──台湾の入境自由化が、目前に迫った頃の話である。
過激な反中デモで知られる気功集団“天罡門”の教主・李光環は、己の人生を賭けた“とある目的”に取り掛かる直前に、一人の少女の訪問を受けていた。
李教主も群を抜いた美人であり、雌という性の魅力を肉の内に詰め込んだような、官能をそそる外見をしているが、少女もまた系統の異なる、魔性めいた魅力の持ち主であった。
紫がかった、先端だけが金色に染まった灰の髪。右の眼が赤、左の眼が緑という特徴的な妖目。女性にしては長身な光環と並んでも見劣りしない背丈。
「お目通りが叶ったことを感謝する、李光環教主。アリューディナ・有角……“アル”で構わない」
日本人では無いと一目で分かる外見であったが、姓は日本のモノだった。
彼女が所属している組織で、後見人をしてくれている女の姓なのだという。
「DS研……ダークサイエンス研究奨励会、だったかね。“血族”の連中が“オカルトとは科学における未知の領域である”とかいって、発足したという組織。なんでも大ポカをやらかしてからは、被害者の治療の方がメインになったとか聞いたけれど」
「仰る通りだよ。“UBL”の研究に関しては、ほぼ打ち切られている……私みたいなエージェントが、細々と痕跡を探しているくらいだ。流石は中国科学院考古学研究所で、才女と称えられただけのことはある」
美しい少女は、特に畏まる様子を見せなかった。光環自身が「へりくだる必要は無いよ」と言ってやったのだが、それでもいきなり自分の過去に踏み込んできたのには、少々驚く。別に隠してもいないのだが。
「……それで、わざわざ台湾領事館にまでねじ込んで、この李光環に接触を持ってきたのは何故だい、お嬢ちゃん? 今さら気功に興味があるようにはみえなけれどねぇ」
「──単刀直入に聞かせてもらう。李光環教主、あなたは“第四種接近遭遇者”なのでは?」
李光環の外見は実に若々しく、下手をすれば二十代後半に見えるほどのものだ。厚化粧でごまかしているのだ等と言われることもあるが、化粧はむしろ“老けてみせる”ようにしている節すらある。
彼女の実年齢はもう老境に差し掛かったものであり、これぞ気功術の効用であると七百万人の会員たちには語っているが、その実態については光環本人しか知らない。
“第四種接近遭遇者”……それは怪奇の世界に接触した結果、その体が変異してしまった者たちの総称であり、DS研が治療方法を求め続けている“患者”でもある。光環からすれば、わざわざ治す理由など無かろうと思うのだが。
「なるほど、あたしが四種だったとして、こうも長く理性的に振る舞えているのならば、治療の足掛かりになるのではと、そう思ったワケかい」
「DS件の思惑としては、そう。私は私で、求めているものがある……念の為に聞くけれど、リュリーティスという名前の不老の女にあったことは?」
「覚えがないねぇ。大体、不老や若返りを求めて人が集うのが天罡門だ。本物の不老者・不死者が近づくはずも無いだろう?」
アルは素直に「それもそうか」と光環の言葉を受け入れた。なんというか、一見するとつっけんどんな印象を受けるが、何処か朴訥な印象も受ける。
光環は、こういった純朴な相手が嫌いではない。それは時には甘さになるが、独特の瑞々しさはとうに自分が失ったもので、ある種の光輝を放って目に映る。
だからこそ少しばかり、それがうらやましくも思えて……この娘を揶揄ってやろうという気になっていた。
あるいは、自身の人生の目的にもうすぐ挑むという高揚を、何らかの形で抑えたかったのかも知れない。
「悪いが、あたしは別に“青色”に触れたことは無いよ。それよりも、もっと内側からやって来る……生命の根幹のようなものに触れたことはあるけれどね」
