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敗北し愛に目覚めるくノ一、不知火舞~後継者の少女にボコられラブラブ命乞い

 またまたSkebにてリクエスト頂きました!

 今回は格闘ゲームの金字塔『餓狼伝説』より不知火舞!

 舞さんは前も一度ボコボコにして幼女に娶らせてるんですが、今回は一味また違います。

 こういう「寝取られる側がいい男」なレズ堕ちも好きですねー。今年は増やしていけたら楽しいかなって思います。

それでは、どうぞお楽しみください!




 ──久しぶりの恋人とのデートで、気が緩んでいたのは勿論あっただろう。

 しかし仮にも不知火流忍術を極めた自分が、手荷物を奪われるまで気付かなかったことに、不知火舞は驚嘆する。

 舞一人だったならば恐らく荷物を奪われて、サウスタウンのイマイチ頼りにならない警察の世話になる羽目となっただろうが、この日は何しろ世界有数の“頼りになる男”が隣にいた。


「おっと、それは僕の恋人のものだ。持っていかれると困る」

「あっ! そ、そんな……!」

「アンディ!」


 アンディ・ボガード。ムエタイチャンピオン・ジョー東と共に幾度もサウスタウンの危機を救った、伝説の餓狼の片割れ。

 不知火流忍術と対を成す骨法の流派・不知火流体術を収めたアンディの身のこなしは、くノ一である舞すらも上回る。

 そんな男が恋人の危機に不覚を取るはずもなく、少女は決して体を痛めない様に気遣う余裕すらある中で、取り押さえられるに至った。


 周囲の人々も何かあったのかと少し疑問に感じる程度の様子で、警察に通報した者などもいないらしい。


「うぅ……ごめんなさい……」

「あー、びっくりした! 私から荷物を奪おうなんて、すごいこと考えるわね。いや、アンディがいてくれなかったから、普通に取られてたんだけど。なまってるのかしら?」

「いや、舞が油断していた訳じゃないよ」


 アンディは冷静に少女の身のこなしを観察しており、今は実力差を理解して大人しくしているが、捕らえた直後は体重移動などを駆使して拘束から逃れようとしていた。

 その身のこなしは恐らくは天性のもの……狙われたのがアンディならば、彼も荷物を奪われていた可能性はある。もっとも、その場合は舞がしっかりと捕らえてくれただろうが。


「如月や不破のところの忍者だったりないでしょうね、この子……。ねえ、あなたはどこの子? お母さんは?」


 警戒しつつも、優しい口調で話しかける舞。戦場で纏う煽情的な忍び装束や、自身を鼓舞するための強い言葉で勘違いを受けることもあるが、舞は本質的には非常に優しく、また穏やかな気性の女性である。

 ほとんど怒っていない穏やかなアンディに続いて、荷物を取られかけた張本人から優しく接されて、少女はぽぉ……と少しだけ頬を赤らめる。

 しかし、その後に少女の口から語られた内容は、決して甘やかなものではなかった。


「両親は、いません……サウスタウンの抗争で、亡くなって……」

「……組織の争いか」


 アンディの表情が曇り、彼の脳裏にある男の顔が浮かんでいると、舞は悟る。

 ギース・ハワード。サウスタウンの悪のカリスマ。アンディと兄・テリーにとっての仇。

 テリーとジョーと共に、かつてギースの黒い野望を打ち砕いたアンディと舞であったが、しかしそれは腐敗しきっていたサウスタウンの闇に“制御”を失わせ、犯罪組織同士の対立を巻き起こすことでもあった。

 ギースの腹違いの弟である、ヴォルフガング・クラウザーのサウスタウン進出によって、皮肉にも闇の世界は再び統制を取り戻したのだが、当時はテリーもアンディも『自分たちの復讐心が街を傷つけたのではないか』と悩んだものだ。

 元々は孤児であったところを、養父であるジェフ・ボガードに引き取られたアンディにとって『自分たちが孤児を作り出す結果を生んだのかもしれない』という事実は、ひどく鋭い刃に変わりえる。

 そのことを知っている舞は、アンディの心を気遣い、しかし同時に立ち直る契機を欲する彼と、そして何よりも目の前の少女にとって最適な選択肢を提案する。


「そうなのね。それじゃあ、とりあえずウチにくる?」

「え!?」

「舞……そういうことか」


 驚く少女だが、舞とアンディには善意以外にも思惑がある。二人が如何に正義の心を持った格闘家だとは言え、サウスタウンの孤児を全て引き取ることは叶わない。


 だが少女は、不意打ちとは言え舞を翻弄するほどの身体能力とセンスの持ち主だ。無能なだけならまだしも、悪徳警官もいるサウスタウンの警察に預けようものなら、裏社会に編入されてしまう可能性もあった。


「あなたは、すごく輝く才能を持ってるわ! 私や、アンディに負けないくらいかも知れない……それを、私たちで磨いてあげる!」


 これまでは“凶器”でしかなかった己の資質を、才能だと湛えてくれる舞を見つめ続ける少女。

 その視線には確かに感謝や好意も含まれていたが……既に“悪”を覚えて行使してきた者らしい、よどんだ欲望も僅かに孕んでいた。



 ──少女の拳が、舞の柔らかな腹部へとめり込んでいく。


「んっ、くぅぅっ……♥」


 赤ん坊を育てる、大切な部屋。鍛えた筋肉の上に、うっすらと女性らしい脂肪を纏わせた、軽くしなやかで強靭な鎧を貫き、そこに触れる感触が少女の指へと伝わって来る。


「大丈夫ですか、舞さん? 私、やり過ぎてしまって」

「ふぅー……全然、平気よ! 私の修業期間は、もっとすごいことしてたんだから! けれど、耀……随分と強くなったわね。私の奥へと届くくらいに」


 舞は己の腹を打ってみせた少女を抱擁し、ほんのりと汗の香る体で己よりも小さな体躯を抱きしめる。

 あの日、舞とアンディによって保護された少女は耀(ヨウ)という名を与えられ、今はこうして不知火流忍術の訓練を舞と共にこなすほどになっていた。

 いずれはその天性の才能を活かす為、格闘技をさせようと考えていた舞たちだったが、耀は不知火流忍術に興味を持ち、学びたいと懇願するようになった。

 舞としても、アンディが育てている北斗丸と並ぶような、不知火流の後継者候補が欲しいとは長らく思っており……アンディとの子供をとも考えていたが、己の格闘家としての全盛期を考えれば、指導を始めるのは早いほうが良い……才能と熱意がある耀は打って付けだった。


