どうも、田村サブロウです。
本記事は「アマゾネス達から逃げたその先で_STAGE・4(仮題)」の下書き段階の文章をそのまま投下したものになります。そのため、完成品とは内容が異なる場合がございます。
その点を理解した上でそれでも読みたいという方は、どうぞご覧になってください。
今回の二次創作の題材は、ライトノベル「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」の7巻でメインに出てくる、イシュタル・ファミリアです。
アニメ2期でベルが体験したような「捕まれば犯されるアマゾネス達との鬼ごっこ」を読者の方々に追体験してもらうのがコンセプトだったんですが。
そのイシュタル・ファミリアのホームから逃げ切った後のお話ということで、今回のメインはイシュタル・ファミリアの構成員ではなくなります。
今回は女神フレイヤがメイン。
イシュタルの対となる『美』の女神で、pixivの絵的にはこんな感じ。
前回の続きからです。
それでは、ごゆるりと。
ぎしっ、と寝台が鳴る。
まるでそうすることが当然のような自然さで、女神は僕の寝る寝台に腰掛けた。
そのまま、僕の腿に女神の細指が服越しに触れそうになったところで――はっ、と唖然としていた僕の意識が我に返る。
「ちょ、ちょっと待ってください!」
手を前に出して、僕は女神を制した。
んー? と小首をかしげる美の神に理性がぐらつく。いちいち可愛いすぎる。
「あの、熱でもあるんですか?」
「無いわよ。おでこを当てて確かめてみる?」
「結構です。じゃあ、新手の美人局ですか?」
「違うわよ。財布を拾ったことへの、純粋な恩返し」
「信じられません。僕はあなたの正気を疑っています」
「ところがどっこい、私は正気よ」
「じゃあ、なおさらまずいじゃないですか! あなたのファミリアの方が泣きますよ!」
危機感なく問いかけに答えていく美神に僕は怒鳴った。隙を見て僕の体を押し倒そうと手の平を当ててきてタチが悪い。
一瞬、僕の脳内に、猪耳を持つ武人が「いいぞもっと言ってやれ」と頷く映像がよぎった。なんだこのイメージ。
「あら、心配してくれてるの?」
「心配? してますよ! 常識のね! たかが財布を拾っただけの赤の他人に、体を預けるのは流石に――」
「確かに。落とし物の恩としては、ちょっとご褒美が過ぎると私も思わなくもない。けれど……事態は一刻を争うようだから」
からかい混じりだったソプラノの声色が、ふいに途中から硬くなった。
その変化に「え?」と僕は怪訝の形に眉を歪めた。
「こうでもしないと貴方、助からないもの」
「助からないって……へ?」
深刻な事態を唐突に匂わされて、理解が追いつかない。
戸惑う僕に、銀髪の女神は美貌をずいっと寄せてきて、一言。
「イシュタルに、やられたのでしょう?」
「!!!」
僕を苛んだ淫らな呪縛の元凶を、ズバリ言い当てた。
「わかるんですか!?」
「ええ……『わかる』」
女神の一言に込められた深みに、僕は息を呑む。
僕を見据える美神の銀瞳は、彼女が実際に僕が受けた仕打ちを見ていないことを差し引いても尚、深い理解の色を伺わせる。
途方もない慧眼。あるいは、この女神はイシュタルのことをよく知っているのか?
どちらにせよ、彼女が示した理解は、僕が心を許すには十分だった。
「……時間が経ちすぎている。あの女の品のない残滓が、魂にまで侵食して、影響を及ぼしているわ。遠く離れても貴方を逃さない枷になっている」
まるで名医が視診するかのような様子で僕の顔を覗き込みながら、銀髪の美神は淡々と見解を告げていく。
「このままではいずれ、あなたの足は、なにかに導かれるようにイシュタルの元に向かってしまう……気分の良い話ではないわね」
未来を憂う彼女の銀瞳に、僕は目を奪われる。
間近で見る女神の美貌を前に、僕は正気を保つのでいっぱいいっぱいだ。
「か、顔が近いです……あ、ひとつ補足させてください」
揺るぐ理性に叱咤しながら、僕は銀髪の女神から半歩分だけ距離を置き、上体を起こして寝台に座った。
女神は「ん~?」とばかりに小首をかしげる。いちいち可愛い。
どうも、彼女はこちらの『美』への抵抗を見て楽しんでいるふしがある。
「僕が、イシュタルから、誘惑を受けたというのは……その、断言まではできません。僕は彼女の顔をじかに見たわけではないので」
「へえ。詳しい話を聞かせてもらえるかしら」
好奇心を示す美神の申し出に、拒む理由は無かった。
今までの経緯を僕はつまびらかに語り始める――