「この話。お受けできません!」
ここは雑居ビルが立ち並ぶ裏通りにある小さなジム。
その2階にある小さな社長室で、すこし茶色がかったポニーテールを揺らしながら藤崎玲香はデスクに右手を叩きつけた。
「気持ちは分かる。だがね」
女子プロレス団体「Janne」の社長である金田は一枚の資料を引き出しから取り出し、机の上に置いた。そこには興行ごとの動員数や収益が右肩下がりのグラフで書かれている。
「一時は大きめの会場でも満員に出来るまで増えていた観客数が、見ての通り、半年ぐらい前から減りっぱなしだ。ここらでひとつ手を打つ必要があるんだ。」
「もしかして、私達のせいだといいたいんですか?確かに最近勝ってないですけど。。」
つるりとしたスキンヘッドを掻きながら金田は言った。
「そうは言ってない。もとはといえば君たちに人気が出たおかげで伸びた動員数だ。感謝している。だが君の言うとおり、勝ててないのも事実。こう言っちゃなんだが、最近ちょっと飽きられてきているんじゃないかね?」
玲香はきっとした目で金田を睨みつけて言った。
「そうだとしても、なぜその対策が私と紗織の試合なんですか?私達のファンが望んでるとは思えませんけど」
金田はニヤリとして答える。
「はたしてそうかな?」
金田は玲香にアンケートの集計結果を見せた。その最終ページに記されていた質問はこうだ。
あなたが今後見たい対戦カードは?
1位 藤崎玲香×白石紗織
2位 ...
「嘘...」
「嘘じゃないさ。一枚一枚きちんと集計してまとめた結果だ。君たちにもきっといい刺激になる。やってみる価値はあると思うぞ。」
玲香は言葉か出ず、アンケートを手にしたまま固まっている。
「そうだな。一度白石と話してみたらどうだ?実は先に白石には話してあるんだ。あの子は受けると言ってくれたよ」
優しすぎる紗織の性格上、断われなかったのだろうと玲香は思った。
「私からの話は以上だ。また明日ここで返事を聞かせてくれ。」
そこまで言うと金田はパソコンの方に向き、カタカタとキーボードを叩き始めた。
「と、とにかく、私は嫌ですから!失礼しますっ!!」
玲香はアンケートをすこし強めに金田のデスクに叩きつけ、社長室を後にした。
藤崎玲香と白石紗織は、ジャンヌにおいて、今をときめく一番人気のタッグである。
すらりとしたスタイル、亜麻色の髪をポニーテールでまとめ上げた涼やかで凛とした美しさをもつ美少女である玲香。
上質な絹のような長い黒髪と、どこか儚さを感じさせる瞳。ほっそりとした躰に不釣り合いなほど膨らんだ胸。まさに可憐という言葉がふさわしい美少女である紗織。
二人共そのままアイドルになっていても何ら不思議はないほどで、デビュー時から一部の熱狂的な支持を集めていた。
ただ、人気の高さとは裏腹に、なかなか勝ち星には恵まれず、近頃は新人にすら負けてしまうことすらあり、マンネリ気味と批判されることもあった。
「紗織。ちょっと」
玲香はトレーニングルームで汗を流す紗織を呼びつけた。紗織は一瞬びくりとした反応を見せたが、黙って頷くと、紗織のもとに歩み寄った。
「さっき社長に聞いたわ。私、紗織と闘うなんて絶対嫌だし、間違ってると思う。一緒に抗議しに行かない?」
紗織の美しい顔にうっすら翳がかかる。
「れいちゃんは、嫌なの、、、?」
意外な反応に玲香は一瞬あっけにとられたが、気を取り直して答えた。
「嫌に決まってるでしょう。あのエロ社長。いくら私達がカワイイからって、闘わせて人気取ろうなんて悪趣味にもほどがあるわ。そんなのに付き合うのはごめんなの。さ、行きましょ。」
玲香が紗織の手をひこうとした時、すっと紗織はその手を引いた。
「どうしたの?社長が怖い?」
玲香が聞くと、紗織は首をふるふると横に振った。
「違うの。。私が、、、れいちゃんと試合したいって言ったの。」
玲香の動きが止まった。そして、ゆっくりと紗織に問いただす。
