【ゲイ雑誌の絵描きとして働く獅子獣人:獅子山さんの番外編】
最近、気になることがある。いや、最近じゃないな。ちょっと前ぐらいから気になっていることがあるんだ。
「……今日も、留守なのかなぁ」
実は最近お隣に住む獅子山さんという獅子獣人のおっちゃんが行方不明なのだ。いつもなら僕の家をチラチラ監視するほどのストーカー気質なおっちゃんなのに、それがここ最近まるで消えてしまったかのように静かなのである。そっとベランダから中を覗こうとしてみたもののカーテンが閉まっていたし、何回かインターホンを押しても出る気配がない。もし中で死んでいたりでもしたら……大変だ。でも、外出している可能性だって捨てきれない。ううむ、どうしたものか。
「はぁ……」
ずっと心配して僕が倒れたりしたら、それこそ本末転倒だ。というわけで、今夜は大好きなカレーにしてみたぞ。うんうん、いい感じに仕上がった。挽いたコーヒー豆を軽く入れてあるから、コクが出ててよりおいしくなっているはず。うんうん、さぁてご飯ももうすぐ炊けるし楽しみだな。むふふ、むふふふ。
ん、インターホンが鳴ってる。何かゲイ雑誌とか頼んでたっけ、うーんあんまり身に覚えがないな。とりあえず出てみようか。
「はーいどちらさ……ぐわっ!」
出会い頭に抱きついてくるなんて何と大胆なお方だ、それに毛むくじゃらだから獣人さんじゃないか。ははは、僕の魅力に惹き寄せられてきたのかな?
「って、獅子山さんじゃないですか!」
「……おう」
手入れされてなさそうな毛があちこちにビヨンと跳ね、目の下にクマを付けた獅子山さん。それが今、目の前にいるのだ。久しぶりの再会に喜ぶ場面ではあるのだが、その姿は一体どうした? 一体何があったんだろう。
「入って、いいか?」
「あ、はい。散らかってますけど、どうぞ」
グゥと大きな腹の音が聞こえるあたり、どうやら獅子山さんもお腹を空かせているようだ。良かった、今日はカレーだから量はたっぷりあるぞ。だって明日の朝もカレーにしようとしていたんだから、そりゃ多目に作りますよね。ふふん、偉いだろう。こういうのを見越して作っていた自分を褒め称えてやった。
「いい匂いがしてな、そんでもって……君に会いたくなったんだ」
なんですか急に、僕たちそんな関係でしたっけ。えへ、えへへ。照れちゃうでしょうが。そんな獅子山さんの手を握り、僕は部屋の中へと案内してあげた。手を握るなんて大胆な行動をついやってしまったけど、それは何となく獅子山さんをここに繋げ止めたいと思ったからだ。
だって、今にも死にそうな顔をしていたから。
ここで逃すと、もう二度と捕まえられないような気がしたから。
何か僕に出来ることがあれば良いのだけど、とりあえずまずは飯を食べてからだな。だって、僕もお腹空いたんだもの。
「カレー、久しぶりだ。いいもんだな」
「いっぱいあるからたくさん食べてくださいね」
お野菜たっぷりのカレー、この野菜は八百屋の平八さんのとこで買ったものだ。……って、獅子山さんは平八さんの事があまり好きではなさそうなので黙っておこう。平八さんは相変わらず元気そうだったが、行くたびに股間の様子をチェックされるので内心ヒヤヒヤしている。つまり家でシコシコした後に買い物なんて行った日には、手についた我慢汁の臭いとか逸物から出た粘液について事細かく質問されるというわけです。なんか会いたい反面、会うのが難しいおっちゃんになってしまった。
「あつっ、フーッ」
軽く汗をかきながらフーフー冷ましている様子はいつ見てもかわいい。ネコ科は熱いものが苦手なようだから、もう毎日グツグツ煮込んだ味噌汁とか飲ませたくなっちゃう。いや、むしろフーフーしてあげようか? なんて。でも獅子山さんにそれ言ったらたぶんすごい形相で睨んでくるんだろうな。
「んっ、んん、うまい。うまいぞ」
どことなく元気のなさそうな様子は変わらないが、それでもさっきよりは多少マシになった感じがするな。そうそう、まずは何事も腹ごしらえからですよ先生。熱い熱いと言ってるくせに難なく平らげた獅子山さんは、無言で皿を僕に渡してくる。はいはい、大盛りね。今日は奮発して米もいいやつ使ってるんだぞ、こいつもたくさん盛ってやろう。
