本記事は、「冒色の性夢-10」の下書き段階の文章をそのまま投下したものになります。そのため、完成品とは内容が異なる場合がございます。
その点を理解した上でそれでも読みたいという方は、どうぞご覧になってください。
前回の下書きの続きとなります。
扉を開けると、そこでは太陽が照りつけていた。
「まぶしっ……」
屋内と屋外の明暗差に、僕は片手で目をかばった。
どうやらこの学校の屋上は、僕のイメージする普通の屋上をそのままトレースして作ったもののようだ。
硬いタイルが並ぶ長方形状の広場の外周を、転落防止用のフェンスがぐるっと囲んでいる。広場の角にはそれぞれ排水溝が設置されていて、そこに雨水が流れ落ちるよう外周にはくぼみがあった。
後ろには僕が通った出入り口ドアのある塔屋がある。塔屋とフェンスの間の隙間は人がひとり通れそうだ。
「どれどれ?」
僕は塔屋の後ろ側に行って、誰かいないか確認した。
だが誰もいない。塔屋の陰に誰か潜んでいた、なんて事はなかった。
ほっと一息ついて、僕が元の出入り口ドアの前に戻ろうとしたとき、
「おっと……誰か来た」
何者かがドアを開くのを見て、僕は塔屋の影に隠れた。
その人物はてくてくとフェンスまで歩いていくと、僕に目もくれず、座ってスマートフォンをいじりだした。
「学校ステージ初めての誘惑美女……」
遠目で見たところ、僕と同年代くらいの女子高生のようだ。
胸の高さまで届くロングヘアーの色は黒。落ち着いた振る舞いから伺える性格の気質はクール。どこか冷めた印象を醸し出ていて、男が抱く女への幻想を無くしたような現実味がうかがえる。
身長は僕より頭一つほど低いか。短いスカートの学生服に白いカーディガンを洒脱に着こなしている。女の武器を作為的に演出している感じのない、自然体な雰囲気が彼女から見受けられた。
「……普通の女の子だ」
総評が僕の口から漏れた。地に足のついた、普通の女の子。
普通、なんて表現したら彼女に失礼になってしまうかもしれない。ただ、淫夢の世界における僕の経験に照らすと、比較対象が悪すぎるのだ。
ただでさえ今まで爆乳だの、全裸だの、ゴージャスな大人の魅力だの、極端に目の毒すぎる誘惑美女が続いていた。
そんな極悪な前例と比すのは酷だが、今回のクールっ娘は見ていて落ち着く。
遠目で見る限り、無理やり僕を発情させるような強い色気は無いのだ。
できればこのまま欲情を避けたままクールっ娘から逃げてしまいたいが、残念ながら今回のミッションは誘惑美女から鍵を奪うこと。
もしクールっ娘が鍵を持っているなら、僕は彼女と接触しなければならない。第一体育館の鍵を手に入れ、ラスボスの部屋を開けるために。
「まぁ、彼女が鍵を持ってなかったら無駄骨になるけど……ん?」
クールっ娘から目を離した一瞬、僕の視界の端でなにかが光った。
出入り口ドアから左斜め前に五歩ほどの距離の場所。
太陽光を反射する小さな銀色のなにかが、床にぽつねんと置かれていた。
「……もしや」
気になって、僕は銀色の小物に歩いて近づいていく。
スマホをいじっているクールっ娘に気付かれないよう、静かに。
抜き足・差し足・忍び足で銀色の小物にたどり着き、それを手に取ってみると、
「やっぱりだ。鍵だ」
銀色の小物は、鍵だった。
しかも、シールが貼られていた。『第一体育館 #1』と書かれたシールが。
ひょっとして、クールっ娘がここに落としていったのだろうか? 彼女がスマホをいじりだす前、ここを歩き過ぎる最中に。
なにはともあれ、ラスボス行きの鍵を労せず手に入れることができた。副作用が解除されたことといい、ここ最近は運が味方してくれている!
と、僕が喜びを噛みしめていた、そのとき。
ガシッ、ガシッ!
むにゅうッ♡
「!!?」
何者かに僕は背後から羽交い締めにされ、背中に二つの柔らかい感触を押し付けられた!