本記事は、「猿の惑星・ただし僕が猿になる(仮題)」の下書き段階の文章をそのまま投下したものになります。そのため、完成品とは内容が異なる場合がございます。
その点を理解した上でそれでも読みたいという方は、どうぞご覧になってください。
今回の二次創作の題材は、ありません。オリジナルです。
……いや、完全にオリジナルとは言えないかも。
なぜなら、自分へのお題としてpixivに載っているAI生成の画像をひとつ選んで、その画像を頭の中で妄想して展開を練っているので。
とりあえず、妄想元となった作品はこちらになります。
前回の続きからです。
結論から言って、着地ガチャの結果は最高だった。
手に持ったリンゴのような果実をシャリっとかじりながら、僕は芝生に寝そべっている。
横目で果肉たっぷりの果実が実った木々を眺めながら、僕は呟いた。
「一生分の運を使い果たした気分って、こういう事を言うのな」
食料がある。水も、海水を濾過した真水を確保済みだ。
僕は見事に大当たりを引き当てることができたのだ。
ここまでの経緯を振り返る。
海上に着水した脱出用ポッドのハッチを開けると、およそ七十五メートルほど先の距離に小島を目視できた。
最初、泳いで行こうかと考えたけど、海の深さがギリギリ足がつく程度だったので、大荷物を運ぶ体力的余裕があると判断。
ポッドを後ろから押しながら陸地に泳いで到達し、ポッド内蔵のサバイバルキットを用いて焚き火と最低限の水を確保。
ひとまず即時に確保できる食料は無いかと島をざっと見て、探すまでもなく島中が果実の木々だらけということを知って、今に至る。
「順調すぎて、怖いくらいだ……もぐもぐ」
咀嚼しながら、次に食べる実として桃に似た実を木からもぎ取る。
トラブルを期待するわけではないが、こうも都合が良すぎるとどうも勘ぐってしまう。警戒するべきことはなにか無いのかと。
例えば、木の実が存在するのなら、実を食する他の野生動物がいて、その動物と取り合いになったりしないか、とか。
他にも、自分の持ち物を珍しがった現地の異星人に、泥棒にでも入られないか、とか。
「……不安になってきた」
呑気している場合ではないかも、という胸騒ぎが僕を行動に駆り立てる。
果実の芯を適当に地面に捨て、僕はとある大木に向かった。
横に大きく伸びた枝が特徴的な大木で、それは日当たりの大変よろしい場所にあった。
天然の物干し竿として最適なそれに、この島に到達するまでの着衣水泳で濡れた服を僕は干していたのだ。
時間的にそろそろ服が乾いている頃だろうと、期待した僕の目に飛び込んできたのは――
「は!? 服が、服が溶けてる!?」
シュー、と服の繊維が煙を上げながら、溶けていた。
まるで、強酸を持つスライムに咀嚼されたかのように。
ここに来るまでの衣服が、ばらばらに溶けて、使い物にならないボロキレと化してしまった。
言及していなかったが、今の僕は裸だ。
どうせ僕以外にこの島には誰もいないし、服なら乾いた後で着ればいいと、高をくくっていたのだ。
その思惑が崩れた。地球の法則に無いことが異星で起こりうることは覚悟していたつもりだったが、まさか衣服が溶けるとは。
この星の大気や日光には、繊維に有害な成分でもあるのか?
と思いながら、僕がばらばらになった衣服のかけらを手に取った、そのとき。
ピーピー! ピーピー! ピーピー!
「ッ!?」
浜辺の方角から、携帯のアラームらしき音。
けたたましい響きに耳朶を打たれ、即座に僕は芝生を蹴る。
ここに人がいる? 僕と同じ地球人? それとも異星人?
どちらにせよ見逃す手は無いと、芝生を抜けて砂浜を踏み鳴らす。
足跡を刻みながら、音がする地点に到達した。
しかし軽く見渡したところ、周囲には一見なにも無い。
ただ、すぐに音が地面の中から聞こえていることに気づき、僕はすぐさま両手で砂浜を掘り起こして、音源を見つける。
手にとって持ったそれは、タブレット端末だ。
液晶画面が黒く煤けていて、見える部分が少ない。
やはり、ここには地球人が訪れたことがあるのだろうか?
疑問は脇において、ひとまず中を見ようと僕はアラーム停止のボタンをタッチする。
幸いロックはかかっていないようで、手間取ることなく次の画面を見ることができた。
未送信のメールが表示される。
* * *
件名:調査結果メモ
for:――――――
to:――――――
搾―惑星3983
危険度:A(男性限定)
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――――大気には、皮脂のついた衣服を溶かす成分が含まれており、この星に着いた男は裸でいることを強いられる。
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彼女らは個の意識が地球人に比べると希薄で、虫の価値観に近い。全体の存続を第一として――――ゆえに結束が強く――――
――――――――
――――外見を来訪者の理想を汲み取り、――――
――――決してその色香に絆されてはならない。
一度でも――――帰れなくなる――――
* * *
どうやらデータのほとんどが壊れているようだ。
液晶の破損とも相まって、読めない部分が多い。
とりあえず、大気が衣服を溶かす、という特徴が描かれていることを見る限り、この文章は僕がいるこの惑星を指したものではあるようだが。
僅かな可読部分から、この惑星が男性にとって危険な星だということは伺える。そして「彼女ら」という代名詞から、この星の者が女性型であると察せられる。
そして、タッチ操作で画面を下げて、続きを読んでいくと。
「……げっ!?」
非常に都合の悪い情報が目に飛び込んで、僕は顔をしかめた。
直後、端末の液晶がブラックアウトする。電池切れか。
だけど、目にした情報は今更なかったことにはならない。
もっと早く知りたかったと、後悔ととも血の気が引く。
* * *
また、現地には地球で見かけるものに酷似した果実が実っているが、食してはならない。
遅効性で極めて強い―――があり――――
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――――――――
* * *
「まさか、毒物か!?」
空腹のあまり、これ幸いとばかりにぱくぱく食べてしまった果実。
その恐るべき可能性に愕然とし、僕は額を押さえた。
メモの可読部分に限って言うなら、厳密には、あれらの果実が毒だとはまだ断言されていない。
しかし、それはなんの気休めにもならない。
僕は果実を食べてしまった。胃の中に入れてしまった。
遅効性で、極めて強い、なんらかの効果が現れる。
手遅れ、という言葉が真っ先に脳裏に浮かんで。
吐き出せばまだ間に合うかもしれない! と、その後ろ向きな考えを無理やり修正する。
適当なトイレに行こうと後ろに振り返って、「いや落ち着け! ここは地球じゃないからトイレなんて無い!」と、早とちりする自分を諫める。
本来そうするはずだった僕の、後ろに振り返った、その行動の段階で。
「――――え」
一体、いつからいたのか。
どこからやってきたのか。
「―――――」
僕の目の前に、裸の美女がいた。