久しぶりの食事で満足したのか顔を洗い始める獅子山さん、油断しすぎて獣の習性が出ている姿は可愛いという以外に表現ができない。その様子を夢中になって見ていると、キッと鋭い目つきで見られてしまったけれども。
「それで、最近何かあったんですか」
もっと遠回しに聞いてやろうかとも思ったんだけど、ここはズバッと直接聞いたほうがいいかなと思ってね。一時間ぐらい他愛もない話をしてからの方が心を開いてくれるから色々喋ってくれるとも思ったんだけど、この見た目からして一刻も早く悩みを聞いてあげた方が良さそうだ。夜もあまり眠れていないのだろう、あの獅子山さんが悩みで眠れなくなることなんて想像できないんだけどね。
「……ネタが、思いつかん」
ネタ? ネタってあのゲイ雑誌の漫画の? へぇ、いつもノリノリで描いてるように見えるんだけど、あの獅子山さんがねぇ。この前のだってもう何回お世話になったかわからないぐらいエッチな漫画だったけどな。
「実は、純愛物に挑戦しようと思ってさ」
「し、獅子山さんが純愛物に⁉︎ あの鬼畜なエロ漫画として有名なあの獅子山さんがラブラブで甘々な漫画描くんですか⁉︎」
ごめん、胃袋におさめたカレーを吹き出すところだった。えっ、だってあんないっつもドスケベなやつ書いてる人が純愛物ですって? 自分の耳がおかしくなってしまったのではなかろうかと心配になるほどだ。
「失礼だな君は。俺だって、たまにそういうのが描きたくなるもんさ」
尻尾が力強く左右に揺れている、ああ怒らせちゃったかな。結構色々と身構えていたんだ、借金がすごいことになっているとか、重たい病気にかかってしまったとか、それがまさか純愛物のお話が描けずにお困りだったとは……まったく、それは斜め上の返答ですよ。
「君は俺に出会ってから随分とたくさんのおっちゃんと体を重ねてきたんだろう。だったら、一人ぐらい好きな人はいないのか」
「みんな好きですよ」
「……そうじゃない、“恋人”として好きな人はいるかどうか聞いてるんだ」
恋人として――それは僕に重たくのしかかる言葉である。正直みんないい人すぎるし、誰か一人だけと付き合うならどうするって聞かれても選べる自信がない。恋人同士がやるような甘いデートみたいなものや、熱い夜を過ごしたことも無くはない。だけど、別にお互いが告白していたわけでもないし、ただの友達感覚なんだ。……そう考えると、僕も恋愛というものについてよくわかっていないのかもしれない。
「今の僕には、わからないです」
「そうか。でも、思い当たる人はいるんだよな」
「……はい」
ここで嘘をつくことはできない、僕は正直に頷く。獅子山さんはずっと顎に手を乗せたまま何かを考えているようだ。
「少なくとも俺よりはマシ、か。うんうん」
意を決したように、獅子山さんはゆっくりと僕の隣に座る。そして肩を抱き寄せてこう言ったんだ。
「明日一日、俺のネタ探しに付き合ってくれないか」
「んんっ? いや、僕と一緒にいてもネタなんて見つからないですよきっと」
「俺はいつも、外にいる獣人と人間を見ながらネタを考えているんだ。大体は過激な内容になってしまうが、君は逆に甘い恋の物語を考えるのが得意そうだからな」
得意……かなぁ。僕も獅子山さんと同じような人種だと思っているのだけど、獅子山さんってあまり他人を頼らなそうな性格だし、ここで僕が断ったら今度は締め切りに追われる生活が続いて体を壊してしまうかもしれない。ううむ、正直役立たないとは思うけど、まぁ付き合ってやるか。
「ま、そんな創作なんてしたことないですけど、出来る限り頑張ってみますよ」
「流石俺が見込んだだけはあるな。ガッハッハ! なら明日は頼んだぞ」
グッと肩を抱き寄せられた僕は、獅子山さんのもっさりと生えた鬣に鼻を突っ込んでしまう。な、なんだろう、エッチなイベントでも始まるのかな。そう期待してしまった自分が少し恥ずかしいが、この後獅子山さんは僕の部屋で一瞬の内にして夢の世界へと旅立ってしまった。ああ、やはり相当に疲れていたのだろう、ゆっくりおやすみなさい。
