休日。
「うぅ、あぁ……」
佳那汰は新しい自室で呻いていた。
新しい自室は自ら部屋から出ることはできない。
新しい自室にはプライバシーなど欠片もなく、外から丸見えだった。
新しい自室には私物はなく、あるのは水を飲むようお皿だけだった。
そう……佳那汰に与えられた新しい部屋は大型犬用のケージだった。
由奈が排泄の面倒など見る必要がないようにトイレだけはダクトの通路が取り付けられ、行きはできる。
『お前がもっと完全な家畜になったら、外で排泄さようかしら! あははは!』
水洗トイレが使える。
(まだこれは由奈様の慈悲なんだろう)
本物の家畜とした扱われる様になれば、檻ごと野外に放置され、そこで排泄するよう命令されるだろうから。
だが、今の佳那汰にはトイレとは別に逼迫した問題があった。
ギチィ!
(い、いたい!)
佳那汰の股間に嵌められた貞操帯。
勃起した佳那汰のチンポがそれに食い込んでいたのだ。
貞操帯はまるでハムを括る紐の如く、ギチギチと締め付ける。
「はぁ、はぁ、はぁ」
落ち着け、落ち着け、と心にいい聞かせる佳那汰だが、
「くすっ! 誰が舌を休めろと言ったの?」
頭上から女神の残酷な声が響いた。
女神である由奈はニンマリと意地悪な笑みを浮かべると、手にしていたリモコンのボタンを押した。
直後――。
バリバリバリ!
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!」
電力が首輪から流れ、激痛に悲鳴をあげた。
内側から身体が焼かれる痛みでビクビクと身体を痙攣させて床に無様に転がる。
「ふ~ん、こんなに効果があるなんて思わなかったわね。動ける?」
しげしげと痙攣する佳那汰を眺める由奈。
その目は心配している様に見えるが、実験動物を観察しているようにも見えた。
(動けないなんて言ったら怒られる)
「動け……ます……」
佳那汰はまだ力が抜けている身体を転がし、這いつくばる姿勢をとった。
まだ四つん這いになれそうにはない。
困っていると、由奈のブーツが格子ごしに見えた。
「これなら届くでしょ?」
由奈は椅子の高さを下げて口許に持ってきたのだ。
「はい……」
佳那汰は由奈の心遣いに感謝しながら再び舌を這わせる。
ピチャ、ピチャ、ピチャ。
さっきの電流の痛みでチンポも萎えたのか、それとも電流の痛みに上書きされたのか、貞操帯からの痛みは和らいでいた。
「ほら、ちゃんと舐めなさい」
「んん……ちゅぱっ……れろぉ……じゅぷ……」
佳那汰は必死に舐める。
少しでも長く舐めて悦んで貰えるように。
必死に動かす舌の動きが生地ごしでも感じられる。
足の甲を這う佳那汰の舌の動きを、由奈は目を細めてじっくりと味わう。
「くすぐったいわよ。でも、上手ね」
「ありがとうございます……」
「もっと奥まで入れなさい」
「はい……」
顎が外れる勢いで爪先を咥えこむ佳那汰。
由奈はそんな健気な佳那汰を見ると意地悪をしたくなってきた。
「もっと速く」
「はい」
「もっと強く」
「はい」
「もっともっと」
由奈は乗馬した馬に鞭を入れる様に追いたてる。
「はい」
じゅる、じゅる、じゅぷ。
「あははは! 最高よ。もっと私を感じさせなさい」
「は、はひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!」
由奈のブーツが佳那汰の喉の奥に突き刺さり、佳那汰の頭を固定する。
佳那汰は苦しみながらも、由奈のブーツにしゃぶりついた。
「んぐぅ……むぅ……はぁ……はぁ……」
限界までブーツの爪先を咥え込んでいたせいで、口の端から涎が垂れていき、顎を伝って床に水溜まりを作る。
ひどい姿だ。
男としての尊厳など欠片もない無様な姿。
なのに……。
ギシギシ。
「うぶぶぅぅぅ」
「ふふ、佳那汰ったら、そんなに興奮して……貞操帯が凄く痛そう……。外して欲しい? 気持ちよくなりたい?」
「ひぁい……」
ブーツを咥えながら上目遣いで頷く佳那汰に、由奈はにっこりと微笑み、
「3日も我慢させたからね。いいわよ。私の命令を上手くこなしたら……ね?」
そう言って口からブーツを引き抜く。
扉の鍵をあけ、リードを引っ張ると、
「いらっしゃい」
由奈に引かれて佳那汰は四つん這いのまま部屋から出た。
これから何をされるのだろうかと怯えと期待を膨らませながら……。
深紅のカーペットの引かれた廊下を四つん這いで歩かされていた。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
リードを引く主は後ろを振り返りもせず、ヒールをコツコツと鳴らして歩いていく。
「ねぇ、もうちょっと早く歩きなさいよ。遅いんだけど?」
「す、すみません!」
「はぁ~。この駄犬が!」
由奈は立ち止まると、佳那汰の尻を軽く蹴り上げた。
「あぎゃ!?」
お仕置きに悲鳴をあげる佳那汰に、由奈はさらに追い討ちをかける様に足を上げた。
痛みこそそれほどだが、炸裂音に身体が縮こまってしまう。
「ひぃ! 申し訳ありませんっ!」
蹴られたくない一心で佳那汰は必死に謝った。
「ほら! さっさと歩きなさいよ」
チャリ!
