NokiMo
田村サブロウ@小説書き
田村サブロウ@小説書き

fanbox


[R18]冒色の性夢-07 途中執筆過程3

本記事は、「冒色の性夢-07」の下書き段階の文章をそのまま投下したものになります。そのため、完成品とは内容が異なる場合がございます。


その点を理解した上でそれでも読みたいという方は、どうぞご覧になってください。


前回の下書きの続きとなります。








 満員電車と違って、ここにはスーツ男のむさい臭いは無い。


 プールサイドと違って、塩素の匂いも満ちていない。


 このホテルステージは今まで僕が経験したステージと違って、初期状態ではにおいが無い。清掃されたホテルの一室を再現している。




 その、清潔さゆえにわずかなにおいも目立つ環境では。


 突入前の時点で女性が部屋にいた場合、ほのかな甘い匂いという形で痕跡が残るのだ。


 ちょうど今、僕が体験しているみたいに。






「…………」






 僕はベッドの上で足を広げて座っていた。


 誘惑美女がここに来るのを待っているのだ。




 まず大前提として、誘惑美女は間違いなくこの部屋にいる。


 室内の匂いだけが根拠じゃない。数秒前までは水音も聞こえていた。


 大量の水滴が一面を叩く、ジャーっとしたシャワーの使用音だ。




 もうすぐシャワーを終えて艶っぽさを増した誘惑美女が、自分を誘惑するためにここにやってくる。


 その危険は百も承知で、それでも僕はベッドで待っていた。待たなければならない理由があった。




 別に最初から勝負を捨てて誘惑に溺れたくなったわけではない。


 この部屋を脱出するのに、誘惑美女の協力が必要なのだ。


 より厳密に言うと、誘惑美女の体重が必要なのだ。




「…………」




 このホテルステージ3部屋目に入室した時点で、匂いと水音からここに誘惑美女がいることはすぐにわかった。


 僕は出口を解錠するタイマーを動かすため、ベッドの上に乗った。


 問題はこの後だ。今までの部屋と違って、サイドテーブルに設置されたタイマーは動かなかったのだ。




 ここからは僕の推測だが、ホテルステージ各所に設置されたベッドは体重計の機能があって、一定の重さを超えた場合のみタイマーが連動して動くのだろう。


 ちなみに自分の体以外のものをベッドに乗っける作戦はダメだった。なぜか部屋中のものが溶接されたかのごとくその場から動かせなかったのだ。


 タイマーを動かすには、僕が誘惑美女とベッドを共にするしかない。いかにも『誘惑からの自滅』を趣旨とする淫夢の世界がやりそうな手口だ。






 ――がちゃ。


「っ!」






 ドアを開ける音がした。


 つづいて、タオルで体を拭く布擦れ音。


 さらに数秒後、体を吹き終えた誘惑美女がこちらに近づく足音。






 ゆっくりと、ゆっくりと。


 ベッドで脚を広げて座る僕の前に、絶世の美女があらわれた。






「……女神?」


 われにもなく、単純な感想を僕は口にする。






 事実、彼女は女神と呼んで差し支えないほどの美貌があった。


 腰を越えて膝の高さまで伸びる紫の長髪。こちらを情熱的に見据える艶っぽい目つき。濡れそぼった唇で口づけなどされた日には、理性など秒殺でとろけてしまいそうだ。


 特筆すべきは、彼女が服を着ていないことだろう。


 頭頂部の天使の輪を模した装飾と、首元に巻かれている白布の首飾り。彼女が身につけているものはこの2点だけだ。豊かな乳房とふっくらした太ももを誇る極上の女体が、シャワーを浴びたての柔肌を露出してこちらの欲情を誘ってくる。


 そして、その全裸を恥ずかしがる様子は彼女には一切なく、超然としたたたずまいを崩していない。




「――――」




 便宜上、今後は彼女を「女神」と呼称する。


 僕は彼女の特徴には見覚えがあった。


 他の誘惑美女の例にもれず女神の名前も思い出せないが、たしかVRMMOを題材としたライトノベルで登場したキャラだ。




 見目麗しい美女なのに長い章のラスボスとなった、ライトノベルにしてはレアケースなキャラだったと記憶している。


 そんな彼女に敵対し、信念を貫いた原作主人公を、僕はある意味とても恐ろしく思う。


 だって…………。






「う、ううっ……!」


 硬く張り詰め、勃起しきった自分のペニスを見て僕は実感する。


 そうだ……敵に回すには、目の前の女神はあまりにエロすぎる!




 僕自身が裸であるゆえに、女神も裸なのはなおマズイ。


 彼女の豊満な躰で抱きつかれ、太ももにペニスを挟まれようものなら、裸体同士の絡みで狂おしいほど気持ちいいだろうと想像できてしまう。




「ね、寝間着とかパジャマとか、ないのか……?」


 神に近しい存在が裸なのは美術の世界じゃよくある話だが、せめて今だけでも服を着ていてほしかった。




 原作主人公みたいに彼女と戦うなんて、とても僕にはマネできない。


 戦闘力ではもちろん、精神面でも戦いになる気がしない。


 僕にできることは今まで通り、禁欲して逃げることだけだ。






 僕は横目でちらとサイドテーブルに置かれたデジタル時計を見た。


 幸いなことに、制限時間は少ない。なにせ――




 ――0:15




 15秒。たった15秒だ。


 ベッドの上でたった15秒、女神の誘惑を耐えれば僕の勝ちだ。




 僕は改めて正面の女神に向き直った。


 彼女は唇だけで微笑んでから、ベッドの上に乗り込んできた。


 右手で掛け布団に乗って体重をかけたのを皮切りに、四つん這いでゆっくりと、脚を開いた僕に近づいていく。




 ――0:15


 ――0:14


 ――0:13




 女神がベッドの上に乗ったことで規定重量が満たされ、タイマーのカウントダウンが開始する。


 そんな中、僕はされるがままに女神に覆いかぶさられ、首の後ろに手を回されて今にも抱きしめられようとしていた。






 ……あれ?


