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ねっきぃ (Necky)
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着ぐるみ裏日記 不定期便⑩+⑪

⑪舞台俳優としてデビュー 舞台に出ることになった。そう、舞台。1日だけではない。ゴールデンウイーク丸々全部潰れる1週間近い公演のものだ。 出る理由が人手不足というのだから、この業界やはり人が足らなくて必死なのだということを痛感する。 詳しく紹介していく。 集合をかけられたのは3か月前、寒空の中の2月上旬だった。 毎日稽古漬けかと思いきや、出演者の大半はアルバイトや副業として舞台に関わっている者が多く、本業と両立させている。こうした舞台では、通常、まとまった練習時間が確保しづらく、少しずつ稽古を積み重ねていく形が一般的である。 この舞台は、いわゆるキャラクターショーを一回り大きくした程度の規模で、某プリ〇ュアのドリームステージほど大規模ではない。 内容はというと、様々なヒーローが一堂に会し、巨大な悪の組織を倒していくという王道ストーリーの着ぐるみショーだ。 私の配役はというと・・・筋肉隆々で正義な超人のプロレスヒーローだ。大分昔のギャグ要素の強いマンガキャラであるが、未だに強いファンに支えられているような印象を受ける。 この着ぐるみ、実はかなりフェチな要素を多く含んでいる。 そもそもふかもこ仕様ではないので、私の好みからは外れるのだが、上記の通りフェチであるから今でも記憶によく残っている着ぐるみだ。 筋肉隆々の体を再現するため、着ぐるみ自体が非常に分厚く、上半身はムッチリとしたウレタンで覆われている。太ももや首回り、股間も厚めのウレタンで肉付けされており、締め付けがかなりきつい。丁度ゼンタイに筋肉が盛り込まれているかのような感覚といったらよくわかるだろう。 当然そんな仕様であるから、かなりこの着ぐるみは暑い。幸い、動きやすさで言うと、フカモコ着ぐるみと比べると幾分かマイルドである。赤いブーツには汗で滴った水が溜まり、グショグショになってしまうことは常であった。 ヘッドを被る。たてがみのような部分をベリベリと剥がし、後頭部がパックリと割れる仕様になっている。そして、いざ被ってみた。 中は硬質ウレタンでぎっしり詰まっており、厚みのあるゼンタイ越しに顔がぎゅうぎゅうに押し潰される感覚に襲われる。 一度被れば、簡単には脱げない。大量の汗が肌を覆い、蒸し風呂のような密閉空間がさらに体力を奪っていく。特にアクションシーンでは酸欠と暑さで意識が朦朧とし、全身から滝のように汗が流れ落ちる。視界が悪いために周囲の動きを探る必要もあり、一瞬たりとも気を抜けない。そんなことを感じとっていた。 そして、この着ぐるみの最大の特徴。 視界が極めて悪いのだ。 以前に某ショッピングセンターの犬の話をしたが、それとほぼ同等くらいの視界の悪さだ。 ウル〇ラマンほどの穴の大きさであるが、その穴と中の人の目の位置が結構離れているため、きわめて視界が悪い。おまけに空気穴は鼻に開けられたメッシュ部分のみ。口にも全く開いていない仕様だった。あまりにも外界と遮断されるような着ぐるみの仕様に、今思い返すだけでアソコを固くしてしまうが、その当時はあまりにも苦しくて暑い着ぐるみの中に入るだけでぐったりと体力を削られてしまうために、あまり気が進むものではなかった。 おまけに、非常に汗くさい着ぐるみでもあった。中の人の歴代の汗が染みこんでいるように思えて仕方がないくらいの香りで、一度被ると汗くさい香りと蒸れで非常に苦しいものになった。密閉構造に近い代物なので、中の面のあご部分には塩が吹いているかのように白く汚れていたのを今でも覚えている。 ショー本番までは着ぐるみを全く身に付けることなく練習が進んでいく。