わるから」


「あ……ぁ……」


 ものすごく気持ちよかったし、鼻が曲がるほど雄臭い下着を嗅がされてイキかけていた記憶も蘇る。だがその記憶は絶対に間違っていると、僕は自分で自分を否定していた。帰らなきゃ、今、すぐ。腰が抜けてしまったのか、僕は四つん這いになりながら虫のように床を這って玄関を目指そうとする。ガラララッとベランダから引き戸を開ける音がしたが、それでも僕はどうしても逃げたかったから。赤子よりも遅い速度でハイハイしていると、足首に生温かい手のひらの感触が。掴まれたその一瞬で、僕はここから出られないと悟り体から力が抜け落ちていった。


「バイト中に気絶なんて良くねぇな、これからは最後までしっかりヤってもらうぞ」


 雄の塩気が強いこの味を忘れぬよう、このあともひたすらバイトに励みながら僕は先輩とまぐわった。しかも一方的にケツを使われるだけでなく、僕が気持ちよくなれるように何度も手コキや乳首をイジって愛撫を続けてくる。オンナとして扱われることはとてもムカつくし、怖かったけれども。男にしか映えていない男根を挿れられると、普通にヤるより気持ちがいいんだ。


 一度でも知ってしまったその味を忘れるのは、不可能に近い。僕はそれから頻繁に先輩の逸物をご奉仕する毎日を過ごし、溜まったお金を使って先輩の汗臭い下着を譲ってもらうようになった。アルバイトで嗅ぐ先輩のニオイとは違う、何日も熟成されて鼻がおかしくなりそうなほどの刺激臭。気絶してもおかしくないのではと思えるほどの汗臭い下着たちを、僕は喉から手が出るほど欲すようになった。




居残りバイト

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