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夏目なつめ
夏目なつめ

fantia


「サイズフェチ百景 1/1000サイズ×unaware」

§  空漠たる空間を前に、俺は途方に暮れていた。  無限に続く平面に立ち、あたりにはなにもない。  どこだここは。 「ドッキリか? 連れ去り? いや、でも……」  サークルルームに入り、一息ついたことまでは覚えている。  それから、眠くなり机で突っ伏していたことも。  そして目が覚めたらこの不思議空間にいたのだから、当惑するのも無理はなかった。 「おーい! ……って、誰もいないか」  とにかく、あたりを探らねば。  頭痛は未だ癒えないが、坐していては進展がない。 「とは言っても……」  見回してもあたりは一面の抽象的な平面。ぽつんぽつんと四角い建物のようなものがそびえているが、それが何かもわからない。まるで3D空間に適当にオブジェクトを配置したような場所だった。壁があるのかもしれないが、地平線のかなたに霞み見えもしない。  もしかして、電脳空間にでも転送されたんじゃ……?  そう思った頃合いだった。 「……地震?」  不穏な振動。ショッピングモールほどもある箱も、俺の立つ地面自体も、一様に揺れている。  その振幅は徐々に激しく、突き上げるようになっていった。  はるか遠くから、巨大な何かがやってくるらしい。  逃げるか?  逃げるって言ったってどこに?  だが、逡巡する間もなかった。 《     !!》  突如開いたドア。  そこから現れたのは……。 「きょ、巨人!?」  顔は見えない。遠すぎて見えない。だが、霞の中の輪郭ははっきりとした人型だった。それも一人じゃない、二人もの巨神が何百メートルとそびえているのだ。並の山より大きいかもしれない。いずれにせよそれは、認識のスケールをはるかに超えていた。  見えるのはわずかに、ストッキング美脚に生脚美脚、4本ものむちむちとした塔が地平線からそびえ立っている。見上げれば、どうもその姿は女性のようだ。近寄ってくるにつれ、ぼやけた像のピントが合ってくる。放埓な雰囲気で話すのは、茶髪に白シャツ、黒のストッキング。対する黒髪娘は生脚で、どうも黒い薄手のタートルネックを着ているらしい。  その姿には、見覚えがあった。 「成瀬と……古淵か!?」  もはや認識能力を超えたサイズを誇る巨大女神二人。  それが、我がサークルの女子メンバー二人だと気づかされたのだった。  ⁂  遡ること数十分前。 「なんだこれ……?」  サークルルームに着いた俺が目にしたのは、机の上の本、菓子箱、そして、面妖なダイヤル式の器械だった。 「“サイズ変換器”……? 成瀬が持ち込んだのか?」  我が部屈指の奇人のことだ、何を持っていてもおかしくない。奇特な人格に奇怪な言動。紅茶色のロングが似合う美人が、惜しい話だ。クリクリとダイヤルを回しながら俺は、世の儘ならなさを思わずにはいられなかった。 「いや、或いは……」  或いは、古淵が持ってきた可能性もある。凛と静かなあの黒髪美人は、何を考えているかわからないところがある。俺たちの与り知らない秘密の一つや二つ、あっておかしくはなかった。 「……」  ミステリアスな女性、それは俺の好むところだった。落ち着いていて黒いシルエットが美しい、謎めいた女性。 「彼氏、いるのかなぁ」  思わず、ぼやいてしまう俺。不安まぎれに、手の中のダイヤルをクリクリいじってしまう。  まあ、何事もわからないものはわからないものだ。これの所有者も、恋人の所在も。  俺は最後にクルリとダイヤルを回すと、仮眠をとることにした。  生憎レポート明けに徹夜明け、睡魔は限界に達している。  そして、机に突っ伏し、やがて目が覚めて。  ──俺は、二人の1000倍巨女神を前にしていたのだ。 「こぶち……、古淵なのかっ!?」  わななきながらもコミュニケーションを試みる俺。だが、そんな声が届くはずもない。ふもとから山頂に叫ぶようなものだ。おまけに女神たちは談笑中。もう、聞き取ることさえ難しい。もはや大気の巨大なうねりと化した二人の声は1㎜小人にはあまりに過大だった。 《今日は誰もいないのね。