試合が終わり、汗と興奮にまみれた控室に二匹の獣人レスラーが戻ってきた。
見習いの僕にとって憧れのレスラーの二人だ。
リング上ではいつもの様に見事な連携で勝利を掴んだタッグパートナーなんだけど、
控室のドアが閉まるや否や、いつものように火花が散り始めた。
「おい! 何だよさっきのあのタイミング!
俺がフォール入ろうとしたのに、お前がカットインしてくるとかありえねえだろ!」
「はぁ? 俺がフォローしてやったおかげで勝てたんだろうが!感謝しろよ、ノロマ野郎!」
「感謝? いつも俺の邪魔ばかりしてんだろうがよ!」
「あぁん?」
すると、一つ上の先輩が僕の肩に腕をまわし
慌てて無理矢理引っ張る
「やべぇ、始まった!ずらかるぞ!」
僕は先輩に引っ張られながら控室の外へと逃げ出した。
控室の扉の向こうから二人の怒鳴り声が聞こえる。
ガン!ガン!
と何か投げたような音、殴ったような音が響きわたる。
「ああなると誰も止められねぇ」
「1時間は収まらないからな…しばらく離れてようぜ」
でも僕は控室にスマホをそのまま置き忘れたことに気が付いた。
マネージャーさんから連絡がある予定だった。
戻るのは恐ろしい…
でも1時間も連絡を無視なんてできないし…
数十分、迷った末に僕は意を決した。
「す、すみません、僕ちょっと戻ります…」
「お、おい!死ぬつもりか!?やめろって!」
僕を止めようとする先輩の声を振り切って
思い切って控室の扉を開けた。
ガラガラ…!!
「す、すみません!!失礼しま…」
「あっ」
「あっ」