「生命の根幹?」
「──狂仏、というものを知っているかい? 修行から外れた密法者、いわゆる外法者という意味で使われることが多いが、本来はもっと直接的な意味で使う野さ……外法を試みて、人外に変じた人間をそう呼ぶ」
はらり、はらりと、チャイナドレスをはだけさせていく。
アルは最初から、光環に対して“女”の目を向けていた。あれは、女を愛する女の目だ……光環も、そういった対象にされることがままある為、慣れている。
それでも平静を保って見えるアルの前で……光環は己の秘められた真実を、不老の秘密を見せてやる。
美しい女体の上に走る、哺乳類の肌に備わった無数の鱗を。
「チベット仏教では、狂仏は七十年から八十年の周期で現れるそうだよ……そう、ここまでは至ることが出来るのさ。けれど、あたしの触れた生命の根幹は、もっと、もっと……! ……あん?」
流石に恐怖に怯えるとは思っていなかったが、それでも光環の狂熱に当てられ、可愛い顔くらいは見せると思っていたのだが、アルはどこまでも冷静に光環の肌を見つめ、近寄ってきて触れない程度に手を翳したりしている。
この姿を見せて、そして狂仏の境地の先、光環が目指す生命の究極の形について語り、その心を乱してやろうと思ったのに、アルはすっかり研究者の目になってしまっていた。
「……四種ではないね。確かにこれは、内側から生じた変化……無駄足か。余計な時間を取らせてしまい申し訳なかった、李教主」
どこまでも淡々と光環を“品定め”すると、あからさまにアルは落胆した様子を見せ、こちらに対して丁寧な謝罪を放ってきた。
光環がかつて、まだ学芸員だった頃に目撃した至高の美、生命の到達点……狂仏は所詮は成り損ないであり、光環の身体はあの境地へは遠く至っていないのは、何よりも自身が分かっている。
だがその上で、ここまで興味も無さげに流されてしまうことは、まるで己があの日に見た存在、鬼埋螺──キマイラを軽く見られているようで、光環としては面白くない。
「待ちなよ、お嬢ちゃん。あんたは、女もイケる口だろう? あたしみたいな老婆には、食指が働かないかい?」
「……いや、そんなことは無いよ。というより、その……私の、すごくタイプではある」
話しかけてみると、思ったよりも反応が良かった。
アルは、どうやらあまり感情を表に出さないが、無感情かというとそうでもないという、そういう類の少女らしい。
「……なんだい、軽く流されたものかと思ったら、実は照れてたってことでいいのかね?」
「けれど、私はただの厚意で顔合わせしてもらった研究員。あなたは七百万人を率いる教主だ。まして今は仕事中……そういう対象に見ては、失礼かと思って」
「ふふっ、可愛いじゃないか……この異形の身体にも、発情するってことかい? いいんだよ、仕事はちょうど終わったじゃないか。あたしの身体に、溺れてもね……♥」
妖艶に笑う光環を、アルはしばらく何とも言えない目で見つめていたが、やがてぺこりと頭を下げて背中を向ける。
その背に向けて、光環は跳躍するように襲い掛かっていた。
「(あんたにはまず、あたしを教えてあげるよ、お嬢ちゃん……♥ そのうえで、あんたにアレを、生命の系統樹に咲いた大輪の話をしてやろう。そうさ、あれを理解できないなんて、可哀そうじゃないかぁ)」
……キマイラという、人の内側からやって来る可能性に魅せられ、己の心の中に憑き物を生み出してしまった李光環は、狂仏となった己の身体を平静に受け止めてみせたアルを、自分の側に引きずり込もうとする。
それは狂気に心身を焼き続けた結果、己の仲間や理解者を求めてしまうという境地によるものだったのか。
