こんにちは〜〜〜。ぱぱを🐼🐾です。
12月500円プランの2作品目は牛おっさんです。そういや丑年……もう終わるんですね。えっ、もう終わり?早い……早すぎやしませんか……。Twitterでお年賀の絵をアップしている絵師さんがたくさんおりましたが、そうかあれからもう……。というわけで熊おっさんのお話を投稿しようと思っていたところを急遽変更し、牛おっさんをお届けいたします。それも一年前ぐらいにお蔵入りになったやつをなんとか完成させたやつ。というかなぜこの作品をお蔵入りにしていたのか……謎です。たぶん似たような作品ばっかり書きすぎて飽きられるかなと思って筆が乗らなくなったのだと思います。ガテン系のケモおっさんは月一以上摂取しないと死んでしまう病気にかかっている。たぶん好きな人がいると思うので、思い切って投稿させていただきました。むへへ。
1万5000字ほどの、とってもとってもスケベな牛おっさんにいいようにやられる若い犬獣人の様子をどうぞお楽しみくださいませ🐂🐕牛おっさんに踏まれたい。
……それと、クリスマス付近で300円プラン、500円プラン共に一作品ずつアップする予定です。今月も最後までどうぞ、お楽しみに🎄🎁
ぱぱを🐼🐾
※以下、本編。
***
扉を開けた瞬間パァッと広がる白い糸のような光線が僕を照らす。ここは日当たりがよくて最高だな。体内時計をしっかりとリセットしてから今日の一日が始まるのだ。毎週月曜と木曜は燃えるゴミの日。今日は木曜だからと昨夜玄関に用意していた45Lのゴミ袋を片手に、敷地内ゴミ置き場へと向かう。ゴミ捨てというものは何かと面倒であるものの、毎朝たっぷり強い陽射しを浴びている僕には何の苦にもならなかった。鳥のさえずり、明るさを取り戻してほんのり水色になった空、自然を感じながら外を出歩くことによって体が喜んでいると言っても過言ではない。
それからゴミを捨て終われば、まるで僕が外に出てくるのを待っていたかのように彼が現れるところまでがワンセット。黒というよりはグレーに近い体毛の、頭には人を刺せそうなほどに鋭利なツノが生えている牛獣人が、玄関前でこれまた大きな袋を片手で軽々持ち上げながらこちらへ向かってきている。体毛より幾分か濃い黒色をした髭がマズル下にビッシリと生えていて、太眉でちょっぴり強面な牛おじさんは僕を見かけると歯をニィッと見せつけながら僕に声をかけてきた。
「よぉ坊主、今日も早起きだな。……ん、えらいぞ。最近の若者にしちゃ大したもんだ」
「わ、あっ、痛い! 今日も痛い!」
「オレのナデナデに耐えられねぇってことは、まだまだ頭の鍛え方が足りねぇな。ガハハハ!」
いつものようにガシガシと僕の頭を乱雑に撫でてくる。どうやらこれが牛おじさんの日課らしい、まったく迷惑な話だ。頭が割れそうなぐらいガッシリと片手で掴んでくるし、撫でているつもりが頭部を左右に揺らして気持ち悪くなるし。スキンシップのつもりなのだろうが、最近慣れてきたとはいえ獣人との接し方は難しくて困ってしまう。
この寮では僕のような体の小さい犬獣人は誰もおらず、大型獣人男性が圧倒的に多いアパートだ。お隣に住む牛のおじさんはこの近くの建設現場で現場監督をやっていると聞いたことがある。その話をした時は確か……引っ越して間もない頃、引っ越し祝いだと言いながら無理矢理家に上がり込んできたんだっけ。今まで飲んだこともないような立派な一升瓶を片手に、飲め飲めと腹がタプタプになるまで飲まされたんだよな。……次の日に頭痛が酷すぎてもう二度と飲まないと誓ったはずなのに、まさかそれをきっかけに僕の家で何度も酒飲み会が行われる事となるとは。おかげでちょっとだけ酒に強くなったような気がするけど、でも飲みすぎると肝臓が悪くなるような気がするからあまり飲みたくないんだけどなぁ……。
「昨日よ、結構レアな酒が手に入ってな。今日どうせ暇なんだろ? 仕事終わったらすぐ遊びに行くからカギ開けとけよ」
「えっ、今日は大学で実習がありますから帰りが遅くなりますよ?」
「ん……なら早退だ早退。オレがウマい酒を飲ませてやるってんだ、断る理由がねぇよなぁ?」
こうなった時のおじさんは大変に面倒だ。ただでさえ怖い顔が幽霊も怖がりそうな強面へと変貌する。執拗に肩を抱き寄せながらギュウウッとキツく絞めてくるし、ああ……もうっ。
「はー……さすがに早退はできませんけど、急いで帰ってきますからそれで許してください」
「ん。それならまぁ。んじゃ待ってっからよ、今日も寄り道せずさっさと帰ってこい。いいな」
