本記事は、「もしもぎゃる☆がんがR18だったら 後編(仮題)」の下書き段階の文章をそのまま投下したものになります。そのため、完成品とは内容が異なる場合がございます。
その点を理解した上でそれでも読みたいという方は、どうぞご覧になってください。
今回の二次創作の題材は、「ぎゃる☆がん」という、ガンシューティングとギャルゲーが悪魔合体したみょーちきりんなゲームシリーズです。
特定のヒロインに着目するのではなく、ゲームのシチュエーションそのものを題材とする感じでいきます。
前回の続きからです。
……どうしよう、次の作品、ノープラン。5・7・5。
「はわわわわ……とんでもないことになってしまいました!」
校内の見目麗しい美女美少女の人波に呑まれる少年を、一人の見習い天使が慌てた目で見つめていた。
えころだ。このハーレム騒動の引き金を引いた全ての元凶。
天使の羽をパタパタはためかせて、意味もなくその場をぐるぐる回る。
「このままでは、あの方はその場の勢いに流されて、好きでもない方と結ばれて後が大変なことに~!」
その程度で済む規模の事態ではない――という発想が無いのは、えころがまだ天使として見習いの身ゆえか。
半人前天使の見通しの甘さはさておき。
超満員な女子の肉牢獄から聞こえる少年の蕩けた悲鳴が、えころの心を「責任」という名の重圧で掻きむしる。
激しいキスの音、腰と腰の打ちあう音、擦れ合う肌の音が、少年を捕食するかのごとく鳴り響いていた。
このまま放置すれば、間違いなくあの少年は永遠に正気を失い、女に溺れるエロ魔人と化してしまうだろう。
そうなったら、元凶であるえころはどうなるのか?
上役である女神は、えころにどんな処罰を下すのか?
エリート天使を自称するえころの今後のキャリアに、挽回不可能なまでの致命的ダメージが――
「ひいいいっ!! そ、そんなの嫌です! なんとかしなければ~!!」
パニックになって目をぐるぐる回しながら、えころは懐からなにかを取り出す。
銃だ。ピンクのハートの装飾が施された、ポップなデザインの銃。
その銃を二つ、両手に一丁ずつ。いわゆる二丁拳銃の構えで、えころは羽根で宙に浮きながら人波の中心に狙いを定める。
美女美少女にもみくちゃにされている少年に射線を重ねる。
えころの本来の仕事は、天使の矢を正しく用いることで、あの少年の恋愛を正常な形で叶えてやることだ。
今のとっかえひっかえエロエロハーレムは誰がどう見ても正常ではない。日本という国で一夫多妻は常識の欄外だ。
モテスギ状態は、天使の矢のパワーを強くしすぎた不手際ゆえに起こっている。ならば理屈の上では、パワーを適量だけ減らしてやれば。
少年はモテスギから開放される。
一対一で、正常な形で異性と付き合える。
ついでにえころも、自分の失態を有耶無耶にすることができる。
「ふふふ…………はっ! い、いきますよぉ~~~~!!」
一瞬だけ我欲を漏らして、いかんいかんとえころは気を取り直す。
二丁の銃に、天使の矢のエネルギーを充填開始。
ほわんほわんという、どこか気の抜ける音を伴いながら、銃身の安全器にあるハート型の装飾が淡く光りだす。
エネルギーの熱と光輝が増していくにつれ、空気に圧迫感が増し、銃を握るえころの両手に手汗が滲んで。
輝きが最高潮に達し、さあ今こそ溜まったエネルギーを開放せんとえころが二丁拳銃のトリガーを引いたとき――
「あっ! パワーの調整器が、マイナスじゃなくてプラスに!? あ、あああああああ!!?」
もう聞いただけでミスしたとわかる声。
えころは、またしても間違えた。
既に引き金は引かれた後。手遅れ。
えころの二丁拳銃から弾丸にあたるピンク色のエネルギー弾が発射され、少年がいる人混みの中心部に着弾し――
ちゅど~~~~~ん!!
もくもくもくもくもく……。
と、煙幕じみたピンクの煙が人混み全域を呑み込んでしまった。
「わ、わたしは……とんでもないことに、さらにとんでもないことを重ねがけしてしまいました……!
顔面蒼白になりながら、自分のしでかしたことにえころは震える。
ただでさえ今でも少年はモテスギていて困っていたところに、えころは天使の矢でさらにモテモテを助長してしまった。
失態を挽回するどころか、事態を更に悪化させてしまったのだ。
少年の過剰モテモテをパワーダウンさせるつもりが、アップさせてしまった。
この後、ピンクの煙が晴れたらどうなるのか。
少年は、今まで以上の性的な責めを美女美少女から受けてしまうのか。
それとも、集約されたモテ期がさらに凝縮された結果、モテ期自体の時間も短くなって、ハーレムが終わって、少年は生涯童貞となってしまうのか。
どう転ぶにせよ、どう考えても、大失敗を犯したえころに待ち受けている未来は悲惨なものにしか見えなくて。
「あ、あはははは……っ!!」
なのでえころは、もう諦めることにした。
なにもかもどうでもいいと開き直った。
「わたしは~♪ なにも~♪ 見なかった~♪」
やけくそな歌を口ずさみながら羽をパタパタはためかせ、窓を開けてえころはどこへなりと飛び去っていく。
校舎内に充満したピンクの煙幕に背を向ける。上空に飛んで、遠くなった校舎を最後に一瞥する。
「まっ! あの少年は今日中に彼女ができないと生涯誰とも交際できないわけですし。いっそ、このままハーレムを放置した方が却って少年にとって良いでしょう」
勢いに流されて、好きでもない女子と交際するなら、もうそれは仕方ない。
少年にとって、一生恋人ができないよりはずっと良い――と。
失態を正当化する言い訳を最後に、えころの姿は地上から見てどんどん小さくなって、やがて夕焼けに溶け込んで消えてしまった。
この騒動を収めることのできる唯一のキーパーソンが、逃げた。
沈みかけの太陽の淡い茜色が、皮肉なまでに美しく煌めいていた。
◆To Be Continued