NokiMo
夏目なつめ
夏目なつめ

fantia


貴族ドSロリは、魔性を孕んで甘く甘く

§  放蕩息子は帰還せず、じき親父も帰らぬ人となった。  馬鹿げた話だ。  結局、後には何も残らなかったのだから。  だって、実際そうだろう。資産家が死に、遺産はごく潰しが蕩尽した。残ったのはどうしようもないドラ息子だけ。それで物語が終わるのだから、いまいち興に欠けるというものだ。  まあ、あのクソ親父に責がない訳ではない。まったく、価値のわからないものに価値があるという、その欺瞞だけが取り柄のような男だった。実業家だったクソ親父は一代で財を成したが、同時にスノビッシュな人格を醸成したらしい。上流階級の世界はコンプレックスを生み、代償に虚栄を生み出す。鼻持ちならないプチブルに、本物のブルジョワジーのご面々もさぞかし苦笑したことだろう。  そんなものに育てられてみろ。  たまったものじゃないぞ。  仔細は語るまいが、後はお察しの通り。クソみたいな俺がいて、クソみたいな現実がある。意味ある価値を求めて学問をしたりもした。それは親父の虚栄心を満たしはしただろう。おおフィリップ、これで我が家も正真正銘の上流階級だと。アッパーミドルの子はアッパーミドルだとわからないのか。こんな虚飾よりは事実の残酷さの方がまだ快い。合理主義の冷徹さも俺好みだ。だがくたばってからはそれも糸が切れ、勉学の糸も切れた。今はもう徒手遊食の身。もちろん、それは俺の物語であり俺の責任だ。  強いて言えば、文化資本と財産を遺してくれたことには感謝している。親父は俗物だったが、愛すべき俗物だった。  だが、俺はそうではない。  皮肉屋の冷笑家、煮ても焼いても食えない二代目ボンボン。鼻持ちならないなどというものではない。商売にはハナから興味がなかった。無気力な性格で、根性もない。財の代わりに学をなしたが、学者の道に進む気もなく無為徒食を愛したのが俺だ。学者にならなかったハンバート・ハンバート。スタブローギンとステパンを足して3で割った嘲弄家。おまけに俺は、屑で卑屈なくせにプライドが高かった。自虐ではない。本当のことを言うのに心は痛まない。  そんな俺が、だ。  そんな俺が、貴族のご令嬢をお相手することになったのだから世の中儘ならない。  俺には嫌いなものが二つある。貴族と成金だ。成金は言うに及ばず、親父の憧れた貴族趣味も厭わしい。  それがどういう風の吹き回しか、ある日、ある日のことでございます、辺獄のふちを独りでぶらぶら歩いておりました折、一つの天啓を得たのでございました。そうだ、ガキをたぶらかそう。貴族のガキの家庭教師になり、悪徳を植え付けてやろう。いや、ガキは嫌いだ。大嫌いだ。だが貴族の令嬢と関係を持っておくのに越したことはない。今まで倦んで来た連中だが、この際利用しない手はなかった。  そう思うと、俄かに興が湧いてくる。高尚な学問は常識を疑わせる。場合によっては正気さえ失わす。教導と銘打って本道を外れさせるのは一興に違いない。最悪惚れさせれば良い。生憎俺は顔が良い。  今思えば、悪霊に吹き込まれたとしか思えない発想。内容がじゃない。巡り合わせが、だ。だが、その時いかにもそれは妙案に思えた。蓄えた空虚な学識も無駄にせずに済む。廃物利用という奴だ。  俺にしては珍しく、それからの行動は速かった。遠ざかっていたサロンに入る。薄ら笑いを浮かべて相槌を打つ。取り繕うのは得意分野だ。そして、それとなく求職の話を紛れ込ませた。ペスタロッチの名前でも出して、幼児教育に目覚めただとか言えばいい。首尾は上々。子連れのマダムに引き合わされるまで、そう時間はかからなかった。  いや、むしろ。  声をかけてきたのは、なぜか先方からだった。  奇妙な話だ。連中は平民が網にかかるのを待つもの。それも、極めてやんごとない身分のお方。だが一抹の疑念を抱きながらも、応じない手はなかった。 「この度はお招きいただき光栄に思いますマダム」  恭しく礼をしながら、心にもない世辞を述べ立てる俺。