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地下闘技場のジェフリーさん

【地下闘技場で働く熊獣人:ジェフリーさんの番外編】



 ウオオオッという男たちによる大歓声の渦に巻き込まれているのはここ、地下闘技場。ここは地上なんかでは絶対に行われないような熱い闘いが見られる場所だと彼は言っていた。中央に堂々とそびえ立つのは立派な赤と青のプロレスリング、今夜ここで行われるのは一対一のデスマッチ……らしい。実は僕プロレスあまりよくわからなくて、でも彼に誘われたから来てはみたものの、知り合いすら誰もいないし……。


 そんな僕を誘ってくれた彼――ジェフリーさんはここで週に何回かプロレスラーとして出場しているんだとか。なんて噂をしていたら、会場が突然真っ暗となりリング上をスポットライトで照らし始める。そこに堂々と仁王立ちしていたのはまさにそのジェフリーさんである。獣人の中でも大柄な熊獣人で、毛色が黒い分余計に強そうに見えてしまう。目元を覆うような簡易的なマスクがまた凶悪さを醸し出していて、観客席から見てもすごい迫力だ。


 そんな赤コーナーに立つジェフリーさんの対角線上には、ちょっと小柄で体毛が青と白の狼獣人がキリッとした表情で対戦相手を睨みつけていた。彼の名は蒼月 朔夜(そうげつ さくや)。身長が160cm程しかないからか、ジェフリーさんから見ればまるで親子のような体格差である。得意技は蹴り技なんだってさ。……なんでこんな詳しいかって? いやぁ、観客席の隣に座っている人がさ、ずっと独り言で解説してるんだもの。無知な自分からしたら大変ありがてえ。この人、相当ここに通ってる人なんだろう。



「……ぜってぇ負けねぇ」


「ほぉ、また随分と小せぇガキが来やがったもんだ。せいぜい俺様を楽しませてくれよな」


 カァンッと会場に大きく鳴り響くゴング、この闘いを止めるものはもはや誰もいない。リングに登った以上、勝者はただ一人のみ。男たちの熱い戦いが今、始まる。


「おおっ、なかなか素早い蹴りしてんじゃねえの」


「このっ、おらぁっ‼︎」


 なるほど、朔夜さんは小柄な分なかなかに良い動きをしている。それをあの巨体の熊がしっかりとかわしているのにも驚きだし、何ならスキを見つけて反撃しようとしているのがこちらからも見てわかる。だが蒼色の狼も十分にそれを理解しているようで、カウンターが来ると察知したタイミングで蹴りを辞めて避けに徹していた。素人の僕が見てもこの激しい蹴りを繰り出す朔夜さんはまさに凄腕のレスラーだ。


 そんな攻防がしばらく続いたあとだった。また同じ展開で回し蹴りを繰り出す……はずだったのだが、そこには狼の姿はない。ジェフリーさんもこれには目を丸くして驚いていたようだ。そのスキを素早い狼の彼が見逃すはずはないだろう。朔夜さんはジェフリーさんの死角である真後ろに立っており、そのまま地に付けた脚に思い切り力を込めてロケットのように発射された。そのまま低空飛行したかと思えば今度は右脚に力を集中させる。ま、まさかこの角度は……。


「があ゛あ゛ああああああああっっ‼︎」


 会場に響き渡るのは野太い男の叫び声、ああっそんな……今僕の股間がひゅっとしたような気がした。渾身の力を込めて放たれた右脚の蹴り上げはまさにジェフリーさんの股間にクリーンヒットさせていた。寸分の狂いもなく、あのデカい玉に間違いなく。チラッと観客席を見ると、どの獣人たちもみんな自身の股間を抑えていた。そりゃそうだ、あんな思い切り蹴り上げられた日にはもう男に戻れなくなるかもしれないわけだし。


 床に両膝をつけ、股間を抑えながらうずくまるジェフリーさん。その隙を狼が逃すはずもなく――再び加速させた朔夜さんは、両足でジェフリーさんの背中を思い切り蹴り飛ばした。あんな巨体が見事にロープまで吹っ飛んでいったのを見ると、あの狼の蹴りは凄まじい威力だと改めて認識させられた。


 一方ジェフリーさんはと言うと床にだらしなく仰向けになっており、動けないのか手足がピクリとも動いていない。まさかあのジェフリーさんがここで負ける……? 無敗のレスラーだと思っていたのに、こんな所でやられてしまうのか?