人払いをしているので、この場で少女をたたき伏せ、徹底的に陵辱しても誰も助けになど来ない。
「(共に追いかけようじゃないか、キマイラを! あんたも、女だの男だの、そんなくだらない軛は直に気にしなくなるよ──!)」
体内で練った“勁”を込めた光環の掌が、アルの背中に叩き込まれんとする、その直前。
「──“デモンズフォーム”」
ぽつりと、アルが奇妙な響きの言葉を口にしてみせた。
※
「──あつぅぅぅっ♥ はちっ、はちぃぃぃぃっ♥ はひぃぃぃっ♥」
紅蓮の炎に鱗を舐めまわされて、光環は床を転げまわっていた。
痛み、恐怖、衝撃……光環の中で、長らくキマイラの存在で押しつぶされていたそれらの感情が溢れ出し、暴れ出している。
その対象は、光環を見下ろしているアルだ──いや、アル“だった”魔人だ。
「はひっ、うひっ……あ、あんた……その姿は……!?」
炎を纏っているように見えるのは、頭の両端から生えた角と、異形に変じた手から突き出した骨刀によるものだ。スーツ姿だったのは、胸などをかろうじて隠すだけの黒い硬質の衣装へと変じている。
その両の爪はケダモノの如く鋭く、もし体から噴き出す獄炎を吹きかけるのでなく、この爪で引き裂かれたのならば、光環の人間を越えた体すらも泣き別れとなっていただろう。
肌も褐色に変わり、目は両方が緑の輝きを放っているが……それ以上に光環の心を奪ったのは、アルの股間から生えている男性器だった。
両性具有。ここまで完璧な形の存在を見るのは、光環も始めてだ。魔人めいた姿へ変じ、狂仏を打ち倒したアルのそこは、これまで光環の見てきたどの雄よりも猛々しい。
男性器など確認していないし、あるいは進化の頂点であるなら生殖など必要ないのかもしれないが、その剛直の印象たるや、キマイラのそれを上回るほどの“雄”ぶりであった。
「ふぅぅ……母から受け継いだ性質でね。慣れているんだ、こういう事態。母と違って、服が戻らないのが困りものだけれど」
アルの姿が人間のそれに戻るが、本人の言の通り服は再生されず、また肉竿は勃起したままで屹立していた。
ごくりと、光環の喉が鳴る。まるで、その存在を求めているかのように。
キマイラの存在に魅せられて以降、男も女もどこかで光環は見下していた。生命としての完成度が低い存在としてしか、交合という意味では見られなくなっていたのだ。数多の男を交わったが、いずれも精気を奪って始末してきた。
女性の美しい体の中にそびえる肉竿、そこに光環はある種の美を見出してしまい、半分鈍麻していた性欲が沸き上がって来るのを感じる。
「(そ、そんな馬鹿なこと、あるものか! た、確かに狂仏を打ち倒してみせたのは立派さ……けれど、こんな……女に竿を生やしただけで、キマイラに並ぶんてことありえな──もぼぉぉぉぉぉっ♥)」
「そちらが誘ってきたんだ。悪いけれど、収まるまで相手してもらうよ……んっ、口マ〇コ気持ちいい……♥」
自分の中の葛藤と戦っていた光環は、ちらちらとアルを見上げて股間をこすり合わせるという、まるで生娘のような反応を何度か繰り返していたが、それがアルの性欲を刺激してしまったらしい。
仕事だからと光環への欲情を抑えていたアルだが、襲われた上に服もなくした今となっては、加減する理由もない。理性とは、服と共に纏うものなのだから。
「んっ♥ んむぅぅっ……ちゅぽっ♥ じゅぽぉっ……♥ な、なんて大きさだい……♥ あたしの顎が、外れちまうよぉ……あむっ♥ じゅぷっ♥ な、舐めるの止められない♥ こんな、無理やり……んむぅぅぅ~っ♥」
ぐりぐりと喉奥に亀頭をねじ込まれ、苦しいはずなのに……きゅっ♥ きゅっ♥ とそこで先端をこすり上げ、締め付けてしまう。
