「──そう言えば前に、晴乃って秋月と怪しい雰囲気になってたことあったじゃん」
女性刑務所の一室にて、同室の夏川ひまりから急に指摘されて、割と秋月柚木からドキドキさせられっぱなしの晴乃うららは「何時のことだろ?」と首を傾げて見せる。
「えー、マジっすか!? 晴乃パイセン、オンナもイケる人なんすか!」
「母さんのやってるバーには、よくそっちのお客さんも来るけど……」
今日は部屋長である冬白華は三発、もう一人の“当事者”である柚木は風邪気味で独居房に居る為、木枯咲とメイも際どい話題に乗って来る。
同室内での性的行為は当然ながら懲罰に当たり、最悪の場合は部屋の解散もあり得るのだが、それはそれとして性的な話題というのは、刑務所内では需要のあるテーマでもある。
特にうららは隙あらば自身が逮捕された野菜ネタ……大〇の話をぶっこんでくる為、それ以外の話をさせておいた方が安全というのもあった。
「ほら、部屋に来てから初めて、四人で風呂に行った時だよ。秋月のモンモンに驚いていた時」
「ああ、あの時ですか。確かにあの時は、かなり危なかったですね。織ちゃんとシた日のこと、思いだしちゃって」
「シキちゃん?」
うららがよく口にしている妹・のどかでもなく、地元でアサガオ(大〇の別名)を一緒にキメていたシャネルという友人の話でもない。
新しい名前と、割とはっきりとセックスをしたことを匂わせる言葉に、部屋の中はにわかに色めき立つ。
「マジか、お前、性欲あったんだな」
「夏川パイセン、流石にそれは言い過ぎじゃないっすかね……?」
「シャネルちゃんの話した時も、似たようなこと言ってましたよね!? まあ、性欲とか恋愛感情とかでヤッたワケじゃないんですけど」
思った以上にアダルティというか、退廃的な方向へと進む話題に、ひまりと咲はがっつき、メイも少し距離を置きながらも耳は完全にうららの言葉に注目している。
「あ、でも、夏川さんは大丈夫かな、この話題」
「え? な、なに、あたしとなんか関係してんの?」
「いえ、私が織ちゃんとハメたのって……クリスマスのことだったんですよねー」
横領の罪でひまりが逮捕されたのは、クリスマス当日のことだった。彼女の元にはサンタではなくサツがやって来たのである。
ひまりがちょっとテンションを下げる中、咲はむしろ「恋愛じゃないって言いながら、めちゃロマンチックじゃないっすか!」と鼻息を荒くする。
そんな同室の仲間たちに後押しされるように……うららは、友人とのたった一度の性夜の記憶を語り出した。
※
「これ、全部食べていいの!?」
「もっちろん! のどかちゃんにお土産で持って帰ってもいいよ」
無駄に広い、友人の個人住みマンションの一室。
大量に用意されたチキンを初めとした料理と、数種類のホールケーキ。
そして、明らかに食材たちと並べると異彩を放つ、棒状の“野菜”ケース……ジョイント。
食事中に好き吸えるように用意されているそれは、ちりちりと既に何本かは火がつけられていて、部屋の空気を何処かほうじ茶を炒ったような香ばしい匂いに変えている。
目を輝かせるうららの前で、妹よりも更に小柄に見える友人・季梨織はケタケタと笑っていた。後ろ髪はショートなのだが、何故か右側を隠すように伸ばしている前髪だけ、腰へと届きそうなほどに長い。
織はうららやシャネルとは少し毛色が違っていて、金に関してはほとんど困っていないらしい。
ただ家族とは異常なレベルで疎遠らしく、祝日や記念日を友人と共に過ごしたがった。
このクリスマスパーティも、本来はシャネルやちひろ、のどか達も加えたにぎやかなものにしたかったらしいが、シャネルは廃棄弁当が当たって聖夜なのに寝込んでおり、ちひろはシャネルの妹の可子からも頼まれ看病に当たっている。