そんな獅子山さんを見ていると、僕の下半身にあるズボンは大きなテントを張っていた。だが獣人の近くで自慰行為なんてしたら匂いでバレてしまうので、仕方なく僕も就寝することにした。ちんちんから透明でネバネバした涙が出ていたような気がしたが、僕はそれを無視して目を瞑る。隣から獅子山さんの匂いがするだけで非常にムラムラするのだが、我慢だ我慢。
こうして僕は獅子山さん以上に寝不足となり、獅子山さん本人はスッキリとした表情で朝を迎えていた。
*
僕たちたやってきたのは都会の繁華街。とりあえずまずは喫茶店に入り、テラスでコーヒーでも飲みながら外の人たちの様子を観察しようということになった。
「わぁ……渋みがなくて美味しいコーヒーですね」
「ふぅん、都会のコーヒーって高いだけじゃなくうまいんだな」
少し田舎の方面に住んでいる僕たちにとっては何もかもが新しい発見だらけなので、二人でコーヒーを飲んだだけでもこの反応である。きっと都会住みの人たちは毎日こんな美味しいコーヒーを飲んでいるんだろうな。ああ、ちょっとぐらいお金持ちだったらこんな素敵な喫茶店にも毎日通えるのに。
コーヒーの味に感動している最中、獅子山さんは僕にだけ見えるように静かに指をさす。その指先に見えたのは熊と人間が座るテーブルで、一つのパフェを仲睦まじく食べている様子が見えた。二人とも男同士に見えるのに、随分と仲が良いな。
「君は、あれを見てどう思った」
「へ? え、えーとそうですね。お互いがスプーンを相手の口に当てて食べさせている様子を見ると、カップルですよね。でも熊獣人の方がどことなくぎこちなさそうだし、まだ付き合いたてのカップルってとこですかね」
「ふぅん、君はそういう風に物事を捉えるんだね」
あの一瞬の様子を見ただけでは、それぐらいしか妄想できないでしょう。獅子山さんの言葉を聞くまではそう思っていたのだけれど、彼の思考というか妄想力はとんでもないものだと見せつけられる事となる。
「まずあの熊は、向かいに座ってる人間の奴隷だ」
「ぶふっ。ゲホッゲホッ‼︎」
いきなり何を言い始めるのか、コーヒーを口に含む直前で良かった。少しだけ真っ黒い液体が溢れてしまったが、まだマシな方だ。え、なんて? 奴隷が何だって?
「熊は尻にバイブを入れられている、だからあんなに動きがぎこちないんだ。それを楽しそうに見つめる人間、ありゃ相当のやり手だな」
あまりに現実とかけ離れた妄想に僕は開いた口が塞がらない。あの情報だけでこんな妄想が出来るようにならないとゲイ雑誌の作家さんにはなれないんですか? あまりに異端すぎる獅子山さんの脳内に僕も若干引いてしまう。
「それにあの熊の胸元の白い毛があるだろ、君はあれが何色に見える?」
「んー……白以外に見えないんですけど」
「もっとよく見てみろ、一部分が少し黄ばんでないか?」
そう言われてみればそうなんだけど、正直僕の視力程度では白にもベージュにも黄色にも見えるからよくわからない。でもそれが一体どうしたと言うんだ。
「あれは夜な夜な小便をかけられ、人間が熊獣人にマーキングしているに違いない。今度店内のトイレへ行くとき、あのテーブルの近くを通ってみるか。もしかしたらあの熊からアンモニア臭がするかもしれねぇしな」
ちょーっとストップストップ。はい、一回落ち着いて。あ、今この言葉は僕自身に言い聞かせている所です。……ふー。はっきり言おう、獅子山さんやっぱりちょっとおかしい。ぱっと見初々しいカップルにしか見えないこの二人が、どうして奴隷とご主人様の関係になってしまうんだ? 逆に獅子山さんの視力はあまり良くないのかもしれない。いや、それより脳内の方が深刻なダメージを負っているのではなかろうか。
「獅子山さん」
「なんだ」
「ちょっと一回、心を綺麗にして周りを見渡してみましょうか」
本人は全然意味がわらからないと言った感じで首を傾げていたが、一回その汚なくてスケベナ展開を妄想できる心をキレイな水で洗わないといけないかもしれない。獅子山さんの心は今、真っ黒ですよ。一体どうやったらそんな心になっちゃうんですか。