「どういうこと?私とタッグを組むのが嫌になったの?」
「違うわ。」
「じゃあどうして。言っとくけど最近勝てないのはあなたが。。」
玲香ははっとして言いかけた言葉を飲み込んだ。
紗織はうつむいたまま黙ってしまった。
「もういい!」
バタンと勢い良くドアを閉め、玲香はジムを後にした。
玲香が紗織と闘いたくないのには理由があった。紗織の美しさは世の男性だけでなく、タッグパートナーである玲香までも虜にしていたのだ。
悪役から紗織を護ることこそが、玲香の生きがいであり、美しい彼女をこの手で傷めつけることなど、到底考えられなかった。
玲香はあれこれ考えながら行く宛もなく、街をただうろついていた。
すっかり日も暮れ、寮に戻ると、紗織が玲香のベッドに座って待っていた。
「何。。してるの?」
「ごめんなさい。今日のこと、ちゃんと説明しなきゃって思って」
玲香は目をそらした。
「。。。聞きたくない。」
紗織は玲香の手を取り、ぎゅっと握りしめて言った。
「お願い。聞いて。私、この世界に入ってからずっとれいちゃんに守ってもらってばっかりで、いつまでもこのままじゃいけないって、頭では思ってもどこかそこに甘えちゃっていた自分が許せなくって。」
紗織はひと呼吸おいて続けた。
「最近、お客さんも減ってきたでしょ?こないだなんて新人にも負けちゃったし。わたしがれいちゃんの足を引っ張ってるから。。」
玲香はあわてた言った
「紗織、それは違うよ。。」
紗織は首を振り、目に涙を浮かべながら話し続けた。
「だから私、社長に言ったの。一度シングルでやってみたいって。それなら甘えたりできないでしょ?」
「。。。」
「そしたら社長が、最初にれいちゃんとやれって。れいちゃんに勝てたら考えても良いって。
わたしもれいちゃんと闘うのは嫌だけど、もしシングルになったら遅かれ早かれその時が来るかもしれないし。。それに。。」
「それに?」
「わたしも一応レスラーだから。誰が相手でも立ち向かう勇気が欲しいの。ね、お願い。一度でいいから私と試合をしてくれない?」
玲香が返答に詰まっていると、紗織が顔を近づけてきて耳元で囁いた。
「。。。もし、れいちゃんが勝ったら、、わたしのこと好きにしていいよ。」
玲香の心臓が爆発しそうなくらい高鳴った。まさか自分の気持ちに気づいていたのか。顔を真っ赤にしながら玲香は聞いた。 「。。。、どういう。。こと。、?」 「知ってたよ。」 それだけ言うと紗織はすっと目を閉じ、玲香の唇に優しくキスをした。
続く
序盤なのでほぼ変更なしの駆け足で。試合はじっくりゆっくり追加しながらいきます。なのでまた見たい技などありましたら書き込みお願いします!
popura_00x
2022-04-08 15:20:26 +0000 UTCあろーへっど
2022-02-08 14:36:35 +0000 UTCめんまる
2022-02-08 12:58:05 +0000 UTCめんまる
2022-02-08 12:54:08 +0000 UTCめんまる
2022-02-08 12:53:56 +0000 UTCめんまる
2022-02-08 12:53:39 +0000 UTCめんまる
2022-02-08 12:51:28 +0000 UTCめんまる
2022-02-08 12:51:10 +0000 UTCGab2
2022-01-27 11:24:32 +0000 UTCGab2
2022-01-27 11:24:03 +0000 UTCpopura_00x
2022-01-25 04:12:13 +0000 UTChans
2022-01-24 23:41:37 +0000 UTCあろーへっど
2022-01-24 14:16:51 +0000 UTCshoryuma
2022-01-24 13:41:44 +0000 UTC