のどかは、愛犬チョコの関係でブリーダーの友人の方とのクリスマスパーティの予定が入り、こうして二人きりで聖夜を過ごすことになったのである。
さて、そんな少し寂しい結果を二人がどう受け止めているかというと。
「やったー!ごはん、全部私が食べていいんだー! あ、先にのどかの分、とりわけとこ!」
「シャネルやちひろが来ると、野菜持って帰ろうとするから気ぃ抜けないんだよね……んふぅ♥ ゆっくり吸える♥」
片や食、片やヤクを堪能できると、実に前向きである。
二人はきゃっきゃっと談笑しながら食事を楽しみ、“野菜”を吸うのを満喫していたが……その内、段々と二人ともテンションが上がって来て、クリスマスらしく余興をしようという流れになり始める。
「モノマネやりまーす! ところてん!」
「うひゃひゃひゃひゃっ! うららのそれ、全部一緒じゃん! わかめも麺も湯葉もぉ! おっぱいぶるんぶるんさせながら腰くねらせてぇ、私がレズだったら襲ってるぞぉ」
「きゃー、襲われちゃうぅー! でもぉ、織ちゃんくらいイケてるお顔なら、襲われても本望かもー、あははははっ!」
アルコールは一切この場に提供されていない(いわゆるバッドトリップを誘発させる可能性が高い為)のだが、二人はもう大分とジョイントの回し吸いとチキンの脂とケーキの糖分でキマッており、段々と内容が怪しくなっていく。
「いひひっ! うららはさぁ、黙ってりゃ美少女すぎなんだよねぇ。見た目も整ってるしさぁ。シャネルとか顔は可愛いけど、シャレにならないくらい臭い時あるじゃん。あれがないから、うららなら余裕で抱けるわぁ♥」
「シャネルちゃんのことディスるのダメだよぉ♥ えへへ、でもありがとー♥ あれぇ、これってもしかして、両想いだったりする? 私は織ちゃんに抱かれてもいいしぃ♥ 織ちゃんは私のこと抱けるんだよねぇ♥」
「あひゃひゃひゃっ♥ そうなるかなぁ♥ じゃーん♥ はっぴーくりすとすぅぅっ♥ なーんてね♥ クリちゃん、うららでぴんぴんに勃起してるよぅ♥」
「ホントだぁ♥ 織ちゃんのここ、ちょっと大きめでジョイントみたいだねぇ……吸ったら、キマっちゃたりしてぇ♥」
食べ物があらかた無くなったテーブルの上に飛び乗ると、蹲踞の姿勢を取った織が下履きと下着を投げ捨て、真っ赤に腫れた陰核を露わにして腰をヘコつかせだす。
うららやシャネルと比べると性欲の強い織のそこは、薬で敏感になっているのもあってひくひくと赤く震えて屹立しており、頭の奥まで野菜の煙が回ったうららは、そこをはむっ♥ と咥えるとじゅぼじゅぼと啜り上げ始めた。
「んちゅっ♥ ちゅぶっ♥ ちゅるるるっ……♥ んぽっ、くぽぉっ♥」
「んひぃぃぃっ♥ クリフェラぁ♥ うららのクリフェラ気持ちいいよぉぉっ♥ クリスマスフェラ♥ クリスマスレズフェラぁぁっ♥ やっぱうららは、レズの才能あるよぉぉっ♥」
「あははははっ♥ レズの人って才能でやってるんじゃないと思うよぉ♥ んっ、酸っぱくて、生臭くって……ちょっと甘い♥ おいしっ♥ 織ちゃんのおマ〇コ汁、美味しいよォ♥」
エロ蹲踞で腰を振りたくる友人のクリを咥えて、うっとりとマン汁を啜るうらら。元より友情と愛情と親愛と敬愛の区別がほぼ無いうららにとって、友人相手のクリフェラは恋愛感情無しでも余裕で実行できてしまう。
楽しい聖夜のパーティを用意してくれた友人に、少しでも報いたいという気持ちもあったかも知れない。
柔らかな尻を抱きかかえるようにして、ちゅっ♥ じゅちゅっ♥ と何度もクリキスを繰り返す。その内に濃厚な雌の匂いで、うららの脳は焚き籠められた野菜以上に熱く火照り、酔わされていく。
「んんっ……♥ マジでうらら、上手だよぉ……♥ うららにもしてあげる……うららも気持ちよくなりたいよねぇ♥ キメた後だと、いつもの何倍も気持ちいいよぉ……♥」