とはいえ、あまり媚びすぎても軽んじられるだけだからほどほどが肝要。くだらない技術ばかり身についていく。反吐が出そうだ。  ……だが今回は、さしもの俺も好奇心が勝った。 「えぇ、えぇ、……それで、今回はどういったご理由で──?」  いかにも美人な貴族といったマダム。まだうら若い婦人に訊けばどうも、サロンで子供が俺を気に入ったらしい。正直全く覚えていない。引っ込み思案な子だというから、親の影にでも隠れていたのだろう。……いや、今も現に隠れている。美しい銀髪が、マダムの豊満な体つきから少し覗いていた。恐ろしく小さな人影だ。150㎝にもまだ届かない。とんだガキに捕まったらしい。    “ほら、ご挨拶なさいシルヴィ”とマダムが促すと、背後から、小さく声が響く。細く鈴のような声の音。年相応だが、凛とした声だ。 「はい、お母さま……」  そして、吹けば飛びそうな細い体が、影から現われた時。  息を吞んだことに、俺は気づかなかった。 「ごきげんよう。シルヴィ・ド・ショワズールと申します……」  そうカーテシーを組んだのは、恐ろしいほど美しい美少女。銀糸の髪を持つ、目の覚めるような愛らしい少女だった。  いや、幼女というべきかもしれない。ローティーンのその姿はひどく華奢で、頭も俺の胸元に届くかどうか。ハイウェストスカートにフリルドレス、首元にはリボンタイと、出で立ちも少女然としている。ひどくお行儀のいい、気弱な幼女といった様子だ。黒タイツを穿いた脚も、どこか頼りなく見える。だが、曰く言い難い芯のようなものも感じさせるのもたしか。ひどく何かを宿し、開花を待っているような不可思議さだ。案外、芯のある才女に化けるかもしれない。そう思わせるものがあった。  だが、何より。  感じさせられたのは、圧倒的な気品。  殴りつけるような、絶対の高貴さだった。 「……どうしました?」  突然客人が押し黙れば訝しがりもするだろう。俺だってそうだ。まさか、この俺が子供の見目麗しさに自失するとは。 「……いえ、あまりにお可愛らしいので、つい」 「ふふっ、フィリップ様ったら」  クスクスと笑う、その素振りも気に障るほど上品だ。子供だというのに既に貴族に成り切っている。気に食わない。だが、愛らしさと美しさが全て隠してしまう。それもまた許しがたい。思わせるのは、レモン風味のマドレーヌ、それも紅茶漬けの。  ああでも、こういう娘を惑わせるのは愉快かもしれない。  そう、気を取り直そうとした時。  一瞬。  ほんの一瞬。  ふと、シルヴィがどこか、じっとりと重たい視線で俺を見上げたのだ。 「……ッ?」  思わず、ゾワリとする。まなじりに灯った妙な艶。成長期の少女が孕む、妙な倒錯感のせいか……?  だが、次の瞬間には人形のようなかわいらしさに戻る幼女。それから母親の裾を引くと、 「お母さま、私、この方と少しお話がしたいわ」  か細く澄んだ声で、そう囁いた。  “そうね、それがいいわね”と母親は子の頭を撫で、マダムはそのまま部屋を去る。 ──そして、重厚なドアが閉じた、その瞬間。 「……あはっ♪」  突如幼女が立てたのは、悪魔的な笑い声だった。  そして口を開けば。 「やっと行ったわね♪ まったく、疲れちゃうわ。貴方もバカバカしいと思わない? 貴族の娘になんて生まれるものじゃないわね。お母さまは人が好過ぎるのよ。美徳も過ぎれば無粋だわ。そうでしょう? 人が好だけならいいんだけど、頭もそんなによくないじゃない? 礼節ってやっぱり頭を鈍くするのね♪ イヤになっちゃう♪」  始まったのは、恐るべき長広舌。シャンパンに似た苦味を含む毒舌が、一挙にまくし立ててきた。  呆然とするのは当然だ。 「あの、マドモワゼル……?」 「貴方もその下手な芝居、やめたら? 窮屈なのはよく知ってるわ。特に貴方みたいな偏屈者にはね♪」 「なっ……!?」 「ばぁか♡ その間抜け面をやめろって言ってるの。面白くはあるけれど、眺めるには退屈だわ」  突然の毒舌の数々に言葉を失う。まさか、俺がたじろぐ日が来るとは。だが、豹変した小娘を相手にすれば言葉も出ない。