なんだかあのカップルを見てるだけで気まずいものを妄想してしまうようになってしまったので、僕たちは早々にお会計を済ませて外へと出る。すると今度は行列のできたラーメン屋さんが目に入ってきた。ここ、あの激戦区である都会の中でも有名なお店なんだよね。さっきはコーヒーしか飲んでないし、お腹が空いちゃったな。チラッと獅子山さんを見ると、ぐうぅと元気よくお腹の虫が鳴っていた。
「おお、このラーメン屋ってあのラーメン屋か」
「獅子山さんも知ってるんですか、ここのラーメン。おいしいですよね」
「ん? ああ、食べたことない」
ドテッ、漫画によくありがちなズッコケモーションをしかけたところでした。じゃあ獅子山さんはこのラーメン屋さんの何を知っているんだ、そう問いかけると頭を抱えてしまうような返答が僕の耳に入ってくる。
「ここのラーメン屋の店長である猪のおっちゃんは、奥にある厨房から一回も姿を現さないんだ。常に発情してるようなスケベな爺さんだから、バイトを一人あそこに配置してしゃぶってもらいながらラーメン作ってるんだってさ」
「あの、なぜそんな情報が耳に入ってくるんですか? もう、外でこんなスケベな話はダメですよ……」
息子が半勃ちになりながらも、何とか気を逸らそうと別のことを考える。ったくもう、獅子山さんが隣にいると一日中ムラムラしてしまう。当の本人は涼しい顔してちんちんは平常時のままだし……それでもズボンの上から大きさがわかるぐらいの太さと長さを持っているので、やはり只者ではない。
「この前ファンレターに書いてたからな」
なるほど、獅子山さんにファンレターを送るほどの店長ならそりゃ仕方がない。あんなドスケベな漫画を読める人は中々の性癖の持ち主なので、僕もこのラーメン屋の店長とは仲良くできるかもしれない。
それから三十分ほどで僕たちは中へと入り、熱々のラーメンを食べてエネルギーを補給する。独特の臭みが特徴のとんこつラーメン、それでも箸が止まらない。隣にいた獅子山さんは相変わらず勢いよく麺をフーフーしていて、ふふっとつい笑みを溢してしまった。
店員の犬獣人がマスクをしていたのが気になったが……って、カウンターに隠れてよく見えなかったけど、店員さん褌姿じゃないですか。そういや都内に褌一丁でラーメンを運ぶ店員を売りにしたお店があるって聞いたことあるな、それがこの店だったのか。こんな暑い店内で汗だくになりながらラーメンを運んでいる、なんと男らしい姿だ。やはりこの店は股間に悪影響を及ぼすお店だったらしい。
そんなカッコいい店員の犬獣人を観察していると、ようやく麺を全てすすり終えた獅子山さんがペロペロと顔を洗っていた。後ろもかなり混んでることだし、そろそろ店を出るとしますか。
「うまかったな」
「ええ、やっぱ都会のラーメン屋さんってすごいですね」
「それに、あの店員のマスク。気がついたか?」
「……ナンノコトデショウ」
「とぼけるんじゃない。気がついていたんだろ」
あの犬獣人の付けていたマスクだが、一つだけ不自然な点があったのだ。なぜかマスクをつけた顎の部分から、別の布地が飛び出ていたのだ。それは少しだけ変色していて、確かあれは黄色だった気がする。
「な、中々の趣味だろ、ここのラーメン屋の店長」
「……」
少し息苦しそうな表情、あれは間違いなくマスクの中に何か別の布が詰め込まれていたに違いない。それでも尚股間を勃たせることなく業務をこなしていた店員さん、きっと夜はもう……その猪店長に色々と……ああっ、こんな外で妄想してはいけない。
「どうした、随分苦しそうじゃないか」
「あっ、何をす……ぐぅっ」
「こんなにココを硬くさせたら、もう外でネタを探すのは大変だろう。そうだな、ここからは二人っきりで甘い恋について教えてもらうとするか」
結局都会の街へ出かけても獅子山さんのネタは見つからず、僕は吸い込まれるようにとあるホテルへと連れられた。こんなつもりではなかったのだが、獅子山さんに誘われて断る方がおかしいのだ。それに……股間が収まらないまま人混みの中を歩くなんて、常識人の僕にはできなかったし。うんうん、ホテルに行ってしまうのも仕方のないことなのだ。
*
「いつもならここで俺が力づくで君を犯す場面だが、今日は君に純愛とは何なのかを教えてもらわねばな」