「(弟子が出来るって、こんなにも心が満たされるのね! 北斗丸の指導をするアンディを見て、ずっとうらやましいとは思ってたのよ)」


 格闘家という存在は、ただひたすらに己の力を高め、技を鋭くし、人の身体で至れる高みを目指す生き物だ。

 しかし同時に、己の辿り着いた境地、磨き上げた技を誰かに継いで欲しいという、そういった思いも抱くものである。その継承の相手は己の子供であったり、対戦相手であったりと様々だが、舞のように流派を背負う者となれば、その気持ちは一層の深いものであった。


「さあ、耀。遠慮しないで打ってらっしゃい。不知火流は、戦国の世においては魔道の技であったそれを、忍の秘儀へと昇華したもの。不知火流を学ぶ者は、まずは魔道の境地を理解しなければならないわ。暴力が心を高揚させ、感情を昂らせるものだと知ったうえで、それを制御するのよ」

「はい、わかりました。全力でいきます!」

「ひぎゅっ!? んんっ……く、ふぅぅぅぅ……や、やるじゃない……♥」


 耀は舞の言葉が終ると同時に、その豊満で形のいい胸へと拳を打ち込み、ばるんっ♥ と激しく横に揺らして見せた。

 千切れそうな痛みが走り、同時に……えも言われぬ快感も背筋を伝う。拷問や責め苦に耐える為、脳内麻薬を分泌し、痛みを誤魔化すのも不知火流の極意の一つだ。

 耀は舞の頭を抱え込むと、素早しい膝蹴りを連続して打ち込む。腹へのダメージを腕でガードする舞だが、何発かが股間へと打ち込まれ、痺れるような快感が走った。


「(よ、耀は懸命に訓練してくれているのに……何を考えているのよ、私! で、でも……耀の技、なんだか……他の誰かに打たれるよりも、気持ちいい、かも……?)」


 己の体が覚える奇妙な感覚に戸惑っていた舞だが、その腹に向かった素早く拳が撃ち込まれる。

 「ん、んっ!」と空気を留めて耐える舞の頭部に、鮮やかな動きで肘打ちが叩き込まれ、くノ一の身体は吹き飛ばされて地面を転げた。


 忍蜂……舞が教える目的で放ったことはまだないはずの技。それを舞自身の訓練などを見て、いつの間にか耀は習得していたのだ。


「(んっ……ふぅぅ……♥ 舞さん、素敵……苦悶の表情、たまらないの……♥ 強くて格好いい舞さんが、私みたいな子供にやられて……はぁぁ……♥)」


 耀は表情には出さない様にしながら、胸の中で荒れ狂う狂暴な欲望をなだめていた。

 同性愛者で、加虐趣味。まだ幼さを残した少女の中で確定した特異な性癖は、父母を無くしてからサウスタウンの路地裏で生きる中で醸造され、闇を深めたものに違いない。

 優しさに心打たれ、己の罪を許して引き取ってくれた舞に惚れ込んでいる耀だが、同時にこうも感じてしまうのだ。


『この強く優しい人は、どこまで私を許してくれるんだろう?』


 両親の愛が足りないままに別れを経験した少女の、一種の試し行動。一流の格闘家であり、頑強な舞はそれを受け入れてくれた。

 もっともっと、甚振りたい。徹底的に舞を叩きのめし、地に這わせたい。優しく気高いこの人を、完膚なきまでに打ち尽くして……それでも愛され、受け入れられたい。

 そんな下心から耀は不知火流忍術を学ぶことを選び、武術の練習という名目であれば、舞の豊満で日本一美しい体を思う存分弄べると考えたのだった。

 天性の覚えの速さで不知火流の技を身に着け、遂には目論見通りに舞をいたぶれるようになった耀。

 「大丈夫ですか、舞さん?」と声をかけながら、倒れた師に近付いていく耀。もしも気を失っているようなら、その頭を少しだけ……ほんの少しだけぐりぐりと踏みつけて……。


「え……?」


 そこに倒れていたのは、可憐なくノ一ではなく、舞の衣装をかぶせられただけの丸太だった。


「すごいわ、耀! 何時の間に忍蜂を身に着けていたの! あれは、不知火流でも必殺技の一つなのよ!」

「!?」


 いつの間にか背後に回り、嬉しそうに耀の身体を抱いている舞。その額にも肘打ちの痕は無く、身代わりの術で以て完全に回避されたのだと分かる。


「ここまでの技の冴え、これからは実践形式で色々教えてあげたほうがいいかもね! これからは私も、反撃を交えるようにするわ。あなたには、不知火流の全てを教えてあげる!」


 心の底から弟子の成長を喜び、己の技と不知火の歴史を伝えようと顔をほころばせてくる舞に、耀はまだまだ己の理想を実行する為には力が足りないことを悟らざるを得ない。

 圧倒的な力を身に着けて、舞の全力すらも叩き伏せて敗北を刻めないならば、夢は叶わない。

 事実、舞はかなり手加減してくれているというのに、反撃が混ざり始めると耀はほとんど何もできずに地を這うことになった。

 これが不知火流。これがくノ一、不知火舞。


「(舞さんを甚振って、弄る側に戻る為には、更に修行に励み、強くならないといけない! 舞さんを私の足元に這いつくばらせて、一生かけて可愛がってあげる為には、舞さんの技術を全て受け継がなければ……!)」


