本記事は、「ダクネスの好感度が上がりすぎた件(仮題)」の下書き段階の文章をそのまま投下したものになります。そのため、完成品とは内容が異なる場合がございます。
その点を理解した上でそれでも読みたいという方は、どうぞご覧になってください。
今回の二次創作の題材は、「この素晴らしい世界に祝福を!」という笑いあり冒険ありの異世界系ライトノベルです。
その中に出てくるダクネスって女騎士キャラに着目していきます。
まあ今回の舞台は寝室ゆえにダクネスはネクリジェ姿のオフモードで、騎士らしさは皆無なんですけどね。むしろ乙女モード。
名門貴族の出身で、誇り高さと責任感を兼ね備える美人騎士。
ピクシブ百科事典の関連タグで残念な美人やらドMやら変なことが書かれているのは気にするな! 外見はこんな感じ。
それでは、ごゆるりと。
前回の続きからです。
「「…………」」
沈黙を、抱きしめるダクネスの体温と共に噛みしめる。
ふかふかのベッドに押し倒したダクネスに体重を預け、彼女の豊満な身体の柔らかさや温かさを堪能する。
俺の胸板で餅みたいにひしゃげるダクネスの胸の量感が心地いいし、それとは対照的にダクネスの腹筋周りの肉が硬いのにはクスッと笑いそうになる。
コイツ本当に腹筋割れてんのな……なんて、声に出したら殴られるな。
「「……!」」
と、ここで。
横を向いたダクネスの目と、俺の視線がかち合った。
気恥ずかしかったので俺はすぐに正面を向いて視線を切り、代わりに腕をもっと締めつけてダクネスを強く抱きしめる。
多分その時の俺、顔が赤かった。
「「……♡」」
そしてここから、ダクネスからも俺をぎゅっと抱きしめてくる。
俺が首に腕を巻いて抱きしめるのに対し、ダクネスは俺の腰に腕を巻いてくる。
抱き合いに移行したことで密着の深みが上がる。吐息が耳を撫でる。背中にダクネスの指が縋るように押し当てられる。
「「……」」
じんわりと高まっていく幸福感と一体感。
柔らかな人肌の温もり、微弱な肉欲の入り混じった安心感。
薄闇と静けさに満ちた寝室で、今ここに俺とダクネスしかいないという事実も、しっとりした雰囲気の高まりに寄与している。
二人だけの世界ってまさしくこんな感じなんだろうなと、ダクネスと抱き合いながら俺は感じ入った。
そしてこの切ないムードの高まりが最高潮に達したら、多分、俺とダクネスは行くところまでいってしまうのだろう。
流されようと決めた俺に、それを止める気概はもう無い。
ダクネスも望むというのなら、彼女とのまぐわいに溺れたい。
アルダープなんて目じゃない程に目の前の女体を貪って、ダクネスの胸も尻も太ももも、全部俺のものだと刻みつけてやりたい。
この時の俺は本当にそう思っていて、いつでもスタートの合図があれば黒い欲望を発進させる準備ができていた。
というかそろそろ辛抱たまらなくて、下半身が疼いて、下手したらダクネスの許可を待たずにタガが外れかねなくて。
「――カズマ」
ダクネスが俺の顔を両手で掴んで、改めて正面から俺を見据えてくる。
艶っぽさと切なさが頂点に達したムードに、いよいよだと俺は心で身構えて――
「忘れさせてくれ。なにもかも」
――一瞬、思考が止まった。
「お、お前なにを言って」
「私をめちゃくちゃにしてくれ……子供を孕ませる気でもいいから」
――醒めた。
とびっきり冷たい冷水が、俺のエロい欲望に浴びせられた。
ダクネスは泣いていた。
泣きながら、笑っていた。
目尻に涙を浮かべ、唇だけは微笑んだ、悲痛な泣き笑いだった。
その表情で俺は、ダクネスがさっきの言葉を本気で言ったと確信し、同時に俺とダクネスの考え方にズレがあることを再認識した。
俺が流されるままに、彼女の体に溺れようとしている一方で。
ダクネスは、もう俺達とは二度と会えないと諦めて、せめて最期の思い出を作るために俺と一線を越えようとしているんだ。
悲壮な覚悟と、刹那的な喜悦。
それらしか無い。今のダクネスの泣き笑いからは、純粋な喜びや、いつものドMじみた愉悦なんて見受けられない。
今にも頭に浮かぶ。もし俺がダクネスと契って一線を超えたら、きっとダクネスはこう言うのだろう。
――もう思い残すことは無い、と。
「っっっ……ダ……メ……だっ……!!」
「カズマ?」
訝しげに小首を傾げるダクネスの顔から、俺は身を引こうとする。
意地で欲情を押し殺し、ベッドに手をついて、ダクネスから離れようとする。
そんな俺の踏ん張りにダクネスは一瞬すごく悲しそうな目をして、直後、キッと顔を険しくして俺の顔を引っ張ってきた!