 どうして僕は、されるがままに女神を受け入れてる?






 どうして僕は、今にも女神の責めが始まろうとしているのに……抗うどころか、自分からも女神の背に手を回しているんだ!?






「か、体が勝手に……!?」


 変調を自覚したころには、もうすでに手遅れで。


 僕は無抵抗どころか自分からも女神に押し倒され、そして。






 ――ぎゅううぅぅ~っ!


 ――にゅるん!


「!!?」


 恋人のように正面から抱きあいながら、太ももにペニスを挟まれてしまった!






「な、なんでええぇぇぇっ!?」






 わけがわからないまま、女神と抱き合う法悦に僕は悶える!




 予期していた以上に、シャワー上がりの柔肌は心地よかった。


 こちらの胸板で女神の豊乳がむにゅっと押し潰れされる。火照った肌の色艶は彼女の艶やかさを高めつつ、太ももに挟まれた肉棒にもっと欲情しろと命じてくる。女神が上である体位の都合上、抱き合う彼女の体重を感じられるのが僕は嬉しくてたまらなかった。




 気持ちいい! 今すぐ、僕からも腰を突き上げて気持ちよくなりたい!


 いや、快楽に呑まれてはダメだ。急いで彼女から体を離さないと!




 誘惑に対する、堕落か拒絶かの二択。


 今まで僕はピンチでこの二択を迫られるたび、心は屈することなく誘惑への拒絶を第一に選んできた。僕がこの淫夢の世界で生き残れた理由だ。


 今回もその例にもれず、心は誘惑を拒んでいた。






 だが。


 心と体は必ずしも、方針を一致させるとは限らない。


 僕は望んでないにも関わらず、みずから女神の背にしがみつき、彼女を抱きしめながら太ももの隙間に腰を突き上げてしまっていた!






 ――ぎゅううぅぅぅぅ!


 ――にゅるっ、にゅるっ、にゅるっ。


「う、嘘っ、なんで……!?」






 下から突き上げるという苦しい体勢ゆえか、腰振りの速度はさほどでもない。


 だがその弱い所作が不興を買ったのか、女神は反撃してきた。


 彼女は膝をベッドに立てると肉茎を挟んだ腿の圧迫を強め、僕を抱きしめ返して、数倍の回転率で腰を上下させてきたのだ。






 ――むぎゅううぅぅぅぅ~!


 ――パンパンパンパンパン!


「そ、そんな、ああぁぁぁぁぁーーっ!!」






 とろける快感が何倍にもふくれあがり、僕は悲鳴を上げる。


 お互いにハダカで強く抱きしめあう密着の一体感。たわわな乳房が僕の胸板で押し潰れる幸福感。


 なにより、Y字を描く太ももの隙間で肉棒が前後することで、マシンガンのように連続する甘い快楽刺激。




 気持ちよすぎる。しあわせすぎる。


 こんな天国のような時間が続けば、そう遠くないうちに僕は射精していただろう。


 だが幸か不幸か、その展開にはならない。女神が腰振りを途中で止めたからだ。






 ――ピタッ。


「あっ……」




 寸止め――。




 僕は欲望を放出できないもどかしさに打ちのめされる。


 この淫夢の世界のルール。女の子側からは僕を射精させない。


 僕がみずから女体に溺れないと、けっして僕は射精できない。






 ――0:02


 ――0:01


 ――0:00




 ――ピー!


 ――かちゃっ!






 女神の腰振り中断と同時にタイマーも時間切れを迎えたらしい。


 金属の音をたてて、出口ドアのロックが解除される。




 恐ろしく大変な15秒だったが、それももう終わりだ。もう僕に、タイマーを動かすためベッドにいる理由は無い。




 だが……ベッドを降りて先を急ぐ選択を選んだ場合。


 当然、僕は眼前の女神と絡み合うことは今後できなくなる。






 ――クスッ。






 ふと、ほんの少しだけ、女神が笑った。


 唇をわずかにほころばせるだけの、悪戯っぽい微笑み。


 ささいな「楽しい」という感情も、彼女の美貌で笑みの形になれば、どんな美術品にも勝る眩しさを誇る。




「ああ……きれいだ……」




 そんな美しすぎるほほえみに、僕は見とれてしまった。


 女神からすれば僕の無様っぷりが可笑しかったのだろうが、それでも。


 次の部屋に行くより、目の前の美しい女神と一緒にいたいと、僕は心のどこかで思ってしまっていた。






 そんな僕に、女神は首の後ろに手を回しなおすと、唇をすぼめさせてゆっくりと顔を近づけてきた。


 ゆっくりと、あくまでゆっくりとだ。


 愛おしい女神の唇が、ゆっくりと僕の唇に迫ってくる。






 僕は近づいてくる女神の美貌にうっとりと見とれたまま、脳内で記憶がぐるぐると回っていた。




 クイーンサキュバスからの置き手紙の情報。


 避けられるはずのキスをわざと避けなかった場合も、僕からキスした場合と同じく、女の子がルールの縛りから解放される――




A. このまま女神に身を任せ、彼女に溺れてイカされたい……。


B. 逃げる。

[R18]冒色の性夢-07 途中執筆過程3

Related Creators