この作品は「冒色の性夢-13 ラストステージに五つ子 前編」の、主人公が誘惑に流されてしまった場合のIFルートも全て含めた完全版となります。
五等分の花嫁のタグがあるのは、今回登場する女の子の外見のモデルになったからです。あくまで外見だけを参考にしているので、人格や話し方といった他の要素は取り入れてません。ご了承ください。
五等分の花嫁のヒロインってどんな娘たち? って方は参考までにこちらをご覧いただければ。
あまりにボリュームが多くなりすぎたので、いくつか別々の記事に分けていきます。
それでは、ごゆるりと……。
勝利条件:
勇者が淫夢の世界から脱出すること
敗北条件:
射精。一度でも出したらアウト。
射精→理性崩壊=現実世界への帰還が不可能に。
特殊条件:
サキュバス側から勇者を能動的に射精させることは無い。
勇者は射精したい場合、自分から女体に溺れなければならない。
↑勇者が作為的に女の子とキスすると、女の子はルールの縛りから解き放たれる。勇者が女の子からのキスをわざと避けなかった場合も同様。
他に判明している情報:
・この淫夢の世界に出る女子の容姿は、勇者が見聞きした創作物のキャラクターの外見を借りた偶像である。外見だけ借りているので中身は元の創作物通りではない。
・全部で13回の誘惑をかわせば淫夢は終わる。あと1回!
ここは、クイーンサキュバスが作り出した淫夢の世界。
美女の官能をもって、男を堕落に誘う甘い罠の世界。
特筆すべきこの世界の特徴は、出現する誘惑美女が男の見聞きした創作物からキャラの外見を写し取ってくること。
画面越しや紙媒体とは違う、物理的な肌艶、匂い、温かみをもって、二次元の美女が妖艶に迫ってくるのだ。
ある意味おっそろしすぎる、危険極まりない淫らな世界。
そこに平凡な男子高校生の僕は、クイーンサキュバスの手違いによって招かれてしまった――
この全ての始まりより過去に、時はさかのぼる。
五つ子の美少女が出てくる、とあるラブコメ漫画があった。
主人公は勉強のできる、貧乏な男子高校生。
日銭を稼ぐ目的で家庭教師のバイトを受けたのをきっかけに、落第寸前の五つ子美少女と出会い、交友を深める話だ。
連載初期の頃、正直に言って僕はその漫画をナメていた。
当時、六つ子が出てくるギャグアニメが一大ブームを起こしていて、それにあやかった二番煎じだと食わず嫌いを起こしていたのだ。
とんでもない。
実際に読むと、それは面白さの爆弾だった。
五つ子という設定をフルに生かした姉妹間の類似と差異の魅力。
慣れない女子との交友に苦悩しながらも成長していく主人公。
なにより作者の優れた画力で描かれる五つ子は、嬉しいことに、全員が巨乳の美少女!
思春期男子の憧憬を具現化した魅力的な絵とキャラとストーリーをもって、五つ子のラブコメは漫画として成功のスターダムをのし上がった。
当然ながらアニメ化した。一期で終わらず、二期もやった。
淫夢の世界に僕が来る直前の時点では、たしか映画化も決まっていたはずだ。
僕が知りうる限り、今一番熱い、最大にして最強のラブコメ漫画。
そして繰り返すが、淫夢の世界で誘惑美女は男の知る創作物からキャラの容姿を写し取って現れる。
今まで僕が歩んだ淫夢の世界での道のりで、もし五つ子漫画のヒロインが誘惑美女として現れていたら、苦戦は免れなかっただろう。
だが、今までの十二回の誘惑のうち、五つ子はついに一度も現れなかった。
それに、その十二回の誘惑美女たちは誰も彼も、五つ子と同等以上の美女ぞろいだった。
僕は五つ子が淫夢の世界に現れないことに、今まで疑問を感じることは無かったし、そんな余裕も無かった。
なので、僕は予想だにしなかったのだ。
まさか――
「ちょ、まっ! いくらなんでも多勢に無勢! やめてやめて! わあああッ!?」
ラスボスが例の五つ子で、あんなエゲツない戦略を取ってくるなんて――!