 それが邪なものであろうとも、情熱を込めて鍛錬に挑む耀の実力はめきめきと上昇し、舞の身体に攻撃を打ち込むことも増えていく。


「んっ、くぅん……あっ……くぅぅ……♥」


 その度に耳まで届く、微かな舞の呻き声。それは耀にとって、舞が喘いでいるのと同じだ。

 欲情を滾らせながら、冷めない熱に従って鍛錬は続き、耀は夢を追い続ける。

 ……これまで、舞が“そういう”熱を以て体を打たれた経験はなく、少しずつ……弟子のもたらす痛みに、魅了されつつあることに、気付かないまま。


「ダメよ、耀は真面目に、修行に……取り組んでるのにぃ……く、ひぅぅっ……♥」



 ──その日、食卓の上には決して派手ではないが、用意したものたちの深い愛情が感じられるケーキと、豪勢な料理が並んでいた。

 それらは全て、耀の為に用意されたものだ。


「すごいじゃないか、耀! 不知火流忍術の後継として、名が挙がるまでになるなんて」

「ふふ、でしょ? 流石は私の一番弟子! 師匠も弟子も、日本一~! ってことよ!」

「耀が相手じゃ、オイラも認めるしかないからなー。でも、不知火流体術の方の後継者はオイラだぜ!」


 アンディと舞が、兄弟子の形になる北斗丸が、それぞれに祝福の言葉を告げてくれる。

 舞への邪心から家族ごっこを続けている……そんな強がりは言えないほどに、彼らは家族としての愛情を耀へと注いでくれた。

 それは、今まで受けてきたことのない優しさと温もり。

格闘技を通じて体と心を鍛えることで、他者を気遣うだけの余裕を得た姿は、耀にとってはあまりにも眩しいものだった。


「引き取った子供を育てるって言いだした時は、そんなところまで兄弟似るもんかと思ったが……もしかしたら、ロックのいいライバルになるかもな」

「えぇ!?て、テリーの兄ちゃん、オイラは!? オイラはぁ!?」

「兄さん、耀は実力はあるとはいえ、まだ子供なんだから。実戦にでるのは、もっと先だよ」

「はは、子供の成長ってのは早いもんだぜ。俺たちも直に世代交代、オールド・ウルフかもな」

「いつまでも若くいてくれないと、ロックのお世話が私だけに回っちゃうじゃない? そういうのはハンサムの生き方とは言えないわね」

「そうそう、ちゃんと責任もって育て上げなさい、テリー! 私はこうやって、たっぷりと愛情を注ぎながら耀を育ててるのよ?」


 アンディの兄であり“伝説の餓狼”テリー・ボガードに、その妻であるマリー・ボガード(旧姓ライアン)も含めて、この場の誰もが耀を祝福し、舞に至ってはその豊満な体を押し付けて後ろから頬ずりしてくる。

 ひきつった笑みを浮かべながら……耀だけが、彼女自身を祝福しきれずにいた。


「(そう、私は強くなれた。舞さんの指導を受け、アンディさんの技や北斗丸の兄さんの技も研究して、不知火流の伝承候補にまで選ばれるほどになった……それはつまり、舞さんの後継ということ)」


 全幅の信頼と愛情を注いでくれる舞に、耀は今も邪な欲情を抱いている。

 押し付けられた胸を縛り上げて、幾度も打擲してやりたい。その美しい顔を張り飛ばして「もう、やめてぇ……」と涙を流させたい。土下座させて頭を踏み躙り、耀だけを一生愛すると宣言させたい。

 そんな欲情は止まらない、止められない。けれど“家族”が与えてくれる温もりの中で、よこしまな目的から修行に励んでいる事を、申し訳なく思う気持ちは間違いなく沸き上がりつつあった。


「(不知火流の後継ということは、舞さんの後を継ぐということ……私の目標は舞さんで、止まってしまう。舞さんさえ手に入ればいいと思っている私に、そんな権利があるの……?)」


 子供らしく残酷で我儘、そんな欲望に従っているだけの頃はよかった。今はアンディや北斗丸のことも家族だと感じているし、不知火流の技を極めること自体にも喜びを感じるようになってきている。

 舞を自分のモノにすることで、それらがぜんぶ失われる……そのことが怖く感じられて、でもきっとその機会がくれば耀は止まることが出来ない。


「(いっそ、アンディさんが舞さんと結婚してくれれば)」


 恋敵との関係の成就さえ望むほどに、耀の幼い頭の中は懊悩で埋め尽くされている。

 そう、同性愛が許される事も、アンディという最高の恋人がいる舞と結ばれる事もないのだ。

 ないはずなのに……二人は相変わらず親しい間柄を続けながら、舞は少し前まではキング・オブ・ファイターズの舞台で堂々と結婚を迫っていたのも控えるようになり、最近は何故かデートに出かけることすらしないのだ。

