どうも、田村サブロウです。
本記事は「アマゾネス達から逃げたその先で_STAGE・4(仮題)」の下書き段階の文章をそのまま投下したものになります。そのため、完成品とは内容が異なる場合がございます。
その点を理解した上でそれでも読みたいという方は、どうぞご覧になってください。
今回の二次創作の題材は、ライトノベル「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」の7巻でメインに出てくる、イシュタル・ファミリアです。
アニメ2期でベルが体験したような「捕まれば犯されるアマゾネス達との鬼ごっこ」を読者の方々に追体験してもらうのがコンセプトだったんですが。
そのイシュタル・ファミリアのホームから逃げ切った後のお話ということで、今回のメインはイシュタル・ファミリアの構成員ではなくなります。
今回は女神フレイヤがメイン。
イシュタルの対となる『美』の女神で、pixivの絵的にはこんな感じ。
前回の続きからです。
それでは、ごゆるりと。
結局、通行料の懸念は杞憂に終わった。
歓楽街から都市のメインストリートに通じる門に金銭の徴収の類は無かった。歓楽街からの脱出に限って言えば、財布の心配をする必要は無かったのだ。
代わりにイシュタル・ファミリアの末端二人が門番として睨みを効かせていたという新たな問題はあったが、どうにか僕は彼女らの目を盗んで突破できた。
いいとこ中の下程度の冒険者である僕にとって、上位派閥であるイシュタル・ファミリアの団員は、下っ端でも格上だ。それでも、こっぴどい目に遭わせられたのを経てタフになってきたのか、どうにか僕は彼女ら相手に誤魔化しを効かせることができた。
多少の逆境程度ではへこたれない修羅場への経験値。
自分より格上を相手取る際の立ち回りのセンス。
イシュタル・ファミリアのホームに攫われ、そこから脱出したという経験は、少なからず成長の果実を僕にもたらしたのかもしれない。
が、それを差し引いても。
悪影響の方がでかいから収支はマイナスだと、僕は確信していた。
「あ、ぐ、ううぅぅぅぅっっっ……♡♡♡♡♡」
止まらない下腹部の疼き。内側からの圧力で張り詰めた下衣。
僕は寝台で横になりながら、暴走する淫らな熱に悶えていた。
イシュタル・ファミリアのホームから逃れて一週間後の夜。
僕は、過剰に湧き上がる性欲に苛まれるようになった。
無事にホームに帰って主神との再会を喜べたのも束の間、帰還して睡眠を取ったその翌日の朝から、体の変調が始まった。
僕は頻繁に淫らな記憶を想起するようになり、下腹部にいかがわしい熱が蓄積するようになってしまったのだ。
あの日のように、イシュタル・ファミリアの見目麗しい団員に追いかけ回され、瑞々しい柔肌に犯される光景を夢に見る日々。
そして最も問題なのは、いくら自分で『対処』を行っても、その淫らな熱が体から出ていく気配が微塵も無いことにあった。
どれだけ自分で自分を慰めても、下腹部に甘い疼きが残り続ける。それどころか欲求が悪化する時もある始末。
それがここ一週間、ずっと続いていた。
まるで女の物の怪にでも取り憑かれたかのように、僕の下腹部は熱を帯び、滾る欲求を晴らしたいと主張する。
「っ……♡♡♡♡♡」
脳裏に過ぎる、褐色の艶めかしい女体。
豊満な乳房、柔そうな太もも、艶っぽい唇。
間違いなく極上の抱き心地を誇るであろうあの肢体に、屈服しなかった僕の判断を、暴走する欲情が責めたてる。
どうしてあのとき、あの褐色の女神の誘惑に乗らなかったんだと、がなりたてる。
「~~~~~~~っっっ♡♡♡♡♡」
首をぶんぶん振って邪念を追い払おうとするも、邪な欲望は消えてくれない。
目尻に涙が溜まり、頬が熱く紅潮する。