* * *
屋上で休み始めてから、体感で二十分前後が経過したころ。
そろそろラスボスのもとに向かわないとマズイと感じ、僕は重い腰を硬い床から上げた。
あと一回。あと一回の誘惑を乗り切れば、現実世界に帰れる。
心の準備は休憩中に済ませた。あとは勝つだけだ。
階段を下っていく。第一体育館までの距離を徒歩により少しずつ縮めていく。
積み重ねた十二回の勝利はもう振り返らない。
過去の栄光はすがるものじゃない。次に活かすためのものだ。
階段を降りていく都合上、僕の視線は転ばないよう足元に向き、その際にちらちらと下腹部の自分の分身が視界に入る。
肉棒は固く反り立って、異性との濃い接触を望む。性欲の我慢が効かない暴走状態を欲情率一〇〇%と呼ぶなら、今はざっと四〇%か。
万全の状態とは言えないが、致し方ない。
今までの誘惑によって性欲は溜まりに溜まっている。たかが数十分の休憩で淀みが抜けたら苦労は無い。
欲情率ゼロでラスボスと対峙したかったのは山々だが、休憩の取りすぎにはペナルティがある。これ以上の遅れは許されない。
階段を下って、僕は一階の廊下に出る。
「ッ! 誰かいる」
通路の角から頭だけ出して、こちらの様子をうかがう二人の少女を見つけた。
ひとりは頭にうさ耳のようなリボンをつけた、明るい雰囲気の女の子。
もうひとりは左右に星の髪飾りをつけた、落ち着いた物腰の女の子だ。
どちらも遠目から見ただけで美少女とわかる愛らしい顔立ちをしている。僕は警戒のレベルを一段階ひき上げて――
「あ。逃げた」
こちらが見つけるや否や、二人は通路の角に引っ込んだ。
遠ざかる足音を聞きながら、僕は緊張を解く。
ラストステージたる第一体育館に僕が到着していない以上、誘惑をしかけるのはまだ早いということか。
その推測を裏付けるように、二人の少女が逃げた方向は僕が目指している第一体育館と同じだった。
二人の期待に応えるためではなく、あくまで自分が現実世界に帰るという初志貫徹のため、僕は前へ進んでいく。
* * *
目的地の第一体育館、その出入り口前に到着した。
今、僕は三つの鍵穴がついた扉をざっと一通り調べている。
「ふぅ。細工とか、新しく誰か入った形跡は無いな」
というか、あったとしても僕に気づけるだろうか。
僕は平凡な男子高校生だ。警察の監察官じゃない。
扉を見ただけで痕跡が何を示すかなんてわかりようもない。先ほどの二人が体育館にいるかどうかは、入って確かめるしかないのだ。
怖気づいて扉に入らない言い訳を探すのは、ここまで。
相手はラスボス。臆病になって当然。
だがこれ以上は躊躇しても仕方ない。
僕は今まで手に入れた三つの鍵を鍵穴に差し込んだ。
カチリ、カチリ、カチリ、と三回。鍵が開く音を聞く。
開閉を阻害するモノが無くなった両開きドアを左右に開け、ついに僕はラストステージたる第一体育館に足を踏み入れた。
短い廊下を通って、広い講堂内に出る。
「――――」
窓からこぼれる光を反射する木製の床のフローリング。
バスケコートが描かれた白いラインテープ。
演劇や表彰式といった用途で使われる壇上も、扉の隙間から備品類が見える体育倉庫も。
すべて、学生である僕の知る雰囲気と同質。
間違いなく、ここは学校の体育館だと断言できる。
ただ、備品の後片付けが終わった綺麗な体育館、というわけではなさそうだ。
壇上とは逆側――僕が今いる出入口の所に、柔道用の畳が一式、規則正しく敷かれていた。
館内のおよそ四分の一を埋める畳のカーペットは、柔道家が二人いればすぐにでも柔道の試合を始められそうだ。
そして、もうひとつ。