 ──二人が不仲に見える今ならば、アンディから舞を、奪ってしまえるかもしれない。

 もう一人の恩人であるアンディにそんな感情を抱くことに、強い忌避の想いが沸く。


「どうしたの、耀? 表情が暗いわよ? あなたは、あんまり騒がしいのは好きじゃないのかもだけどね」

「そ、そんなことはないです! 皆さんに祝ってもらって、プレッシャーを感じてるだけで……」

「ふふ、心配すること無いわぁ。あなたの拳はね、特別なの……♥」


 大分とお酒を飲んだらしい、舞がしなだれかかってくる。

 このまま思い切り腹を殴りぬけば、嘔吐して涙を流しながら「ど、してぇ……耀ぅ……」と見上げてもらえるだろうかと、そんな思考が過ぎってしまう。


「不知火流の極意の一つにね、痛みを快感に還る技があるのよぉ……あなたにも、いずれは教えてあげるわねぇ♥」

「それは……」

「でもねぇ……耀との対戦、実戦形式の訓練だと、私、最近はそれを使って無いのぉ……♥」


 ふぅー……と、アルコールにも負けないくらい甘い吐息が、耳元に吹きかけられた。


「耀、私のこと大好きでしょう? 私ね、そういう風に大切に思われながら、体を打たれた経験ってないから……♥ アンディとだって、紳士な彼にそこまで深く踏み込まれたことないわぁ……あなたの拳が、私の一番深いところに触れているのが、嫌じゃないの……♥」


 このまま、このまま鍛え上げた不知火流の技で、そう、この体勢からならばモズ落としが入るはずだ。

 トドメを差して。私の、私だけの不知火舞に──!


「信用してるんだからねぇ、耀ぅ……♥ ふふふ♥」

「……飲みすぎですよ、舞さん」


 舞の背中を、優しくさする。妄想の中で幾度も甚振ったその体に、攻撃を打ち込むことは一切叶わなかった。

 その手が震えているのを、アンディだけが見つめていたが……彼は何も言わず、舞と耀の為に料理を取り分けてやるのを続けていた。



「──私が不知火流を学んだのは、よこしまな目的からのものです。私は、舞さんとアンディさんの好意を、裏切ったんです……」


 あの歓迎から、さらに数日の後。

 遂に耀は自らの悪心について、告白するに至っていた。

 相手は当然、師であり思い人でもある不知火舞……ではない。

 彼女の恋人であり、もう一人の恩人、人格面での信頼ならば、あるいは舞以上の相手……アンディ・ボガード、その人にであった。

 恋人への邪心を抱いていたいこと、信頼を裏切っていたこと、それでも欲望が抑えられないこと。

 舞に打ち明け、拒絶される勇気は無かったとはいえ、当然アンディからの怒りも凄まじいものだろうと予測できる。

滅多打ちくらいはされるかも知れない。

覚悟を決めて震える耀に、しかしアンディはしばらく無言であり……やがて、優しい口調で語り始めた。


「そうか、辛かっただろう。そんな重い物を、君の年で抱えて」

「え……? あ、あの、アンディさん? 聞いて、ましたか? 私は、よこしまな目的から、舞さんに対する薄汚い感情から、不知火流を学ぼうとしたんですよ!」

「──格闘技を始める目的が問題だというのなら、僕こそ、ここにいる資格はないよ」


 アンディは自らが格闘技を学ぶことになった起因について、静かな口調で語り出した。

 その始まりは、養父であるジェフの敵討ちの為。

 ギース・ハワード……悪意と強さの具現たる仇を殺す為だけの強さを求め、それもまともな格闘技では兄に体格で劣るというコンプレックスから、殺人拳である骨法を求めた。

 その中でも不知火流を選んだのは、技の起源が魔道の者にあると聞き及び、より惨たらしくギースを殺害することを望んでのことだった。

そう、アンディもまた不知火流を“利用する”為に近付いたのだ。


「そんな……あ、アンディさんは、人格者で……格闘技に向き合う精神も、どこまでもストイックで……」

「そう、だね。力を競う場をくれた兄さんやジョー、それに舞の祖父である不知火半蔵師匠、気功術を僕らに授けてくれたタン・フールー老師……何よりも、舞。僕に、もう一度“愛”を教えてくれた彼女。多くの人たちが僕を支えてくれたから、今はまったく違う境地を見ているつもりだよ」


 一息に言い切った後、「兄さんとギースの決着に、思うところがあったのもあるけどね」と、アンディは少しだけ遠い目をする。


「君を動かしているのも、今はただ舞に対する欲情だけではないんじゃないか。僕の目からは、君は立派に不知火流の後継たる強さと人格を備えているように見えるよ」

「……」

「それに何より──舞も、君に惹かれていると、僕は思う」


 自身の恋人が、年端もいかぬ少女に心惹かれていると、何でもないような口調でアンディは言って見せる。

 自身も学ぶことを前向きに受け止めつつあることから、不知火流については納得できる部分もあったが、舞の想いについては「そうでしたか」と納得できるものではない。


「そんな……! そのような素振りを見たことは、一度もないです!」

「舞は、不知火流忍術の後継者としての意識を、とても強く持っている。だから、君が真の後継者になるまで、その気持ちを隠そうとしているんだと思うよ。この間の歓迎会の時は、少しだけ漏れだしてしまったようだったけれど」

「あれは……あれは、そういう……? けれど、舞さんの恋人は、今、確かにアンディさんです!」


 どうして気持ちを肯定してもらっているのに、こんなに必死で否定をしようとしているのか。

 それはたぶん、舞のことが好きであるということは、舞とアンディを好きになるということと、イコールだったからだ。耀は欲望を抑えることが出来ないが、それでもアンディへの罪悪感は消えなかった。

 アンディは少しだけ辛そうにふぅー……と息を吐き出すと、「これは、まだ話す気は無かったんだけど」と前置きした上で、驚くべき言葉をアンディは続けた。


「僕と舞は、もう少ししたら別れることになっている。彼女の想いを受けるのは、不知火流体術を極めてから……そうやって待たせた結果がこうなって、申し訳ないと思っているよ」