 明らかに悪役であるジェフリーさんに、なぜか僕は応援したくなってしまうのだ。それはどうしてだろうか、今でもわからない。あのクマ牧場で出会ってからというものの、彼を見ると心臓がドキッとしてしまう。悪役さながらのあの顔つきにレスラー向けのガチムチ体形、いつしかあの熊に僕は魅了されていたようだ。


「ジェフリーさん‼︎ 立てえええええ!」


 気がつけば僕は全力で大声を上げながら仰向けに寝たままの熊にエールを送っていた。完全に無意識だった。こんな会場で大声を出すなんて僕らしくもない……でも今ここで応援してやらないと、負けてそうな気がしたから。ジェフリーさんは地下闘技場で最強のレスラーなんだろう? ならこんな所で負けてる場合じゃねえっすよ。


「これで終わりだ‼︎」


 四隅のポールの上に立つ朔夜さんは、勢いよくジャンプしたあとそのまま真っすぐに伸ばした片脚を降ろしていく。そのまま落ちれば間違いなくジェフリーさんの首に直撃であろう。隣の人の解説によるとあれはギロチンドロップという技らしい。なるほど、上から振り下ろす蹴りはまさにギロチンのようだという由来から来ているのか。これを喰らえばジェフリーさんはもう――そう思った時であった。


「なっ、何っ⁉︎」


 蹴りは間違いなくジェフリーさんの首元に入った、ように見えた。いや、間違いなく入ったはずだ。だが当の熊は全く痛がっておらず、振り下ろされた片脚をしっかりと両手でホールドしている。


「おうおう、ったくあんな金的を喰らわせるとは、久しぶりに俺様もアタマにきちまったぜ。そうだよな、地下闘技場は反則技なんて存在しねぇってルールだしよぉ。んじゃここから俺も遠慮なくやらせてもらう……ぜっ‼︎」


「ぐああああっ‼︎」


 片脚を掴んだまま離さないジェフリーさんは、そのままアキレス腱固めという技へと持ちこんだ。手首の硬い骨の部分でアキレス腱を圧迫すれば、筋肉が潰されるような痛みが無限に続くらしい。あの丸太のように太くて立派な腕から繰り出される技は強烈なものであろう。先程まで優勢だったはずの狼が叫びながらダンダンッと床を叩いて許しを乞っているようだが、あの悪魔のような熊がそんな事で解放するわけがない。むしろ喜んで筋肉の圧迫を強めているところだろう。


「痛いっ‼︎ いてぇよお‼︎」


「ああ? さっきあんだけ俺の大事な玉袋に金的を喰らわせやがったヤツが何言ってんだ。俺の痛みはこんなもんじゃねぇぞおらっ‼︎」


「がああああっ‼︎」


「自慢の脚なんだろ、こんぐらいで音を上げるなんてつまんねぇことするなよ? まぁ知ってるだろうが、ここは地下闘技場。こんなんで助けが来るとは思わねぇこったな」


 ぐぐぐっと先程よりも腕と脚に力を込めたジェフリーさんは、朔夜さんを完全に無力化することに成功する。お互い全身からビッショリと汗をかいているが、それは痛みによる冷や汗であろう。凄まじい熱気からか、モワモワと蒸気のように白い湯気が発生しているのが見えた。まるで風呂上がりのような湯気の上がり方である。


「そうだ、さっきのお返しをしてやらねぇとな。俺様、こういうのはやり返さねぇと気がすまねぇ性分なんでな。へへへ、朔夜、おめぇはどんな美しい音色を上げてくれんだ?」


「や……やめ……」


 アキレス腱固めで相当に痛めつけられた脚を、朔夜さんはもう自分でうまく動かせない程にまでされていた。ここまでくればもう両足でガッチリと拘束しなくても逃げ出すことはないだろう、そう瞬時に判断したジェフリーさんは朔夜さんの両足をしっかりと掴み、その中央部にある少し膨らんだ部分に自身のブーツを当てがう。


「さぁて、ここからがお楽しみの時間だぜ朔夜。言っとくが俺様は今気分が悪ぃんだ、俺の気の済むまでやらせてもらうからな」


「あ……ぁ……ぎゃあああっ‼︎」


 それは見事なまでに激しく股間をシェイクする技――電気アンマである。子供同士がふざけてやり合うのとはわけが違う、オトナの獣人が全力で繰り出す必殺玉潰し。ああっやばい、また股間がヒュンッとなったじゃないか。なんでこう、この人たちは命がけで闘っているんだか……僕は闘うよりも自分の男の象徴である玉を守っていきたい。守りたい、この笑顔……じゃなくて玉。


 それからジェフリーさんによる凄まじい電気アンマは十分間にも及び、あまりに刺激が強すぎたのか朔夜さんのプロレス用パンツには大きな染みが出来ていた。それはよく見る我慢汁の染みではなく、まさに……。