畳の上を通過して壇上に上ると、見慣れないモノが僕の目についた。
体育館の雰囲気にそぐわない、明らかに異質なものがある。
壇上の中心に、白のラインテープで奇妙なものが描かれていた。
円の中に六芒星が描かれた魔方陣だ。
「なにこれ……もしかして、出口か?」
現実世界に帰れるかもしれないという淡い期待から、僕はものは試しにと陣の内側を右足で踏んでみた。
だが、なにも起きない。陣の中心に立ってしばらく待ってみても、返ってくるのは静寂のみ。魔法的な現象など起きない。
「偽物? それとも、何か発動条件でもあるのか……?」
ラスボスとの遭遇を回避してエンディング、という都合のいい話はさすがに無いようだ。
ただ、今は起動しないだけで、将来的にこの魔法陣が出口になるのなら、事前に場所を把握できたことの意味は大きい。
僕は魔法陣について現時点では保留にし、館内の探索を続行していく。
* * *
柔道畳の裏側をすべて調べようとして、五つの畳をひっくり返したところで面倒になってやめた。
探索を続ける最中で退屈を感じ、今の僕は消去法的に、誘惑美女について考察する。
「ここに来る前に会った、二人の女の子がラスボス……なのか?」
年の頃にして、僕と同年代の女子高生みたいだった。
一目見ただけで美少女とわかる、可愛いらしい顔立ちだった。
ただ、ラスボスという大役にしては二番煎じな気がする。女子高生二人がかりは学校ステージで二回も経験済みだ。
ちなみに下世話な言い方になるが、僕は二人の躰のエロさをまだ知らない。初めて見たとき、二人は壁から頭だけ出してこちらを見ていたために。
けど、仮に二人がナイスバディであろうと、まだ二番煎じの域を出ない。豊満な女体だって、ここまでの道のりで何度も見てきた。
今までの敵すべてを、なんらかの形で圧倒的に凌駕できる強さがあってこそのラスボスだ。あの二人に、それは無い。
そんな事を思いながら僕は探索を続けていく。
その一環で、僕が体育倉庫に足を踏み入れたとき。
「ん? マットが敷かれている……」
ギィィィ……ガァン。カシャン。
「えっ?」
重厚な二枚扉が左右から閉じられる金属音、その後に続いた扉の施錠音。
そして備品の陰から扉の前に現れた、二人ではなく、三人の美少女を目にして僕は震慄する。
「な、なるほど。ラスボスは三人がかりってことか……!」
身も蓋もないが、数では確かに今までの敵すべてを凌駕している。
僕はどこぞのラブコメ主人公の立場を追体験してるような気分になった。
ひとりは頭にうさ耳リボンをつけた、ボブカットの美少女だ。
スカートの短い学生服の上に、黄色いベストを着ている。
快活な気質を惜しみなく笑顔に出していて、その明るい雰囲気にこちらも思わず顔がほころびそうになる。
もうひとりはウエーブのある長髪を、星型の髪飾りで飾っている。
学生服の上に着る赤いセーターが似合っていた。
おおらかな微笑みに物腰の柔らかさを感じさせる、常識人タイプの落ち着いた美少女だった。
二人の中央に陣取るのは、この中で唯一の初見となる女の子。
ツーサイドアップの髪を左右でまとめる、蝶の髪飾りが印象的だ。
黒い上着を羽織った制服越しに豊満な胸を揺らしてくる。柔肌から漂うほのかな匂いに天然系メイクの存在が垣間見える。
おしゃれに細かく気を遣える、女子力バツグンの美少女だ。
雰囲気的に、この娘がラスボス三人組のリーダーなのだろう。
便宜上、僕は三人に「リボンの子」「星の髪飾りの子」「女子力の子」とそれぞれ呼び名をつけて記憶する。
さて、三人をどう対処したものか――
と、僕が対抗策を考えはじめたとき。