最後にワシャワシャ髪の毛を荒らすと、おじさんはゴミ袋をぶんぶん振り回しながらご機嫌な様子でゴミ捨て場へと行ってしまわれた。顔を見ても普段からずっと怒っているような感じでよくわからないけど、後ろ姿を見た感じだとニコニコしてるような気がするってだけだけど。尻尾の揺れ方が独特なんだよな。犬みたいにブンブン振り回して自分の精神状態を示してくれるわけではないけど、彼との付き合いも都心に状況してからもう半年になる。こんな歳上の、しかも獣人と知り合いになるなんてあの時は全く思わなかっただろうに。人生とは何があるかわからないものだ。
なんて朝からおじさんと色々やっている場合ではなかった、そろそろ大学に向かわねば。重たい鈍器のような分厚い教科書を入れたリュックを持ち上げ、いざ出発。ああ、今日も楽しい一日になるといいな。
「はぁー……スンッ、おほぉ……今日もあの坊主のいい匂いがするぜぇ……へへっ、そんでもって……おぉ? これは……スン……んぐぅっ、今日もたまんねぇや……ティッシュに絡まったこの甘い蜜みてぇなザーメン……ぐへへ。……お? なんだこりゃ……あっオレがこの前無理矢理押し付けてやった使い捨てのオナホじゃねぇか! しかもスン……ニオイからして……昨日出したやつだな? あーやっべ……仕事行く前に一回抜いとかねぇと……」
本来ならばゴミ袋を投げ入れたあとすぐにでも脱出したくなるようなゴミ置き場、その中でとある袋の縛りをほどきながら中を漁っている牛が一匹いたそうな。
*
「しまった……ああ……せっかく朝早起きしてやっておいたのに……」
お昼休み、食堂で大盛りご飯を掻き喰らう僕。スマホには大雨警報注意のマーク、そして運動場が見える大きな窓を覗き込めばバケツをひっくり返したかのような大雨が。最近面倒で溜め込んでいた洗濯をまとめて終えて干した直後の出来事であった。ああ、天気の神様は僕を見放したのですね。
実習が始まる午後一番、最初は説明から入るのだけど頭の中はずぶ濡れになった洗濯物の事しか入ってこなくって。その後も気圧のせいかどうにも集中できずに時間が過ぎていく。ああ、まだ終わらないのか。早く帰りたいな……。
実に六時間ほどの長丁場。クタクタになりながらも、まずは家を目指して歩かねば。ここで意識を途切れさせてはならぬと右へ左へフラフラしながら前へ進んでいくと、全体的にくたびれたアパートが視界に入りこむ。……あれ、誰かいるぞ。って僕の家の前じゃんか、それも……。
「……おせぇ! ったくどこほっつき歩いてんだまったく! もう一本開けちまったぞ。客が来てんだ、さっさと鍵を出さねぇか」
「……はい?」
玄関前には仕事で着用していた安全ヘルメット、作業着、ダボダボの作業ズボンをまとった牛が胡座を掻きながら待機していたのだ。どこぞの牛かと思えば、今朝もゴミ捨ての時に鉢合わせたあの牛おじさん。残り少なくなった一升瓶の中身をグイッと飲み干すと、わざと僕の家の横に空ビンを置いてから新しいビンに手をかける。この人は水を飲むように酒を飲むから恐ろしいことこの上ない。
「んー……たしかいつもこの辺に……」
「ひやぁっ‼︎ おっおじさんどこ触って!」
「おーあったあった。いつもジャケットの胸元辺りに入れるもんなぁ。へへっ、んじゃ、ご開帳っと」
人が鍵をしまう場所まで全てお見通しだと流石に怖いのですが、エスパーか何か特別な力を持ち合わせた牛なのだろうか。少し胸元を揉まれた気がしたが、一瞬の出来事だったので正直よく覚えていない。勝手に鍵を抜き取られ、誰よりも先に足を踏み入れた牛のおじさんはガハハと豪快に笑いながらドタドタと音を立てるようにして廊下を歩いていった。追うようにして僕も自室へと帰ることにしたのだが、後から臭ってくるオスの汗のニオイが結構キツいな……。今日は仕事終わりでそのまま酒を持ってウチまで来たのだろうか、かなり待たせてしまったような気がするしシャワーぐらい浴びてくれば良かったのに。どうせ隣に住んでるわけだし。
「……ううっ」
牛の体温が高めなのか、安全靴に押し込められた足が蒸していたのか。廊下には巨大な足跡がいくつも廊下につけられていて、そこには黒靴下からたっぷりと汗が滲み出ていたらしい。空気と混ざって乾き始めた時、上にはキツく饐えた臭いが立ち込める。まったく、ウチに来るときは玄関に置いてある消臭スプレーをかけてくれって前にもお願いしたじゃないか。リビングに入ったら真っ先にこのスプレーをぶっかけてやろう。
「いっつもこの部屋はモノがなくてつまんねぇなぁ。どっかエロ本ねぇか?」
「人の家で何をしようとしてるんですかね……んなものはないです」
タンスとテーブルと敷布団だけの、誰がどう見てもシンプルと言わざるを得ない寂しい部屋。どうせ学生時代の間にしか住まないのだから、引っ越しの決まっている三年後に向けて最小限の家具で過ごすのは当然のこと。逆に牛おじさんの部屋はどんだけゴミが溜まっているのか気になるぞ。かと言って見たいとかそういう気持ちはないのだけど。
