どうも、田村サブロウです。
本記事は「アマゾネス達から逃げたその先で_STAGE・3(仮題)」の下書き段階の文章をそのまま投下したものになります。そのため、完成品とは内容が異なる場合がございます。
その点を理解した上でそれでも読みたいという方は、どうぞご覧になってください。
今回の二次創作の題材は、ライトノベル「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」の7巻でメインに出てくる、イシュタル・ファミリアです。
アニメ2期でベルが体験したような「捕まれば犯されるアマゾネス達との鬼ごっこ」を読者の方々に追体験してもらうのがコンセプトです。
今回はイシュタル・ファミリアの主神イシュタルがメイン。
毒を持つ美女という形容が似合う女神で、pixivの絵的にはこんな感じです。
それでは、ごゆるりと。
あなたはオラリオ在住の少年冒険者です。
無名なりに地道に鍛え上げ、最近ようやくLv.2に到達できました。
ある【スキル】の存在により、格上の敵と対峙して、倒すまでいかずとも逃げ延びて生還した経験が何度かあります。
それなりの修羅場をくぐり抜け、それなりの経験を積み重ね、恩恵を与えてくれた主神に報いるべく今日も頑張る。
そんな、言ってしまえばオラリオで中の下ぐらいの冒険者の日々を過ごしていたあなたは、ある日、突如として危機に陥ります。
格上と対峙して逃げ延びた要因になったあなたの【スキル】。
それに目をつけた上位派閥のイシュタル・ファミリアが、なんの気まぐれか、あなたをホームに招き入れた……というより、誘拐してしまったのです。
こんな危なっかしい所にいられるかと牢から逃げ出したあなたは、追っ手のアマゾネスたちと逃走劇を繰り広げ、ひとまず振り切るも、道に迷ってしまいます。
今いる廊下の前方には、大広間に続く入り口。
後ろには、先程までアマゾネスたちと追いかけっこを繰り広げた、迷宮じみた通路。
大広間に何が待ち受けているのかはわかりませんが、周囲に何故かアマゾネスたちの気配が無いことから、後戻りするよりマシだとあなたは足を進めます。
ここより先なら監視の目が薄いのかもしれないと踏んで。
もしそうでなかったとしても、どのみち危険を冒さずに大派閥の敵陣から逃げ延びるのは無理だと、綱渡りを行う覚悟を決めて。
あなたは、大広間に足を踏み入れるのでした。
……その先に待っているのが、アマゾネスたち以上の淫らな脅威であるとも知らずに。
* * *
煌々と広間を照らす天井の光源に瞳を焼かれる。
眩しさに顔をしかめた僕は、光に目を慣らしながら周囲を見渡して、まず周囲の装飾が赤系の色で占められていることに気づいた。
階段の蹴り込み板、室内の壁紙、天井から絨毯に至るまで。
一部の内装と、模様に変化を加える桃色を除いて、この大広間の大部分は臙脂色……黒みを帯びた、艶っぽい赤色で満たされている。口紅でよく使われる色が、そのまま部屋の基調を担っている、と言えばわかりやすいか。
情熱的、というより妖艶な赤で彩られた、宮殿を思わせる大広間。
その中心を二分する臙脂色の絨毯に、僕は足を進めた。
絨毯の中心に立ったところで、ふと僕は、左側遠くにある階段に好奇心を持つ。
「……」
臙脂色の絨毯は、僕が目にしている階段に続いている。
大きな階段だ。絨毯の色にあわせて、階段の蹴り込み板も臙脂色に染められていて、妖艶な雰囲気を醸し出している。階段からバルコニーへ、即ち二階へ続く通路は一階にいる僕からそのまま見える吹き抜け構造で、今にも特別な人が二階からやってきそうだ。
例えば……このイシュタル・ファミリアの、それこそ館の麗しい女主人とかが、歓迎の言葉を囁いて、艶めかしくしなを作り、そのまま――
「っ……!!」
絵になる妄想を振り払い、ただちに階段に背を向ける。
あの大階段に行くのはダメだ。いかがわしい事態になる予感しかしない。
脂汗が頬をつたうのを自覚しながら、僕は階段とは真逆の方角にある存在に手を伸ばす。
大きな扉があった。
先程の大階段が館の主人の現れる場所であるならば、この大扉は招かれた来客のための正門といったおもむき。
両開き戸の装飾はそれこそやんごとなき方の住まう城といった豪華さで、どれほどの上客がここを通るのか想像が――
「っ!?」
と、ここで。
扉から入る隙間風の感触に、僕は目を剥いた。
冷たい風だった。経験上、夜の冷えた空気の肌触りに似ている。
いや、似ているどころか……これ、そのままなのでは?