さっきまでの雰囲気はどこに行った? 目の前の女は本当にさっきの小娘か? 悪魔憑きなんじゃないかこの幼女。  一方の毒娘は、俺のもとへ歩み寄りネクタイを首輪のように引っ張る始末。可愛らしい踵を上げて背伸びし、挑戦的なまなざしでこちらに笑みかけるのだ。値踏みするように俺を見上げる毒舌ロリ。天使の輪を戴く銀髪から、柑橘のような香りがふわりと漂う。同時に、クスクスと見上げる幼い視線も。  そして、ねちっこく笑うと、曰く。 「ひねくれ者が素直になってもつまらないだけよ? 尻尾を出しなさい」 「……」  深くため息を吐く。事ここに及んで、やっと理解する。こいつ、バケモノだ。仮面は通用しない。というより、意味がない。素の顔に戻って俺はタイを掴む手を払いのけ、奴を厭わしげに見下ろした。 「……こんな地下人に何の用だ?」 「用はないのよ。ただ気になっただけ。それじゃダメ?」 「良い訳あるか」  “ようやく舌足らずさは卒業しました”といったあどけなさの残る声色で、さえずるように軽やかに、けれどチクリと甘く刺す幼女。胸元から俺の渋顔を見上げながら、挑むように見上げて笑っている。人の時間を奪うのを当然だと思っている顔だ。これだからお偉方のガキは嫌なんだ。   「あのなお嬢さん、おままごとに付き合うつもりはないんだ」 「あら、あんまりに見惚れるから惚れたんだと思っていたわ」 「ガキに構う暇はないと言ってんだ」  だが当のガキは、俺の挑発にも乗らず鈴を転がすように笑う。耳に快いのが一層腹が立つ。それも、小馬鹿にされているというのに。生憎道化役を演じることには慣れていない。シニカルな役どころはむしろこちらの演目で、お鉢をいともたやすく小娘に奪われたと思うと当惑さえ覚えるほどだった。 「貴族はこれだから……」 「貴族趣味が嫌いなのね。私も同じよ。知ってる? 私の名前、ホントはもっと長いの。名前が4つも繋がってるのよ? それに苗字。貴方はどうせ覚えないから言わないけど。そうでしょ? だってあなた、他人が全員カボチャに見えるタイプなんだもの。プライドの割に、自分にもそんなに興味はないクセにね♪」 「……何故そんなことがわかる?」 「顔を見ればわかるわ。一目見て気づいたの、偏屈な嘘つきだって。だから気に入ったのよ」  このガキ、読心の秘術でも使えるのか。訝しみつつ、苦々しく胸元に浮かぶ瞳をねめつける。  だが、次に口が開いたときには。 「言っておくけど、心は読めないわよ」  そうのたまったのだった。  天を仰ぐ。  なんだこのガキは。猫をかぶった毒舌家、それも、12歳程度のガキのくせに。  まあ、たしかに。  たしかに大別すれば、こいつは俺と同じ人種だろう。生まれついた星も同じかもしれない。だが、こいつにはこの世を楽しんでやろうという野心がある。度胸が据わっているしおつむの出来は老獪の域、その語り口からはねじくれた気品を感じさせる。より正確には、気位の高さというべきかもしれない。傲慢ささえ思わせるその自信は、けれどその容姿により説得力を持ち、ただただ高雅。まるで戴冠せる幼い女王のようだ。  こんなガキがいてたまるか。  Enfant terrible。よくも、悪くも。 「ふふっ♪ 少しは私のこと気に入った?」  シルヴィが椅子に腰を下ろす。ちょこんと座る、その姿だけは愛らしい。けれど美脚を組み俺を見上げれば、俺を見上げる様はさながら色気ある女性拷問官だ。 「用がまるきりないって訳じゃないんだろ。いいから早く話せ。そして帰らせろ」 「練習台が欲しいと思ったの」 「練習台……?」  また面妖なことをいう小娘。そんな様が面白いのかロリ魔女娘は、肘かけに頬杖を突いてクスクス笑っている。組んだ黒ストおみ脚を揺らし、偏屈者の当惑を楽しむかのようだ。そうすれば、たわんだ太ももがむっちりとした肉感を主張する。幼女から娘へと育ち始め、特有の肉付きを帯び始めたそのおみ脚。下品なほど太くも貧相なほど細くもない肉合いは絶妙で、独特の色香を漂わせるほど。思わず、ドキリとさせられる始末だった。  何をバカな。