フゥーッと若干重たいため息を吹いた後、獅子山さんはベッドの上で腕を組みながら胡座を掻いている。よ、よし、ここは僕がリードしなければならない場面だ。少し緊張してしまうが、少しでも獅子山さんに純愛とは何かを体に教え込んでやらねば。
「主人と奴隷の関係ではない普通の恋人同士は、まずキスをして気分を盛り上げていくんですよ」
「ふぅん。で、どんな気持ちでやればいいんだ」
「それは……その、相手を想いながら、好きだっていう気持ちを伝えるような
キスを……するんですよ」
「なぁに恥ずかしがってんだ。こっち来いよ」
いつもなら強引に舌をねじ込んで一方的なキスをする獅子山さん、今日はいつになく慎重なようだ。唇部分をペロペロと舐め、僕自身が口を開けるまで決して中へと入ってくることはない。そんな優しいキスに僕は軽く口を開けてやれば、そこから中をおそるおそる探るように舌を侵入させてきた。
んちゅっ、にちゃっ、唾液が混ざり合うような汚らしい音だけど、今日の粘液の音はいつになく穏やかで心地よいサウンドである。鼻息が荒くていつ僕を強引に襲ってくるかとヒヤヒヤしたものだが、今日の獅子山さんは我慢強そうだ。股下のトランクスには大きくテントを張っていて、キスをしながら目を瞑っていた獅子山さんの隙をついて軽くニギニギと刺激を与えてやる。
「ぷはっ、んん……これでは物足りなくないか? もっとこう、無理矢理やった方が興奮しないか?」
「初めてのエッチ、そんなカップルはお互い探り探りやるもんなんですよ。まぁ勿論いきなり強引にやっちゃう人もいますけど……」
獅子山さんのこんなに優しく温かいキスは久しぶりだったので、つい僕からもう一度口を付けてちゅーを強請る。おっちゃんもそれに応じてくれ、後ろに太い腕を巻きつけながら離さないぞという意思表示をしてちゅーをした。今度は僕がおっちゃんのマズルの中に入りたいとおねだりし、少しずつ丁寧に中を探索していく。僕の何倍も広い口内に少しずつ僕の唾液を擦り付けてやり、少しでも長い間接吻が続くようにわざとゆっくりとマーキングしてやった。
「ん……君、随分とキスがうまくなったな。気のせいか」
「ははは、そんなことないですよ」
「さてはあの八百屋の犬と……」
「違う違う! 違いますってば!」
もう我慢できないと言った様子でトランクスから我慢汁を出し続ける獅子山さんの逸物に、僕はチュッと音を立ててキスをする。ゆっくりとズリ落ろしてやると、ヨダレを垂らしながら勢いよく太いソーセージが顔を出した。
「その口に、無理矢理突っ込みたい気持ちなんだがなぁ……」
「そんな乱暴ダメですよ。もっと優しく、です」
それでも早く早くと急かしてくるので、先に鬼頭部分だけでも咥えてやろう。口の中で一気に汗の臭いとオスの臭いとか混ざり合って非常に濃い臭いを放っていたが、グッと吐き出したくなるのを堪える。一般的な交尾ではこんな汗塗れの逸物ではなくちゃんとお互い風呂に入るのがマナーであるのだが、これは今度教えてやろう。だって僕はこっちの方が興奮しちゃうから……へへへ。
「ぐぅっ、つい腰を動かしたくなるな。な、なぁ、もう少し奥まで咥えてくれ」
注文の多いおっちゃんだ、それでも悪い気はしない。恋人のリクエストぐらい受け入れてやろうじゃないか、僕はグッと力を抜いて喉の方までチンポを導いてやると、獅子山さんはブルッと体を震わせてくる。気持ち良いのだろうか、上を向いてオッオッと声を漏らしているようだ。
「……離せ。俺は上の口ではなく、下の口に出したい」
「ちゅぽっ、ん……」
予め洗って解してあるケツを獅子山さんに向けると、鼻息をフンスフンスと荒げながらチンポを当ててくる。あの太長いチンポがすぐに入り込んでくると思ったのに、獅子山さんは中々挿入をしてくれない。
「君はこうやって焦らされるのが好きなんだろう」
「はっ、あぐっ、は、早く、んぶっ!」
まるで素股をするかのように肛門付近を逸物でグリグリと擦り付け、僕をお預け状態にする。早く挿れろとねだってみれば、今度は口に再びおっちゃんのマズルが覆いかぶさってきた。先程のキスで学んだのか、随分と蕩けそうなぐらいの甘いキスだ。多少強引ではあるものの、僕が苦しまぬように最低限の力で舌をピチャピチャとあちこちへ擦り付ける。仰向けで寝ている僕の両手に指を絡ませて、まるで恋人繋ぎのような状態で上からのしかかってきた。重たいのだけど、その体重が心地よく感じてしまって。目がトロンとなりながらも僕は獅子山さんの接吻を楽しんでいた。