逃がしたくない、離したくない。キマイラ以外には、信者たちすらも執着の対象では無くなっていた光環が、心のどこかでそう思っている。喉の奥、肺腑の底へと精液が流れ落ちていくのを……堪らなく、心地よく感じてしまう。
「(ああ……さ、先走りの汁を飲まされるだけで、体の奥から燃えるようだよ……♥ こ、この娘、どれほどの精気に満ちているんだい♥ あの、美しい……はっ! い、いや、異形の姿と、関係があるとでも……むぶぅぅっ♥)」
じゅろぉぉっ……と口の中まで肉竿が引き抜かれ、そこで射精が成される。
勢いよく噴き出した精液が口の中いっぱいに広がり、喉に大部分は滑り落ちていったが、幾らかは鼻から噴き出して、ぷくぅと白濁の提灯を作った。
「おぼぉぉっ……♥ こ、このあたしが……李教主がぁ……♥ ひ、人を越えるまでは至った、あたしがこんなぁ……お゛っ♥ 精液、くさぁぁぁっ……♥ じゅるるっ♥ ごきゅんっ……♥」
「臭いって言いながら、しっかり飲んじゃうんだ……素敵な人だね、李光環……♥」
「あっ……ちょ、ちょっと待ちな……♥ 挿れるのは……あ、あたしのこの肌を見ても、萎えないのかい……♥」
キマイラに近づけたと、自分ではそれなりに気に入っている鱗を称えた肌だが、普通の人間からすれば異形の類と見えるのが普通だろう。もっとも、既にアルが普通の人間でないのは知れているのだが。
少女はまるで異形の肌に躊躇することなく、むしろそれを愛し気にザラザラと撫でてみせてから、ずぷぷっ……♥ と腰を沈めてきた。
「んひぃぃぃっ♥ な、なんて、大きいぃぃっ……♥ おっ♥ おぉぉっ♥ し、子宮に届くぅ♥」
「んっ……気持ちいいよ、李光環……♥ こんなに気持ちいいセックスは、クリスとした時以来かも……♥」
「だ、誰だい、それはぁ……♥ こ、この、調子に乗るんじゃないよ♥」
巧みな腰遣いに蕩けそうになる意識を何とかつなぎ止め、光環はアルの腰を抱きかかえ、己の美しい足をしっかりと回すと、房中術の要領でアルの精気を奪い取り始める。
大の男でも、ものの数秒でミイラになるほどだ。肉竿が生えているだけの少女の肉体では、とても耐えられまい……自分の中で乾いていき、涙を流す水分を失って命乞いをするアルを想像し、ぞくぞくと光環の背筋に快感が走る。
その快感は直ぐに、アルのピストンによって塗り替えられてしまったが。
「んはぁぁぁっ♥ ひぃっ♥ ひぃぃぃぃ~っ♥ ど、どうして……せ、精を吸ってるのに……む、無尽蔵なのかい、あんたはぁ……♥ うっぷっ♥ そ、そんな……あたしの方が、満たされてしまうぅぅっ……♥」
「あなたは……なんだか、私以外を見ているような気がするね。セックスの最中に、浮気されるのは気に入らないな……」
「ひぁぁっ♥ や、やめっ……んおぉぉぉっ♥ わ、わかっ、わかった♥ あんたのことだけ思うからぁ♥ だから、やめっ……んひゅぅぅぅぅっ♥」
挿入して激しく突きながら、指で以て陰核を何度もぴん♥ ぴん♥ と弾かれて、光環は逆にアルへと赦しを乞う羽目になる。もう片方の手は、ぐりぐりと光環のアナルを抉ってきており、未知の快楽に口の端から涎が零れた。
「ほぉぉっ……♥ こ、こんな♥ こんなぁぁっ……♥ つ、つよ、過ぎるぅぅっ♥ こんな、生命……しら、にゃいぃぃっ♥ ふぅー♥ ふぅー♥ やめて、やめておくれよぉぉ……♥ わ、忘れるっ♥ 忘れちゃうぅぅぅっ……♥」
李光環が毛沢東の妻の縁者である以外が、ただの好奇心の強い学芸員だったころ、あらゆる生命の特徴が人の身体から噴き出しているという、究極の美……キマイラに彼女は出会った。
好奇心から触れてしまった結果、その体は崩れ去り……それ以来、光環は至高の美を失った己を責め、再びその力を手にすることで、過ちを補填しようと願い始めた。