こいつは子供だ。年端もいかない小娘じゃないか。  そうは思いつつも、この高貴なメスガキは目を逸らすことを容易には許さなかった。おかしい。何かおかしい。正体不明の焦燥が、胸にくゆり始める。 「……もういい。帰らせてもらう」  踵を返す。これ以上は付き合ってられない。というより、危険だ。  けれど、一歩と踏み出す間もなく、 「あら、そんなこと私が許すと思ってるの?」 「自分じゃ何も出来ないガキの癖に何を……」  その声にシルヴィはクスリと笑うと、一言。 「なら、良いものを見せてあげるわ♪」  “何を”、と言う間もなかった。  次の瞬間襲ってきたのは、強烈な浮遊感だったのだから。 「ぐっ!? 何だ……ッ!!?」  突如底が抜けたような落下と強烈な違和感に、思わず悲鳴を漏らすひねくれ男。とてつもなく奇妙な感覚に、ぐにゃりと背筋が歪んだような気分だ。視界が変転する。視線が落下する。奈落に堕ちていくような恐怖感だ。  どういうことだ。いったいどういうことだ? そして、ようやく気付く。強烈な違和感の源泉が何か。落ちているというのに足がついている。視界だけが落ちていくのだ。  何だよそれ。それじゃまるで、まるで……。  縮んでいるみたいじゃないか。 「貴様何をしたっ!?」 「ふふっ♪ もうわかってるくせに♪」  慌てて振り返るも、目前に現れたのはシルヴィの黒スト美脚だった。いや、もう視線は幼女の膝小僧と背比べ。その上、巨大化はなお止まっていない。3倍もの巨人と化した幼女は、4倍、5倍、まだ進む。思い出すのは、貴族にまつわるあの噂。秘術が使えるなどという与太話だった。  まさか、本当だったのか……?!  そうと気付いてももう遅い。だって今の俺は縮小中。世界は上昇し、足元からは絨毯の草原が急成長してみるみる視界を奪っていく。まずい、大変まずい。この娘を前に無力を晒せば絶対に弄ばれる。どころか人権を失うのは必至。猛獣の檻に迷い込んだような恐怖が俺を襲った。  が、もう遅い。  既に、世界は途方もない巨大さへと変わっていて。 『あはっ♡ 成功してみたい♡』  ドSロリも、その身を30倍へと変えていたのだった。  身長、40m以上。比較を絶した巨大娘へと、変貌するシルヴィ。  けれど俺に見えるのはただ、鬱蒼と生い茂る絨毯の森林をなぎ倒し、ぬらぬらと輝きを放つ、巨大な塊だけだ。  それが、女児用のローファーだと気づいた時。 「ちっ……くしょう……」  偏屈者の呻きは、いよいよ悲壮なものとなっていた。 『ふふっ♪ もう私の指よりちっちゃくなっちゃった♪ ここからだと見えにくいくらい♪』  絨毯の海をなぎ倒し、城壁のようにそびえ立つ革の壁。漆黒の要塞のようなそれは、けれど可愛らしく丸っこいフォルムを保っている。その磨き上げられた表面には、情けなく立ち尽くす俺の姿。遠近法で歪んだ非現実的な異世界で、その大きさだけがリアルだった。  とはいえ、いつまでも非現実感に浸ってはいられない。  貴族ロリは、ねっとり唇を潤すと、 『じゃあ、最初は……』  獲物を前に、勝ち誇った笑みを浮かべたのだから。  後ずさりする小男。  一歩、二歩、そして、脱兎のように逃げ出せば……、 『楽しいことから始めましょ♪』  背後で、少女の立ち上がる音がした。 「まさか……、待て、何をする気だ、おい、来るな、来るなぁっ!!!」  小男が本能的に逃げ出す。縮んだ体は巨人を前に無力、接近だけで脅威にならざるを得ない。おまけにこいつはドSロリ。俺を縮めた張本人がどんな悪意を持っているか、考えさえしたくなかった。だのに周囲は絨毯の絶海。高草のような繊維が行く手を阻み、ろくに走れもしない。逃げろ、逃げろ、逃げろ! 俺は、ほとんど半狂乱だった。  無論、そんなもの小魔女が気にするはずもない。  一歩踏み出せば、その重い一撃で地面を跳ねさせ── 『……あはっ♡』  転んだ俺へ、大きく足を振り上げたのだ。見上げれば、天高く舞い上がり俺を見下ろす女児靴の底。他人の足底なんて、生きていてそうそう見るものではない。