がしっ、がしっ――と。
「え?」
左右から、何者かに腕を掴まれた。
左には、ショートヘアーをしたお姉さんチックな美少女がいた。
上着を腰に巻いていて、制服は胸元のボタンが空いている。
谷間を強調した扇情的な着崩し方と、艶っぽい流し目。その小悪魔的な色っぽさには、危ない麻薬のような誘引力を感じる。
そして右には、顔の右側を前髪で隠すセミロングヘアの美少女。
制服の上に青いセーターを着ており、脚を黒のストッキングで覆う。
ヘッドホンを掛ける首の上には大人しめな顔が常在しており、他四人と違う控えめな気質に僕は親近感を覚える。
便宜上、追加の二人を「長女の子」「片目隠れの子」と仮称する。
さて、改めて。合計五人となった美少女たちにどう対処したものか――
「……えっ? 五人?」
幻覚を疑い、僕は何度かまばたきを行う。
だけど、周囲にいる美少女の人数は変わらない。
ひとりじゃない。
ふたりでもない。
三人がかりですらない。
五人だ。
このラストステージにおいて、誘惑美女側はあろうことか男女比一対五の誘惑で、僕を底なしの骨抜きに籠絡する気なのだ。
「……って! ちょ、まっ!」
待った待った待った待った、待った待った待った待った!!
「いくらなんでも多勢に無勢! やめてやめて! わあああッ!?」
ウサギを囲む獣の群れのように五人の美少女が迫ってきて、僕はなすすべなく体操用マットに押し倒されてしまった――!
* * *
強烈な存在感を示す、たわわに実った豊かな乳房。
絶妙な体型バランスを形作る、細い腰回り。
甘いカーブを描く大きめのヒップに、短いスカートから伸びる肉付きの良い太腿。
思春期男子が目にしたら肉欲がちらつかずにいられない、女性的な凹凸に富む艶めかしい躰つき。
それが五人全員で共通することに、五つ子というファンタスチックな家庭背景が、「姉妹だから似てる部分もある」と納得感を抱かせる。
長女の子、片目隠れの子、リボンの子、星の髪飾りの子、女子力の子。
名前は思い出せないが、この子たちラスボス五人の元ネタは、かつて僕が現実世界で読んだ五つ子ラブコメ漫画なのだと僕は気づいた。
……現実逃避ぎみに。
ぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅぅ~~~~~♡
「ひいいいぃぃぃぃッ!!」
隙間なく押し寄せる、五人もの女子高生たちの柔肌。
男女間における腕力の差など、五対一の人数差には無力。
体操用マットがしとねを共にする布団代わりとなり、僕は前後左右から女体に抱かれ、柔肌の波に呑まれてしまう。
左から長女の子が、右から片目隠れの子が、僕の腕を抱える。
左脚に星の髪飾りの子が、右脚に女子力の子がのしかかる。
そして正面。僕の胴体にはリボンの子が覆いかぶさってきた。首に手を回して抱きついてきて、可愛らしく頬ずりしてくる!
ぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅぅ~~~~~♡
すりすり、すりすりっ♡
「ああっ♡ あ、あわわわわわッ……」
艶めかしい匂いと感触に目が回る。頭の処理が追いつかない。
湧き上がる強烈なリビドーに、僕もリボンの子を抱き返したくなる!
胸板で這い回っては潰れて形を変える豊満な乳房も、体育倉庫内に充満する五つ子の甘い匂いも素晴らしすぎた。
かろうじて欲望を自重できている現状がなにかの間違いのようだ。
当然、本心では今すぐにでも愛欲に堕ちてしまいたい。
なにしろ、相手は豊満な美少女が、なんと五人だ。
これで欲情しなかったら男じゃない――!!
ぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅぅ~~~~~♡
ちょんっ♡ ちょんっ♡
「ひゃあっ♡ 今、当たっ、当たっ……!」
今、柔らかい刺激が僕の肉棒の側面に触れた。
僕に覆いかぶさっているリボンの子の太腿に、肉棒がかすったのだ。
ほんのわずかな、ささいな接触。スカートに隠れて詳しい現状は見えないが、密着のような艶めかしい感触は無い。
しかし、それがかえってもどかしかった。
「ああっ……ああああっ……♡」
狂おしすぎる煩悩に僕は呻いた。理性は風前の灯火だ。
リボンの子の尻を掴んで、思う存分に腰を振りたい。
瑞々しい太股に挟まれながら昇天して、男の悦びを噛み締めたい。
僕の方から彼女にキスして、例の『女の子は僕を能動的に射精させてはならない』ルールを早々に解除するのもアリかも知れない。
現実世界に帰るという初志貫徹のこころざしが、「どのようにして快楽を貪るか?」の欲望思考に侵されて――
B. 落ち着け!!
「――はっ!?」
頭の中でピンクのモヤが晴れ、僕は正気に戻った。
生存本能がピンチに警鐘を鳴らしたような、唐突な覚醒。
一対五の人数差に萎縮していた思考がクリアになり、狭窄となっていた視野が本来の広さを取り戻す。
僕の正面にいるリボンの子、彼女の表情が見えて――
「あ、あれ? この子……」
リボンの子は、見ただけでわかるほど恥ずかしがっていた。
顔を茹でダコのように真っ赤にして、瞳は思いっきり泳いでいる。
僕に胸を押しつける時も、僕よりリボンの子の方が挙動不審だ。
明らかに異性との接触に耐性の無い、子供っぽい初心な心持ちが彼女から見て取れる。
似たようなケースが前回の保健室でもあった。
前回、敵二人の片方は付け入るスキがまったく無かったが、もう片方は色仕掛けに不慣れで、そこが突破口となった。
おそらく、各ステージごとに誘惑美女の手強さには合計値の限界があるのだ。そうでなければ強敵と弱敵のコンビが存在する理由が無い。
今、僕を籠絡しようと胴体に覆いかぶさっているリボンの子は、言っちゃ悪いが五つ子の中では間違いなく最弱だろう。
少なくとも、色事で男を翻弄できるような性格ではあるまい。
僕は心を鬼にして、リボンの子を睨んだ。
「ふしゃーっ!」
怒った猫の鳴き真似をしたのは、ただの愛嬌だ。
だが、効果は覿面。
リボンの子は飛び上がって、すぐさま僕から離れて後ずさった。
こちらが嫌がっていることをしたことに申し訳なく思う、素直な女の子のまなざしがそこに残っていた。
……強く拒絶しすぎた、だろうか?
悲しげな目をするリボンの子に、僕が負い目を感じかけたとき――
「ッ!? 今度は君が……!?」
リボンの子に代わって、星の髪飾りの子が僕に覆いかぶさった。
リボンの子は星の子と位置を交換し、僕の左脚にのしかかる。
あっという間に再び身動きが取れなくなって、僕は改めて人数差の不利を実感した。
五対一だ。敵に同情できる余裕なんか、僕には無い!
* * *
ぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅぅ~~~~~♡
「は、離せえぇぇ~~~~ッ!」
じたばた、じたばた。
数分に渡って僕はマットの上でもがいていたが、五人がかりで抑え込まれては脱出なんてとても無理。
左腕を長女の子が、右腕を片目隠れの子が、左脚をリボンの子が、右脚を女子力の子が。
それぞれ、豊満な躰を押しつけながら四肢にしがみついてきて、僕は完全に動きを抑え込まれてしまっていた。
「はぁ、はぁ、はぁ。だ、ダメだ……!」
このままもがき続けても、スタミナの無駄になる。
その現状を再確認した僕の、下腹部の上にて。
リボンの子と交代して僕にまたがった星の髪飾りの子は、数分前からカードの束を、いわゆる単語帳を懐から出していた。
熟読している。テスト前に英単語の復習でもするように。
本当にそうならいいが、もちろん実態は違う。
なにせ星の髪飾りの子の単語帳、その表紙面のタイトルには『男の子の堕とし方♡』と物騒なことが記載されているのだから。
「――ッ!」
今、星の髪飾りの子が単語帳を閉じた。
そのまま、ゆっくりと床に単語帳を置く。
いよいよ彼女は誘惑攻撃を始めるようだ。
僕が警戒しながら静観する中、彼女は懐から小さな包装を取り出した。
開けて彼女が取り出したのは、手のひらサイズのチョコレート。
ハートの形をしたそれを星の髪飾りの子は唇で咥え、目を細めて、僕に愛らしい顔で迫ってくると――
チュッ♡
「ッ!!」
錯覚だ。
今のキスの音は実際に鳴ったわけではない、ただのイメージだ。
星の髪飾りの子はチョコを咥えたまま顔を近づけてきて、ポッキーゲームの要領で僕とチョコを咥え合ったのだ。
「――――ッ!」
強調する。実際にキスをされたわけではない。
だけど、超至近距離で見る星の髪飾りの子の顔はたまらなく愛おしく、その破壊力は僕の性欲を煽るには十分だった。
「んんっ……んんんッ♡」
唇に感じるチョコの甘みを、女の甘みと勘違いしそうになる!