「おじさん、ちょっとこっち向いてください」
「んぁ? ……げぇっ! なにっ、おま、なにすんだこの‼︎」
「あだだだだ腕が折れる! ちょっと牛臭かったから消臭剤を吹きかけただけです! いつもウチに入る時はこのスプレーかけてくださいって言ってるじゃないですか」
「……」
なんかいつもと違ってすぐに大人しくなってくれたな。この牛おじさんは酔っ払うと本当に面倒で扱いづらいから、ある意味助かったと言うべきかもしれない。今のうちにシュッシュッと消臭剤を撒いてしまおうか。おじさん本人を消臭するとなると相当量の液体を使用することになり非常に勿体無いので、ひとまずリビングのニオイだけは守れるように全体的にシュッシュッと……。
ここで重大なミスを犯したことに気がつく一匹の犬がいたそうな。なんと玄関に置いてた消臭剤の二本ともが軽い、軽すぎる。つまりは残量が少なく瀕死状態になっていたのだ。消臭剤を撒くのは隣の牛おじさんが来た時だけだし、あまり内容量をチェックしてなかったんだよな……不覚であった。このままでは液量が足りずに消臭しきれなくなり、部屋が牛のニオイで満たされてしまう。それだけは困る、あとで消臭剤を買いにコンビニへ行っておこう。面倒ではあるが、これだけを買いに行く価値は十分にあるはずだ。
「スン……んん……まだ牛臭いなぁ」
「……おい。牛臭いってなんだ牛臭いって。別にそんな……スン……うおっ……なんか……目にくるなこれ。なんだ?」
「なんだじゃないですよ、おじさんの体臭なんですから責任をもって洗ってきてください」
「ガハハハ! 自分の体臭なんて気にしたことねぇからな、こうして部屋で嗅いでみりゃとんでもねぇニオイがしてらぁ。だけど体を張って仕事をするやつは、このニオイを出せるようになってからが一人前ってな。よくオレの先輩も口を酸っぱくして言ってたぜ」
消臭剤を撒いたのに全く空気がキレイにならないので、仕方なく窓を開けて換気でもすることにしよう。……あ、思い出したぞ、洗濯物! ザーザー降りの雨できっとびしょ濡れになっているであろう服や下着を早いところ取り込まなければ……ってもういつ取り込んでも洗濯物の状態には変わりないのだけど。中が見えないように半透明になっているガラス窓を勢いよく開け、物干し竿を見上げると――。
「……ないっ⁉︎」
「おうどうした。洗濯物か? それならオレが取り込んでやったから安心しな。お天道様の機嫌が悪い日は仕事休みにしてっからよ。今日は午前で終わりだい」
ああ神様……! ここに神様はいました。びしょ濡れ洗濯物とご対面後、さらにもう一度洗濯機にかけてから干すという超絶面倒な作業をしなくて済みました。ありがとうございますお隣の牛おじさん、お礼にちょっとお高めの消臭剤を買ってぶっかけてあげましょうか。うん、それがいい。
「なんだその手は。お年玉でもくれってか?」
「ええと、僕の洗濯物は結局どこにあるのでしょう」
「まぁそんなもん後でいいだろ。今日はもう学校終わったんだろ? さっさとグラスを用意してこい。オレ様が直々に坊主のために注いでやるって言ってんだ。……ほれダッシュ!」
「はっはいいっ‼︎」
工事の現場監督をしているだけあって、指示を出す際の声のデカさが凄まじい。思わず体が後ろに仰け反りそうな男らしい声に、僕は大慌てで戸棚からお猪口を探してテーブルにやさしく置いてやる。僕の手ですら小さく感じるのだ、彼が持ち上げればまるでオモチャのようなサイズだな。トクトクと注がれていく透明な液体、僕もおつぎしますと言って瓶を持ち上げると……重っ、重たいっ。片手で軽々と持ち上げていたおじさんとは体の鍛え方が違う。それでいて注ぎ先のお猪口はめちゃくちゃ小さいし、狙いが定まらず案の定おじさんの手にちょっと引っかけてしまった。
「ああっ、ごっごめんなさい!」
「ガハハハ! 新人に注いでもらった時も同じように手を汚されてなぁ、ま、誰もが通る道みたいなもんだ。気にすんな」
布巾を持っていってやろうかと思ったその瞬間、おじさんは自分のマズルに手を近づけてペロペロと舐め始める。牛ってあんなに長い舌だったのか、種族によって体の特徴が異なっているから思わず真剣に見つめてしまった。どうした、坊主も舐めてぇかと訊かれたが、おじさんの指を舐めるような趣味は持ち合わせておりませぬ。
適当に買っておいたお菓子なんかを出してやったが、こんな甘いモン出されても酒に合わないだの何だの文句を言われ、じゃあ自分で買ってきてくださいと言ったら大きな豆だらけの手を出されて“金くれ“の一言。もしこの人にお嫁さんにがいたら相当大変な想いをするのだろうなぁとわかってしまう辺り、ちょっと残念なおじさんである事は間違いない。