いつも一人くらいはいるものなのに》 《珍しいね》  饒舌な成瀬に短く返しながら、黒髪美人がこちらに歩み寄る。もう、ヒールの立てる一撃一撃が地雷でも爆発したような衝撃だ。その巨大な躯体が立てる暴風といったら。このサイズからでは、キラキラと舞う埃が巨体に乱暴に吹き飛ばされるのがよく見える。おまけに、成瀬も動くのだからその威力は破壊的の一言。俺は必死に机の傷の中に身を伏せることしかできなかった。 《ま、みんなレポート明けで疲れたのかもね。この時間に来なかったらもう来ないでしょ》 《今日は二人っきりね》  この世の終わりのような音を立てながら椅子を引き、巨体二つが俺を挟んで座り込む。そうすれば、左右で“ばるんっ♡”と揺れる巨乳たち。もう、東京ドームでさえブラにならないほどのスケールだ。それがしめて四つ、豪快に揺れるものだからたまらない。友人の巨乳が立てるダウンフォールだけで、俺は木っ端のごとく巻き上げられそうだった。 「き、気づいてくれ!! 俺だ、俺だって!!」  よろよろと立ち上がり、古淵だろう巨影に近寄る。ふわりと辺り一帯に漂う女性の香りの中に突入し、もう体温さえ感じるほどだ。けれど歩いても歩いても距離は縮まらない。山に向かって走っているような気分だった。  その上。 「本当に、古淵なんだよな……?」  俺は、1000倍娘の存在感に、畏怖を禁じ得なかった。  当たり前だ。だって裾野から山頂を見上げるのと違って、まっすぐ上に巨体がそびえているのだ。角度のついていない1000mの高みは俺には遠すぎて、見上げるだけで目がくらむ。おまけに頭上を覆うのは豊満な乳房。女性的な丸みは重々しく上空で揺れて、そのボリューム感でご尊顔を拝することを許さない。 (デカいとは思ってたけど、これほどとは……)  女性しかいないせいか、普段より一枚多く脱いだその姿。春先の陽気に汗ばみ服の少しぴっちりと肌に張り付くその姿は、その起伏の激しいラインを隠しきれない。“むわぁ……♡”っと、あたり一面に立ち込めるフェロモン交じりの女性の色香。オトナっぽいその香りに包まれて、頭がクラクラしてくる。   《肩が凝ったわ。ほんと、レポート続きでイヤになるね》 《そんな重いものぶら下げてるからでしょう?》 《貴女、言い方ってものがねぇ……》  あけすけな成瀬の言いように、言葉を失う黒髪女神。だが、その乳房の重量感は隠し切れない。頭上で“だぷんっ♡”と揺れる巨大惑星のようなその威容に、視線さえ引き寄せてしまう。天空の半分を埋め尽くす汗ばみおっぱいの丸い底。そのボリュームに、思わず降ってくるんじゃないかと恐怖するほど。  実際、古淵にもそのボリュームは辛いらしい。 《ああ、でもホント、無駄に重いんだから……》  一度、手で肩を揉む古淵。そして、諦めたように息を吐くと、  不意に、乳房を降ろし始めたのだ。 「なっ!?」  あまりの巨大さで遠近感が狂う中、けれど明らかにこちらへ近づいてくる超巨乳。まさか、机に乳房を乗せるつもりなんじゃ……? ぴっちり薄布を肌に張り付け、もはやブラのラインさえ浮き出ている始末。それが、引力さえ感じさせる天文学的スケールで降ってくる。  それも、俺の直上へ。 「やめっ、誰か、助け……っ!?」  一目散に逃げだすダニ男。  それを包み猛烈なスピードで地面に広がる、巨乳の影。  逃げても逃げてもその中から抜け出せはしない。  そして── 《ふぅ……》  “ドスッ!!”と。  乳房が、机の上に圧し広がったのだった。 《あはっ♪ だらしないんだから♪ そんな姿ほかの子が見たらどう思うかな~?》 《だって重いんだもの》 《古淵巨乳だからね~》 《……それは貴女もでしょう?》  あの古淵が乗せ乳をするだなんて。これほど他人に気を許した古淵は見たことがなかった。すっかり寛いだ様子で、“むんにいぃ……っ♡”と乳房を休ませる巨乳美人。ハリある乳房もあまりの自重にわずかに圧し広がり、そのボリュームを隠そうともしない。全重量を地面に安らえる100万トンおっぱい。それが、自重で“どっぱぁ……♡”と潰れ広がった。  俺を、下敷きにして。


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