本記事は、「冒色の性夢-07」の下書き段階の文章をそのまま投下したものになります。そのため、完成品とは内容が異なる場合がございます。
その点を理解した上でそれでも読みたいという方は、どうぞご覧になってください。
前回の下書きの続きとなります。
「あれ? 通ってきたドアが無くなってる」
ホテルステージ2部屋目に入って、ふと後ろを見て僕は驚いた。
この部屋に来たときに開けたのドアが、無くなっていたのだ。
ドアなんて最初から無かったと言わんばかりの壁を目にして、僕は自分が一時的に幽霊になっただなんてヘンテコな想像をした。
幽霊なら壁を通り抜けられるだろうし。
戯言はともかく。
前回の部屋ではドアのロックが開くカラクリがわからないままだったから、今回こそはそれを解き明かしておきたい。
さいわい2部屋目にも誘惑美女はいないようなので、妨害される心配は無い。
僕は歩きだして、さっそく部屋の探索にとりかかった。
ベッドも、家具の位置も、バスルームも、前回と変わりない。
過去のステージの例に漏れず、ホテルステージの2部屋目も部屋の間取りや構造は1部屋目と同じようだ。
唯一、違っていたのはサイドテーブルの上にあるデジタル時計の設定。
指している時間は1部屋目と違って、1:00だった。
「なんのためにあるんだろうな、これ」
デジタル時計を手に取りながら、僕はベッドに乗る。すると。
――1:00
――0:59
――0:58
――0:57
「おっ! 動いた!」
嬉しくなって、思わず僕はベッドから飛び降りる。
――0:56
――0:56
――0:56
「あれれ?」
今度はデジタル時計が動かなくなってしまう。
故障を疑って、僕はデジタル時計を手に持って詳しく調べてみる。
けど、どのボタンを押しても、しゃかしゃか振っても、うんともすんとも言わない。
どうなってるんだと悩みながら、僕がベッドで横になると。
――0:55
――0:54
――0:53
デジタル時計はまた動きだした。
「あ~、なるほどね。つまりはベッドに乗ってるかどうかか」
発見の喜びに、僕は横になったまま頬を緩ませる。
どうやらこのデジタル時計はタイマー機能を使っているようで、僕がベッドの上に乗っている間だけカウントを進める仕様らしい。
前のプールステージのとき、一度だけだがタイマーを用いた仕掛けはあった。
あの時は時間切れになると不利になる展開だった。
だけど今回は、僕の読みが正しければおそらく……。
――0:03
――0:02
――0:01
――0:00
――ピー!
――かちゃっ!
「うん、やっぱりだ」
聞き覚えのある音を聞いて、僕は読みの的中を確信した。
僕がベッドに乗ってるときにデジタル時計のカウントが進んで、カウントがゼロを迎えると出口のロックが解除される。
直前のホテルステージ1部屋目で、僕がベッドの上にいたときにドアの施錠が解除されたことから浮かびあがった仮説だ。
そして今、仮説は正しいと実証された。1部屋目でわからなかったドアを開く条件を僕は解き明かしたのだ。
「よし、次の部屋だ」
デジタル時計をベッドに置いて、僕は玄関に向かって歩き出した。
まだ媚薬ガスの副作用は体に出ていない。つらくならないうちに、できるだけ先に進んでおきたい。
そんな焦りにも若干似た考えを抱きながら歩いていて、
「えっ?」
ふと、バスルームの中の鏡が目について、僕は足を止めた。
鏡で見た自分の目。両方の瞳の中心部に、なにやら妙なものが映っていた。
「は、ハートマーク?」
ハートの浮かび上がった瞳。目がハート。♡。
漫画的な演出でよくある、性欲の虜になったキャラの瞳だ。
それが、自分の瞳に。目が性欲の象徴になっている。
「……不吉だなぁ」
たかが凶兆。たかがジンクス。
そんなものには惑わされない。
そうやって自分を誤魔化しながら、僕は次の部屋へのドアを開いた。