本記事は、「冒色の性夢-12」の下書き段階の文章をそのまま投下したものになります。そのため、完成品とは内容が異なる場合がございます。
その点を理解した上でそれでも読みたいという方は、どうぞご覧になってください。
前回の誘惑から体感でおよそ十分が経過した。
足音や人影といった、何者かが近づく兆候は無い。
どうやら男子トイレの個室は隠れ場所として正解だったようだ。おかげで僕は休憩をたっぷり取ることができた。
以前、場当たり的に教室で休んだのとはわけが違う。
また誘惑美女に早期発見されて連戦になるのはゴメンだったので、今回は休憩場所をちゃんと理由つきで選んだのだ。
といっても、個室に鍵をかけて時間を稼げるという戦略的な理由は少なく、大部分の理由は「男子トイレなら女子は入りにくい」というただのイメージだが。
どうあれ、結果として誘惑美女に見つからずに時間を過ごせた。
下半身の疼きも落ち着いてきている。
かつて激しく興奮していた僕の性欲の熱は、なんとか通常の域までクールダウンしてくれた。
「よし。そろそろ休憩は終わりにしようか」
この淫夢の世界では居座り行為にペナルティがある。長居はできない。
僕は便座から立ち上がり、男子トイレを歩き出た。
ラスボスにつながる第一体育館の鍵二つを、左の手中に収めながら
残りの鍵はあと一つだ。
* * *
前々回と前回の誘惑美女は女子高生だった。
女子高生のコスプレをした成人女性ではない。
この淫夢の世界の誘惑美女は、僕が見聞きした創作物から女キャラの容姿を借りるゆえに、元ネタが存在する。
その元ネタを探るべく、僕は記憶を掘り起こして前々回と前回の元ネタに思いをはせて、そして思い出した。
前々回はロボットアニメ。前回は学園ラブコメのライトノベル。出身ジャンルは違えど、誘惑美女はみんな女子高生だったのだ。
この元ネタが、前々回と前回の誘惑美女を女子高生だと言える根拠だ。
少なくとも学生服が似合わない肉体年齢ではなかった。
「となると、次もまた女子高生が来る連続パターンか? いや、学校縛りなら先生という線もあるか。あ、待てよ? 満員電車ステージに出たエルフや修道女の前例からして、そもそもステージの世界観と関係ない女の子が出る可能性は捨てきれないか」
歩きながら呟きつつ、僕は考察の海を遊泳する。
考え事をしていると性欲を忘れられてラクだ。
この学校ステージも、手に入れるべき鍵は残り一つまで来た。
最後の鍵がかかった次の勝負は、いうなれば準ラスボスだ。
その次は、いよいよラスボスが待っているのだから。
現在、僕が廊下を歩いて目指している場所は保健室だ。
最初にこの学校内を探索していた時、行きそびれた場所に向かっている。
狙いはポケットのある服だ。あるいは袋でも可。裸ゆえに手で持ち運ぶしかない二つの鍵の持ち歩き手段が欲しい。
トイレから出て階段を下り、二階から一階へ。そう長くない歩き時間の後、僕は保健室の前にたどり着いた。
ドアノブに手を伸ばして――触れる直前で止める。
「……嫌な予感がする」
この部屋に誘惑美女がいる。直感がそう叫んだ気がした。
明確な根拠といえるほどのものは無い。
強いて言うなら、十数分の休憩を取った後なら誘惑美女との遭遇がこれ以上遅れるとは考えがたい、ってくらいか。
ただの直感、とは言えない。侮るには怖気が強すぎる。
「すぅー……ふぅー。うん、とりあえず警戒はしよう」
深呼吸して心の中に盾を構えながら、僕は戦場に入る覚悟で保健室に入った――