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夏目なつめ
夏目なつめ

fantia


マシュマロ色でおっきくて

§  窓の外は異界、尋常な世界。  吹き荒れる大気に歪んだ視界、一言で言えばそれは、混沌だった。  親しみ深かったはずのものは様相を変え、場違い感に身をよじる日々。俺はもう、壁にすがり恐怖と快楽の到来を待つことしかできない。 「瑠璃、翡翠、出してくれ、助けて……」  弱々しく少女らの名前を呼ぶ。情けなさはもう、感じなくなっていた。第一、出てどうなるというのか。俺はこの外では生きられない。助けようにももはや戻れない。それでも後輩たちの姿を望むなら、求めているのは彼女ら自身の存在とも思えた。  思考が堂々巡りを始める。ねじれて元に戻っていく。  そして、徐々におかしくなり始めた、そんな時。  不意に、大気がねじれ始めた。 「瑠璃……? 瑠璃!!」  焦点の合わないほど遠くから、何かが近寄ってくる。ざわめく大気、沸き上がる無力感と期待感。今日もこの時が来た。  必死に壁を叩き、それらの到来を待つ俺。ぼやけた視界は微かに揺れ、大地も重々しく揺れ始めた。    その、次の瞬間。  視界は、肌色一色に塗りつぶされる。 「翡翠、なのか……?」  目前に現れたもの、それは幅何十メートルもの、想像を絶する巨大な柱だった。黒が二本と肌色が二本、けれどそれは視界から溢れ、全貌を視野に収めることは叶わない。  それが、俺の前で足を止めると……。 『先輩、お元気ですか~?』  そう、俺に語り掛けたのだ。 『ふふっ、ちゃん~と“待て”、できましたか~?』  見上げれば、高さ160mの塔が二つ。 ──100倍サイズの、後輩たちの姿だった。 『こうして虫かごに入ってると、本当に虫さんみたい♪』 『ふふっ、下から私たちの下着、見上げてるんですね♡ 先輩はわるい虫さんです♡』 『あはっ♪ 翡翠ちゃんは隠さないんだ?』 『私だって本当は恥ずかしいんですよ~?』  呆気にとられる俺を置いて、クスクス話し合うブレザー美少女たち。重量100万分の1へと堕ちた小人を、制服少女らは笑い、甘くからかう。黒髪とベージュ髪の後輩たち、かつては俺を敬慕していた少女たち。それももう、絶対者と化して君臨するばかり。  当然のことだった。  1㎝サイズの縮小病者を、人間として扱う道理はない。存在を認識してくれるだけ、むしろ温情というものだった。ブレザーをまとった女神たちに、誰も来ない教室で、備品として飼われる日々。既にその事実は、倒錯とともに俺の精神に植え付けられていた。   「出してくれ! さ、寒いんだ……!! それに……」  寂しい、とは言えなかった。極小の体になって一人、巨大な存在に認識されないと自分の実存在さえ疑わしく思えてくるのだ。どんな目に遭おうと、それよりはよほどマシだった。虫かごの中、必死に二人の名を叫ぶ。だが、どんなに叫んでも無駄。縮小病になって3か月、既に飼い虫としての立場は決していた。もらってもらえたのは僥倖、とはいえ愛玩物として愛でられるとは思っていなかった。もう俺の必死さは、二人のクスクス笑いを誘うだけだ。 『必死に叫んでるね♡ でも何言ってるかわかんないや♪』 『ふふっ♪ また“アレ”、して欲しいんじゃないですか?』 『翡翠ちゃんが昨日、あんなことするから♪』 『瑠璃ちゃんだって、こっそりすごいことしてたの、私知ってるんですよ~?』  上位種同士が笑う、揶揄い合う。そして互いに、意味深な視線を交わすと……、 『『遊んで欲しいんですか~?』』  二人して、スカートをたくしあげたのだ。  瞬間頭上に現れた、太ももとショーツの大パノラマと言ったら。   『あはっ♡ 近づいてる近づいてる♡』 『こ~んなにおっきな私たちのおパンツでも、興奮しちゃうんですね♡』 『後輩の女の子に煽られて興奮しちゃうね♡ もう先輩、人間には戻れないね♡♡』 『このお股も太腿も、先輩の何万倍の重さなんですよ~?』  