「ぷはっ、どうだ、うまいだろ。俺のキス」
「はぁっはぁっ……早く、挿れて……」
焦らしに焦らされた僕の逸物は酷く我慢汁を出しまくっていて、腹の上にたっぷりと透明の粘液を垂らし続けている。そこを押しつぶすように獅子山さんの腹が上から乗せられ、互いの肉体の間にある粘液の感触がまた気持ち良いのだ。尻にくるズブブッという音のあと、僕たちは一つとなって抱きしめ合う。
「ふぅむ、こうやってゆっくり挿入するのも悪くない」
「へへへ……こういうのが付き合い始めの優しい交尾ってもんすよ。そこから、相手を思いやりながら優しく腰を振るんです。自分の欲望のためじゃなくて、相手が気持ちよくなるように」
獅子山さんは興味のあることについての吸収力が早いのか、僕の言葉を素直に受け取って実践してくれる。普段ならカリ首の所まで引き抜いたあと根本まで挿し込むようなピストンなのだが、僕の顔色と逸物の様子を伺いながら小刻みにピストンをしてくれた。それでも大きすぎるチンポは前立腺を潰すまでいかなくても、近くを通っただけで潰れるほどの感覚が電撃のように全身を伝わっていくのだが。
「どうだ、気持ちいいだろ」
「はっ、んんっ、首はぁっ、だめっ」
ザリッザリッと首元を毛繕いするように舐め続け、僕は襲い来る快楽に身をよじらせて暴れ回る。それでも普段夜勤で肉体労働をしている獅子山さんの肉体に敵うことなく、しっかりと上半身と両腕で押さえつけられてしまう。イこうと思えばイケるのに、獅子山さんは絶妙な刺激でイカないように楽しんでいるようだ。
「ここはどうだ? メスはここが性感帯らしいが、んんっ、ジュルルッ」
「んんっ‼︎ ぐうぅっ」
舐めまわしていた長い舌は首元から肩、そして胸まで降りていくと、二つの突起物を発見する。今度はその胸にある突起物の周りをザリザリと舐め始め、僕は獅子山さんの絡みついた手をギュッと握る。
「へへへ、そんな怖がらなくていい。もっと俺にそのスケベな顔を見せてみろ」
焦らすように周りを舐めていたのに、気を抜いた瞬間カプッと突起物を甘噛みする。牙を立てれば簡単に血が出そうなのに、そうならない程に優しくて弱い甘噛み。それを何度も何度も僕の乳首に喰らわせ、メスのように喘いでしまう。
「すまない、もう限界だ。全力で振るからな、しっかり捕まってろ」
「あっ、あっ‼︎」
一突きする度に声が抑えられない僕は口を塞ぎたくなるのだけど、獅子山さんはベッドに僕の腕を押し付けたままで次々と声が漏れてしまう。獅子山さんは喘ぎ乱れる僕に顔を近づけては聞き漏らす事のないようにしっかりと耳を押し当ててきた。恥ずかしくて、恥ずかしくてたまらない。腰を振るスピードは徐々に早くなってきて、僕自身の我慢も限界である。
「そんなに脚を絡めて、俺の子種が欲しいのか? どうなんだ?」
「あっ、んっ、くだっ、くださいっ」
「最初の一発は濃いからな、そう簡単に君に渡すわけにはいかないなぁ」
腰を振るスピードが早くなったとはいえ、いつもの獅子山さんには全然物足りないのだろう。僕はそれでも息が上がってしまうほどに気持ち良いのだが、僕がイキそうになる度に逸物をギュッと掴まれ射精を禁止される。すると逸物が狂ったかのようにチンポがヨダレを吐き出し続け、僕の口からもヨダレが止まらない。お願いしますと何度声をかけた所で、この力強く掴む腕は解放されることなく押さえつけられたままだ。
「チンポがビショビショじゃないか、こんなにお漏らしして恥ずかしくないのか?」
「ふぐぅっ、だ、だって、獅子山さんの、気持ちいいからっ」
「本当に可愛いヤツだ、ならばまずは一発濃いのを出してやろう。君が孕んでしまうような、とびきり濃い子種を」
いよいよラストスパートをかけた腰振りが始まり、容赦なく僕の前立腺がゴリゴリと潰される。先程までのギャップもあって、一気に快楽を受けた僕の体は我慢できず勢いよく精子をぶっ放した。獅子山さんの腹に全てぶっかけながらも、おっちゃんは腰を振ることをやめずにケツへチンポを打ち付けた。