それ自体が侮蔑の意味を持つからだ。それが今、こんな年端もいかない小娘に踏まれようとしているだなんて。  けれど、煮え湯を飲む暇もなかった。一転、ローファーは急降下をはじめると、 『踏み潰されちゃえ♪』  “ズダンッ!”、と。  破壊的なその威力を、大地へと叩き込んだのだ。 「わあ゛っ!?」  瞬間襲ってきたのは、全てを粉砕するおみ足爆風。ロリの踏み付けが立てるそれが、逃げ始めた俺の背を吹き飛ばすのだ。塵のように弾き飛ばされ、絨毯の海へと叩きつけられる小虫。  それでも、シルヴィの踏み付けは終わらない。  突っ伏す俺のそばに忍び寄る、物々しいまでに巨大なローファー。  強靭な皮でさえ、巨ロリの膨大な体重で軋み悲鳴を上げ始める。重心に応じてジリッと僅かに動く靴要塞。ローファーの中で、巨大な塊が重心を変える気配だ。 ──もう一撃来る。  今更逃げ出す俺を、シルヴィは笑った。 『バカね。ほんっと鈍いんだから♪』  刹那炸裂したのは、とてつもない烈震。幼女が、その一歩を地面に刻み込んだのだ。  それからは、もはや息つく暇もなかった。 『ほら、逃げると踏み潰してもらえないわよ♪ 下手に死に損なうと大変なんだから♪』  “ズドンッ! ズドンズドンズドンッ!”と爆撃のように小さな足を叩きつけながら、鬼畜ロリは笑う、さえずる。そのおみ足スタンプ攻撃は、彼女にとっては軽く足元をならす程度のもの。だが俺にしてみれば、その20㎝程度のロリおみ足は死の鉄槌に他ならない。  必死だった。 「クソったれ! 誰が……わあああッ!?」 『あはっ♪ 小汚いネズミは口も悪いのね♪ ……このゴミ虫♡ そんなの、子供の足に踏み潰されるのがお似合いよね?』  軽やかな声と降り注ぐ、小さな小さなローファー爆撃。少女の笑声は愛嬌と嘲弄に満ちていて、“わざわざ踏んであげるんだから感謝しろ”とでも言わんばかりだ。だがそれに構っている暇はない。だって相手は1000トンに迫る巨大娘、その一歩は石造りの邸宅が降ってきたようなもの。踏みつぶされれば痛みを感じる間もなく抹殺されるだろう。50mロリの魔手から逃げなければ、俺は終わるのだ。 『ばぁか♡ 逃げ場なんてある訳ないじゃない♪』  這う這うの体で逃げ出す小虫。それでも少しずつ、少しずつ家具へと近づいていく。家財の隙間に這入りこめばさしもの幼女も見つけられまいと、そう淡い希望を抱いたのだ。面妖な力を使う小娘に、そんな小細工が通用するはずもない。それでも錯乱状態の小男は、藁にも縋る思いでそこめがけ走り出した。  が。  それすら叶いはしなかった。  だって突如。  目の前に、ローファーが降ってきたのだから。  巨大ロリが、靴を脱ぎ捨てたのだ。 『えいっ♪』  磨き上げられ、艶っぽく輝く女性靴。それがはるか上空から飛翔してくる光景は圧巻だった。漆黒の色気と子供用靴の可愛らしさが、一転似つかわしくない巨大さへとみるみる変貌していくのだ。  刹那、全てを吹き飛ばす幼女の履物。  俺もまた、ノミ虫のように吹っ飛ばされる。 「があ゛あ゛っ!?」 『ふふっ♪ 吹っ飛んじゃった♪』  地面に叩きつけられうずくまる俺を、大きな影が飲み尽くす。見るまでもない。雄弁に語る巨人の気配。幼女が、再びおみ足を振り上げる。  そして、次の瞬間。 『つ・か・ま・え・た♡』  黒ストロリおみ足が、“ずどっ!”と小虫目掛け降り注ぐ、地に突き刺さる。俺を、思いっきり踏みつけたのだ。 「ぐっ、あああああ゛あ゛っ!!?」  鬼畜娘の、ふんわり蒸れたタイツおみ足。その重く甘い柔らかさに圧し潰され、小男は絶叫とも悲鳴ともつかない声を上げた。無駄と承知で押しのけるも、繊維の被膜越しに指肌がたわむだけだ。タイツ越しに突き付けられる丸っこい爪も恐ろしく、無力感だけが押し寄せる。もう下半身は汗ばんだ足指の間、ギチギチに挟み潰され破裂するのを待つばかり。 『ちっちゃい女の子の足に下敷きにされるなんて夢みたいね♪ 私の足、20㎝しかないのよ? それが貴方には6m♪ どんな風に見えてるのかしら? 重い? 苦しい? 