ここまで精神が雑念まみれだとダンジョンに行って出稼ぎに行くことはおろか、日常生活の一環で出歩くこともままならない。
自室の寝台で寝たきりになる、寝衣を着た自分の肉体。
大概の病は安静にしていれば治ると、薄々治らないと直感していながら、それでも適切な処置の心当たりが無いため場当たり的な対処に縋るしかない。
「ううぅっ……♡♡♡♡♡」
そんな淫らな熱に苦しむ僕が、何度目かも分からない苦悶を零した、そのときだった。
ノックを経て、一人の来客が現れたのは。
「ごきげんよう。お邪魔するわよ」
がちゃり、と扉の音を鳴らして入ってきたその人は、女性だった。
全身を黒いローブですっぽりと覆っている。
フードからは艷やかな銀色の髪が覗いていて、上品な目鼻立ちは視界の端に入るだけでも美人だとわかる風貌。
(……誰、この人)
まったくもって、知人の中に該当する心当たりが思い浮かばない。
胡乱な意識の中、僕の視界は彼女の微笑む唇を漠然と捉える。
僕は彼女の顔や体を見ないように目線を横にそらしながら、横になっていた上体を起こして、来客への対応を試みた。
「あの……すいません、こんな格好で。あなたは――」
「あ、最初に断っておくけど、私の正体を詮索するのは禁止ね。でないと、これから行う貴方への恩返しができなくなるから」
綺麗なソプラノの声から投げられた不可解な発言に、「へ?」と僕は反応を返す。
首をかしげる僕だったが、直後に過去の情景が脳裏をよぎった。
最近あったことだ。イシュタル・ファミリアのホームから逃げ帰る途中で遭遇した、財布を落とした女の人。あの人が着ていたのも、確か黒いローブだった。
恩返しって、財布を拾ったことに? そんな。別にいいですよあんな小さなことで。
と、僕が言おうと口を開きかける、その直前。
「だって、私の正体を知った上で、それでもなお貴方が私を抱いたとなったら、私のファミリアの団員に貴方が殺されかねないもの」
「――へっ?」
「あなたは、いきなり訪問してきた謎の女神に夜這いをかけられて襲われた、神の気まぐれの哀れな被害者――という体裁でいきましょう」
「――――」
途中から、僕の頭は彼女の言葉を咀嚼できていなかった。
いたずらっぽく微笑む唇を、顔を固まらせたまま眺めるのみ。
数秒して、頭の中が整理され、整理されたことでなおのこと困惑して――こちらの気も知らずにクスクス笑みをこぼす女神に、僕は問う。
「あの、すいません」
「なにかしら」
「実は僕、寝起きなんです」
「見れば判るわ」
「意識もあまりはっきりしていなくて。今あなたが言ったことを聞き取れなかった可能性を、僕は拭いきれません」
「……」
「大変恐縮ですが、もう一度。できれば要点をまとめて簡潔に、言ってくれませんか?」
僕の言葉を聞いて、女神は着ているローブに軽く手をかける。
聞き間違いか、あるいはこれも夢だと、僕は結論付けていた。
途方もない欲情に悩まされている所に、まるで据え膳のように現れた女神。鴨が葱をしょってやって来るよりも与太話。
ははは。ないない。そんなまさか。
いささか現実逃避の様相を呈してきた僕の猜疑心は、次の瞬間――
ばさっ、と。
「!!!」
――視界に飛び込んできた雪肌に、吹き飛ばされた。
女神がローブを脱いだ。
柔肌と服が擦れる音を経て、黒い絹が床に落とされ、露出度の高いナイトドレスの姿が露わになる。
へそを露出した薄布から美しい色白の肌が視界に飛び込み、豊満な胸や肉付きの良い太ももが存在感を示す。腰まで届く銀の髪が夜の雪のように輝き、透き通るような眼差しは目を合わせただけでも心を奪われそう。
眼前で正体を示してきた『美』を前に、僕は時を止めた。
口をあんぐり開けて固まる、そんな僕に女神は無垢な少女のような微笑みで、
「私の体をあげる。今日一日、好きにしていいわ」
などと、平然ととんでもないことをぬかしやがった。