「え? え……? ど、どうしてですか!? 舞さんが、嫌になったんですか!?」

「違うよ。僕は……舞を巻き込めない立場に、もうすぐ着くことになるんだ。クラウザーの……ヴォルフガング・クラウザーの後継者として」


 ヴォルフガング・クラウザー。それは“帝王”の異名を持つ、最強の格闘家。

 ドイツの名家であるシュトロハイム家の当主であり、裏社会にも巨大なコネクションを持つ“格闘という芸術の天才”。

 アンディはかつてクラウザーが亡くした息子・リヒャルトと瓜二つであり、彼の後を継いで欲しいと願われていた。

 当然アンディは断ってきたのだが、サウスタウンの現在の状況は、かつてギースを倒した時より更に混沌としている。

Mr.BIGを始めとした犯罪組織の残党たち、ホワイトと名乗る正体不明の男の勢力拡大、そして全てが謎の複合企業体WAREZの進出などを見る内、一格闘家の立場では愛する街を守り切れないのではないかという想いに、アンディは駆られるようになってきた。

 もしも自身が欲望に駆られて道を踏み外せば、兄のテリーや親友のジョーが必ず止めてくれるという確信がある。そんな時に、自らの“罪”の具現ともいえる耀と出会ったことで、彼は道を定めたのである。裏社会の権力者となってでも、愛する街と愛した女を守ろうと。


「もちろん、こんな形で舞は守られたくないと、幾度も僕に言ったよ。だからこれは、話し合った結果の、双方の同意の上での結論。僕と舞の愛の形が、すれ違った結果だ。そう、ならない相手……舞に本当に相応しい相手、彼女の熱烈な愛に応えられる、真に激しい愛の持ち主……それこそが僕ではなく、君だ──耀」


 自分が小さな欲望に悩み続けている間に、この尊敬すべき男性はもっと大きな視点と愛で物を考え、その末に“恋愛”という形を捨てたのだ。

 そのスケールに圧倒されながら、舞の恋人“だった”漢から彼女を託され、耀の心には邪念とは違う熱意が燃え上がっていた。


「耀、君に舞を預ける形になってしまった。何処かで、僕は君の気持ちに気づいていて……それを、利用してしまったのかも知れない。許してくれとは言わない。けれど……どうか、舞を頼む」

「アンディさん……はい、はいっ!」


 アンディからの激励と継承の言葉を聞き終えると、耀は部屋を飛び出し、舞との修行場へと駆けだしていく。

 アンディはその背中を見送った後、小さな声で「子供の成長ってのは早いもんだね、兄さん」と苦笑した。



 ──その日、炎をその瞳に宿して現れた耀の姿を見て、舞は自身の下腹が……女の部分がきゅうぅと反応するのを感じていた。


「(ずっと年下の女の子に、私の“女”が反応してる……私、おかしいのかしら。まだ、アンディのことを愛している……愛している、はずなのに……)」

「舞さん……私は、舞さんが好きです」

「ふぇっ!?」


 あまりの不意打ちに、小娘のような声が漏れた。

 そんな舞をまっすぐに射竦めて、耀は言葉を紡ぎ続ける。


「私はずっと、あなたの身体を弄りたい、甚振りたいと願っていた。それは憎しみや、怒りからではないんです……あなたを愛しているからです。私だけのモノに、徹底的に躾けぬいて、独占したいからです!」

「ちょっ、ちょっと、待って……そ、そんなことを、急に言われても……」

「舞さんも、深い部分に触れられて嬉しいと、言っていましたよね? 私は、あなたの命に触れられるほど強くなってみせます! あなたより……舞よりずっと強くなって、自分のものにしてみせます!」


 それは、聞きようによっては身勝手このうえない宣誓。だが、舞にとって……どこまでも深い愛を返して欲しい、果てなく与えた分は永遠に奪いつくして欲しい、何もかもを攫い尽くして占有してほしい……見た目の派手さや気の強さの裏側にある愛への期待と依存が、耀の言葉で充足していくのを感じる。


「……本気なの、耀?」

「はい。アンディさんとも、話しました。あなたを、アンディさんから奪い取ってみせます」

「あぁ……アンディ……好き、今でも好きよ、アンディ。けれど、あなたの愛は包み込むような慈愛だわ……私は、この身を焼くほどの情愛が欲しいの。好きよ、耀……きっと今は、アンディよりもあなたを愛し始めているわ……だからこそ、私の全てを委ねても良いくらい、強くなって……私を、倒して、耀……!」


 格闘家という生き物にとって「自身の格闘家声明を終わらせてくれ」という懇願以上に、情熱的な告白などあるだろうか。「お前に根源的な敗北を刻んでやる」という宣誓以上の、愛の囁きがあるだろうか。

