本記事は、「冒色の性夢-06」の下書き段階の文章をそのまま投下したものになります。そのため、完成品とは内容が異なる場合がございます。
その点を理解した上でそれでも読みたいという方は、どうぞご覧になってください。
ここは、クイーンサキュバスが作り出した淫夢の世界。
夢の中という自由度の高い領域を舞台に、艷やかな美女の誘惑をもって男を堕落に誘うみだらな世界。
そんな危険な場所に、もとい夢に、ただの現代の男子高校生である僕が人違いで招かれてしまったワケだが。
「我ながらよくもまぁ、今まで生き残れたもんだなぁ」
自分のいきさつを振り返り、その綱渡りぶりに僕は苦笑いする。
蓄積した性欲をまぎらわす目的もかねて、僕はプールサイドを歩きながら現状を整理していた。
今は誘惑してくる女の子がいないから、精神的に余裕があるのだ。
今、僕が足を踏みしめているプールサイドは通算6番目。
1~5番目のプールサイドを踏破する道のりで、すでに2人の女の子の誘惑を振り切っている。
クイーンサキュバスの置き手紙によると、誘惑3回ごとにステージの様相が変わるらしいから、プールでの誘惑は次でラストという事になる。
「……上がった感度、戻りきってないなぁ」
手のひらを指でなぞって、触覚の調子を確認する。
プールサイドステージのプールの水には、男の肉体の感度を倍増する成分があると知ったのは記憶に新しい。
それをまだ知らなかった頃、僕はプールで泳いでしまっている。よって肉体の感度がはね上がって、前回の誘惑で苦戦を強いられた。
プールに入る前の初期値の感度を0%とするなら、今の感度は10%って所か。後遺症が残ってしまった。
「困ったなぁ、むず痒くてしょうがない。夢から脱出したら、感度は戻るよな?」
頭をかいて愚痴をこぼしているうちに、出口の自動ドアの間近まで来ていた。
この自動ドアを抜ければ、今いる6番目から7番目ステージに突入するのだ。
「うーん、欲情がキツい。できれば次の面も誘惑なしがいいんだけど……」
そんな都合のいい願望を秘めながら、僕は自動ドアの前の床を踏んだ。
左右にドアが開いて、さえぎるものがなくなった道を通り抜ける。
7番目のプールサイドステージに足を踏み入れ、首ごと視線を左右にふって周囲の地形の確認。
左右と天井のガラス張りの壁。降り注ぐ太陽光。ビート板を思わせるような柔らかさの床。
プールの水は満杯で、相変わらず塩素の匂いを施設中に撒き散らしている。
今までの1~6番目のステージとかわり映えのしない特長だ。
僕が歩くことになる、プールの横のプールサイドも――
「って、道せまっ!? 狭ぁっ!?」
プールサイドの道幅が、大人ひとり分ぐらいしかない!
前言撤回。
この7番目ステージは、今までの1~6番目のステージと明らかに違った。
* * *
劇的ビフォーアフター。
(上面図挿絵を挿入予定)
あれほどムダに広かった、プールサイドの通り道が……。
(上面図挿絵を挿入予定)
なんということでしょう。匠の仕事により、こんなにコンパクトに――
「ならなくていいから!! 道は広いほうがいいのに!」
じたんだを踏みながら、僕は不都合な状況変化を呪う。
プールサイドステージで僕を誘惑する女の子の主戦場はプールサイドの道だ。実際、今までの誘惑女子はみんな必ず一度はプールサイドで待ち構えていた。
そのプールサイドの道幅が大人ひとり分にまで狭まってしまった。あれでは、女の子との肉体的接触を避けるのがかなり難しくなる。
「このステージに誘惑女子がいないのが、せめてもの救いだな……」
施設内を見渡して女の子がいないことを確認した僕は、頭をひと掻きしてから足を進めはじめた。
ビート板のような柔らかい床を踏みしめ、前に歩いていく。
その最中、僕は満員電車ステージの道のりを少し思い出していた。
「あの電車は8両編成で、8号車が出口だった。なら、」
このプールサイドステージも、8番目の区画で終わるのではないか?
前例から得た短絡的な発想だが、案外ありえるかも。少なくとも、ステージ開始時の媚薬ガス噴出についてはプールと電車の両ステージにあった。
前の満員電車と、今のプールサイドの両ステージで共通する特長がある。
その発想に至った時、僕はある確信を得た。
「次の、プールサイドステージ8番目。誘惑女子が来る……!」
直感だが、僕はほぼ確実視していた。
今いる7番目ステージと、その前の6番目ステージに女の子がいなかったこと。
誘惑女子3人ごとに舞台が変わるというクイーンサキュバスの置き手紙の情報。
次の8番目以降にステージが続かないという、前例にもとづいた公算。
材料を吟味すればするほど、次のステージで誘惑女子が出てくる前フリが揃っているように思えてならない。
「……っと。もう次のステージは目の前か」
歩いているうちに、僕は自動ドアのだいぶ近くにまで来ていた。
歩数にしてあと2歩。1歩目でドアが開いて、2歩目で通過する距離。
「すぅー……はぁー……」
いったん僕は歩く足を止め、たたずんで深呼吸。
不完全ながらも、プールの水による感度の上昇は収まった。
けど、僕のペニスは硬く張り詰めている。今までの誘惑の積み重ねのせいだ。
この状態のまま女体の誘惑と戦うのは避けたい。少しでも休んで、心の準備を整えたい。
僕は淫欲で穢れた心をきれいに浄化するように、ゆっくりと深呼吸をくり返した。
そうして2分ほど時間が経過したところで、呼吸のリズムを通常のものに戻して、
「……行こう」
僕は足を踏み出し、ステージ8番目の自動ドアを開けた。