「おう、そういや坊主、洗濯物の在り方が知りたいって言ってたろ。こっちこっち」
クイクイと指で”こっちに来い“と合図する牛おじさん、僕は隣の部屋に移動するものかと思っていたのだが彼は一向に立ち上がる気配がない。あまりに意味不明な行動をするのでただ呆然とその場に立ち尽くしていたのだが、おじさんはおもむろに作業着の前ファスナーをゆっくりと下ろしながらニィッと僕に笑顔を見せつけてきた。
「坊主の下着な、やっぱ雨に濡れてちっと湿っててよぉ。オレが乾かしてやっといたぞ」
「……え?」
作業着の下にはインナーが――そう思ってジッと見ていたのに、そこにあったのは見覚えのある小さなシャツが。……僕のだ。あのほつれ具合をどこかで見たことがあるようなと記憶を辿っていった時、今朝洗濯物を干した時の光景がフッと浮かんできて。あれは……間違いない、僕のだ。
「ちょ、えっと、何で僕のを……?」
「あ? だから湿ってたから温めてんだよ。牛は体温が高ぇってよく言うだろ。濡れててもすぐに乾くぞ。まぁ万が一ってことを考えて半日ここで乾かしておいたんだ、礼には及ばねぇ」
消臭剤でも消えないような牛臭い彼の作業着内で温められた僕のシャツ、それも胸板と腹の辺りで保管されてシワシワになっている。つまりはたっぷりとおじさんのニオイがこびり付いているのだろう。作業着を解放してから部屋に漂うおじさんの臭いが余計に強まったところを見ると、あのシャツはもう……。
「ほれ、まだ他にも下着が眠ってるぞ。へへへ、宝探しってなぁ」
「んええっ他にも⁉︎」
「ったりめぇだろ。他にも靴下とかパンツとか濡れてたかんな」
……おじさんに乾かされた、下着。ああ、可哀想な下着たち。もういいや、この下着はあとで全部捨ててしまおう。だって牛臭いシャツと、パンツと、靴下、全部装備して大学なんか行ってしまえば周りから冷ややかな目で見られることは間違いない。そう考えたらもうおじさんの体から下着を発掘しなくてもいいのではないか。ああ、だんだんやる気がなくなってきたぞ。と言いつつ、元々やる気なんてものはないのだが。
「……おい、どこ行くんだ」
「あー……えっと、ちょっとトイレ」
「まぁ待て。まだ下着が見つかってねぇだろが。さっさと探してくれねぇか? 内側にこんな溜め込んでたんだ、邪魔で邪魔で仕方がねぇ」
ブモブモと鼻息を荒くしながら、おじさんは僕の腕を掴んで離さない。おまけに作業ズボンをこじ開けて隙間を作りながらあちぃあちぃとアピールをしてくる始末。まさか……あそこに僕の下着をねじ込まれているのか、ああ……もうおしまいだ。
「……あの、はっきり言わせてもらいますと……こんな牛の臭いがする下着、もう着られません」
「…………ん? ああ、すまねぇな。よく聞こえなかった」
「……、だ、だから……おじさんみたいに臭い人のニオイが付いたら困るって言ってるんです!」
よく言った、すごいぞ自分、えらいぞ自分。時にはノーと言う事も大切だとどこかの本で読んだことがある。犬獣人は頼まれるとすぐに首を縦に振ってしまいガチなのだが、本当にできないことはできないと言わないと精神的に病む確率が上がってしまうらしい。僕は今、正しい選択をしました。流石にもう少し自分の体臭がキツい事を理解してもらいたい。
「……」
少し言いすぎただろうか。牛おじさんにとって楽しい酒の席は、僕の発言によって沈黙の空気に包まれる。グイッと飲み干してから静かにコトンとお猪口を置いたおじさんの目は――まるで何かに燃える、闘争心をあらわにした鋭い目をしていた。
「……」
「……えっと、少し言いすぎました。ごめんなさい」
「ふぅん。で?」
「……んひっ、あ゛っ‼︎」
「もう我慢ならねぇな。こんな上玉を前に、半年近く我慢してたがもう限界だ」
たっぷりと唾液を纏った生ぬるい牛タンが、僕の首を下から上へと這っていく。突然の気持ち悪い感触に思わず尻尾をピンッと立たせて後退りしようとしても、日々現場仕事で鍛え上げられたぶっとい腕によって退路を断たれてしまった。
「おじさんっ、何を……」
「オレはな、坊主みてぇな若ぇ犬コロが好きでよぉ。現場にゃゴツい岩みてぇな大型獣人しかいねぇもんで、欲求不満だったんだ」
「あっ、ああっ‼︎」
気色の悪さと他人に舐められることでムズムズする何とも言い難い感触とで、僕の心の中はグチャグチャに掻き回される。牛の汗の臭いが尋常じゃないほどに鼻の細胞一つ一つに訴えかけ、目や鼻がツンとなりながらもおじさんは僕を執拗に舐め続ける。首が、頬が、おじさんの粘液でしっとりと濡れるまで。何度も、何度もおじさんは舌をうねうねさせながら押し付けてきた。