 言葉を尽くした以上、その先に言語はいらなかった。

 妖艶なくノ一と、彼女が鍛え上げた後継が、激突する。

 舞が忍蜂を放とうとするが、それよりも耀の忍蜂の方が速かった。今度は変わり身をする暇もなく、まともにわき腹に一撃が叩き込まれ、舞は体勢を崩して地面を転がる。


「くっ……! ムササビの舞……!」


 倒れた舞の追撃に来る……耀の性質を読み切り、腕も使って高く飛び上がると、そのまま自身が倒れていた場所へと空中から突進し──そこに、耀がいないことに気付いた。


「ど、どこに……ぎあぅっ!?」


 答は、上。

 耀は自身の性質を舞が読んでいると、更に一段上に見切った末に、ムササビの舞を更に高度から放ったのだ。

 舞の背中に耀の顔が突き刺さる形になり、まるで背筋にキスをされたような気持ちが起こり、ゾクゾクと背中を快感が走っていった。

 地面に叩きつけられた拍子に、火照り始めていた胸が変形する。人の手で愛撫されるよりも激しいそれが、まるで耀からの愛であるように思う。

 耀は明らかにその動きの鋭さを増し、実力を何倍にも増幅させていた。

 天性の才能があること、それを研ぎ澄ませてきたこと、アンディからの激励を受けて“枷”が外れたこと、これらは当然、耀の技の冴えを増幅させている。

だが、それ以上に彼女の実力を増大させているのは、対戦相手が舞であるという事実だ。

 舞をなぶり抜き、己の強さを証明する……それが今や、耀だけではなく舞にとっても愛の証明。

 二人の足の証左の為に、他の格闘家と戦う時とはわけの違う、圧倒的な強さが小さな体の奥から沸き上がり続けていのだ。

 ダメージを受ける度に、攻撃される度に、舞の身体もそれを感じ取ってしまう。

 舞が頭を懸命に上げようとした際にも、小夜千鳥で以て扇で頭を殴打し防ぎ、顎を地面と打ち付けた舞は「お゛っ♥」と甘い喘ぎ声を遂に我慢できずにひり出してしまった。


「(ああ……すご、ひぃぃ……♥ 私の技……私が教えた技で……♥ 私、徹底的にやられてるぅ……ボコボコに、されちゃってるのぉ……♥ 私の技で……耀に、いっぱい傷つけられてるぅぅ……♥)」


 隠すことも出来ないほどに、太腿が被虐の快楽からあふれた愛液で濡れ、アンディとは彼の優しさゆえに至れなかった“命に触れる”関係に至った喜びが、舞の身体を歓喜と共に駆け巡る。

 ふらふらと何とか立ち上がった体に、飛来した扇による打撃……花蝶扇が襲い掛かり「あ゛ぉっ♥」とケダモノのような声が漏れた。


「(反撃……反撃、しないとぉ……♥ 全力で、迎え撃たないと♥ 耀に、失礼なんだからぁ♥)」


 自身もよろよろと扇を取り出す舞だが、その時には、すべてが終わっていた。

 舞に向けて無数の……それこそ数えることが出来ないほどの、大量の扇が飛来していたからだ。

 乱れ花蝶扇……この技はまだ、耀に見せたことはなかったはず。彼女は……どうやら、自力でこの技へと到達したらしい。


「ほぉぉぉぉぉぉっ♥ んへぇぇぇぇぇぇぇぇっ♥ おひっ、おひぃぃぃぃぃぃぃぃ~っ♥ は、へぇぇぇっ……♥」


 扇はその豊満な胸や、実践的な訓練の中で幾度も触れられて性感帯と化したポルチオなどに悉く突き刺さり、舞はぷしゅぅっ♥とマゾイキを決める。脳内麻薬など出す必要もなく、舞の中で痛みと快楽はイコールになっていく。

 そんな彼女にトドメを差すかのように、最後の扇が股間を縦回転で直撃し、舞は仰け反りながら失禁して、そのまま倒れこんだ。


「あ゛っ……あ゛ぁぁ~……♥ とまら、ないのぉぉっ……♥ わた、私はぁ……耀に、負けましたぁぁぁ……日本一は、耀ですぅぅぅ~……♥」

「──それじゃあ、これで舞は私の女ね?」

「は、はひっ……♥ 耀の、愛……しゅご、ひぃぃぃ~っ……ぷぎっ♥」


 ぎゅぅぅっ……と先まで小便をひり出していた秘所を、耀が踏みつける。

 大切な、女性とのしての核となる場所を足蹴にする。格闘家としては例を失する行いこそが、舞への愛情表現……耀が舞を完全に所有してやるという、宣言だった。

 愛液と尿でぐっしょりと濡れた耀の足が、舞に比べれば小さい……けれど、出会った時よりも少しサイズが大きくなった足が、むぎゅぅぅと舞の顔を踏み躙る。


「(お゛っ……♥ 耀、ようぅ……♥ あなたが、不知火流の伝承者よお……♥)」


 新たな伝承者への祝福として、舞は丹念に少女の足裏を舐め、幾度も愛し気にキスを落としていた。

 それは、舞を一人の女にすることを阻んでいた者が、消滅した証でもある。

 どこまでも広い包み込む愛から、触れて奪って所有される愛へ……その喜びが、再びぷしゅっ♥ と秘所からの潮吹きの先触れとなった。



 ──それからの二人は、毎日のように全力の技をぶつけあった。

 不知火流の新たな伝承者として認定されるその日まで、舞は耀の“完成”に付き合い続けた。


「ひぃぃぃぃっ♥ あちゅっ♥ あちゅいのほぉぉぉぉっ♥ ひっ、ひぃーっ♥」

「あははっ♥ 衣装もボロボロじゃない♥ ほら、乳首が焦げてしまうわよ♥」


 耀は普段の礼儀正しい口調ではなく、舞を攻め抜く時は子供っぽい加虐性を露わにした口調に変わる。

 龍炎舞……舞の得意技である、不知火の忍び装束に取りつけられた、尾飾りの玉に炎を纏わせて横一閃する技。

 耀はそれをモノにしただけではなく、鞭を使って相手を滅多打ちにする新たな技として昇華しており、舞の乳首や尻などの性感帯を狙って、徹底的な陵辱を繰り返した。


「あちゅぃぃぃぃぃっ♥ 乳首っ♥ 乳首ぃぃぃぃっ♥ 真っ黒になっちゃうぅぅぅぅっ♥」

「大丈夫よ、舞のならどれだけどす黒くなっても、私が愛してあげるから♥」

「あへぇ……んほぉぉぉぉぉぉぉっ♥」


 股間を打たれ、焼かれて、小水を噴きながらの痙攣。

 そんな無様を晒すほどに、舞は耀との絆を深めていく。愛情は、どこまでも強固なものになっていく。

 ──ある時は、耀は足のみを使って舞を叩き伏せ、圧倒していた。

 舞の足も肉付きはよいが十二分に格闘に適したものなのだが、耀はそれを執拗に蹴り続ける。


「いぎっ♥ ひぎぃぃぃぃっ♥ お、折れるぅぅぅっ♥ 足、折れちゃうぅぅぅぅっ♥ やめっ、やめへ……ぴぎぃぃぃっ♥」

「ふんっ、力の差は残酷なほどねぇ、舞? かつては師匠と呼んだあなたも、今や私の相手にもならない雑魚同然……私の時間を無駄にして、悪いと思わないの♥ 雑魚♥ 雑魚女♥ 雑魚マ〇コ♥ 可愛くてえっちなだけしか取り柄がないなら、さっさと私に嫁になって格闘家やめればぁ?」