「おお、くっせぇくっせぇ。まさかお漏らししちまったのか? ガハハハ‼︎ そんなに俺様のブーツで潰されたのが良かったのかよ」


「うっ……ひぐっ……そ、そんなんじゃねぇやい! くっそ‼︎ この野郎……覚えてろよ……っててて……」


「口だけは威勢がいいじゃねぇの。そういうの、キライじゃねぇぞ。さあてここからは見てくれた観客に感謝の姿勢を見せてやらねぇとな。今日はおめぇが敗者だ、地下闘技場のルール、わかってんな?」


「ま……まだ負けてな」


「お漏らし小僧が笑わせてくれるぜ‼︎ いい加減諦めるんだ……なぁ!」


「ぐうううっ‼︎」


 ジェフリーさんは仰向けに倒れたまま失禁している朔夜の後ろに素早く回り込むと、首を絞め上げスリーパーホールドの体勢へと持ちこんだ。熊の手入れなんてされていないゴワゴワの手首の部分をしっかりと喉元に押し付けて、しっかりと呼吸を乱していく。そのまま両脚でしっかり胴へ絡ませれば、抜け出すことのできない簡易的な熊肉檻の完成だ。


「はぐぅっ……はぁっはぁっ……」


「おお? 苦しいか? そりゃそうだよなぁ、俺様がしっかり朔夜くんの喉を押さえつけてるからな。どうだ、新鮮な空気、吸いたくねぇか?」


 ダンダンッと床を叩いて解放してくれという意思を示す朔夜さんであったが、ジェフリーさんは一向に拘束を解除するつもりはないらしい。


「なら俺様がたっぷり嗅がせてやるよ。新鮮な空気ってやつをなぁ」


「ふぐぅうっ‼︎ ガハッ‼︎」


「いい匂いだろ、俺様の試合用ブーツはよぉ。通気性は最悪、中は年中梅雨みてぇに湿気てやがる。そんなキレイな空気をおめぇに嗅がせてやろうじゃねえか。ガハハハ!」


 ……エゲツない、なんちゅう技だ。ただでさえ酸欠状態でありながら、吸わせる空気はジェフリーさんの蒸れて雄の臭いが凄まじいブーツの中の空気とは。しかもサイズが朔夜さんの細長いマズルにピッタリと合っていて、マズル全体がブーツの中へと押し込められている。あれでは新鮮な空気なんて嗅ぐ隙間なんてないであろう。まさに地獄の絞め技である。


「今日は随分と手こずらせやがって。まぁいい、俺様のくっせぇブーツ嗅ぎながらイっちまう変態だっていうことを、今日はここにいる観客全員に覚えて帰ってもらおうじぇねぇか。なぁ!」


「やべ……、やべでぐだ……」


「ああ? ブーツん中で声が篭って聞こえやしねぇぞ。なんだ、もっと激しくやってほしいってか。お望み通り、俺の蒸れソックスでしっかりと足コキしてやるからなぁ」


「んんんっ‼︎ んんーーっ‼︎」


 プロレス用パンツの中に右脚を突っ込んだジェフリーさんは、中で器用に逸物を扱き上げる。外からは全く見えないが、中では湿ったタイツの親指と人さし指に挟まれながらグチュグチュと扱き上げられているのだろう。いつのまにかリングの近くで待機していたカメラマンと音声さんが近寄ってきていて、会場のモニターに朔夜さんの醜態が映し出される。マイクから聞こえるグチュッグチュッという粘着質な音が、この会場の全員をムラムラさせていった。


「お゛ぉ……見えるか、朔夜。あそこにおめぇの敗北姿、しっかりと映ってるぞ。んじゃ、会場の奴らにもっといい声聞いてもらわねぇとな」


 先程の足コキがまだ序の口だと言わんばかりの扱き上げが、パンツの中で盛大に行われる。マイクを通して会場内へと放送されるこのスケべな音が堪らなく好きだ。ああっ……僕もすごく興奮してきてしまった。ジェフリーさんにあんなにされるなんて……、朔夜さんにちょっと変わってほしい。


「そらっ、会場の奴らに聞かせてやれ! おめぇのかわいいイキ声ってやつをよぉ! おらっ‼︎」


「っぎあああああ‼︎ あああああっ‼︎ 見ないでぇえ‼︎」


「ガハハハ! 最高じゃねぇの‼︎」


 そろそろ頃合いだと判断したジェフリーさんは、口元を覆っていたブーツを投げ捨てて朔夜さんの声を全員に聞かせられるように解放する。その瞬間、オスである朔夜さんからメスのような甲高い声がしっかりとマイクに向けて発声させられた。その声は誰も聞き逃しがないほどに会場内へと放送され、今日の一大イベントは終了するのであった。……くっそ、地下闘技場、なんて魅力的な所なんだ。ちょっとハマりそ……いやいや、ダメダメ。こんな危険なとこ、もう行かないぞ。……ああ、ジェフリーさんカッコよかったな。