「ヤらせろよ。オレのオンナにしてやる」
「いっ、やめてっ‼︎」
「今日から坊主はオレのオンナだ。オレのモンだってわかるようにたっぷりニオイをつけてやる為には、手っ取り早くヤるのが一番だってな。それに……ひひっ、いいニオイだろう? オス共の溜まり場みてぇなとこで毎日仕事してるんだ、体に染み付いた汗は一生とれやしねぇ」
牛の舌が僕の鼻先を舐めようとしたその時だ。我慢の限界を迎えた僕は思わずおじさんを突き飛ばし、学校の体育の授業でもやらなかった四足歩行で一目散に外を目ざす。恐怖というものが目の前に突然やってくると体が動かなくなる者もいるらしいが、僕は真逆だったらしい。頭が“逃げろ”と命令する前に、体がしっかりと逃げの体勢を構えている。早く外に出て助けを呼――。
「あがぁっ‼︎」
「自分の部屋でヤると汚れてイヤだろ。じゃあオレと一緒に愛の巣に行こうや。明日からオレと一緒に生活する部屋だ、下見してくだろ?」
自分の中では上出来だと思えるほどの早さで部屋を出ていった、はずだった。咄嗟に尻尾を掴まれたのが敗因だ。尻尾は獣人の中でもとりわけ敏感で弱い部分とされている、その尻尾を的確にギュッと、あの普段から鍛えてそうなゴツい手で握られてしまっては勝ち目はない。簡単に引きずりこまれ、肩に腕を回されて、僕は完全に逃げ場を失って身を震わせることしか出来なかった。
「ああそうだ、坊主の洗濯物はウチに取り込んであっからさ。ついでに見てみるか? まぁ返す気は更々ねぇんだけどよ」
*
それは、”酷い有様“と表現せざるを得ない。世紀末、終焉、カオス、その辺りのどの表現でも合致しそうな光景が牛おじさんの部屋には広がっていた。まず鼻をつくようなキツい栗の花のニオイ、それから辺り一面丸まったティッシュが数えきれないほど転がっていて。どれもこれも湿って黄ばんでいて、明らかにオスが普段からヤるあの行為をしたのだということがイヤでもわかってしまう。
次に目に入ったのは長机の上にあるモニターだ。世の中のガサツなおっさんというイメージをそのまま体現したかのような部屋にはあまり似つかわしくない機械的な装置だ。大きく三画面に分かれていて、どれもこれも見覚えのある景色が映し出されている。最初見た時に幻覚でも見えているのではなかろうかと目を擦ったのだが、依然として表示されているのは僕の部屋のリビング。そしてこれは……トイレだ。かわいらしい犬の置き物、あれは去年の誕生日に友達に“似ているから”という理由で買ってくれたプレゼント。それから今朝変えたばかりのトイレットペーパー、開きっぱなしの戸棚には僕がいつも買っているブランドの会社名がはっきりと映し出されていて――。
僕の部屋だ、僕の部屋が映し出されている。
自分自身の部屋を映し出されている事がわかってしまった瞬間、僕は思わず膝から崩れ落ちてしまうほどに落胆し、恐怖した。今まで朝のゴミ捨てで偶然鉢合わせてたのは、牛おじさんが部屋でカメラを監視をしていたから。たったそれだけの理由だったのだ。力なくぺたんこの敷布団で座り込んでいる僕の前で、牛のおじさんは熱心に何かを説明している。頭に全く入ってこない。なんだ、なにをしているのだろう。……ああ、見覚えのある下着、それを……マズルに押し付けながら……え? なんだって?
「――の時から毎週、必ず坊主のゴミ袋を漁っててな。コイツが今、オレの一番のお気に入りだ。……スゥッ……ん゛っ……おお……若ぇいいニオイじゃんか。へへっ、はぁー……」
外から帰ってきて疲れたぁと勢いよく椅子へ座った時にビリッと穴が開いてしまった僕のトランクス、もうずっと前に捨てたと思っていたのに。牛おじさんは僕の捨てた下着を全て盗み、毎日息をするように嗅いでいたらしい。大学生になりたての頃、よく親に“個人情報がわかるものはちゃんとビリビリに破いて捨てるのよ”なんて注意された事があったのだが、まさか下着もビリビリに破いておく必要があったなんて。そんなのわかるわけないじゃないか。
「あーすっげ……こっちも鼻にくらぁ、へへへ……。若ぇのが履いたパンツはいいぜ、たまんねぇ……」
それだけじゃない。首元がだるだるに伸びきってしまったインナー用の白シャツ、さらには親指と足裏の真ん中あたりに大きく楕円形の穴を開けた靴下まで、おじさんは僕が捨てた下着を一つ残らず回収していたのだ。特に靴下は汗が染み込んで饐えた独特の臭いを放っているだろうに、おじさんは熱心にブモブモ言いながら鼻を鳴らして嗅いでいる。……作業ズボンの前側に大きくテントが張り、漏らしたかのように広がっている染みが浮かび上がっていた。
「坊主も嗅ぎてぇだろ。いいぜ、来いよ」
「……」