さっきの隙間風は、夜になっている外の空気そのものから由来するものではないか!?
希望の予感に急かされて、僕は額を押し当てて扉の隙間に目を凝らす。
「間違いない。この扉、外に繋がっている……!!」
今までの逃走劇の努力が報われる瞬間に、僕は快哉を覚えた。
細い線ほどしかない隙間から、僕の目はたしかに捉えた。
夜空の黒闇、街灯の光、整備された地面の石畳を。
どれもこれも室内ではあり得ない光景だ。断言していい、この扉の先には外の世界が、僕がずっと探し求めていた出口がある。
しかも。
「鍵は……無い! 開けられる!」
軽く押してみて、両開き戸が施錠されていないことを確認。
というか、鍵を入れる箇所そのものがこの大扉には無い。
このホームが城や宮殿を踏襲しているからだろうか。高貴な人々の屋敷は扉で防犯せず、代わりに城壁や関所で行うイメージがあるが、ここも同じのようだ。
外に出てさえしまえば、レベル2の僕の身体能力であれば、門や塀などの軽い立体物程度なら余裕で飛び移れる範疇。
「よし……よし……!」
脳裏に思い浮かぶ、脱出の具体的な段取り。必要とされる身体操作、走るべき走行ルート。
ようやく逃げられる。脱出できる。帰ることができる。
今まで願ってやまなかったその希望に手をかけるべく、僕が扉を押す、その寸前。
「あれ?」
ここに来る前、黒い長髪のアマゾネスとの戦闘で服を破かれ、露出した僕の男性器。
それが、女性を目にしたわけでも無いのに、硬く勃起しているのを僕は目にする。
その理由。
「待て」
その女にとっては。
その、人智を超越した存在にとっては。
同じ場所に存在する――ただそれだけで、男を惑わすには十分だから。
(……っっっ!?)
たった一声。
字数にして、たった二文字。それだけで。
耳朶を掠めたその艶めかしい声に、僕の挙動は服従し、凝固した。
(動け、ない!?)
身動きが取れない。体が言うことを聞かない。
脳内を満たすのは惑乱と、理由のわからない劣情の起こり。
扉に手を添えて立ち尽くしたまま、僕は後頭部に投げつけられる女の声を聞く。
「惜しいとは思わないのか? イシュタル・ファミリアの……この『私』の私有地に招かれておきながら、女の一人も抱かずに出るだなんて」
カツン、カツン、と足音を響かせながら、その女は立ち尽くす僕の背中に近づいてきた。
絡みつく甘言とともに、徐々に迫りくる濃艶な存在感。
男を破滅に追いやる毒華のような甘い香りが、こっちにおいでと僕に手招きしてくる。
「なに……後ろめたいと思うのなら、無粋な心配だ。体を重ね、快楽に身を委ねることは神聖な行いだ。男が女と交わることは、不浄ではない」
どこがだ、と僕は彼女に内心で毒づいた。
内心でしか、その女に抵抗できなかった。
そして、このままでは内心での抵抗すらままならなくなる予感がある。
背後に近づいてくる淫らな気配。女体を見てもいないのにはちきれんばかりに怒張する肉棒。鼻を掠める匂い立つような色香。
動きたいという意思をしきりに伝えても一向に動こうとしない体が、頭の中の警告信号が、ある人物――いや、神物を思考に浮かび上がらせる。
僕の冒険者の知識で、イシュタル・ファミリアの構成員で、これほど破滅的に男を魅惑できる該当者は……一人しか、いない。
「特に……今回の場合は、特別に……」
しゅるり、と布の擦れる音が響いた。
近く、だった。
「私が、お前を受け止めてやるのだから」
絶世の美貌を誇る褐色の女神が、僕の真後ろで裸身を晒している――
①振り返る。
②逃げろ!!!