リードが引かれ、首輪が鳴る。
「はい!」
佳那汰は急いで立ち上がると、よろめきながらも必死に足を動かし、由奈について行く。
だが――。
(うぅ……こんなに酷い扱いされてるのに……)
ドキドキ。
股間が熱くなり、貞操帯の中でチンポが大きくなっていく。
「くす。まだ調教され足りないみたいね。ま、いいけど」
由奈は佳那汰の様子を見てクスリと笑った。
佳那汰は自分がどんな表情をしているのかわからないが、きっと蕩けた顔をしているのだろう。
「こっちよ」
由奈はそう言うと、佳那汰をとある部屋に連れ込んだ。
そこは大きなベッドのある寝室だった。
由奈はそのベッドの上に座ると、佳那汰を見上げ、ニヤッと意地悪く笑うと、指先でクイっと佳那汰の首を引き寄せた。
「脱がせて」
ブーツに包まれた足を佳那汰のほうへ投げ出しながら短く命令した。
「はい……」
佳那汰には逆らう権利はない。
言われた通りに跪き、由奈のブーツの紐をほどいていく。
シュル、シュル、シュル……シュポ。
ブーツを脱がすと、透き通った黒いパンストに包まれた脚が露になった。
「ふふ、涼しいわ」
爪先を曲げ伸ばししながら、由奈はくつろぐ様に目を閉じ、
「ブーツで蒸れたから酷い臭いと思うけど……ほら」
躊躇なく佳那汰の鼻に押し当てた。
むわぁ……。
(あぁぁぁぁぁ!)
絶対的な主人であるご主人様の匂い。
たまらない。
甘ったるい蜜を焦がしたような匂いはいつまでも吸いたくなる。
湿った爪先は鼻に吸い付くようで、佳那汰が呼吸するたびに鼻孔を支配する。
「もっと嗅ぎたい?」
佳那汰の返事を待たずに、パンストを履いたままの足裏を向けてきた。
「じゃ、舐めて」
それは由奈の足の甲であり、つま先だ。
年下の女の子の……しかも、洗ってもない足を舐めさせられる。
これが由奈でなければ絶対に断っていただろう。
「は……はぃ……」
佳那汰は恐る恐る舌を出し、突き出された足をゆっくりと持ち上げ、爪先を口に含んだ。
ピチャ、ピチャ、ピチャ……。
丁寧に、そして懸命に奉仕する。
口の中に広がる甘い香りに酔いそうになりながら、舌で味わうように唾液を塗していく。
「ふふ、可愛い子ね。それにしても、よく足なんて舐められるわねぇ。女の足なら誰でも舐めるのかしら?」
「由奈様のおみ足だけでふぅ」
「その言葉忘れちゃダメよ?」
由奈は優しく微笑むと、佳那汰の頭を撫でながら、もう片方の手でリードを引いた。
「んんん!!」
佳那汰の顔が由奈の足に埋もれ、爪先が喉の奥に突き刺さり、息苦しさに涙目になる。
「苦しい? でも、気持ちいいんでしょ?」
由奈はリードを引き、佳那汰をさらに自分の足へと押し付ける。
「んんんんんん!!!」
「いい顔よ。ほら、私の足をしっかり味わいなさい。この変態犬」
由奈は佳那汰を罵倒すると、さらにリードを強く引いた。
「んんんん!!!」
佳那汰は苦しみながらも、抵抗することなく受け入れていた。
リードが引かれれば引かれるほど、由奈の足の裏で踏み潰されている感覚が増していき、快楽となって身体を蝕み、悦びで震えてしまう。
「このドM!」
罵られる度に身体が反応してしまう。
「あぁ、あぁぁぁ!」
身体が熱くなり、股間に血が集まっていく。
ギチギチギチ!
「何勝手に興奮してんのよ! 足舐めて興奮してしまうなんて、救い様のないマゾね!」
興奮した由奈の声とともに貞操帯ごしに重圧がかかる。
「はぁぁぁぁん!!」
佳那汰は快感に喘ぎ声を漏らしてしまう。
パンストのスベスベした感触はほんの少しですら気持ちよすぎた。
「あら、もう我慢できないのね」
由奈はクスリと笑うと、佳那汰の股間を爪先で軽くつついた。
「あひぃ!?」
「くすくす。こんなに勃起させて……可哀想なくらい貞操帯が膨らんでるじゃない」
「あぁぁ……うぅぅ……」
由奈の言う通りだった。
貞操帯の中でチンポは痛々しいほどに膨れ上がっている。
あまりの大きさのせいで肉が食い込み、血管が浮き出てしまっている。
「外して欲しい?」
「お願いします……これ、はずしてぇ……」
「何をしてほしいの?」
「由奈さまの前でオナニーさせてぇくださぃぃぃ」
「ちゃんとおねだりできたわね。偉いわ」
由奈はそう言って佳那汰の頬を撫でると、
「じゃ、約束通りに外してあげるわ」
由奈はポケットから貞操帯の鍵を取り出したが、
「あら、手が滑ったわ」
由奈はわざとらしく呟くと、佳那汰の貞操帯の鍵をさっきまで履いていたブーツの中へと落としてしまう。
「あ、あ、あぁぁぁ」
「あらあら、何してるの? 佳那汰は犬なんだから、拾わなきゃダメよね? 口で」
その言葉に、佳那汰は由奈がわざとブーツの中へと鍵を落としたのだと理解した。
(拒否したら射精できない。それにあんなにいい足の匂いなんだから、ブーツの匂いだって最高のはず!)
佳那汰は自分を見下ろしながら、嗜虐的な喜びに頬を染める由奈を見てから、ブーツの履き口に顔を押し付けた。