そう言ってクスクス囁き合う、巨大娘のむちむちおみ脚。瑠璃のニーソ太ももと翡翠のむちむち生脚、二つのエッチな塊が、俺を見下ろしからかう。二人の太ももはマシュマロのように色白でむちむち。その蕩けるような色彩が、世界をエロスで塗りたくった。 『またこのお股で潰してほしいんだ?』 『ふふっ、いつでも先輩のこと食べられちゃう、エッチなお股ですよ~♡』 『あんなに泣かされたのに、それでも興奮しちゃうんだね♪』  色情を煽るように、フリフリとお股を振って見せる巨大女神たち。お揃いのセクシーな黒下着が、その関係性を窺わせる。幅数十メートルのお股に、ぴっちり張り付いた大人の下着。小人の目には、あまりに毒な光景だった。  そして、二人して20mもの美貌を俺に近づけると、 『今日もぉ……』 『一緒に、遊びましょうね♡』  そう、囁くのだった。  違った、かつてはこんな二人ではなかったはず。  けれどあんなに恥じらっていた翡翠も、俺を前には優しい性の女神。下着を見られようと何も思わない。それどころか、自分から日々その生美脚を這い回らせる始末。快活で爽やかな空気をまとっていた瑠璃も、今や矮小な先輩男子を見ると甘い笑みを隠し切れずにいる。軽やかな翡翠のベージュ髪や瑠璃の黒髪、二人の艶やかな滝が目前で揺れ、俺は甘い芳香に包まれることに、どうしようもない歓喜を覚えていた。  そんな、美少女二人に飼われて。    二人の小人性愛に、巻き込まれるのが俺の幸せだった。 『じゃあ、持ち上げちゃうね♪』 『今日もたくさんお話、しましょうね♪』  少女の手がこちらへ広がり、全世界ごと持ち上げる。浮遊感が襲いもはや天も地もない。異常な視界の中では、どちらの女神が俺を運んでいるかすら判明ではなかった。 『そーっと、……ふふっ♪ 蟻の観察をしてるみたいですね♪』 『見えなくて吹き飛ばされちゃいそう♪』  机に置かれる。会話が始まる。より一層近くなった女神たちの間に立たされ、その疎密波に肌を振るわされるのだ。100倍の周波は脳の内側から沸き立つように少女らの声を反響させた。日常が、異世界的様相を呈し始めていく。 『それでね? 友達が……』 『そんな子、小人だったら踏みつぶしてあげるのに♪』  俺の入った虫かごを挟んで、談笑を続ける美少女たち。はるか上空で飛び交う言葉は俺を置き去りにし、目前で揺れる天体のような巨乳だけが感情豊かに生々しい存在を見せつける。ブレザーを着た二人は、セーター越しにもその豊満さを隠し切れない。もう、二人の体の一部さえ視野に収めることが難しいくらいだ。重々しく揺れる、二人の大きく育った爆乳たち。泣きそうなほど巨大な乳房だけが、俺の視線で捉えられるすべてだった。  そんな俺の視線など、二人が気づくはずもない。  だが、気付けば二人は箱の中を覗き込んでいて、 『あはっ♡ もう待てなくなっちゃったんですか~?』  翡翠が俺を、摘まみ上げたのだった。 「ま、待ってくれ、まだ、まだ……」  だが、待ってどうなると言うのだろう。安全だった箱庭、その外へと放逐されれば、美少女たちと俺を隔てるものはもはや何もない。ふわぁっと香る、少女の香りが危険を俺に囁いた。 『こ~んなにおっきな私たちに囲まれて、ビクビクしながら私たちのこと見上げてる♪ かぁわい♡』 『可愛い先輩がわるいんだよ? 自分の乳首よりちっちゃくなっちゃった男子なんか、イタズラしたくなっちゃうじゃん♪』  不意に、大気に危険な空気が満ち始める。女神たちの感情が、大気を淫猥にゆがめ始めた。小人を前に発散される、美少女たちの巨娘フェロモン。小人を誘惑する香りは濃密で、俺を捕食しようとウズウズしている様子だった。  まずい。食われる。  この巨体に、襲われる……!!  だが、脱兎のごとく逃げ出しても無駄。 『あはっ♡ トテトテ走ってる♡』 『ふふっ、逃げちゃダメですよぉ♪』 『私のおっぱい、先輩と遊びたくてうずうずしてるんだよ? 逃がす訳ないじゃん♪』  そんな言葉とともに、不意に辺りに広がる巨大な影。