「ふぎゅぅぅぅぅぅっ♥ ちゅっ、ちゅっ♥ はひゅっ……むちゅぅぅっ……♥」


 蹴り倒されて痙攣しているところを罵られながら踏まれて、舞は完全にドMとして歓喜と共にそれらを受け止める。耀からの雑魚扱いは、逆説的に舞が良き師であり、その責務を全うしたことの証明でもあるからだ。

 完全に屈服した舞は、喜びの涙を流しながら「はい……なりましゅ♥ お嫁さん、なりましゅ♥」と懸命に足に口づけしながら宣言する。

 耀は小さく「年貢の納め時ですよ、舞さん♥」と呟くと、舞を弄っている間にぐっしょりと濡れた自分の秘所を露わにする。

 そうして、足に口づけを繰り返す被虐の花嫁へと向けて、じょぼじょぼと小便をひっかけた。


「(ああ……あったかい……♥)」


 身も心も耀に完全敗北し、改めて嫁として受け止められた舞。

 彼女の顔の上に耀がどんと座り、上の口と下の口で、永遠の愛を誓うキスが交わされるのだった。


 ──そんな風に、甘やかで過激な日々は過ぎていき。

 狼たちの時代は、新たな季節へと移り変わる。


「よう、耀! 遂に正式に、不知火流忍術の師範代になったんだってな!」

「北斗丸の兄さん。はい、まだまだ先代には及びませんが、これからは指導者の立場となります」

「なんか、ピンと来ないんだよなぁ。オイラが十四歳で、耀はそれより年下だぜ? それなのに、アンディ師匠や舞の姉ちゃんと同格って言われてもなあ」

「ふふ……二人とも、功績含めて偉大過ぎましたから。私たちはまず、追いつくところから始めましょう」


 アンディは不知火流からの破門を望んだが、そもそも不知火の技には表もあれば裏もある。裏に行ったからといって縁が切れることも無いと、今でも彼は師範代の立場で籍が残されていた。

 耀は謂わば、アンディの同格として扱われるようになったということだ。光栄であると同時に、その身が改めて引き締まるような気がする。


「あなた──改めて、不知火流師範代としての就任、おめでとうございます」

「舞さん!」

「舞の姉ちゃん。耀を迎えに来たんだな」


 会話を交わしながら歩いていた二人に、貞淑なヤマトナデシコそのものといった容姿の女性が、しずしずと近づいてくる。

 かつては「ムチムチな女の子は苦手だ」と言っていた北斗丸ですら、普通に話せるほどに露出の落ち着いた淑女。

それは不知火流忍術先代、不知火舞その人だった。


「それにしても、アンディ師匠が出ていって直ぐに、まだ今より小さかった耀と結婚するって言いだすんだもんなぁ。あん時は驚いたぜ」

「北斗丸の兄さんは、でも、真っ先に祝福してくれましたよね?」

「舐めんなよ? これでもお前の兄弟子なんだ、それにアンディ師匠が認めてるなら、文句はねぇよ」


 北斗丸は婦婦……もちろん、日本の法律が彼女たちを認めてくれるのは更に先だが……を残し、ひらひらと手を振って去っていく。

 耀は舞の手をそっと取ると、並んで歩き出す。


「不知火流を……これからも、一緒に発展させていきましょう、舞さん」

「ええ、あなた……耀さんとなら、きっと不知火の技は更に栄えていくわ」


 年齢の差はあれど、大切に思いあう家族だと誰もが認めるであろう、その姿。

 しかし……二人には、普通の同性カップルとは異なる秘密が存在している。

 ──それは、耀が師範代として認められた日の夜、草木も眠った時間のこと。

 真夜中、二人だけで対峙する舞と耀の姿がある。

 舞の身を包むのは、不知火流の装束。僅かばかりもその肉体は陰りを見せず、むしろ今こそ全盛なのだと言えるほどの、男はもちろん女もむしゃぶりつきたくなるような肢体。

 始まるのは、真剣勝負だ。互いの身に刻まれた不知火の技がぶつかり合い、壮絶な戦いが繰り広げられる。

 炎が舞い、桜の花が散り、忍術飛び交う戦場。

 しかし……それを征するのは、常に少女の方だ。


「あひぃぃ~っ♥ ま、負けまちた♥ 負けまちたぁ♥ 雑魚雌くノ一の不知火舞♥ つよぉい耀さんに完全敗北ぅ♥ デカ乳と牛みたいなケツ振り乱してぇ♥ なっさけない負けっぷり晒してごめんなしゃいぃぃ~♥ ああ、どうかころしゃないでぇぇ~♥」

「はっ……だったらどうすればいいか分かっているんでしょう、舞?」

「はいっ♥ 靴♥ 靴ぅ♥ 耀様の、靴、なめしゃせてくださいぃぃっ♥ ぺろぺろっ♥ あぁぁっ♥ 靴舐めてイグっ♥ 底辺雑魚くノ一、痛感してイグぅぅぅっ♥」

「まったく、これでお前を娶ってから263回連続パーフェクト勝ち……才能無いんだから、もうやめたら? 雑魚、クズ、存在価値がおっぱいとケツにしかない肉塊女が。不知火流の恥晒し。私がお前だったら、即くノ一やめてるわ。私以外、あなたみたいな底辺を絶対に愛したりしないでしょうねぇ……そう、私以外ね……♥」