最初のフィッティング以外では着ぐるみを身に付けた上での稽古が無い特殊環境のため、立ち位置や演技を目で頼ることなく空間位置をしっかり認識しながら稽古を進めていった。 そして・・・本番の日が近づくにつれ、緊張感は増していった。練習期間は長かったものの、まとまった練習が取れず、断片的な練習で不安は多くあった。 時間はあっという間に過ぎていき、気づけば当日になった。 舞台裏ではスタッフが慌ただしく動き回り、衣装や小道具の最終確認が行われる。私はというと、分厚いウレタンに包まれた着ぐるみに身を詰め込み、鏡の前で決めポーズを繰り返していた。3人がかりで着付けを行ってくれるため、非常にスムーズで淡々と着付けが進んでいった。 ん・・・くっ・・・ 被るや否や、着ぐるみの中のきつい匂いに侵される。そして既に暑さに襲われている。この状況ならばすぐにアソコが大きくなってしまうものだが、緊張感のお陰で全く硬くなることが無いのは救いである。 そして、初日の幕が開く。暗転した舞台にスポットライトが走り、耳をつんざくような音楽が会場中に響き渡る。出番が来た。視界の悪さに注意しながら、舞台中央へと歩を進める。 観客席からは子どもたちの歓声が沸き起こる。ヒーローとして登場した瞬間、私の全身にはアドレナリンが駆け巡った。重く息苦しい着ぐるみの中でも、観客の反応がダイレクトに伝わってくるのがこの仕事の醍醐味である。 しかし・・・非常に苦しくて暑い。今思えば、練習通りの動きを非常に狭い視野からよくもまぁできたものだと感心する。 こうしてTVのヒーローが一堂に介し、ごちゃまぜの戦闘シーンが始まる。 敵役との戦闘シーンでは、限られた視界の中でタイミングを合わせ、迫力あるアクションを繰り広げる。激しい動きに汗が吹き出して目に汗が入ろうとも、目の前のアクションと演技に意識が吸い寄せられていく。 着ぐるみショーをよくよく見ていると、着ぐるみ役者同士で殺陣を行う際に掛け声が聞こえてくると思うが、この現場でもそれが行われている。「ハイ!」「ヨシ!」この合図で次の動きや殺陣の確認が行える。 そして、こういった視界が極めて悪い着ぐるみを演じるときは、言うまでも無く細心の注意を払う必要があるが、特にこういった殺陣を入れる場合は極めて危険な状況にある。狭い視界では相手の動きを完全に把握できず、次の立ち位置やポーズを事前に体で覚え込まなければならない。特にアクションシーンでは、手を振る角度や足の出し方をミスすれば、相手に怪我をさせる危険もある。 また、舞台上では表情が伝わらない分、体全体で感情を表現しなければならない。拳を握りしめる仕草、胸を張る姿勢、ヒーローとしての堂々たる立ち振る舞いを誇張し、観客に見えやすくする必要がある。 さらに、声を出せないため、動きのタイミングは他のキャストとの息を合わせることが重要だ。特にフィニッシュ技を決める場面では、舞台袖から送られる合図を頼りに、正確に動く必要があった。 殺陣をしながらの着ぐるみは、それはそれは恐ろしいほどに苦しくて暑い。しかし、アドレナリンのお陰でその疲労感や苦しさが全くと言っていいほど感じない。後々振り返るとフェチでしかない。 フィナーレでは、ヒーローたちが揃い踏みし、巨大な悪を打ち倒す。歓声と拍手に包まれ、幕が降りる。初舞台を終えた達成感と充実感が、体の疲れを更に忘れさせてくれた。 緞帳が降り、拍手喝さいの中であっても苦しさと暑さでフラフラな私。 1時間の公演の中で、ボディは蒸れあがっている状態にもかかわらず脱ぐことはできず、途中で面を外して呼吸を整えて水分補給をするくらいしか休憩が無い。 着ぐるみを脱ぐ作業に入る。 スタッフが3人がかりで脱がしにかかる。実はこれは非常に恥ずかしく、できれば一人で着付けは行いたいものだと毎回思っていた。 言うまでも無く全身が汗でびっしょりだった。ウレタンに染み込んだ汗が外にまで浸透し、胴体部分は色が変わるほど濡れていた。