走っても走っても抜け出せないそれは、二つの丸みを帯びていて── 『早くしないと、おっぱいでブッ潰されちゃうよ~♪』  瑠璃の下乳が、上空を埋め尽くしているのに気付くのだった。 「ひっ?! やめろ、死ぬ、死──!」  けれど、瑠璃は待たない。待つはずがない。  重々しく持ち上げた爆乳を、煽るようにゆさゆさ揺らすと。  手を離し。  数千トンおっぱいを、俺へと解き放ったのだ。  次の刹那。 「ま、待っ──!」  “ズッドンッ!!”と。  目前に降ってきたのは、山のような大爆乳。ビルさえ吹き飛ばすような甘い爆風で俺を吹き飛ばし、着衣爆乳を鎮座させる。未だ肉感豊かに“ぶるるんっ♡”と揺れる、黒髪美少女のGカップ。10階建てのビルさえ挟み潰せる巨爆乳が、その過剰戦力で俺を見下ろしていた。 『あはっ♪ 先輩おっぱいで通せんぼしちゃった♡ わかるかな~? 先輩、私の観覧車みたいなサイズのおっぱいで見下ろされてるんです♡ こうして比べると、スイカと米粒みたい♡ もう繊維の方が先輩より太いんじゃない?』  笑うたび、ゆさゆさ、むんにぃっと弾む巨乳様。ベージュのブレザーも繊維の格子模様をパンパンに膨らませ、今にもはち切れそうだ。“ふわぁ……っ♡”と広がる、女子高生のアロマ、甘い体温。重力すら感じさせる巨乳はエッチな香りを振りまいていて、くらくらと眩暈さえ催してくる。  未だ激震の余波に酔う俺を真上から覗き込み、慈愛と性愛に満ちた笑みを浮かべる瑠璃。  そして、米粒のような先輩に向かって、一言。 『登って♡』  そう言ったのだった。 「え……?」 『ふふっ♪ 男の子ならぁ、女の子のおっぱいになんか負けないですよね♪ まさかおっぱいも登れないなんてこと言わないよね♪ そ・れ・に♪ 登れたらご褒美、あげちゃいますよ~♪』  そう手に取ったのは、小さなアンプル。小人も俄かにその小瓶に反応を示す。薬、縮小病者用の薬剤だ。対処療法に過ぎないが、それでも今の状態からおさらば出来る。 『この薬なら、一日くらいは大きくなれますね♪ 5㎝くらいだけど♪ それでも今の先輩の3倍以上だよ? やったね♪』  そして、小瓶を自身の胸元に一滴垂らすと……。 『登って登って~♡ 私のおっぱい、虫みたいに登っちゃうんです♡ そうしたらおっきくしてあげますよっ♪』  クスクス笑いながら、爆乳を突きつけたのだ。 『早くしないとお薬蒸発しちゃうよ? 熱に弱いんです♪ 女の子のホカホカおっぱいに染み込んだら先輩、泣きながら私のお胸舐めないといけなくなりますよ~? 山みたいなおっぱい中探し回って、遭難しちゃうんです♡ そんなのイヤですよね? じゃあ……』  それから改めて巨乳を“ズドンっ!”と鎮座させると、 『登って♡』  甘く、囁く瑠璃。だが、見せつけられれば見せつけられるほどその巨大さは圧倒的の一言。特大の気球でさえブラにならないほどの巨乳は、滑落すれば十分落下死出来る高さだった。  尻込みする俺。  そして、後ずさりしている、その背後から。 『ふふっ、なんだか楽しそう♪ …………えいっ♡♡』  降ってきたのは、もう一つの美爆乳。翡翠の不意打ち乳メテオに、声も出せず吹き飛ばされる。次いで瑠璃の乳房に叩きつけられては、ふにゅんっとはじき返されるのだ。うずくまる俺を包囲するのは、美少女たちの100倍爆乳たち。 『ふふっ、これす~っごく恥ずかしいですね♡ 私のおっきすぎるおっぱい先輩に見せつけて、自分が怪物になっちゃったみたい♪ 私のおっぱい、怖いですか~? デッカくて恐ろしくって、先輩のこと、おしつぶしちゃうかもしれませんね♡』  俺にはにかみながら囁きつつも、羞恥心を向けているのは俺よりむしろ瑠璃の方。もはや小人の視線に恥ずかしがることもなく、ちらちらと共同統治者の視線を気にしている。  それから、二人してズイッと巨乳を突き出すと── 『『私に登って♡』』  俺に、選択を迫ったのだった。

マシュマロ色でおっきくて

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