「あぎぎぎぎ」
「離れ、るなっ。カズマ、ここまで盛り上げておいて、今更やめるのかっ、ぐうっ」
「ダメ、だっ、たら……! ダクネスっ……!」
「ダメ、じゃないっ。むしろ、やめるのがダメ、だっ。くっ、アクアの支援魔法か。まだ効力が続いているのか……!?」
意地でも自分の女体に溺れさせてやると眦を決するダクネスは、しかし、支援魔法で強化された俺の膂力に目を見張る。
自分の顔を引く俺と、俺の顔を両手で引き寄せるダクネス。
拮抗していた綱引きは、やがて俺の方に優位に傾いて、
「~~~ぷあああっ!」
弾かれたように、俺はダクネスから身を離した。
同時に湧き上がりかけるダクネスの身体への未練を俺は噛み殺す。
(あ、危なかった! 本っ当に危なかった! ……ぐああっ、まだドキドキする! 今すぐベッドに戻ってダクネスの身体に抱きつきたい! 欲望が、欲望がぁ!)
「ば、馬鹿者おおぉぉぉっ!! お前というやつは! お前というやつは、むぐぐ」
「シーッ、静かに! 家の人に気づかれ、っ痛ぁ!?」
咄嗟にダクネスの口を抑えた俺は、右手に走った痛みに手を離した!
「おまっ、噛んだな!?」
「ああ噛んだとも! 私だって本気で怒ることもある! 覚悟を決めた女をここまで愚弄して、タダで済むと思うなよ! ぶっ殺してやるっ!」
「ぶっ殺すだなんてお下品な言葉遣いはおやめくださいお嬢様!」
「お嬢様言うな! ……くっ、私の体はお前にとってつまらないのかもしれないが」
目を血走らせて喧嘩腰だったダクネスは、途中から涙目でしゅんと顔を俯かせて自虐を語り始めた。
そこに俺は待ったをかける。その発言は聞き捨てならん!
「バカ言うな! ウチのパーティーでお前が一番エロい体しているんだぞ!」
「うっ……!」
「つーかお前、実はその自覚あるだろ! 俺にエロい目で見られるのを承知で、屋敷で身体の線が出る服を着てるエロセイダーめっ!」
「んんっ……♡」
いちいちブルリと身悶えしながら艶っぽい声出すなぁ!
実は今けっこう辛いんだよ! ギリギリなんだよ、色々と抑えるのが!
「じゃあカズマ、どうしてお前は、途中から私を抱くのをやめたんだ。……腹筋が割れてるのが嫌だったのか?」
「違ぁう! お腹が引き締まってるから、むしろそれは長所だ!」
「ちょっ!!?」
パクパクと口を開けて顔を赤らめるダクネスに、俺は理由を告げる。
「けどさ……俺、こういうのは心置きなく楽しみたいんだよ」
「っ……」
「最期の思い出なんかのために、俺はお前を抱きたくない。どうせなら、アクアがいて、めぐみんもいて、皆が屋敷にいる中で、あいつらの邪魔が入らないかとヒヤヒヤしながら情事に耽る方がいい。んで、なんだかんだで結局めぐみんあたりにバレて、いい所で邪魔が入るんだろうけど、それでも……って、おわっ!?」
すらすらと滑るように口から出ていた俺の語りは、途中で止まる。
ダクネスの表情の変化に度肝を抜かれたからだ。
ガチ泣きだ。ダクネスは青い瞳を微動だにせず、滝のような涙を流していた。それはもう、ダーッと。
どうやらアクアやめぐみんについて言及したあたりが、ダクネスの泣きの琴線に触れてしまったらしい。
「わ、悪かった! 今のは俺が悪かった! デリカシーが無かった、ごめん!」
「……私は、なんてこと…………意趣返しなんて考えるものではないな」
「意趣返し?」
降って湧いた話の引っかかりに思わず俺がオウム返しすると、ダクネスはすぐに真意を明かした。
彼女の抱えていた……わりと邪悪な企みを。
「あのまま勢いでお前が私に子を孕ませていたら、その後どうなると思う」
「……?」
「妻が、夫ではない別の誰かに前もって処女を奪われていた挙げ句、その男の子供まで身ごもっていたとアルダープが知ったら……」
「お、おま」
「うへへへ、えへへ、ふぁふへへ、ひゃへへへ……!」
涎を垂らして、泣き腫らした顔で、ヤバい表情で妄想にふけるダクネスに、俺は一歩後ろに下がらずにはいられなかった。
ドン引きする俺の目線に、ダクネスはハッと気づいた後、バツが悪そうに横に顔を逸らして……。
「ネタバラシの時を楽しみにすることを、今後の人生の生きがいにするつもりでした」
こいつろくでもねえなぁ!
「ちなみに今日、危険日でした」
あっぶな!!
マジでろくでもねえなぁ!!