「んひゅっ♥ お、おっぱいぃ♥ おっぱい、正面から揉まれて……おほぉぉっ♥ あはぁっ♥ おほぉだってぇ♥ 変な声、出ちゃったぁ……織ちゃんの胸揉みで、喘いじゃった……んっ、ひゅふぅぅっ♥」
「あー……くっそ可愛い♥ くっそエロい♥ うらら、やっぱり美人さんだよ♥ しっかり着飾ればシャネルのが上なんだろうけどさぁ……私はうららのが好きだなぁ♥ てか、うららが好きだなぁ♥」
「んっ……うれしっ♥ お胸さわりながらでも、好きって言われるの、嬉しいよ……んはぁぁっ♥ 乳首、乳首ぃぃぃっ♥ すごっ……敏感に、なってるぅぅっ……♥」
「はぁ……んはぁぁ……ハッパのせいか、熱くなってきた……♥ ねえ、キスしようよぉ……うらら、いいっしょ? 私たち、友達じゃん……関節キッスはジョイントでしてんだからさぁ、レズキスもするっしょ♥」
うららの乳首を指でぐりぐり押し潰しながら、織は鼻息を荒くしてうららの首筋に鼻先を埋め、れろれろと頸動脈の辺りを舐めてくる。
そんな様子に、うららも「小さい時のチョコみたいで、可愛い♥」と愛犬を思い出してしまい、その後頭部を撫でながら、耳元で囁く。
「いいよ、織ちゃん……キス、しちゃおう♥ ちょっと飛んじゃっただけだからぁ♥ 未来の恋人にも、浮気じゃないって言えるよ♥ か、代わりにぃ……ここ、触りっこしながらに、しない?」
くちゅっ……と織のあそこに触れながら、うららはとろんと官能と薬で蕩けた目を向け、友人を誘惑する。
うららは大〇中毒のヤバい女だが、見た目の可愛さは抜群であり、体を軽く売れば野菜代くらい簡単に稼げてしまうだろうと織が思ったのが、彼女に無償でこういった場を提供する理由の一つだった。
恋愛感情ではないのかも知れないけれど、間違いなく依存している美女から、秘所の触りっこをしながらキスしようと誘われて、レズ堕ちしない女などいない。
それはうららだって同様で、キスの邪魔だと前髪を軽くどかす。
うらら相手には見せてくれたこともある、母親の子供の頃に抉られたという、傷で閉じられた目。恥ずかしそうに織が顔を逸らしかけるが、うららは傷痕にそつとキスをして、逃げ場を無くしてくる。
「……うらら、絶対悪女になるよ♥ 同性相手だったら、すぐにママ活で財産作れるかもねぇ♥」
「大〇やってるし、もう悪女だよ♥ 織ちゃん……んっ……♥ そう、もっと触って……♥ 私のおマ〇コ、触ってぇ……♥」
くちっ♥ くちゅっ♥ ぷじゅっ……♥
敏感になった互いのあそこが立てる淫らな水音と、ケーキよりも甘く感じる同性の唾液を交わし合う水音が混ざり合い、二人は目を閉じて互いが互いに送りあう、快感にだけ集中する。
「(織ちゃん、織ちゃん……♥ んんっ、気持ちいいよぉ……♥ 女の子同士って……いいかもぉ♥)」
「んちゅっ、れりゅぅぅっ……♥ 今日食べたどんな料理よりも、うららの方がおいしいし、うららの方がキマる……♥ んっ、イキそ……♥ うらら、うらら……♥」
「あはっ♥ 目を閉じて、名前を呼ぶ織ちゃん可愛いね……織ちゃん、織ちゃん……私の織ちゃん……♥ んんっ♥ イクっ……♥」
絶頂の声が、互いに唇を押し付け合って殺したが、あそこからは粘っこい液体がとぷとぷとあふれ出し、指先をとろぉっ……と濡らしていく。
互いの唾液をくちゅっ、くちゃっ……と咀嚼するように味わった後、マン汁と潮のブレンドされた恥液まみれの指を、しゃぶりあう。
まだまだ火を点けていないジョイントはあったのに、二人は眠くなって一枚の毛布でソファに寝転ぶまで、ずっと互いの指を舐りあっていた。
※
「──結局、その後で私は捕まっちゃって。のどかはあくまで私を介しての付き合いだったんで、その後の織ちゃんのことはわかんないんです」