特に脇や背中、膝裏は汗染みがヒドイ状態だった。 赤いブーツを脱ぐと、中敷きは汗を吸って重くなって、おまけに靴下はグッショリと滴るほどに濡れていた。スタッフが苦笑しながらタオルを手渡してくれたが・・・この時ばかりは半端ではないほど恥ずかしい気持ちだったのは言うまでもない。 「初日、お疲れ様でした!いやぁ、動き良かったよ!」 スタッフの一人が笑顔で声をかけてきた。私はタオルで顔を拭きながら、「ありがとう」と小さく返すのが精一杯だった。それもそのはずで体力は完全に底をついていて、声すらまともに出ないほどだ。ペットボトルの水を一気に飲み干しながらも今日の出来事を振り返っていた。 初日の感想を聞かれると、正直なところ「疲れた」の感想以外出てこない。ただ、筋肉隆々のプロレスヒーローとして舞台に立った瞬間、暑さも苦しさも忘れさせるほど高揚感は今でもしっかり忘れずにいる。 こんな調子で1週間、次の日からは全身の筋肉痛に耐えながらも無事に公演を走り切った。毎回毎日のように汗でグショグショになった着ぐるみは、次の日にはしっかりと乾いている、というわけでもなく汗だくになっては半乾きの状態を繰り返し、最終日にはかなり濃縮された香りになっていたのは想像に難くない。 演技中、着ぐるみの中では一切興奮なんて生まれないし、目の前の動きと緊張感で精いっぱいになる。ただ、この出来事を振り返るたびに容易にアソコが固くなるのは、それほどまでにフェチ要素の詰まった着ぐるみ活動だったのだと今になって思い起こされる。 ⑫視界の悪い着ぐるみその2 着ぐるみの視界が悪いキャラは多く存在する。それでも視界の悪さを感じさせないような立ち振る舞いやアクションの数々には、中の人の努力のたまものと言っても過言ではない。それくらいに着ぐるみの視界というのは中の人の自由度を奪うものであるが、特に中の人の着心地を無視して、非常に視界の悪いキャラクターになることは少なくない。 そんなキャラクターを演じることができて非常に私は光栄であるが、その中でも、最も貴重な経験で、かつ視界の劣悪な着ぐるみを演じさせていただいたので、この際に記しておきたいと思う。 格闘系のキャラクターで、ケモナー諸君が非常に愛して止まない、カギ尻尾を持った例のあのキャラクターを演じさせていただいたので記しておきたい。 私がそのキャラクターを演じる機会を得たのは、ある地方のイベントでのこと。 ケモナー界隈では知らぬ者はいないほどの人気を誇る、あの存在。名前を出すまでもなく、その特徴的なシルエットと力強いデザインは、遠くから見ても一目で分かるほど印象的だ。本当は初代の造形モデルを着たかったものの、私に与えられたのは2代目のモデル。それでも十分すぎるほどにありがたいものだった。 当日、私はその格闘キャラとは違うキャラの予定だった。なんせ身長が大きいため、通常では格闘キャラは不適格になる。しかし、その日になって演じる女性が電車の遅延で大幅に遅れることになった。 それならば・・・と、担当の子もやるし、この格闘の子もやらせてほしい、まず試着させてほしいと私から担当社員へ打診した。 とのことで、まずは袖を通してみてOKそうならそのままGOとなった。 心臓が高鳴る。例の憧れた着ぐるみだ。物凄く興奮したし、今でもその状況でオカズに何度もできてしまうくらいだ。 ブツとの対面。一般的な着ぐるみと比べるとパーツが多い。一体型で着ぐるみの中に入るスタイルではないので、幾らかフェチ具合は低減化してしまうがそれは些末なことに過ぎない。 まず、大きな尻尾をボディにセットする。 次に足を履くのだが、ブーツ状になったケモ足とズボンが一体化しているような構造を取っている。 いざ履いてみる。足はブーツ状になっていて、足をぎゅぎゅっと包み込むようにフィットするタイプ。履くだけでもそれなりに気持ちいい。 しかし、ここで問題が発生した。