――――



 試合が終わると、会場内の獣人たちは皆あっという間に外へと出て行ってしまった。みんな股間を抑えながら出て行ってたが、おそらくムラムラが止まらないのだろう。あの後敗者には全員からチンポがプレゼントされますとかいうイベントだったら、間違いなく朔夜さんは壊れてしまっていただろう。良かった良かった……。それはともかく、ジェフリーさんどこから出てくるんだろう? とりあえず外で待っているんだけど……あれだけ体が大きいから遠目でもすぐわかると思うのだけど。


「だーれだ!」


「ぶわっ汗くっさ‼︎ ……ってジェフリーさん⁉︎ 何するんですかいきなり!」


「おめぇ、こういうの好きだからよぉ。喜んでくれると思ってな」


 いきなり背後から着ているジャージの中に体ごと突っ込ませるヤツがどこにいるんだって話だ。


「……好きじゃないですよ。汗臭いから早く風呂入ってください」


「まぁまぁ細けぇことはいいからよ、んじゃこのあと暇ってことだな。ついてこいよ」


「いや暇とは言ってませんよ暇とは」


「暇なんだろ?」


「……」


 負けた。こういう強引なタイプに弱い。どこに行くのかと聞いてもジェフリーさんははぐらかしてくるし、一体どこに連れて行かれるのだろう。このまま聞いてもラチがあかないので話題を変えてみようか。


「そうだ、今日のジェフリーさんめっちゃカッコ良かったですよ。あんな悪役面してるから、僕は朔夜さんの事を応援してた……はずなんですけど、いつの間にかジェフリーさんを応援してました」


「おう、あれな。おめぇがいきなり応援してくれるもんだからよぉ、俺様つい張り切っちまったぜ。ま、元から全然負ける要素なんてなかったけどな。ガハハハ!」


「痛そうな金的喰らっておいてまだそんな口を叩けるのがすごいのですが……」


「あんな事やられちまったらよ、あとでたっぷりやり返しても文句言われないってことだろ? それだけでも俺様ムラムラが止まらなくてな。そこから絶対負けねぇっていう強い意思に変わったわけだ」


 自信ありげに力瘤を作るジェフリーさん、毛色が濃くて体が大きくて、本当に惚れる要素しかないような熊である。そして彼を見ていると……内なる僕のMっ気が目覚めたように、彼に虐められたい気持ちでいっぱいになってしまうのだ。どうしてこうもこの熊は僕を誘惑してくるのだろう、それはこの匂いもあるのだろうが……。


 ジェフリーさんは先程の試合の後、そのまま上にジャージを羽織っただけの格好でこちらにやってきたらしい。おかげで体毛は汗でビショビショで、少し触っただけで僕の肌が潤いを取り戻すほどだ。いや、人の汗で潤わせちゃダメなんだけどさ。そこから香るジェフリーさんのオス臭い匂いが、僕をムラムラさせてくる。生きているだけで周りをすけべな気分にさせる熊、なんと恐ろしい存在であろうか。


「着いたぞ」


 ジェフリーさんが指差す所は、見た目的にそこそこの築年数経ってそうなボロいアパート。まさかここ、ジェフリーさんの家か?


「今日はおめぇのおかげで勝てたわけだしよ。今日は俺様がごちそうしてやるぜ」


「ありがとうございます。って別に僕何もしてないですけどね」


「ガハハ! いいってことよ。さ、入ってくれ。ちょっと掃除しといたから、座れるところぐらいはあるはずだ」


 ……ん、今なんか変なこと言いませんでしたか。気のせいかな? そう思ったのは一瞬だけであった。


 部屋に散乱する下着。机の上には空のカップ麺。そこら辺にいる一人暮らしのおっさん感満載じゃないですかジェフリーさん。だが汚い床とは別に壁を見てみると、そこはトロフィーやらプロレス用のユニフォームなどが綺麗に飾られてあった。


「へへっ、やっぱ俺様にはプロレスしかねぇからな。こういうの、大事にしちまうんだわ」


「それと同じぐらいこの床のことも掃除してあげてください」


「いいか、人にはな。苦手なもんっつうのがあんだよ。俺様は掃除が苦手だ、なら無理にやる必要はない」


 なんという個人論、これには私もビックリです。だがそういう所が僕の性癖に突き刺さるので、一概にも悪いとは言えないのである。なら僕が定期的に掃除しに来てあげようかな、そうすれば合法的にジェフリーさんと会えるわけだ。