話を終えて、子犬の様に甘えて、己の体を貪ってきた親友を思い出し、うららは少しだけ股間を擦り合わせて「んっ……♥」と小さく甘い声を漏らす。
柚木が見ていれば、興奮したかも知れない顔だったが……ひよりたちはそれぞれに固い表情をしており、やがては代表したように、ひよりがツッコミを入れた。
「結局、大〇の話じゃねーか!?」
「え? そうじゃないって、先に断ってたっけ?」
「普通は出てこないんだよ、この手の話に!」
「キメセクとか半端ないっす、パイセン……」
畏怖の視線を向けられて、うららはイマイチ納得できずに首を傾げる。
そして、自分の知っている織の住所に今度手紙を送ってみようかとも思ったのだが……もしそれで調べられたら迷惑がかかるだろうと思い、やめておくことにした。
※
──小便と汗と饐えた臭い、風呂に入るのを厭う人間が纏う、獣臭さの満ちた部屋の中。
匂いの元である入れ墨を入れた女性が、地面に這いつくばって痙攣している。
この部屋の、いやこの地元一帯の半グレの元締めであったこはるは、マン的一発で沈められ、口から泡を吹いて悶絶していた。
こはるを蹴り倒した小柄な女は、金髪の女の髪を引っ掴んで引きずっており、こはるの子分になっていたシャネルとちひろは、部屋の隅でガタガタと震えていた。
「紅麗亞、これでここら一帯は私のモノってことでいいよね、こはる、伸びちゃったし。あんたのシマも私のモノ。あんたに惚れてるしづかにも、私に協力するよう言ってよ」
「……織ちゃん、ちょっとヤり過ぎだよ。私たちは、同じ地元の仲間で……ぶげっ!?」
顔面を殴られ、鼻が妙な方向に曲がり、紅麗亞と呼ばれた女はぼたぼたと出血する。そうして、小柄な女……顔の片方を伸ばした髪で隠した季梨織の顔を、負け犬の目で見上げると「ごべんなざい……」とかすれた声で告げた。
「分かってくれれば、いいんだよ。シャネル、ちひろ。あんたらは、私の友達だよね?」
「も、ももも、勿論!」
「だ、だから見逃してくれるとか!?」
「まさか。代わりに、シャネルにはこはるの立場をあげる。ちひろは、紅麗亞の立場。よかったね、お金持ちになれるよ」
イカれた笑みを浮かべる友人の姿に、望まぬ出世と収入を得た二人は、ひきつった笑みを浮かべている。
今は獄中にいる友を想い、織は口元にどこまでも穏やかな……親しい友人に向ける優しい笑みを浮かべた。
「早く出ておいでぇ、うらら。“野菜”も食べるものも、いっぱい用意して待ってるからね──♥」
今回の攻め(?)役
※季梨織(きなし しき)
・高級マンションで一人暮らしをしている、大〇中毒の少女。うららや『地元最高!』のシャネル、ちひろの友人。
・非常に寂しがり屋だが、家族とはほぼ絶縁である為、友人に対して気安く、また密な接触を求める。かなり湿度の高い関係を求めてくるため、うらら以外は若干引いていたらしい。というか、うららが特にバックも無いのに累犯するほど大麻を確保できたのは、織が用意していた節がある。
・クリスマスの一件でうららに友人以上の感情を持つようになり、彼女が帰ってきた時の“楽園”を作る為、地元を暴力と財力で支配しようと暗躍している。当然、うららはこれを知らない(のどかは知らないのか、話していないだけなのか不明)。
・かつて家の事情で精神の異常を来した母親に「自分の胎から生まれてきた悪魔の子」として右目を抉り取られ、母の方を取った家族から口止め料とマンションを受け取る代わりに、捨てられた過去を持つ。うららに対して友人、恋人だけでなく、優しい母親の役割も求めている節があるのはこの為。
・名前は『ごくちゅう!』のキャラが季節や季語を冠した苗字持つことにちなんで「季節が無い」「四季」から。また「(刑)期無し」「死期」ともかかっており、収監されていないことと、罪を犯しても死刑にならない=止まらないというトリプルミーニング。