明らかに丈が短いのだ。ズボンの上部が腰よりもかなり下になってしまう。そこで、上からベルトを締めて、ずり落ちないように調整した。 次はボディの着用・・・と思いきや、この着ぐるみ最大の特徴である首隠しがかなり長くて大きく、先に頭を被る必要があった。 かなり大きめの首隠しには、後ろにファスナーがあり、事前にジジジジ・・・と開けておく。このファスナーは上から下へと閉じるタイプなので、うなじに向かって開けていった。 中にはヘルメットのような頭を固定する部分がある。それ以外はFRPで構成されているようにも見えた。 いざ被ってみる。ズシっと重い着ぐるみの中は、素材独特の香りとかなり汗臭い香りが入り混じった香りがした。 意外と頭の固定部分は高さがあり、自分のアゴが丁度着ぐるみの入り口部分と重なった。あごのすぐ先には口のスリットがある。あご部分にかかる布は歴代の人の汗が染みこんでいたためか、結構な強い香りがしていた記憶がある。 被ってあごをしっかりと固定する。すると、意外と中は密閉状態というわけでなく幾らか空間があるようにも見える。マスコット型着ぐるみほどとは言わないが、顔に密着するほど空間が無いわけではなかった。 そして、この着ぐるみの最大の特徴である点に驚愕した。 そう、この着ぐるみ、非常に視界が悪いのだ。 メインは黒目のメッシュ部分。自分の目とキャラの目とがそこそこ離れているせいで、視界は正面しか見えず、左右は首や体の動きを駆使しないと中々見渡すことが出来ないくらいのものだった。まるで細いストローを覗いているような感覚だ。 首隠しのファスナーを上から下に閉じていった。かなりピシっと首回りが整い、モフモフとしたファーに自分の首回りが厳重に覆われた。 この状態でいよいよ次はボディを着る。 補助なしでもギリギリ着られるが、すでに足がモフモフのためバランスを崩しやすく、二人がかりでサポートしてもらうことになった。 腕部分を通す。二の腕部分はモフモフなのだが、腕の中腹から手首にかけてはダブルラッセルになっている。 そして首の部分。首隠しを外に出すことなくボディの中に埋め込むようにして留める。こうすることで、一切中の人の首筋を露出させることは無くなる。極めて密閉機構になるため暑さや息苦しさは説明不要の状況になる。 また、この着ぐるみの特徴的な点がもう一つある。それは脇部分だ。脇にはメッシュが使われており、通気性を考慮している。しかし、このメッシュだけでは中のインナーが丸見えになるため、裏地と二重構造になっていた。ただし、その裏地もかなり薄く、状況によっては透ける可能性がありそうだった。 背中のファスナーを下から上へジジジジと閉じてもらい、その上からファスナー隠しをマジックテープで張り付けて・・・ほぼ完成。 最後に手をはめる。大きな手は一切モノを掴むことが出来ない。中にやや太めの紐があり、それを握りしめて保持するスタイルの着ぐるみだ。 こうして、足が長く首も長い、ほっそりとかなり高身長な・・・実際とは背のかなり高いキャラが完成した。 目の前に鏡が無いのがなんとも惜しいところ。ただ、歩くたびにカギ尻尾がゆらゆらと故動く様子は、中の私にもしっかりと届いてきてつい滾ってしまったのはここだけの話だ。 本来のキャラと比較すると幾らかアンバランス。ただし、ギリギリで着用出来ていて、肌の露出は無いことからGOサインが出た。 ついにこのキャラクターとして表舞台に立つことが許された。 極めて喜ばしいことに心臓がここでも高鳴っていたことを今でもはっきりと覚えている。 そしていざグリーティング会場へ。 大勢の人だかりと活気あふれるお客の声。子供大人問わず大人気のキャラクターで、もはやもみくちゃの状態。アテンドが十分に機能していなかったせいで、手当たり次第に触れられて前に一向に進まないような状態になった。 ・・・登場してからものの5分足らず。