 それにこの敷きっぱなしの敷布団、これ絶対いい匂いすると思う。あの巨体で熊獣人のジェフリーさんですよ⁉︎ もう期待せざるを得ない。


「で、おめぇはどれにするんだ」


「えっどれって、どういう……」


「だから醤油か塩か味噌かって聞いてんだよ。ほれ、さっさと選べよ。お湯沸いてっからよぉ」


 ご馳走してくれるって……ラーメンの話ですか! しかもカップ麺! あなた、さっき地下闘技場でお金もらってるんでしょう? 私知ってるんですよ。いくら貰ってるかは知らないですけど、でもマネーが出るって聞いたことあるんですよ。それなら豪勢に肉でも食べに行きましょうよ。


「……塩」


「塩か! 塩はうめえよな、うんうん、わかる、わかるぞ」


 テキトーに答えただけなのにこの見るからに機嫌が良くなったジェフリーさん、ちょろい、ちょろすぎる。正直ラーメンはどれも好きなので何も問題はない。お湯を入れて三分間、短いようで意外と長い時間である。お互い沈黙状態となり、もくもくと湯気の出るカップをジィッと見つめる僕たち。まるで真剣勝負そのものである。


「……よぉし今だ! 食え!」


 ストップウォッチも無いのによく今だってわかったな。この人、もしやカップラーメンの達人か? あれだけ大きい体をしているのだから、普段の食事も豪勢なものかと思っていたのに。予想以上にシンプルというか貧乏人っぽい食事に驚きを隠せない。


「んんー、今日のも最高にうめぇな! な?」


「ズズッ……おお、久しぶりに食べたけどやっぱ安定しておいしいですね」


「だろだろ? へへっ、やっぱカップ麺は二人で食った方が何倍もうめぇな!」


 地下闘技場の試合の時はあれだけ迫力のある厳つい顔をしていたジェフリーさんは、家に帰ればまるで子供のように無邪気な存在になっていた。普段は見せないその顔が、僕の性癖を堪らなく突き刺してくる。体はデカくて大人なのに中身は子供っぽいおじさん、ああ、なんていい響きなんだろう。


「っげふぅ……食った食った」


「そりゃ三つも食べたら腹も膨れるでしょうよ」


 そう、考えが甘かった。そりゃカップ麺一つだけでこの熊が満腹になるわけがないわな。最終的に醤油、塩、味噌ラーメンを一つずつ平らげたジェフリーさんは、気持ちよさそうにお腹をボリボリを掻き毟る。うわあおっさん臭い行動だ、ちょっと今写真撮りたくなった。動物園で見る熊も、たまにこうやって腹をボリボリ掻いている姿をよく見る。あれを見るたびにジェフリーさんを思い出してしまいそうでニヤケが止まらない。


「しっかしよぉ、こんなおっさんの家に何の疑いもなく付いて来ちまうおめぇもおめぇだよ。もっと警戒心持てっての」


「だってジェフリーさんですから。これが知らないおっさんだったら絶対来てませんって」


「本当かぁ? おめぇ、相当にいろんなおっさんと遊んでやがるからな。信用ならねぇな」


 ズイッと顔を僕の目の前に持ってくると、まるで試合の時のようにギラついた目をしながら僕を睨みつける。えっ、僕何か悪いことしたかな。ちょ、ちょっと怖いんだけど。


「他のおっさんが手出しできねぇようにする方法がな、ひとつだけあるんだぜ?」


「な……何を……うっ‼︎」


「今日はたっぷり汗かいて蒸らしといたぞ。な、嗅ぎてぇだろ? 今ここにいるのは二人だけだ。ここは素直になった方が身のためだと思うがなぁ」


 ジャージを上にめくり上げ、豊満な腹を僕にしっかりと見せつけるように曝け出す。さっきも少しだけ嗅がされてしまったが、今僕たちを邪魔するものは何もない。僕は考えるのをやめ、そのまま引き寄せられるようにジェフリーさんの腹へダイブする。


 開けられた腹の入り口、そして僕が飛びついた瞬間に閉じられる入り口。するとそこは汗だくの腹と何日か着まわしているジャージが作り上げた極上のサウナだ。オスの匂いがしっかりと詰まったその空間でハスハスと息を吸えば、ジェフリーさん特有の体臭がしっかりと肺へと吸い込まれていった。


「さっきは汗クセェだの言ってたくせによ、二人きりになった途端に大人しくなりやがって。本当は嗅ぎたかったんだろ? こんなおっさんの汗クセェ臭いをよぉ」


「んっ……スゥーッ……」


「なら存分に嗅がせてやろう。このままずうっと俺様のジャージん中で呼吸させときゃ、もうこの臭い無しじゃ生きていけねぇ体になっちまうかもな。ガハハハ!」


 噎せ返るほどの汗臭い匂いが、しっかりと鼻の中で暴れまわって僕をスケべな気分にさせてくる。何度嗅いでもゴホッと嘔吐いてしまうような饐えた匂い、それでも嗅ぎたくなるほどの中毒性。熊獣人から臭い立つこのオスの匂いは、他では嗅げない極上のスメルなのだ。


