本記事は、「冒色の性夢EX 時間切れゲームオーバールート」の下書き段階の文章をそのまま投下したものになります。そのため、完成品とは内容が異なる場合がございます。
その点を理解した上でそれでも読みたいという方は、どうぞご覧になってください。
本編時間軸の中では冒色の性夢-05 プールサイドに巨乳スク水妹と同じころになります。
ボンバーマンというゲームをご存知だろうか?
平たく言うと、爆弾を用いて敵をやっつけるアクションゲームのことだ。
このゲームには最大4人で行える対戦モードがあり、その対戦に時間制限を設けることができるのだが、その時間制限の演出が凝っている。
他のゲームではなかなか類を見ない演出が見られる。
時間切れ間近になると、ステージを埋め尽くさんばかりの大量のブロックが降り注いで、生き残っているプレイヤーを圧死させにかかってくるのだ。
時間切れの引き分けなど許さない、勝者となる最後の一人をのぞいて鏖殺だ――そんな、ゲーム側の意志を強く感じさせてくる。
以上の例に限らず、この手のゲームでは時間切れが近くなると、プレイヤーを急かしにかかる警告の演出が出るのが常道だ。
なんの変化もなく怠惰にマンネリ化し続ける状況を、釘バットを片手に力づくで叩き潰してくるゲームクラッシャー。
……釘バットはものの例えだが、長く一箇所で停滞する者にペナルティを与えてくる者が、この淫夢の世界にも存在することを、
僕が、まだ知らなかったころ。
累計5ステージ目、プールサイドステージ。
もし僕が、誘惑美女に遭いたくないばかりに進むのをやめて、ずーっと一箇所に留まって怠惰に休み続けていたら。
今回は、そんな「もしも」のルートを描いたお話である。
* * *
柔らかい材質の床板に、塩素混じりの水が染み込む。
人が転んでも大怪我に繋がりにくい安心感のある柔い床が、直方体状の人工的な池をぐるりと囲んでいた。
左右と天井にはガラス張りの壁。池を、もといプールを外界から隔てていて、しかし日光の侵入は許している。
差し込む光が夏を想起させ、さらに自分以外誰もいないという状況が貸し切りという贅沢な単語をも連想させる、開放的でさわやかなプールサイド。
思わず体がうずうずしてプールに飛び込んでしまいたくなる、そんな衝動を誘ってくるキラキラしたこの場所で。
裸の少年が、ぐったりと座り込んでダウンしていた。僕だ。
「ううう。まだ体がムズムズするなぁ」
脇の下、首筋、背筋、あらゆる体の箇所がむず痒い。
僕は両腕を抱きしめるようにして座り込み続けていた。
今の体調では、とても満足に立って歩ける気がしない。
現時点より少し前、僕は四人目の誘惑美女からの誘惑を切り抜けたのだが、そのときから時間経過と共に僕の体に変調が出た。
空気のゆらぎにもむず痒さを覚えるほど、敏感肌になっていたのだ。
「つ、つらい……!」
全身を軽く愛撫されているような違和感に、僕は悩まされる。
こんな、感度が上がりに上がりきった状態の自分の肌で、もし艶めかしい女体と濃密に密着でもしようものなら。
たちまち快楽の虜になり、理性があっという間に吹き飛んで、誘惑に負けて肉欲に溺れてしまうことは想像に容易い。
なので、今の僕がなにをしているかというと、時間経過で敏感肌が和らぐ可能性に賭けて休んでいるのだ。
この淫夢の世界に来てから、前進をやめて一箇所に留まって休み続ける、というのは今回が初めての試みだ。
前回の誘惑からの間隔から鑑みるに、次のステージあたりで誘惑美女が待ち伏せている予感がする。
すぐ近くにある、次のステージへの入り口となる自動ドアが、今の僕には
地獄の門に思えてならない。
ここはすぐに次のステージに行かず、体調が万全になるまでじっとしているのが正解。
そう判断して、僕は座ったまま動かずに休んでいて。
ふと、こんな考えがよぎった。
「あれ? このまま、誘惑の前にたっぷり休めば、ヌルゲーになるんじゃ?」
およそ正攻法とはいえない、裏技じみた悪企み。
前の誘惑美女からの誘惑を受けてから、次の誘惑美女に会うまでは、一定のインターバルが存在する。
というか、インターバルを構築するための、誘惑美女がいない一種の安全地帯がこの淫夢の世界にはいくつか点在する。
僕が今いる、誰もいないプールサイドもその安全地帯のうちの一つだろう。
そんな安全地帯を、ただ通り過ぎるのではなく、欲情や敏感肌を時間経過で治す回復スポットとして利用するのはどうか。
治らぬなら、治るまで待とう、ホトトギス。
前の戦いの負担を、次の戦いに持ち込ませない作戦。
「なんか、RPGのボス戦直前に都合よく置いてある完全回復クリスタルを使うみたいな感じだな。……うーむ」
ちょっとズルい気がして、僕は少し考え込んだ。
だが結局は、現実世界に帰ることを最優先とする目的意識が、ズルを使うことへの後ろめたさを上回った。
自分は完璧超人ではなく凡人だ。
できることは限られている。付け入る隙を見つけたのなら逃さず突くべき。
「……よし、この際おもいっきり休んじゃおう! どっこいしょっと」
僕はプールサイドの柔い床に横になった。
寝そべって、目を閉じて、本格的に眠りにかかる。
誰もいない場所をさっさと通り過ぎるのではなく、休憩場所としてフル活用する。
その奸計を実行に移した僕は、懸念すべき事項を無視してしまっていた。
この淫夢の世界に、ひとつのステージに留まれる時間に制限がある可能性を。
いつまでも進まずにいたら、淫夢の世界の主の怒りを買う危険性を。
なんら警戒しないまま、惰眠をむさぼることを自分の中で正当化し、僕は意識を闇に沈めてしまったのだ……。