あまりの暑さで一瞬で汗だくになったのを今でも覚えている。 グリは始まったばかりだというのにかなり息苦しく感じるのだが、その理由はほっそりしか開いていない口元と目の部分。おまけに首元は厳重に密閉された仕様になっているためか、恐ろしいほどに空気抜けが悪く暑さは尋常じゃなかった。 加えて、手の部分だが、かなり肉厚でコチラも空気を一切通さない上に若干重いため腕を上げてファンサするのに一苦労する。 手の中も一瞬で汗でぐっしょりになるほどだった。 足の部分も、ロングブーツを履いているようでコチラも密閉構造であり、非常に蒸れ具合と暑さは半端ではなかった。 ボディの部分も同じように肉厚なウレタンで盛られている構造だ。唯一の薄い生地と言えば脇メッシュの部分であるが、ここから涼しさを一切感じることは無かった。 10分経過。 自分の吐く息が着ぐるみの中で滞留して息苦しくなってきた。初代のモデルでは、口が一切開いていなかったと聞く。スリットくらいしか開いていない2代目のこの着ぐるみですら息苦しさを感じる。初代は・・・恐らく息苦しすぎて酸欠になっていたほどだと思う。それくらい、二代目であっても息苦しさを徐々に感じるような、そんなブツになっていた。 思っていた以上に頭は小さくなく、中は空間がそれなりに有った。そのために空気抜けが悪く、大したアクションをしていないのに肩で息をして必死になっていたと思う。 15分経過。 グローブが思った以上に重くて腕にダメージが蓄積されてゆく。バンザイのポーズがかなり過酷だ。 くびが塞がれた密閉構造の着ぐるみの頭の中はかなり蒸れあがった空気で充満し、かつ酸素が少なくて、慣れていない人だとパニックを起こしてしまうのではないかと思うくらいの着ぐるみだった。 汗が顎や首元のファーに吸い取られてゆく。蒸れあがった空気とファーの湿った香りで、中はとんでもないことになっていた。 動きにくさというと、そこまでではなく、十分にダンスやダッシュが出来るほどの着ぐるみだと感じだ。が、如何せん視界が極端に悪いことと空気が無くて苦しいことを考えると、長時間このキャラに変身することはかなり過酷でもある。 こうして15分のグリーティングを終えて楽屋に戻ってきた。 15分のグリーティングを終え、楽屋に戻る。 この着ぐるみは一人では脱げない……と言いたいところだが、手の部分を外せば自力で脱ぐことが可能だ。初代モデルは腕とボディが一体化しており、一人では脱げない仕様になっている。それを考えると、二代目はまだ着脱のしやすさが考慮されていると言える。 しかし、視界の悪さ、通気性の悪さ、そして重量感。どれを取っても、演じる側にとっては試練のような着ぐるみだ。そして、今でもあの感覚を思い出すたびに、少し興奮してしまう自分がいる……。 30分の休憩を経て、2回目の登場も無事に終えた。しかし、その頃には着ぐるみの内部は汗でびっしょりになり、キャラの足元を伝って汗が滴るほどだった。 ちょうどその時、1時間以上遅れて担当の女性が到着した。彼女は申し訳なさそうに謝り、交代しようと申し出たが、あまりにも汗で濡れた着ぐるみをそのまま着せるのは忍びなかった。 そこで、元々登場予定だったもう一体のキャラを彼女に担当してもらうことになった。 こうして4回のグリーティングを終えて、私は大満足のうちに帰宅した。 未だにこの着ぐるみを思い出し、そして写真で見るたびに、あぁこの着ぐるみ物凄く暑くて苦しいんだよなぁとか、この目の部分殆ど見えなくて大変なんだよなぁと思い起こしてはオカズにしている。 強いて言うならば、2代目を着たからこそ初代を着てみたいと強く願うがこの願いはもう敵わないのが切ないところ。 まだまだ着ぐるみの経験を積むためにいろんな現場に行く日々を繰り返していた。 つづく


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