本記事は、「こうして俺は追う恋より追われる恋に陥落した(仮題)」の下書き段階の文章をそのまま投下したものになります。そのため、完成品とは内容が異なる場合がございます。
その点を理解した上でそれでも読みたいという方は、どうぞご覧になってください。
はじめて、ヒロインの台詞も含めた完全な形での二次創作小説に挑戦しています。
題材は「彼女、お借りします」の更科瑠夏。
前回の続きからとなります。
「ん?」
そのとき、チョン、と。
なにかの感触が、背中をかすめた。
* * *
風、だろうか? それとも衣服が擦れた?
今しがた、背中に触れた謎の感触。俺はそれを偶然で片付けようとして――
すりすり……さわさわ……
「ッ!」
――しかし、偶然なんかじゃないとすぐに思い知らされる。
背中に加えて、右肩も触られる。服越しに、確かな感触で。
風などでは断じてあり得ない、しっとりと密着して擦る、柔らかくて温かみのある、女子の柔肌の存在感。
「…………和也…君……?」
「~~~~~~ッ!!?」
なにやってんの、瑠夏ちゃん~~~~!?
間違いない。横になって寝る俺の背中側、真後ろに瑠夏ちゃんがいる。息遣いを肌で感じる。
添い寝。夜這い。寝込みを襲われる。そんな淫らな表現が脳内でグルグルして、瑠夏ちゃんと点と点で繋がった。
後ろにある妖艶な気配に、飛びつきたくてたまらない。そんな衝動を俺は歯を食いしばって必死に堪えた。
「和也君……聞いてる……?」
瑠夏ちゃんの左腕が、ぎゅっと、俺のお腹に回される。
片腕で、軽く抱きつかれる。甘い吐息が首筋にかかる。
脳裏によぎる、淫らなイメージ。正面から抱き合って、濡れた瞳と見つめ合いながら、互いに唇を貪欲に貪り合う。
淫らな喘ぎ声を、豊満な肉を、今なら瑠夏ちゃんといくらでも貪り合える――そんな本能の叫びを、俺は全力で拒んだ!
ダメだ、俺が好きなのは水原だ!
「覚えてますか? ホテルで言ったこと」
必死に我慢する俺の鼓膜を、瑠夏ちゃんの囁きが絡め取る。
唇から届く声色までも艶めかしくて、思考が溶けそうで。
――私は、覚悟できてますから!
それでも脳裏によぎる、あのとき瑠夏ちゃんがホテルで言ったこと。
覚悟はできている。
つまり、瑠夏ちゃんはOK。
あとは、俺が頷いてさえしまえば。
「分かってるんです。あんなこと言ったって、私には和也君の求める魅力はないんだって」
耳元に届く瑠夏ちゃんの声は、震えていた。
自信なさげに。悲しみの感情が声色に見え隠れしていて。
「千鶴さんみたいに大人の女じゃないし。たぶん色気もないから、きっと和也君には、ガキが背伸びしてるようにしか見えなくて……」
それだけは絶対に違う!
色気がない? とんでもない!
真後ろの艶めかしすぎる存在感が、俺を好いてくれている事実に、俺がどれほど嬉しさを覚えて、それをこらえるのに苦心しているか!
「~~~~……ッ、くっ!」
俺は振り返って、背後の瑠夏ちゃんを床に組み伏せた!
「あっ……えっ?」
戸惑いを見せる瑠夏ちゃんに、俺は向かい合う。正面から話すために。
視線を合わせる……ことは恥ずかしすぎてできない。
「魅力が、ないわけねぇじゃん!」
思いの丈をぶつける。
「俺、めちゃくちゃやりたいと思ってるよ。るかちゃん、めちゃめちゃかわいいし。今こうしてる間だって爆発寸前で……あの……………………」
途中で、俺は言葉を詰まらせてしまった。
このあとに続けるはずだった、瑠夏ちゃんを傷つけないようにやんわりと断るはずの言葉が、喉を通らない。
頭がピンクの靄で埋め尽くされて、単語が脳内に出て来ない。
だって、間近で見る瑠夏ちゃんが、あまりにも魅惑的すぎて。
夜に輝く潤んだ瞳は吸い寄せられるように綺麗で、唇は艷があってキスしたらとても気持ちよさそうで。
顔から目をそらしても、首の鎖骨、ふっくらした胸、張りのある柔肌がどうしても目について、もう理性が限界に来ていて。
動けない。なにも言えない。身じろぎ一つするだけで、即座に俺の方から瑠夏ちゃんに溺れてしまいそうな、そんな予感があった。
だったら動かない。なにかしたら瑠夏ちゃんに溺れるのならば、なにもしない。
それが、俺が水原への想いを守る、せめてもの抵抗だった。
だけど、俺から動かなくても、瑠夏ちゃんの方から近寄ってくるのなら同じことで。
「……和也、く、ん…………♡」
「~~~~~ッ……!!」
瑠夏ちゃんが、俺の首の後ろに手を回してくる。
ゆっくりと俺の顔を引き寄せて、唇同士の距離を縮めてくる。
拒めない。抗えない。覚悟の準備が足りていない。
瑠夏ちゃんが可愛すぎる。このまま溺れたくてたまらない。
息のかかる至近まで唇を迫らせた時点で、瑠夏ちゃんは目を閉じた。
口をすぼめて、目を閉じた状態のまま、
「「んっ――♡」」
唇を、俺は瑠夏ちゃんに奪われてしまった。
◆To Be Continued