気功も、外法も、思想も、教団も、その手段。
だがしかし、今の光環には疑問が生じている。たかだかセックスで、炭素結合に過ぎない行為で以て、刷新された価値観が揺るがされている。
「(あぁぁ……こ、こんな充足感を、あたしは知らない……♥ キマイラは、あたしに“飢え”しかくれなかった……♥ こんな生命の躍動を知らない……♥ あれは、既に動かなくなっていた……♥)」
すべての生命の頂点なのだと、この世で最も価値ある存在だと、求め続けてきたそれが、力強い性交で否定されていく。目の前の自分を求めてくれる相手こそ……真に美しく感じるべきではないかと、感性の残骸が訴える。
「(うぁぁっ……やめて、やめておくれよぉ……♥ も、もし、今……小娘にするように甘く愛でも囁かれたら……♥ 無駄になってしまう♥ あたしが積み上げたものが、全部ぅぅっ……♥)」
「はぁ、はぁ……光環、好きだ……その切なげに感じる姿を、守ってあげたくなる……♥」
「んほぉぉぉぉぉっ♥ ほっ♥ ほあぁぁぁぁぁっ♥ しょれ、だめぇぇぇぇぇぇぇっ♥ うひっ、えひぃっ……♥ も、もう、あたしの……あたしの大事なもの、壊れちまったじゃないかぁ♥ 責任、取りなよぉ♥ いや、あたしが取るぅ♥」
先までのように精気を吸い取る為ではない、より深く肉竿を感じて、快感を貪る為に抱き着き、喘ぎ狂う李光環。
生きて、動いて、力に満ちている命の前に、光環は寝取られた。己の中に作り上げていた幻想から、現実に思いきり竿で抉りぬかれ、心変わりさせられたのだ。
そのことがもう……光環には、幸福にしか感じられない。
「んっ♥ んちゅっ♥ れりゅっ♥ もっと、口づけしなぁ♥ 交情は上手いのに、キスは下手くそだねぇ……♥ あたしがこれから教えてやるよ♥ ずっとずっと、この肉竿に仕えてぇ……あんたに、全部教えるぅぅっ♥」
「光環……うぅ、出るっ……♥」
アルと口づけを交わしながら、体の中へと精液が注がれていく。その熱が、己の中の憑き物を焼いていくようだ……肌を舐めた獄炎よりも熱く感じる。
「(ああ……何もかも、不意にしてしまった……けれど、それでいい♥ アルが傍に居れば、あたしはそれでいいんだ♥ 狂仏も相手にならないアル♥ きっと、キマイラにだって負けやしない……♥)」
柔らかく、若い体を抱いていると、心の底から選択に対する充足が沸き上がってきた。
アルが何度もキスをして、その度に膣の中で肉竿が膨らんでいく。もう、何度か抜いてやらないと、性欲が止まらないだろう。
「ほら……こっちもアルのものにするんだよ♥ マ〇コは他の男に抱かせたけれど、こっちはあんたが初めてなんだ……♥」
一旦、ずろぉぉっ……♥ とマ〇コから肉竿を引き抜き、四つん這いになって……まるでアルに屈服するかのように、尻を左右に割り裂く。
先に指でぐりぐりとほじられていた時、既に腸液が溢れていたようで、アルはすぐにそこへ挿入を行ってくる。
「おへぇぇぇぇぇっ……♥」
狂気の女教主ではなく、ただ愛しい相手に抱かれる女の顔で、李光環は喘ぎ続けた……自分の、かつての理想をすべて、忘れ去りながら……。
──数日後、日本の海上保安庁の巡視船が、台湾から脱出してきたという密航船を拿捕した。
代表は抵抗することなく恭順し、名前を陳岳陵と名乗った。
激しい嵐の中での活動であったが、DS研なる一般財団法人から密航に関する情報がもたらされていたこともあり、一人の犠牲者も出すことなく全員が保護されたという。
その中には日本人の名を口にする者もおり、その女性は自分を「智恵子」と名乗ったということだ。
※
──数十年後、健康診断センターを模した、とあるDS研の施設にて。