「あ゛ーあったけぇな。このまま抱き枕にして昼寝ってのもいいな。俺様、試合でちっと疲れ……ふぁあ……」


「んぐっ⁉︎」


「だけどよぉ、俺様ぜーんぶお見通しなんだぜ。熱心に汗クセェおっさんの匂い嗅ぎながら、こんなにおっ勃たせやがってよぉ。こりゃ、今日はエキシビションマッチやるっきゃねぇか。制限時間無制限のプロレス、おめぇも大好きだもんな」


「あっ、あっ‼︎」


「こんなに腹に押し当ててりゃ、気づかねぇアホはいねぇよ。んじゃまずは軽く準備運動でもしようじゃねえの」


 ジャージの中で体臭を嗅ぎながら息子を硬くさせた僕を、両手でギュッと掴み上げながらジェフリーさんは立ち上がる。股間と股間が布越しでギュッと押さえつけられ、ここから繰り出される技は僕の知る限りでは――


「ベアハッグ、大好きだろ? 俺の鍛え上げられた両腕でおめぇを潰すと、どんな声が出るんだ? 俺様にしっかり聞かせてみろよ」


「あ……や……がああああっ‼︎」


「いい声してんなぁ、つい虐めたくなっちまうな、ガハハハ!」


 グググッと背中が抱き寄せられ、ミシミシと骨が軋む音を聴きながらジェフリーさんは楽しそうに僕を虐める。首元に顔を埋めながらのベアハッグは僕には刺激が強すぎて、パンツの中はすでにビショビショだ。あんだけ濃い匂いを嗅がせられながら全身を、特に股間に圧をかけられて汁を漏らさずいられるオスはまずいないだろう。


 全身がビクンビクンと痙攣し始めた頃、ジェフリーさんは僕を解放して敷布団へと跪かせる。同時にドスンッとケツを降ろして座り込んだ熊は股間部分のプロレスパンツをしっかりと見せつけるように僕に近づけ、頭を包み込むように太い脚でグイッとロックしてきた。


「今日も試合で随分と蒸れたからな、俺様の匂いを忘れないようしっかり嗅ぐんだ」


「ふぐっ‼︎ ゴホッゴホッ‼︎」


「最初は噎せるぐれぇ汗クセェかもしれねぇけど、試合で嗅がせた奴らはみんなこの匂いに虜になっちまうんだぜ? ああ、おめぇは元からこういうの好きだったな。ガハハハ! こりゃ失礼」


 三角締めという技で完全にジェフリーさんの股間部分に固定されれば、刺激的な汗臭さと小便の匂いが顔全体に押し付けられた。顔にしっかりとマーキングするように股間をグリグリ押し付けるジェフリーさんに何度もギブしそうになるも、このデスマッチは途中で棄権することなんて許されない。僕が全く抵抗しなくなる程に鼻がチンポの臭いに慣れると、満足そうに僕の頭を撫でて絞め技を解放してくれた。


「ここまでくりゃもう俺様の匂いの虜ってわけだ、よかったな。褒美に俺様の新技、披露してやるよ」


 汗と我慢汁でぐしょぐしょに濡れたプロレスパンツをずり下げれば、まるで赤子の腕ぐらいはるチンポがブルンッと勢いよく顔を出す。その瞬間我慢汁が僕の頬にピシャッとかけられ、そこから鼻が曲がるほどのオス臭いフェロモンが匂いを発し続けていた。


 ずっとパンツの匂いを嗅がされ意識が朦朧としていた僕にゆっくりと近づくと、両肩に脚をかけてまるで逆肩車をしているような体勢に固定された。


「口、開けろ。なんて生温いことはしねぇからよ。何せ鼻を摘んじまえば、みんな自ずと口を開いてくれるもんなぁ」


「んゲフッ‼︎」


 逃げ場のない脚の檻で固定された僕の口に極太のソーセージを突っ込むと、そのままケダモノのように腰を振り始める。太すぎるチンポは喉奥でさえも簡単にこじ開け、一番匂いの濃いとされる陰毛部分にしっかりと鼻がくっつくまで腰を押し当ててきた。かと思えば鬼頭部分まで引き抜き、そして勢いよく喉奥へとぶち込んでくる。まるでオナホのような扱いを受けながらもジェフリーさんは腰を振るのをやめなかった。