熱い吐息を皮膚で感じ取れるほどの至近距離。
星の髪飾りの子の瞳は透き通っていてとても綺麗だ。まなざしだけで男の理性にひび割れを起こせる魔性があった。
僕に密着しながら潰れる彼女の豊かな乳の重みも、柔らかくて、心地よくて、僕を悪魔的に蠱惑する。
性欲に身を任せて、チョコもろとも星の髪飾りの子とキスしたい。強く抱き合いながら、甘く舌先を絡めあわせたい。
「んう……んううっ……♡」
五つ子の他四人に抑えられて身動きが取れなくとも、僕は心中で星の髪飾りの子に魅了されないよう抗っていた。
しかし理性はともかく、快楽を欲しがる男の本能はいかんともしがたい。体内に淫らな熱がうごめいていてもどかしい。
僕が葛藤と鬱屈に頭を悩ませていると、星の髪飾りの子は次の一手を打ってきた。
「――?」
ぴた、ぴた、と。
彼女は僕の頬に手を添えると、目を閉じて、唇をすぼめて。
キスする直前の顔になった。
キス顔を、間近で僕に魅せてきたのだ。
……チュッ♡
「~~~~~~~ッ!♡♡」
満たされそうで満たされない欲求に、僕は懊悩する!
今の音も、実際にキスされたわけじゃない。ただのイメージだ。
だけど僕の中ではムーディーな映画の濡れ場にあるような、頬を掴まれて女に引き寄せられるキスがありありと思い浮かぶ。
なのに実際は、星の髪飾りの子は僕に顔を迫らせておいて、肝心の唇は重ね合わせずにチョコを咥え合うだけ。
あと二センチ、いや一センチ、どちらかが唇を突き出せばキスできるのに。
星の髪飾りの子からは決してそうしないのだ。
近いのに、遠い。
誘惑に堕ちない限り、僕は星の髪飾りの子とキスできないと、否が応でも理解させられ――!
D. それでも誘惑には負けない! 首を横に向けて目をそらす!
鬼になれ!
歯を食いしばって、心を鬼にしろ!