「まったく、あのお嬢ちゃんたちはメチャクチャだね。自分たちのことしか普段は考えてないのに、いきなり他人のことを慮って行動して。しかも、お互いに関しては自然に命を投げ合うと来てる。甘い子たちだよ」
「けれど、光環はそんな相手が嫌いじゃないだろう」
アルと光環は、台湾で出会った時から僅かばかりも年を取る様子がなく、白衣を纏って昼間に起きた“コトリバコ”を巡る事件について語り合っていた。
「何しろ、うちの伴侶がそういう人だからねぇ。この数十年で慣れちまったよ。日本なんかに染まるもんかと思ってたもんだけどね」
「だったら、私に染まったと思えばいいよ」
後ろから抱きしめてくるアルだが、腰の辺りをぐいぐいと押してくるモノがある。途端に、光環は雌の顔になる。
「(弱い生命は死に、強い命だけが栄える……そこんところは変わってないさ、今でもそう思ってる。けどね、強い命が守ってくれるなら……弱くたっていいんじゃないかって、最近は思うようになってきたよ……)」
光環は白衣を脱ぎ、自分の妻にだけ見せる鱗の肌を露わにしてみせる。
興奮が一段高まったのだろう、アルの肉竿が硬さと太さを増し、とろりと先走りが零れたのを、舌で受け止めてみせる。
「昨日はクリスの奴に譲ったからね……あいつと来たら、先に会っていたからと第一婦人気取りだ。アルの本命は、あたしだって教えておくれよ……♥」
昼間に見た、互いをかばい合う少女たちの姿に、すっかりと当てられた光環は、くぱぁっ……♥ とすっかりアルの形になった秘所を開く。
アルは、仕事中なのに誘惑に乗ってきた。
光環が影響を受けただけでなく、彼女も変わったのかもしれない……強く、美しい生命に、自分のような矮小な命が、影響を与えたのかもしれない。
「(それも、悪くないね……♥)」
アルの両性具有の肉体に、キマイラ以上の美しさを見出しながら、光環は愛欲に身を任せていった……。
今回の攻め役
※アリューディナ・有角(ありゅーでぃな あるかど)
・両性具有の半妖。行方不明の母親を探しており、その関係もあって『裏世界ピクニック』のDS研に手を貸しているエージェント。光環はアルを自分より若いように扱っていたが、実は19世紀の生まれなので光環より年上だったりする。
・光環と関係を持った後は、彼女からの情報で雪蓮の民の日本への受け入れを助け、光環が天罡門を解散するのを待ってから、日本へと戻って結婚。光環の知るチベット密教の秘術が四種の治療に使えないか、日々実験を行っている。
・“デモンズフォーム”でも分かる通り、実は『よるのないくに』のアーナスとリュリーティスの娘。本作のアーナスは“夜の君”になった後でリュリーティスを孕ませている為、通常の妖魔以上に濃い“青い血”の力を持つ。
・もし何かの間違いで、光環がアルと出会った後も目的にまい進していた場合、キマイラVSナイトメアフォームという、この世の終わりのような戦いが繰り広げられたかも知れない。
・『裏世界ピクニック』の時代(エピローグの頃)にはリュリーティスも見つかっており、正式に光環は妻として受け入れられることになった。“夜の君”や元聖女に比べれば、狂仏すらも可愛いもんである。
・クリスことクリストフォロスとはアルを取り合う仲であり、どちらが第一婦人か争ったり、アルが(空魚の無茶ぶりで)部隊を率いたりしている時は、レズセックスしたりもしているらしい。仲いいじゃん。
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2023-01-15 09:02:07 +0000 UTCヨネザワ伍長
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