「なんだぁ? 現場監督の指示もねぇと坊主は動けねぇお子ちゃまかおい。ならオレが直々に命令してやる。……オレのパンツに顔突っ込んで嗅げ」
「……ん゛っ、んぐうううっ⁉︎」
力なく敷布団の上で腰を下ろしている僕に対し、おじさんは泥で薄汚れたズボンをズラしながら近づいてきて。汗やら何やらでびしょびしょとなった股座の中へマズルを直に突っ込ませ、空気の薄い中で何度も何度も僕の鼻先をモサモサの金玉袋へと遠慮なしに押し付けた。湿った鼻を上書きするかのような金玉袋の汗は、鼻が痛くなるほどに濃厚で熟成された臭いがする。洗っていない牛の臭いは強烈で、目に涙を浮かべながら両腕で殴りつけてもおじさんはピクリとも動かない。
「ただ鼻つけて満足してんじゃねぇぞ。肺ん中がいっぱいになるまで呼吸しろ」
「んーーーっ、んっ‼︎」
「……ったく、新人はすぐ逃げやがるから困っちまう。坊主の口から“いいニオイ”だと聞けるまでこのままだかんな。……逃がすかよおっ」
強制的に前屈みのような体勢で作業用ズボン内のパンツにマズルを固定され、挙げ句の果てには背中にズッシリと重みを感じるような牛おじさんの脚が巻きつけられる。迷い込んだ者を逃すまいと、背中にある骨がミシミシと音を立てるような強い締め付けだ。その衝撃を直に感じながら、僕はパンツ内の暗闇で必死に助けを求めて腕をワタワタ動かした。何を触ってもねっとり、しっとりしているのはおじさんの体が汗塗れだからであろう。それでも何かにすがるよう必死に腕を暴れさせた結果、毛皮ではない何か湿ったものが手のひらに当てられた。
「手のひらにもしっかりニオイをつけておかねぇとな。……おらっ、オレの汗拭きタオルで拭いてやろう。今日も蒸して大分汗吸ってっから、この湿り気で坊主の体の垢も落ちるだろうよ」
「んやぁっ、あっ、んんーーっ‼︎」
抵抗すればするほど背中に巻き付けられた両脚がググッと体を締め付け、永遠の地獄のような拷問を受け続けながら僕は何とか意識を保ったまま息を吸い続けた。最初は吐き気を催しそうなほどの独特な体臭に涙と鼻水を垂らしていたのだが、今はもうこれが普通の空気だと思ってしまうほどに違和感がなくなっている。温度と湿度の高い、牛フェロモンがたっぷり飛散しているパンツの中。そこの空気以外は嗅いだことがないと体が認識するようになるまで、僕は目を瞑りながら鼻を鳴らし続けた。
解放された頃には既におじさんの汗臭さなんて何とも思わないようになっていて、日中何度も使用したであろう汗拭きタオルでマーキングされた手のひらを嗅ぐと思わず顔がほころんでしまうほどだ。こんなオスの臭いをプンプンさせた牛おじさんが目の前にいることに感動し、喜びを感じる。だがまだ理性は残っているらしく、いい臭いだと感じると同時に“これは違う”と強い意志が何度も僕の心に訴えかけてきた。
「ぐぇっ……やめ……、やめてください……おじさん……」
「ふぅん、まだ意識が残ってやがるか。……ますますオレ好みの獲物だ。大人しくしてろよ、今からもっと坊主をオレ好みにしてやっから」
事あるごとに反抗的な態度をとる事はあまりよろしくなかったのだろう。スポーツバッグのようなものから荒縄を取り出すと目に見えぬほどの早業で背中側に括り付けられ、僕は万年床に押し倒される。背中に漬物石のような大きくて硬いモノが下ろされると同時にグェッとカエルが潰れたような声が出て、肺に溜め込んでいたおじさんのフェロモンたっぷりな空気が一気に外へと排出された。フェロモンが空気中に溶け込み、周囲には何とも言えぬオスの臭いがまた広がっていって。酸欠状態になりかけた僕は深呼吸を始めたのだが――。
「ん゛っ、んんんっ⁉︎」
「野生の犬コロは一日履いてニオイがよく染み込んだ靴下が大好物なんだってな。坊主も犬の血を継いでるのなら、嗅いでみたらどうだ」
二足歩行の獣人が産まれる前は、四足歩行の犬が存在していたという話は聞いたことがある。祖先である彼らは生き物の出す汗の“有機物のニオイ”を好んで嗅いでいたらしい。だがそれは僕の話ではなく昔の時代を生きた犬の話であって、左右から差し出された牛おじさんの黒靴下から漂う強烈な饐えた臭いを好きになる理由にはならない。僕の背中で胡座を掻くようにして座られ両足を顎の下に差し出されている中、僕は背筋をしながら出来るだけ嗅がないようにうつ伏せになりながら上を向く。それなのにニオイというものは空気をマーキングしていくように立ち込めていくため、鼻がツンとしたオスの臭いを感じとるまでそう時間はかからなかった。
「四六時中安全靴に押し込めて蒸らした足だ、お前もこういうの好きだろ。……あん、嫌い? まぁどっちでもいいや、しっかしコイツはクセェな……鼻にくらぁ。どうせこれからは毎日この靴下を掃除してもらうんだ、鼻の細胞一つ一つにニオイを覚えさせとけよ」