「あひゅぅぅぅ~っ……♥」


 舞の舌を指で挟み、口の外に引きずり出しながら、ぺっと吐いた唾を口の中に放り込む。

 それは、二人にとっては深い口づけと同じ意味合いだ。舞の目が蕩けて、喜悦の涙がとめどなく流れる

 戦って勝つのはいつも耀、舞はひたすら彼女に罵られながら圧倒され、蹂躙され、完全敗北し……そして不器用な形の「愛してる」を受け取る。

 それこそが二人にとって何よりも深く「愛し合う」行為なのだ。


「(──本当は、もう一人だけ……あなたを愛する人がいますけどね)」


 不知火の修練場は星が良く見える。

 そこを見上げて、少しだけ舞以外の人に思いを馳せた後……耀は舞の顔をぐりぐりと踏みつけ、嬉ションするまで愛でるのだった……。



 ──炎が獣の姿をしたような生態兵器が、残像を残すほどの速さで打ち込まれる肘打ちで砕け散る。

 既に四体、超常の生態兵器を打ち倒した男……アンディ・ボガードは、何処までも静かな凪いだ海のような口調で言い放つ。


「“キターカ”、だったか。オロチやDIOの細胞を培養するだけではなく、こんな兵器まで作り上げてサウスタウンに流出させるつもりだったようだが、これではまるで足りないな。あの街を守る新しい力に蹴散らされるだけさ」

「……これはこれは、正直なところ見くびっていた。伝説の餓狼テリー・ボガードの“オマケ”のような存在だと考えていたよ、アンディ・ボガード……今はアンディ・ボガード・リヒャルト・シュトロハイムだったかな? 子供に婚約者を寝取られただの、愉快な情報ばかりがこちらには届くものでね」

「どうとでも呼ぶがいい。WAREZ、お前たちがサウスタウンに立ち入ることは許さない。仮に入ったところで、大きな混乱すら起こせないだろうがね」

「それは少々、我々を見くびり過ぎではないかな? ギース・ハワードは既になく、極限流も代替わりした。テリー・ボガードも現役を退いていると聞く……例の“ギースの息子”にでも期待しているのかな?」


 手に炎の鞭を構え、真紅の装束に身を包んだ複合企業WAREZの幹部……“グッドマン”というふざけた名前を名乗った男が、最後に残った生態兵器……紫色の劫火を纏う巨猿をアンディへとけしかける。

 アンディはその嘲笑を真っ向から受け止め、不敵な笑みで以て打ち砕いて見せた。


「いいや──“僕たちの娘”が、貴様らの前に立ちふさがるだろうさ。超……裂破弾ッ!」

「なにっ──!?」


 橙色の炎を纏ったアンディが、生態兵器キターカを一撃で撃ちぬき、グッドマンの体を軽々と吹き飛ばす。

 その姿は──愛する者を守る、その覚悟のにじみ出る雄々しいものであった。


 不知火流には、表と裏の技がある。

 これから先も、この清濁を併せ持つ街と、そこで暮らす者たちを……そう、例えば日本一の美貌を誇るくノ一を、表と裏の不知火が守り続けていくことだろう──。





今回の攻め役

※不知火耀・ボガード(しらぬい よう ぼがーど)

・不知火流忍術の後継者。舞の手荷物を盗もうとしたところを取り押さえられ、舞とアンディによって保護されることになった、元孤児。両親はギースの死後に起きたマフィア同士の抗争で亡くなったらしく、耀の性質やその天性の才能を考えると、あるいは裏社会の人間だったのかもしれない。ボガード姓は籍には含まれていないのだが、耀はアンディへの敬意をこめてこの姓を名乗り続けている。

・不知火流の技を真綿に水を染ませるが如く吸収していく、天性の才能の持ち主だが、その動機は「舞を甚振り、弄りたい」という、加虐的な同性愛嗜好に根差すものだった。普段は敬語で、舞とのプレイ中は子供っぽいサディスティックな口調に変わるが、本性を考えればこちらが素の口調なのかも知れない。

・だが、舞やアンディ、北斗丸といった“家族”と触れ合うなかで、自身のよこしまな心を恥じるようになり、アンディに正直に告白。彼からの激励を受けたことで、表と裏、双方から舞を守る騎士の役割を分担することになり、己の欲望を“愛情”に変え、舞の伴侶にして後継として納まった。

・現在は舞を虐げ、罵り、蔑み、誰よりも愛しぬいて、不知火流の更なる発展に尽力している。この世界線では双葉ほたる、何らかの事情で時空を超えてきた一条あかり(『月華の剣士』)と共にKOFXVに参加しており、彼女達のルートのみWAREZ絡みの戦いが描かれるという設定がある。

・ちなみにアンディがクラウザーの息子そっくりというのは、みんな大好きボンガロことコミックボンボン版餓狼伝説の設定。北斗丸が「アンディの弟子なのに、不知火流体術(骨法)ではなく不知火流忍術をメインで使う」「空破弾以外の共通の技がない」のは「アンディが何らかの事情で『餓狼 MARK OF THE WOLVES』の時代にはサウスタウンにいないからでは?」という妄想で、今回の設定の悪魔合体が起きた。


敗北し愛に目覚めるくノ一、不知火舞~後継者の少女にボコられラブラブ命乞い

Comments

ありがとうございます、ロリ相手の百合ョナは健康によい…! ロリコンマゾのお姉さんだけが集うKOF…全国の少女たちに需要しかない!w

屋根が高い

リョナマゾ描写が本当に良かったです! FANBOXで堕ちた嫁同士でKOFそろそろ開けそうで良いですねw

minasaba


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