「お゛っお゛っお゛っお゛っ……」


 野太い野獣の声がするたび、チンポが喉奥にグイッと押し付けられて非常に苦しい。だが陰毛部分の濃い汗と体臭をもっと嗅ぎたいと思うだけで、喉奥に挿入される苦しみなんて何とも思わなくなる。それだけジェフリーさんの体臭が僕にとっての麻薬のようなものなのだと気がつくと、自分の腸壁から体液がじんわりと分泌されてオスを受け入れる準備を始めるのだった。


「試合後の濃い一発を口に出してもいいけどよぉ、今日は中出ししてぇ気分なんだよな。よっと……うまかったろ、俺様のチンポ。試合中ムラムラしてヤバかったんだが、この為に我慢しといて良かったぜぇ」


 優しく頭をナデナデするジェフリーさん、まさに飴と鞭である。僕の両肩にずっしりと置かれていたジェフリーさんの太脚がどかされ、おっさんの匂いがたっぷりつけられた敷布団へと仰向けに押し倒された。この体勢はまさしく、タネ付けプレスというやつだ。おっさん獣人が全員当たり前のように習得している、あの子を絶対に孕ますぞという強い意志を感じられる体勢だ。


「尻穴もぐちょぐちょで準備万端じゃねぇか、突っ込んで欲しそうにヒクヒクしてるぜぇ」


「ああっ、んっ」


「おおおっ……やっぱキッツイな人間のケツは……ぐおおっ」


 バチュンッと一気に挿入すると、まるで電マのように激しく振動しながら腰を振り始めるジェフリーさん。僕が逃げないように両腕をしっかりと押し付け、しっかりと固定された僕のケツ穴に寸分の狂いもなくチンポを打ち付ける。遅れて鶏卵ほどもある玉がビタンッビタンッとケツに当たると、あの極太チンポが全部僕の中に挿れられているのがわかってしまって自身の息子がより硬くそり立ってしまう。



「ここだろっ、おめぇのメスイキポイントはよ。チンポでゴリゴリしてやるっ」


「ああっ‼︎ いやっ!」


「もっとやって欲しいくせに、イヤがるんじゃねぇぞオラ。ここをおっさんのチンポで押し潰して欲しいんだろうが!」


 ただでさえ前立腺を圧迫されている腸内で、ジェフリーさんは的確に僕の前立腺を押し潰して僕を快楽地獄へと誘い込む。一突きする度に我慢汁がビュッビュッと出ているのを悪役らしい顔で眺めながら、ピストンがどんどん早くなっていく。まさにラストスパートをかけた状態、一週間禁欲したというチンポから黄ばんだザーメンが僕の腸内を満たすのも時間の問題である。


「ただのタネ付けじゃつまんねぇからな、最後はとっておきの技でいかせてやるよ。お゛っお゛っお゛っお゛っ……ぐううっ、俺様の特濃ザーメン、しっかり受け取れよぉおおっ‼︎  グオオオオオオっ‼︎」


「ガハッ⁉︎ あっ……ぁ……」


 真正面で腰を振っていたジェフリーさんは少し体勢を斜めにし、僕の首を腕でしっかりと絞め上げながら際奥部にチンポを打ち付けた。ギロチンチョークスリーパー――それがこの技の名前らしい。正面から相手の喉下に腕を押し付けて、呼吸を乱す恐ろしい技だ。これにより完全に息が出来なくなった僕はバタバタと暴れるが、この熊の巨体はビクともすることなく僕の中に精子をぶっ放す。ビュルルルっと何回も吐き出すジェフリーさんのチンポは全く勢いを弱めることなく、的確に僕を孕ませるように中出ししていった。


「ぐおおおっ‼︎ 全部飲め‼︎ 俺様の黄ばんだザーメンッ、こぼすんじゃねぇぞ‼︎ おおおっ、やっぱ絞め技かけてやりゃケツのしまりもいい感じだぜぇ、ぐううっ、まだ出るっ‼︎」




 最後の一滴まで余すことなく僕に注ぎ込んだジェフリーさんは、呼吸困難で失神しかけた僕の拘束を解く。だが解けたのは首の部分だけで、ケツ穴にはまだしっかりとチンポが挿さったままであった。硬さも衰えることなく、このまま二回戦目までやりたいという意志表示をしているようだ。