「よおし、俺の子種でちゃんとガキ孕むんだぞ。おおっ、ぐおっ、ケツ絞めとけよぉ‼︎」
最後は上半身を僕の体に全て押しつけ、密着しながらドクンドクンと勢いよく中出しを始める。甘々なやりとりの後で中に出される感覚というのは今までにない程に極上で、僕は無意識のうちに両脚を獅子山さんの胴体に絡みつけていた。チンポが抜ける事のないように、ガッシリとしがみ付くように。
それから一発目の濃い射精は終わりを迎えたようだが、獅子山さんはチンポを引き抜く事なく冷静な表情で僕にこう喋りかけた。
「……よくわかった。これが純愛というやつなんだな」
「ふぅ……、わかっていただけましたか」
「おう、十分すぎるほどにな。だが――」
おっちゃんの右腕にはなぜか先程まで履いていたトランクスが握られている。その手は力強く握り締められていて、気がつけば――僕の口元に当てがわれていた。
「俺、やっぱこっちのほうが向いてるらしい」
「えっ、それは……んぐっ‼︎」
「君も好きだろ、こういうの。そんじゃ、ここからはいつもの俺でやらせてもらうからな」
口の中に広がるのは獅子山さんの臭い、それも汗をたっぷり吸ってかなり湿っている。いきなりの豹変ぶりに僕の体も追いつかなくて、一度起き上がろうにも獅子山さんは僕をうつ伏せにして上から覆いかぶさってきた。
「バックからの交尾は気持ちいいぞ。それに俺のパンツはいい臭いだろ、好きなだけ嗅いでていいんだぞ」
「ンンーッ‼︎ ンンッ!」
「何イヤそうな顔してんだよ、やっぱ交尾はこうでなくちゃな。君もそう思うだろう?」
うつ伏せにされた時点で獅子山さんの表情は読み取れなかったが、今まで我慢していた分が爆発しているのかさっきよりも腰振りが激しい。ウケがどうなろうがお構いなしの前立腺をゴリゴリ潰し上げる野性的な交尾だ、声を出そうにも口に突っ込まれたトランクスがそれを許さない。
「おらっ、ケツ締めろ。チンポが抜けるだろうが」
「ンンッ‼︎」
パシンッといい音が鳴り響き、僕のケツの表面が赤くなる。その刺激によって獅子山さんのチンポをギュッと腸内で包み込み、中で先程の一発目の精子が容赦なくかき回される。ちゃんと子供が孕むように、念入りに腸壁にチンポを擦りつけるのだ。そして一発目よりも二発目の方が子種がたくさん含まれた精子を吐き出せる、そんな濃い液体を何度も執拗に掻き回せばメスなら一発で孕んでしまうだろう。
「どうだ、俺のガキを孕みたくなっただろう。ケツがキュウキュウ俺のチンポ締め付けてるぞ」
「ふぐっ、んんっ」
「いいか、一滴でも漏らしたらお仕置きだからな。わかったらしっかりケツ絞めとけ」
ベッドが壊れるほどに容赦ない上からのピストンに、僕は二発目の子種をベッドのシーツに漏らしてしまった。先程とは違ってバックで交尾をしているので獅子山さんにバレることはないが、それも時間の問題だ。生き続けている間もなんとか四つん這いのまま獅子山さんが掘りやすい体勢を維持し、早く行為が終わるよう願い続ける。
「ん、イッたか。……そりゃあこんだけケツをギュッと締め付けてくりゃ、バレバレなんだよ」
お仕置きだと言いながら、今度は僕のイッたばかりの逸物を掴んで激しく扱き始める。後ろからこれだけ激しく突かれているというのに、そんな事をやられてしまっては頭がおかしくなる。それでも僕は力づくで押さえつけられている状態で抜け出せるはずもなく、獅子山さんに虐められながら涙を流してパンツを咥えることしかできない。
「中にたっぷり出してやるからな、これで孕まなかったら承知しねぇぞ。いいか、俺のガキを産むんだ。わかったら返事しろ」
「ふぐぅっ、んぐんぐっ」
「うまそうにパンツ咥えやがって、くっそ我慢ならねぇ。獅子獣人のとびきり濃くてドロドロの精子をタネ付けしてやるからな、一番奥深くに容赦なく出してやる」
いつの間にか僕だけでなく獅子山さんも全身から湯気が出そうなほどに汗をかいていて、その汗は僕の体に余すことなく擦り付けられる。上から覆い被されば僕は完全に獅子山さんの体によってマーキングされ、二人の汗がヌルヌルと混ざり合えば酷い臭いが僕の鼻を通り抜けた。それはフェロモンたっぷりの淫臭というもので、この臭いだけでもムラムラが止まらなくなるほどの強烈なものだった。