「ふぐぅっ……う゛うっ……」
顔面が、マズルが、おじさんの両足裏でグリグリと強く押し付けられる度に汗が擦り付けられる。水溜りにでも浸かったのかと思うほどの湿り気と、一日でつくような臭いじゃないだろうと思えるほどの臭気に僕は目を白黒させながら鼻を鳴らすしかなかった。うつ伏せで常に背筋をしているようなこの状態がずっと続くはずもなく、また乱雑に頭を鷲掴みにされて靴下に押し付けられる。
顔面が牛おじさん専用の足置き場となるまで、そう時間はかからなかった。
「スン……ゲヘヘ、いいニオイに染まったなぁ坊主。どうだ、ご褒美にもっとニオイを嗅がせてやろうか」
「……ん゛んんんっ⁉︎」
「おらっ暴れんなっての。ゲヘヘへ……昔はよくハッテン場の奴らにもクセェクセェと評判でな、こうして久しぶりに他人に嗅がせるとなると……たぎるぜ、へへっ……その犬っ鼻こじ開けてしかと嗅ぎやがれ‼︎」
うつ伏せの僕に馬乗りになりながら胡座を搔く体勢により、首元の気道を右脚で軽く押しつぶされながらマズルに押し当てられる牛の蒸れ足裏。それもオスの臭いを幾度も、長時間も擦りつけられた靴下の中に眠った黒足は遙かにヤベェ臭いを放っていて。大きく開かれた親指と人差し指の間は毛皮がペタンと寝ていて、絶え間なく何度も何度も汗をかいては乾きを繰り返した様子が見てとれる。少し離れた位置でも鼻がツンと痛むほどの臭気だ、これ以上近づいて嗅いだりなんてしたら――。
「……“嗅げ”って、言ったよな?」
「ふぐぅっ‼︎ んげっ‼︎」
「犬のマズルってのは細長くて、指の間の垢をそぎ落とすには丁度いいんだこれが。ゲヘヘへ、動くなよ。これが坊主にとってのご主人様の臭いだぞ」
カニがハサミで挟み込むのと同じように、僕の鼻をまるで汚れとりの棒だと思っているのか容赦なくたっぷりと汗を擦り付けられる。直接的に嗅ぐ牛の臭いに咳き込めば、不機嫌そうに低めの声でただ“嗅げ”と執拗に何度も言われ続けながら僕は鼻をピスピス鳴らしていた。拒絶する暇もなく頭部を固定され、僕が暴れなくなるまでおじさんは背中から退くことはない。全てがどうでもよくなるほどに臭気を取り込んだあとで、僕は新たに”気持ちいい“という快感を植え付けられる。
「牛の特別フルコースだ、へへへ……これでオレとお仲間さんだな」
砂埃が付着したのか、それとも洗わず連日使いまわしていたのかはわからない。薄汚れた色のタオルでマズルの中に噛ませるようにし、後頭部でギュッと縛られる。そこから僕にわざと見せるようにして振り解いた赤い褌と、そして今目の前で脱ぎ捨てた靴下を手のひらに乗せて差し出した。汗拭きタオルを猿轡として噛ませている時点でイヤな予感はしたんだ。だから僕は首をブンブンと横に振り、拒絶を繰り返した。イヤだということはハッキリと言う、決して屈してはいけない。その言葉が何度も頭の中で離れない以上、ここでイエスという選択肢を選ぶことはできなかった。
「そうか、そんなにイヤか。だが問題ねぇ、牛のことが好きになるようにオレが責任持って世話してやっからなぁ」
「ん゛げぇっ、げぇっ‼︎」
「おい動かすんじゃねぇ、マズルにうまく巻き付かねぇだろが‼︎」
興奮を表す赤色の六尺褌の、それも股間にずっと当てられ酷く湿っている部分へ鼻を押しつけられる。これではまるで六尺褌のマスクではないか。四六時中牛の股間の臭いが鼻を突き抜け、目を瞑っても、耳を塞いでも、今目の前でゲヘヘときみの悪い笑みを浮かべた牛おじさんの顔が頭の中から消えることはない。目を開けたって同じだ、頭の中と同じ姿で牛おじさんがこちらを見ては舌舐めずりをしているだけ。蒸らし褌で鼻をやられた僕の上に、さらに被せられたのは先ほど顔面がそのニオイになるまで擦り付けられた牛の靴下だ。いろんな牛の臭いがミックスされ、意識を手放した方がよほど楽であろう。なのに僕は股座からくる極上の快感によって操られ、気絶することすら出来ないのだ。
「どうだ、オレのセンズリは気持ちいいだろう。坊主より長く生きてんだ、それだけたくさんシコッてっからよ」
「ん゛〜〜〜っ、んっ‼︎」
「おうおう、我慢汁だらっだら垂らしやがって……ゲヘヘ。皮被りはココも弱ぇんだろな」
「ん‼︎ んぶっ、ん゛ぐぅ……ん゛……んっ‼︎」