「いい穴だったぜ……このまま二回戦目もいこうじゃねぇかと言いたいとこだが、おめぇも疲れたろ。俺様の掛け布団でしっかりと体力回復しとけ」


「んぶっ‼︎ ン゛ンンンッ‼︎」


「どうだ、俺様の肉檻掛け布団は。全身俺様の肉に埋もれて、最高に気持ちいいだろ? それに汗クセェ雄の匂いが嗅げて、まさに一石二鳥ってやつだ! ガハハハ!」


 脱出不可能な肉檻掛け布団に僕は成すすべなく手足をバタバタさせる。そんな努力も虚しく、そのままジェフリーさんにのしかかられたまま体全体に熊の匂いをマーキングされるのだった。密着した肉体からじんわりと汗が流れ、それが全部僕の体へと擦り付けられる。こんな暖かくてオス臭い布団、まさにこの冬ピッタリの一品だ。


「今日は俺様の汗が染み込むまで、俺がマーキングしてやるからよぉ。ガハハハ! 時間は無制限、まだまだこれから楽しめそうだな」



 それから僕がこの部屋から出られたのは二日後の事であった。食事はさせてもらえたものの入浴は許してもらえず、睡眠はほとんど取れず、僕らはほぼ一日中汗だく交尾をして過ごす。部屋中がジェフリーさんの汗臭さで満たされ、常人では居られないほどの空間。そんな中僕はジェフリーさんと同じ匂いになるまで激しくマーキングされ、完全にジェフリーさんの所有物として生きる道を歩み続けていくのであった。


「へへっ、楽しかったぜぇ。また遊びに来いよな。今度はもっとすげぇの、やってやるからな」


 頬にちゅーをされ、恥ずかしさのあまりダッシュでアパートから逃げる僕。……こんな鬼畜でガサツな熊なのに、どうも嫌いになれない自分がいる。そして、またここに遊びに来たいと思ってしまう気持ちに気がついた僕は、顔を赤らめながら走って逃げ帰るのであった。



――――――――――――――――――――――――――――

☆FANBOX支援者限定おまけ☆


ジェフリー

種族:熊、黒色

主人公の呼び方:おめぇ

好きなもの:カップ麺(特に塩)、自分はタチだと自信を持っているオス、人間

テーマ:汗だくプロレスラー


熊おっさんの匂いをこれでもかというぐらいに嗅げる、みんなの夢を叶えるお店「においたつクマ牧場」の従業員。好きなだけ汗臭い熊の匂いが嗅げるというその夢のお店では、指名してきたヤツを徹底的にプロレス技をかけて痛めつける役目。特に汗をかきやすい体質なので、一部のマニアからの人気がすごい。得意技はベアハッグ。


地下闘技場では負けなしのレスラーで、実はそこそこファイトマネーを貰っている。そのはずなのだが、食事は一日一回必ずカップ麺を食べないと禁断症状が出てしまうらしい。部屋もかなり散らかっていて、そこら辺に脱ぎ捨てた下着が放置してある。だが壁に飾られたプロレス関連のコスチュームやトロフィーなどは大事に飾ってあり、そういうところで彼のプロレスに対する真摯な姿勢が伺える。


夜通し交尾なんて当たり前のようにできてしまうジェフリーさん、実は朝がとても苦手。興奮してない時は全く起きる気配がなくて、震度六ほどの地震が来てもおそらく起きやしないだろう。休みの日は昼まで寝かせてくれて、起きた直後にうまい飯を食わせてくれる嫁さんが欲しいと思っているようだ。だがジェフリーさんは体臭がそこそこキツく、汗を洗い流しても元から漂う獣臭にあまり良い顔をされない為、女性とは相性が悪いらしい。


そんな野生的な匂いを好いてくれる客に喜び、愛を感じるようだ。においたつクマ牧場――指名:ジェフリーさん。絶賛予約受付中。



リクエストしてくれた支援者に一言:

「俺様のこと指名してくれるなんてよ、よっぽどの好きもんだなおめぇは? へへっ、こんな熊のおっさんの、どこの匂いを嗅ぎてぇんだ? 好きなとこ、嗅がせてやろう。ん? 一緒にプロレスしたいだと? ガハハハ! いいぜ、気に入った。だが最初は怪我しちまうからよ、色んな技を覚えてからだな。んじゃまずは絞め技の指導をしてやろう。ここをこうしてしっかりと固定してやりゃ……どうだ、抜け出せねぇだろう。このまま相手を好きなだけ弄り回すのは面白いぞ。ん? なんだ、おめぇのチンポは随分と威勢がいいな。このまま俺様が足コキしてやろう。おっ、へへへ……いいこと思いついたぜ。このままおめぇの顔を腋に挟んでやるよ。どうだ、こんなおっさんの汗クセェとこ嗅ぎながらチンポ弄られる気分はよぉ! そらイッちまえ‼︎ …………あ、やべ、やりすぎた。……ま、まぁいいじゃねぇか、な? 今度うちに遊びに来いよ、今日の詫びでサービスしとくからよぉ。俺様がしっかり匂い付けしてやるからな!」



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