「出すぞっ、俺のチンポから子作りのタネをたっぷり出してやる。安心しろ、ちゃんと孕むように最後はチンポでかき回してやるからなぁ。そらっ、気張れよ! グオオオッ‼︎」
今日一番の雄叫びを上げながら、獅子山さんは僕のケツの奥深くにチンポを挿入してピタリと腰を止める。すると痙攣し始めたチンポが容赦なく僕の最奥部にタネをぶっ放し、腸内全体が熱くなって獅子山さんに中出しされていることを全身で感じるのだった。僕のチンポを扱いていた手はいつのまにか腹部に当てられていて、そこを「の」の字を描くように優しくさすってくれている。まるで子が孕むようにおまじないをかけているような、そんな行動に僕は少しだけ顔を赤らめてしまう。まるで本当に子供が出来てしまうのではないかと思ってしまった。
「あー……気持ちよかった」
最後に仕上げと言いながら、僕の腸内をチンポで優しくかき回し始める。子種がこびり付いていない部分はもう既に無いであろうと思えるほどに、僕の腹は獅子山さんの精子で満たされる。それでも尚、獅子山さんはチンポを引き抜くことはなかった。
「なぁ、このままチンポ抜かずに一晩過ごせば、もっと子が孕む確率が上がるんじゃねぇか?」
それは冗談で言っているのか本気で言っているのか、僕には理解することができなかった。
そんなネタ探しのために一日都会を出歩いた僕たちだったが、結局獅子山さんは純愛物のお話を描くのは諦めたようだ。俺には合わない、こういうのは出来る奴に任せると言っていたような気がする。うん、確かに僕もそう思う。だけど獅子山さんはこうも言っていた。
“俺に純愛とは何か、また二人きりでじっくり教えてくれな。”
その言葉を聞いた僕は顔がカァッと熱くなり、ケツが疼くのを感じるのであった。
*
獅子山(同人誌のペンネーム:ライライ)
種族:獅子
主人公の呼び方:君
好きなもの:エッチなもの、熱い食べ物(好きなのに食べるのは苦手)
テーマ:同人作家をしているケモおっちゃん
昼間は原稿、夜は肉体労働のアルバイトで食いつないでいる獅子のおっちゃん。基本的に引きこもり体質なので昼間はあまり外には出てこないが、たまに主人公の部屋を覗き込んで日々創作のネタにしていることもあるんだとか。
八百屋の平八さんと仲が悪く、たまに主人公の部屋で荒々しい交尾なんてやってる日にはジッとベランダから睨みつけて圧を送っていることもあるんだとか。怖い! 匂いにも敏感なようで、平八さんの匂いをつけて帰ってきた日には獅子山さんの匂いで上書きされるなんて事も珍しくはない。何だかんだで主人公の事を大切に思っている。
日々ネタ探しに勤しんでいる為、妄想力が半端ない。たとえ普通の関係を持ったカップルを見たとしても、獅子山さんの脳内にはエゲツない設定が展開されていてそれがゲイ雑誌の原稿にも顕著に表れている。基本は獣人が人間を荒々しく犯すような漫画を描いていて、人間の男と獣人のおっちゃんから熱烈な支持を受けている。
(獅子山さんが生まれたのは、ちょうど2019年の関西けもケットの時。せっかくのイベントなので、何かイベントに関連したキャラを出してみたいな……という作者の思いから生まれた子です。イベント当日までにアップが間に合ってよかったぁと思う作者でした。という余談)
リクエストしてくれた支援者に一言:
「ふぅん、君がリクエストしてくれたっていう噂の人間ね。獅子山です、どうぞよろしく。では早速だけど、君が今オカズにしている小説や同人誌について聞かせてもらえるかな。別にどこかに公表するわけじゃなくてさ、そう、世の中の需要というものを把握したいんだ。で、君はどんなものをオカズにしているんだ? 週に何回ぐらい抜いてるの? ……おいおい、逃げないでくれよ。困ったなぁ、口から聞けないんじゃ直接体に聞いてみるしかないか。ほら、俺交尾もうまいからさ。さて、そんじゃ始めますかぁ」
ぱぱぱんだ🐼🐾ぱぱを
2020-05-13 07:20:03 +0000 UTCつまつま
2020-05-07 05:54:51 +0000 UTC