そう自分に言い聞かせながら、僕は星の髪飾りの子から顔を逸らした。
ポトリ、と。
彼女と咥え合っていたチョコレートが、体操用マットの上にむなしく落ちる。
「――――」
甘苦いチョコの後味を舌先に感じながら、僕は星の髪飾りの子が残念そうに眉尻を下げるのを見た。
ただ……直感を信じるなら、星の髪飾りの子はそこまで悔しそうじゃない。
織り込み済み、という雰囲気が彼女の達観した瞳にはあった。
「君の狙いは一体……」
ポツリとこぼした僕の問いに、星の髪飾りの子は答えない。
彼女が答えるまでもないのだ。自分の股間を見れば明白だった。
騎乗位の体勢から腰を上げて星の髪飾りの子が膝立ちになり、彼女の股の下で自分の男根が僕の視界に入る。
硬く張り詰めて天を仰ぐ、欲情しきった男根が。
「ッ……!」
してやられたと、僕は痛感した。
事前に復習を行ったことから察するに、星の髪飾りの子もリボンの子と同様、色仕掛けに不向きな性格なのだろう。
本人もそれをわきまえていて、ゆえに彼女は自分が負けた場合でも後続を有利にできる堅実な一手を取ったのだ。
約四〇パーセントだった僕の欲情率は、今や九〇パーセントを超えた。
一〇〇に到達したら最期、僕は淫欲を抑えられない。
性欲に理性が呑まれつつある中、五つ子のうちまだ三人もの豊満美少女を残している大ピンチ。
僕が動けずにいる中、星の髪飾りの子に代わり、次は片目隠れの子が僕の下腹部に騎乗した――
* * *
ベッドの上だと豹変する女、という創作を見たことがある。
その女は日常では弱気で控えめに振る舞うが、ベッドでは一変。床上手な才能を見せて、意外性のギャップで男を魅了するのだ。
ベッドは女を女にする。秘めている魔性をさらけ出す。
そんな女の艷やかな二面性を、片目隠れの子は持っていたらしい。
スリ、スリ、スリ、スリ。
「う、うわああああッ……♡♡」
片目隠れの子の大きなお尻が、僕の下半身に擦り上げられる!
ストッキングを履いているのは五つ子の中で彼女だけだ。むっちり強調された臀部の柔らかさにゾクゾクする。
顔の右を前髪で隠しながら、わずかにほころばせた唇。そこから伺える彼女の密かな嗜虐心も、僕をドキマギさせた。
五つ子の他四人に拘束されて抵抗できない僕に対し、ついに意図的に行われた官能を伴う接触行為。
「き、気持ちいいぃぃッ……♡」
むぎゅううっ。くんくん、くんくん。
「に、匂いをかぐなぁッ……!」
片目隠れの子は僕の鎖骨あたりに顔をうずめて、深呼吸してきた。まるでじゃれついてくる子犬のように可愛くてドキドキする。
鎖骨から少しずつ片目隠れの子は移動していき、次は首筋、その次に頬、その次に左耳。
匂いを嗅がれている間も肉棒が下腹で擦られ、下腹部から広がるもどかしさに僕は耐えていた。
そんな中で。
あむっ。
「ひゃあっ!?」
耳を甘噛みされた。
ゆるやかな官能から一転、強烈な刺激の奇襲。
緩急に驚く僕の隙を、片目隠れの子は見逃さない。
体を回して背中を向け、僕の上にあおむけに寝転がると、肉棒に大きな臀部でのしかかってきた!
むにゅうううううぅぅぅッ♡♡♡
「ッ!! う、うわああああぁぁぁぁッ!!」
強く密着するお尻に、劣情が否応なく昂ぶる!
薄い生地のさらさらした感触越しに感じる、片目隠れの子の臀部。
ストッキングを履いているのがかえってエロさを底上げしていた、柔らかいお尻の重みが僕の股間を甘美に潰す。
しかも片目隠れの子は腰をぐりぐりねじってくるものだから、ただでさえ体重ごと密着する尻に肉棒が舐め回される!
ぐりぐり♡♡ うりうり♡♡
「気持ちいいぃッ♡♡ やばいぃぃッ……!!」
今すぐ自分からも腰を振って、片目隠れの子にがっつきたい!
背後から巨乳を揉みしだきながら、尻に擦り付けて昇天したい!!
否応なく僕の脳裏に淫らな欲求がよぎった、その時。
タイミングを見計らったように――僕の両腕に組み付いていた五つ子のうち二人が、ここで動いた。
「――――ッ!」
長女の子と星の髪飾りの子が、同時に僕の腕を手放した。
背後から僕が片目隠れの子のたわわな乳を揉めるよう、二人は僕の両腕を自由にして、取り計らってきて……。
E. もう我慢できない♡♡♡ おっぱい揉みながらお尻にズってイキたい♡♡♡