全てにおいて完璧を目指す光にとって、プロポーションの維持も大切な事の1つだ。
食後の運動。
身体を動かし、汗をかく。
ランニングやエアロバイクでもいいが、最近の光の運動は、生徒会長や財閥令嬢という地位から受けるプレッシャーに伴うストレス発散も兼ねた精神ケアも同時に行っていた。
それは――。
「ふふ、今日はどうやって可愛がってあげようかしらねぇ」
ギィ、と重い金属音を鳴らして地下へと続く扉を開ける。
「…………」
地下室で土下座するコウを見下ろしながら光は楽しげに口の端を上げた。
食事を終え、口を清めさせてコウを調教するのが、彼女のお気に入りだった。
より雰囲気を高めるため、光は服装も変えていた。
セーラー服ではなく、エナメルの黒いボンテージ。
大人の色気を一気に帯び、支配者のみが着ることを許された服に着替えたことで、光の中の嗜虐性がより強みを得る。
美脚を包み込むエナメルロングブーツが、コツコツ、と心地よい足音を奏でていた。
床に這い蹲る年上の牡。
いつ見ても哀れで滑稽な姿だった。
黄金までも喜んで食べる卑しい奴隷。
一人の男を堕ちるところまで堕としてやった達成感は病みつきになる快感だった。
(ふふ、コウの次は伍堂さんですね。彼も卒業後は我が家に就職させてあげましょあい)
すでにマゾとしての素質を開花させたクラスメイトの事を考えながら、光は残酷な笑みが抑えきれなかった。
他の女子からも人気のある男が実は毎日生徒会室で変態的な調教を受けていると知ればさぞショックでしょうね。
泣きながら許しを乞うあの顔に座り、ウンチを食べさせてやると思うと下腹部が疼く。
(くす! 変態とコウと伍堂さんの三匹を這い蹲らせて見下ろすなんて、なかなかの良さそうな景色でしょうね)
年上の牡奴隷と雌豚とクラスメイトの劣等種。
それらを支配しているのが自分だと思うと、光は自分という優れた存在なのだと優越感に酔い知れる。
(想像だけでもこんなに気分がいいのだから、実際にさせたら、さぞ最高でしょうね)
キュ、と下腹部を熱くさせながら、光の股間は既に妖しく濡れていた。
(まぁ、今日はコウだけで満足しましょう。これも私の忠実な下僕。調教中に他のことを考えたら可愛そうですもの)
私ってなんて奴隷思いなのかしら、と自画自賛しながら、光はブーツに包まれた足を上げると――。
ドシッ!
「ぐふっ!」
コウの頭を踏みつける。
コウの顔が床にめり込み、無様な声が漏れていた。
が、別に遠慮など光は必要ないと思っている。
どんな時でも挨拶は欠かしてはいけない。
屋敷に帰った時もそうだし、こうして調教する時もそう。
奴隷は常に奴隷なのだと心身に刻みつけないといけないの。
常に踏みつけられる側の生き物だとね。
「さ、コウ。ご挨拶よ?」
グリグリと光がコウの頭を踏みながら歌う様に言い放つ。
(あぁ、光様ぁ……)
後頭部にかかる重みで額が石床に押し付けられ、ギリギリと頭蓋骨に痛みが走る。
大便を食べさせられ、体力を削られて疲労困憊なのに、身体にジワジワと興奮で熱が篭っていく。
視界に広がる床を眺めながら、コウは言葉を紡いだ。
「光様……ちょ、調教をお願いします」
「…………」
ミシミシ。
光様がさらにおみ足に力を入れた。
頭が割れそうに痛むのに、コウの男根はますます硬くなる。
(アァ! ありがとうございますぅ!)
今の言い方ではダメなのはコウでも理解していた。
あんな頼み方では失礼にも値する。
鞭で気絶するまで打たれても仕方ないだろう。
ただ、コウはもっとお仕置が欲しくてやってしまったのだ。
「何かしら? 今の言葉遣いは? おバカなコウはもう忘れちゃったのかしら? お前の脳みそってやっぱり下半身にあるのかしらねぇ?」
足首を捻りグリグリと頭を踏みにじる光の罵声にコウはうっとりとしてしまう。
もっと貶めてぇ。
ダラダラと鈴口からカウパーを垂らすコウが望んでいるのは徹底的な蹂躙だった。
「ご調教お願い致します、でしょう?」
「はい、光様、ご調教お願い致します」
「…………」
ミシミシィ!
ピキィ!
