本記事は「ずるい女(仮題)」の下書き段階の文章をそのまま投下したものになります。そのため、完成品とは内容が異なる場合がございます。
その点を理解した上でそれでも読みたいという方は、どうぞご覧になってください。
今回の二次創作の題材は、漫画「彼女、お借りします」のメインヒロイン・水原千鶴です。2023年の夏アニメに出ていますね。
前回書いたやつがとびっきり重くてドロドロな話だったので、今回は私の脳を休めるべく、「細かいことを考えずエロいことをしまくる話」にする予定です。
ちなみに執筆するにあたって、この絵をモチーフにしています。
この絵の格好をした水原が和也に迫ってくる、と考えていただければ幸い。
それでは、お楽しみください。
前回の続きからです。
……リクエスト対応を挟んだから、水原小説、ずいぶん間が空いちゃった。
俺が思うに、水原の百ある長所の一つは、開き直ったときの思い切りの良さにある。
え? 残り九十九? 本題じゃないから省略!
思えば旅館で水原と一緒になったときも、撮影旅行のときも、突発的に二人きりの事態になって、だけど水原は冷静だった。
なってしまったものは仕方がない、それよりせっかくの旅行は楽しまなきゃ損だと、事態を受け止め、困惑を後に引かせなかったのだ。
いい意味で開き直れるというか、サッパリしているというか。
落胆や混乱を、長続きさせない。
この思い切りの良さも、突然のトラブルに動揺しない安定感として、水原の強さに直結しているのだと思う。
なので。
今こうして、濡れた上着を派手に宙に放り捨てて、下着姿になって俺に迫ってくる水原も、いい意味で開き直っていると言え――
「――るわけないだろう!? 待て待て待て~!!」
両肩を手で掴みながら、俺は迫ってくる水原に静止を促す。
目の前の甘くて柔らかい存在感に理性がゴリゴリと削られていく!
揺れる豊満な胸、瑞々しい唇、肉の詰まった太もも。水原の魅力の一つ一つが、こぼれるような色香を発しながら俺に迫ってくる。
呑まれる! 抱きしめたくなる! 理性を捨ててしまいたくなる!
「私のこと……嫌?♡♡♡♡♡」
その聞き方は、ちょっとズルいだろ~!!
小首をかしげて、濡れた瞳で、殺し文句で俺の理性をヤスリのように削ってくる水原に、必死で俺は抗った。
「待てって水原! お前、ヤケになってるだろ! 明らかに今のお前はテンションがおかしい!」
「そりゃ、そうよ。今の私は傷心中なのよ? だったら彼氏のあなたには、やるべきことがあるんじゃないの? ふふっ♡」
「なんでちょっと楽しそうなんだよぅ! 第一、水原はレン――」
途中で言葉を遮られる。
レンタル彼女、と言い切る前に、唇を重ねられる。
「んんんんん~~~~~~~~っ♡♡♡♡♡」
「んむううーーーーーーっ!!?♡♡♡♡♡」
息を塞ぐ柔らかな感触が、俺の思考をピンク色に染めた。
一億点のかわいさの美貌が俺の視界を制圧する。
同時に水原は腕を俺の背中に巻き付いてきて、その官能的な躰で無遠慮に俺にしなだれかかってきた。
柔らかい! のしかかってくる水原の体が、心地いい!
宙を泳ぐ俺の手が痙攣する。抱き返したい衝動がモロに出る!
「ぷはっ」
水原が唇を離した。
その時には、俺は顔を真っ赤にして、両腕を水原の腰に回していて、触れるか触れないかの距離をギリギリ保っていた。あと少しで抱き返す所だった。
信じられない体験をしてしまった余韻で、目がぐるぐる回る。
顔が熱くて。唇も熱くて。頭がクラクラして、思考が真っ白で――
「どうして、抱き返してくれないの?」
不安げな声でそう聞かれた瞬間、ぞっと湧いた危機感から俺は我に返った。
「もしかして……本気で、嫌がってた?」
「それはない! それだけは絶対にない! すごく嬉しい!」
「っ……あ、ありがと」
頬を染めて顔をそむけた水原を見て、ホッと俺は胸をなでおろす。
よかった、誤解を防げて。水原の体が俺にとって魅力的じゃないなんて、ましてや俺が水原を嫌がるだなんて、死んでもそんな誤解されたくない。
もちろん水原の性格が彼女の中で最も魅力的なのは言うまでもない。が、それはそれとして、水原の躰が色っぽいのも確かだ。
実際、こうして水原を間近にして、俺が理性を保つのにどれだけ苦労していることか。
だが、それはそれとして、やっぱり勢い任せに淫らなことをするのは問題だ。
「俺が怖いのは……投げやりというか、捨て鉢というか。とにかく、そういう形で、そういうことをヤッたら、水原が後で後悔するんじゃないかって」
湧き上がる欲求を抑えこみながら、俺は水原に後戻りを促す。
手を回せばすぐにでも抱きしめられる近さに水原の熱があって、それでも欲望に身を委ねないのは、ひとえに後が怖いから。
臆病と言われればそれまでだけど、それでも俺からは踏み出せない。
俺が並べたそんな御託に対して、水原は、
「しないわよ。あなたが相手なら」
あっけらかんとした様子で、後悔の可能性を一蹴した。
「だって、あなたが私を心の底から大切にしてくれる人だっていうことは、もうわかりきっているもの。そこは信頼してる」
いつも通りの泰然とした表情で、しれっと、水原は断言した。
当たり前のように信頼を語る水原に、俺は言葉を失った。
水原の心の芯に俺の存在が僅かながらあることが嬉しくて、思わずジーンと感じ入ってしまっていた俺は、
「けど……今は、そういうのはいらない」
突如、目元に影を宿した水原に、「えっ」と虚を突かれた。
「いい人ぶらないでよ。私が良いって、許可してるんだから」
そっと、首に水原の腕が回される。
彼女の唇が、悩ましげに艶めいている。
吸い寄せられるような色香に、頭がクラクラする。
「今の私は、そういうことをしたい気分なの。されたい気分なのよ」
言葉を区切り、水原は唇を窄めた。
物欲しそうに目を閉じて待つ水原の美貌に、その色香に、俺は自分の鼓動が早まっていくのがわかった。
脳裏に、かつて八重森さんに言われた「女にも性欲はある」という言葉が蘇る。
水原の背に回しておきながら触れずにいた腕で、ついに俺は水原に触れてしまう。
そっと抱く。
指の腹に、柔肌がしっとりと吸い付く。
理性の働きが弱まっている。
お膳立てされすぎた。
なにより俺の下半身も、俺自身も――限界だった。
「「――――ん♡」」
唇同士が、そっと重なった。
静かな着地。キスと同時に、お互いに肉体を抱きしめあって、密着を深めていく。
水原の体は柔らかくて、大きな胸がたわんで、いい匂いで、幸福感がすごくて……だけど、危ういほどに冷たかった。
結局、勢いに負けて水原と抱き合ってしまったが、今からでも水原は風呂に入って体を温めたほうが――と俺が思いかけたとき。
「ぷは♡ ……ちょっと。まだ私のこと気遣っているんじゃないでしょうね?」
キス直後、ジト目の水原に心中を看破され、「いっ!?」と俺は驚倒した。
やっぱり今の水原、エロいけど、同時になんか怖い!
彼女の周囲にゴゴゴと漂う圧が、俺にそう思わせた。