豆の出来た大きな手のひらで刺激される、皮の薄い僕の亀頭。刺激に弱い逸物から出されたのは、ここ最近出した中でも一番濃そうな若い犬のザーメン。今まで僕のゴミ袋から漁っては嗅いでいたであろうおじさんは、待ちに待った生ザーメンだと言いながらわざと顔を近づけ顔射させてくる。もっと出せと強く握られ、鼻は相変わらず牛おじさんの濃厚な雄の臭いで満たされ、僕はホースから勢いよく出た水のように射精を繰り返した。暗めの体毛には白と黄色が混ざったザーメンがくっきりはっきりと浮かび上がり、出す量が徐々に少なくなったのを見計らうとマズル回りの粘液を舌でグルンと舐め取りおいしそうに喉を鳴らす。鼻の上や額にぶっかけた分は自分の手で拭い、僕の我慢汁と絡めて舐めまわしていた。ものすごく塩っぱいだろうに、あろうことか鈴口に残った少量のザーメンまで吸われ飲まれてしまう。よほどの好き者でなければここまでやらないだろう。僕は射精後の余韻に浸りつつ、牛の臭いを嗅ぎながらも彼が本当に“ど変態”であることを認識し恐怖した。
「気持ちよかったろ。良かったな、これからはイクたびにオレの臭いを嗅いで気持ちよくなってくれ。……せっかくウチまで来たんだ、もちろん玉ん中が空っぽになるまで抜きサービスしてやろう。げへへへ……」
*
「んぶっ、ん……んんん……」
ガテン系牛の蒸れた下着を嗅ぎながらの射精がもたらした効果、それは射精する度にあのニオイを鮮明に思い出してしまうこと。お土産として貰った牛の脱ぎたて下着たちは自室へ帰った時こそすぐにビリビリに破いて捨ててやろうと思ったのだが、なぜか僕の体はそれを望んでいなかったらしい。部屋中に隠された隠しカメラを探しつつも精神を落ち着かせ、それから牛のニオイがたっぷりとこびり付いた自分の衣服を一段落したら処分しようとしたのだが……。あろうことかどちらも処分できなかったのだ。
僕の出すゴミ袋の中身を毎回チェックする隣の牛おじさんだ、捨てたところで僕に救いはない。むしろ僕が逆に苦しむだけ。何せ今はこの下着がなければ――。
「ぷはぁっ、あっ、おじさん待……あぐぅっ」
「待つかよ、へへへ。牛タンべろちゅー好きだろ、骨抜きになるまでこん中ほじくってやるぜ。んん……」
おじさんの万年床で抱き合いながら濃厚なベロチューがこんなにも中毒性のあるものとは。毎度毎度交尾の前の大切な前戯だとおじさんから教わったせいで、この行為は必ずやらなければならないと体がしっかりと覚えてしまった。それも数分ではない、数十分ほどおじさんは僕のマズルの中をぶっとい肉厚の舌で掻き回す。唾液が僕のではなく、おじさんのにすり替わるまで何度も何度も肉壁を……。顎がおじさんの唾液で濡れ、胸元は汗でぐっしょりとなって、それはおじさんも一緒で……鼻をつく牛の臭いがよりキツくなる。
「どんな風に犯して欲しいんだ、言ってみな」
「……あっ、あの、種付けプレスと駅弁と……それから……あっ、ああっ‼︎」
「こんのどすけべ犬野郎め、オレのちんぽ中毒になっちまったか。なら今日からここはオレ専用のおまんこだ、いいな誰もに挿れさせんじゃねぇぞ! 牛ちんぽの形を忘れちまったらちんぽで一晩中鳴かしてやるからな」
「あ゛〜〜〜っあっ、いきなりそこはあっ、あっ‼︎」
僕が喜ぶようにと、おじさんは一週間履き回して臭いをこびり付けた下着を定期的に渡してくれる。ちょっと前までは無理矢理嗅がされるのが主となっていたのに、今では手に渡されただけで僕は自分で鼻に押し当ててしまうのだ。その分手が空くから助かるぜと、おじさんは僕の体へしっかりとしがみつくように上からのしかかる。今日も腰の振り方がとっても男らしい。雄のキツい臭いを放つ体と牛のニオイがこれでもかとこびり付いた万年床の間で、僕は牛に蒸されながら今日もケツの穴を乱暴に使われる。最近僕との交尾が影響しているのか、仕事もそこそこ順調だと言っていた。今度はご褒美にハッテン場で見せつけてやるのも悪かねぇと言っていたが、それだけは絶対にイヤだと僕は拒絶感を露わにする。
だけどおじさんが僕の意思を尊重してくれることは一度たりともない。
「タネ付けるぞ、いいなっケツ締めろよ、ガキ孕む気持ちでちんぽ絞れや‼︎ う゛〜〜〜っ、ぐおっ、お゛おおおっ‼︎」
大きな牛おじさんの体の下、僕は両手脚を脇から出してピンッと強張らせる。足指が大きく開いたり、ギュッと閉じたり、何かと忙しなく体が動いてしまう。気持ちよくてどうにかなってしまいそうなこの感覚をどこかへ逃したいという意思の表れだろうか。最後はギュッと抱きつくようにして種を受け続け、腹が大きく膨れ上がるまで僕らの交尾は終わらない。牛のふぐりが限界まで密着し、ドクンドクンと脈打ちながら射精をする様子はさながらポンプから給油された灯油のようだ。苦しさと心地よさの両方を感じながら、僕は全身牛のニオイでマーキングされていった。彼にオンナのように扱われることがこれほどまでに気持ちが良いことだとだなんて。経験してみなければわからないことも多いと、僕は学んだのである。
それから程なくして隣の部屋から退去した僕は、おじさんと末長く幸せに暮らすのだった。
めでたしめでたし……?