「んぎぃ!?」
光様がさらに足に力を入れられたせいか、鼻からヤバい音がした。
さすがにこれ以上したら鼻を踏み折られるだろう。
それにあまり失態をすれば、失望して廃棄されるかもしれない。
コウにとって、それは死よりも辛い罰だった。
いっそ、殺してくれたほうがまだマシと言えるだろう。
仏の顔も3度までと言うが、コウの女神は失敗は1回しか許さない。
いや、1回でも許して貰えるのだから寛大だろう。
コウは痛みで顔を真っ赤にさせながら、もう一度挨拶の言葉を紡ぐ。
光の奴隷としてへりくだり、光に飼われていることへの感謝を込めて――。
「光様、最底辺で下等で生きる価値もない変態マゾな私を飼育していただき誠にありがとうございます。本日も貴重なお時間を割いていただき誠にありがとうございます。光栄の極みにございます。どうか、本日も私の身体と心を光様に捧げますので、光様の心ゆくままにご調教よろしくお願いいたします」
心からの言葉を述べると、頭にかかる荷重が和らいだ。
どうやら合格が貰えたらしい。
「ふふ、初めからそう言えばいいのに。コウはいつも初めは失敗するのね。おバカなんだから」
精一杯の言葉に満足したのか、光の口調もどこか柔らかかった。
「じゃ、ご褒美をあげるわ」
後頭部から足がどけられると、グイと顎にブーツの爪先がかけられて上を向かされる。
天井の明かりを後光の様に纏う黒い女神がそこにはいた。
残酷な美貌を湛えた女神は真っ赤なソールを見せつけながら、微笑み――。
「まずはこのブーツを舐めなさい」
と短く命令したのだった。
◆
「はい! 光様!」
コウは嬉々としてブーツの靴底に舌を這わせた。
ペチャペチャと音を立て、唾液をたっぷりとつけた舌でブーツの靴底を舐める。
普通ならご褒美とは程遠い精神的な拷問だが、コウには最高のご褒美だった。
ザラザラとした滑り止めについた砂埃とソール自体の強烈な苦味が舌を刺激し、視界に広がる靴底が、自分がいかに底辺な存在なのかを思いしらし、コウの惨めな気持ちを倍増させる。
(あぁ、幸せだぁ)
しかし、ドMとして至福の時を感じながらコウは全身で幸せに浸った。
そんなコウを見下ろして光は腕を組み――。
「ふふ、でもやっぱりご褒美としては物足りないかしら? ド変態のコウはこんなのじゃ満足出来ないわよねぇ?」
「ぶ、ぶひぃ……」
「だからぁ」
光の爪先がコウの口元まで持っていかれる。
「しゃぶらせなさい。厭らしく雌豚がオスのモノをしゃぶる様に舐めるのよ? 変態が足を舐めてるのは見てたわよね? あれと同じようにしなさい」
「はい! 光様!」
ジュプ、レロ、ジュプ、ジュル。
つま先にたっぷりと唾液をつけながら、コウは元気よく返事をするのだった。
光のつま先を口に含んだコウは丁寧に舐めていく。
チュ、チュ、チュ。
何度も忠誠を誓うようにキスを繰り返し、舌先で爪先の鋭角を撫でる様に舐め、爪先に歯が当たらないように口で頬張る。
先程と違い、ブーツの香りや光の体温が生地越しに感じられる。
靴底の様に苦味はなく、舐めると舌に吸いつくような感覚がした。
見上げれば聳えるような漆黒の柱を思わせる脚が天へと伸び、遥か上にはコウの崇拝するご主人様の笑顔があった。
「うふふ、惨めね、コウ」
「ふぁい」
「幸せそうにブーツを舐めるなんて、どうしようもないクズよ。まぁ、そう育てたのは私なのだけどね」
「あびばどうごばいます」
「あはは! どういたしまして! そう言う従順な所は好きよ。ご褒美の追加よ!」
ぺっ!
光は口をすぼめるとブーツをしゃぶるコウめがけて唾を吐きかけてやる。
翡翠には与えたが、まだコウには与えていなかった唾。
熟練したコントロールでもって、光の唾はコウの顔を直撃する。
「んんんー!」
顔から垂れた唾がブーツに流れ、重力に従ってコウの口へと流れ込んだ。
じゅぷ、じゅぷ。
「あびばどうごばいますぅ!」
「くすくす! よかったわねぇ? いい子にしてれば、またご褒美をあげるからわ」
微笑みかけられる笑みにコウは自分の醜態が彼女の笑みを作っているのだと思うと胸が熱くなる。
(あぁ……美味しい……。もっと、もっと笑ってくだひぁいまへ)
そんなことを考えつつ、コウは無我夢中でしゃぶりついていた。
ぴちゃぴちゃと夢中になって舌を這わせていると、光がつま先を揺らしてコウの口へとブーツをねじ込んで来る。
「もご、ごぅ!」
「ふふ、おバカさん。コウのお願い通り、私が満足するまでいたぶってあげるから覚悟なさい」
楽しそうに笑う光の声を聞きながら、コウは幸せな気持ちでいた。
この時間が永遠に続けばいい。
叶うわけがないと思いながらも、コウはご主人様が次は自分を使ってどの様に楽しんでくれるのだろうかと密かに興奮するのだった。