熱くて重くて柔らかくて怪物みたい、そうでしょう? 子供の足なのにね♪』  軽やかに笑いながら、けれど“ぐりっ♡ ぐりぐりぃ……ッ♡”っとつま先を練り込むのをやめない鬼畜幼女。その甘い踏みつけは凶悪の一言。可憐な造形からは想像もつかない巨重と体熱で、小虫の生命を弄んでくる。美しき巨獣に犯されている気分だ。小人の体はそれに耐えられそうもない。バキバキと軋む肉体、絶望する精神。ただただ圧倒的なそのおみ足の下敷きにされ、幼女の香りに包まれる。スベスベの肌を押しても押しても、ぷにぃっと押し寄せてくる圧倒的足指。ふっくらふくらんだ指の付け根が股間を踏みにじり、黒スト足指が両頬を撫で回す。  俺の耐久力を測るように、少しずつ、少しずつ増していく荷重。浮かせていた足を下ろしているだけだというのに、ロリおみ足の重さだけでゆっくり殺されていく。シルヴィが地面を踏みしめれば、ついに矮躯はみっちりぎっちりとその足肉に埋もれてしまった。それでも、圧力は強まっていくだけ。  もう、ダメだ。  俺は全てを諦め、全身を包み込むタイツ足裏を受け入れた、  その時。 『……これじゃ花がないわね』  不意にシルヴィは、足を浮かせた。 「ぶはっ!?」  一気に膨らんだ肺が、ロリアロマを思いっきり吸い込む。涙目の視界に浮かぶ、陰影豊かな幼女の足裏。  それが再び、“むぎゅうぅっ♡”と俺へと襲い掛かれば。 『こっちの方が、きっと貴方ごのみね♪ そうでしょう?』  優しく撫でるように、足を滑らせ始めるシルヴィ。“すり……すりすり……っ♡”と、足を俺に擦りつける。  幼女のタイツ足裏による、全身足コキの始まりだった。   『あはっ♡ もう抵抗することもできないのね♪ 幼女の足に屈服したのかしら? この屑虫♡』  “すり……っ♡ ずりぃッ♡”と、ふっくらと柔らかな足裏の造形を教え込むように俺を踏みつける幼女。起伏に富んだおみ足が、くねるようなその立体感を練りつけてくるのだ。まだま発達途上の足は丸く柔らかく、けれど独特の色気で俺を包み込む。スベスベとした質感が滑らかに全身を撫でこすり、体熱はじっとり俺を蕩かせた。  あの色っぽいロリ美脚の先端が、その色香で俺を愛撫していく。甘く甘く蕩かせていく。クソガキなんかに踏みつけられ、足裏をなすりつけられるなんて。その屈辱感は本物だった。憤死しそうなくらいだ。けれど、それでも愛撫は俺をめで殺す。やたらエロい足使いのロリ足コキ。その蕩けるようなおみ足愛撫は、確実に俺に何かを植え付けていき。  俺は、気付いてしまうのだ。 (なんで、なんでこんなのが……) ──気持ちいいんだ……!!?  認めがたい事実だった。だが確実に反応し始めた俺の動物性は、今や狂おしくシルヴィの足裏を求めている。そこに容赦なく押し付けられる、圧倒的なまでのふっくらぷにぷにおも足。タイツ特有の悩ましい肌触りが、性感をさらに加速させた。  肉体に公然と裏切られる俺のプライド。踏みつけられながら欲情させられるなんて。それも相手は、数十トンもの巨大ロリ足なのだ。美女でも侍らせているべきこの俺が、ロリに踏まれ、あざ笑われ、興奮させられている。とてつもなく巨大な足を前にすれば、俺など芋虫程度のもの。そんな状況なのに、屈辱どころか欲情させられている。 「こんなこと、嘘だ、嘘だ嘘だ、ッ、あ、っ~~~~ッ♡♡♡!!!」  だが、股間は従順だった。擦りつけられるタイツ肌に、亀頭は爆発寸前だったのだ。甘く絡みつく、貴族美少女のタイツおみ足フェロモン。ナイロン繊維は広大なロリ足裏にぴっとり張り付き、第二の肌となって俺を愛撫する。  ぷにふにおみ足の快楽は、爆裂的。  でも、それだけでは終わらなかった。  少女は指股でギチッと俺の体を拘束すると。 『虫にはこれがお似合いね♪』  そのまま、もう片足で容赦なく股間を責め始めたのだ。  取り押さえられたままの、問答無用の足指コキ。ロリ足逆レイプだった。


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