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異無
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魔王に堕とされて8


 ミシ、ミシ、ミシ。

 

「うぶぅぅぅぅ!」

 

 俺は真っ暗な湿った空間にいた。

 

 手足の感覚はなく、身動き一つ出来ない。

 

「どうかしら? 『中敷き』になった感想は?」

 

 遥か高みからエリスの楽しそうな声が響く。

 

 そう、エリスに屈服した俺は気絶している間に精神をエリスの中敷きに移されていたのだ。

 

 エリス曰く、一時的なものらしいが、五感もあり、本来は動物に移して戦場を偵察したりする魔法なのだが……。

 

(ぁぁぁぁぁぁ!)

 

 全身が軋む。

 

 エリスの全重みが身体――中敷き

にかかっているのだ。

 

 逃げようにも一ミリも動けない。

 

 と言うよりも手足がないので、逃げようもない。

 

 足の裏がぴったりと密着し、まるで一体化してしまったかのようか錯覚すらある。

 

「奴隷どころか道具よね~。もうお前は物よ、物🖤」

 

 生き物扱いですらない最低の扱い。

 

「これから幹部会議なのよね。お前が命乞いした2000人の人間は解放してあげたけど、まだ懲りずに攻めてきたみたいだから」

 

 コツ、コツ、コツ。

 

 ムギュ、ムギュ、ムギュ。

 

 歩く度にエリスの足の裏が顔全体にキスを迫る様に密着した。

 

 もはや意識の外にすら置かれた俺は抵抗も発言も出来ない。

 

 口も鼻もないのだから。

 

 ただ中敷きとしてエリスを受け入れるしかないのだ。

 

 なのに……。

 

(気持ちいぃ!)

 

 エリスの足の裏が余すことなく身体を踏み、足汗を身体に刷り込んでくる。

 

 ムギュ。

 

(はぅん!)

 

 踵が無慈悲に股間の部分を踏んで痛みに悶えた。

 

 あの日。

 

 エリスに屈服してから、俺はエリスの足に欲情する身体になってしまったのだ。

 

 そのエリスの足が全身と同じサイズなのだから堪らない。

 

 ぎゅ。

 

「あ🖤」

 

 ムギュ。

 

「あん🖤」

 

 ぐり。

 

「はぁん🖤」

 

 エリスが歩くだけで感じてしまう。

 

 ヌルついた汗が全身に塗り込められ、淫靡な感触と匂いに気が狂いそうだ。

 

 ぎゅ、ぎゅ、ぎゅ、ぎゅ。

 

 何度も足が上がり、踏みおろされ、その度に顔に指が押し付けられるような錯覚を感じていた。

 

「あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ」

 

 快感を求めてレオは必死に腰をふる。

 

 じっとりと湿り、蒸れた靴の中ではエリスの足汗がどんどん滲み出し、爪先では汗がたまってレオは溺れそうになっていた。

 

(アハハハハ! バカな男ね。与えられるのは快感だけで、絶対にいけないのに!)

 

 今のレオはただの中敷きなのだ。

 

 踏まれている感覚も足汗で溺れている苦しさも本物ではない。

 

 そして、射精する身体もないのだから、その荒れ狂う快感を解放する手段は永遠にない。

 

 ぎゅむ!

 

(ああぁぁぁぁぁぁぁぁ!)

 

「アハハハハ! バカな男ね! 私の足にもう夢中じゃない! もうお前は私の足に一生服従しちゃうしかないわね~🖤」

 

 エリスは高笑いしながらグリグリとタバコを踏み消すように足を左右に捻る。

 

 それだけでレオは全身を踏み潰され、捻られる痛みを錯覚していた。

 

「ひゃぁぁぁぁん!」

 

 臭い、苦しい、重い、痛い!

 

 なのに――。

 

 気持ちぃぃぃぃ!

 

「ほらほらほら!」

 

 グリグリグリグリ!

 

「ふゃぅんんん🖤」

 

 無限の快感にレオの精神は限界を越えて灰になる。

 

 エリスは壊れていくレオを見下ろしながら高笑いしていた。

 

 さらに奴隷としてどうしてやろうかと楽しみにしながら――。

 

 

 

 

 

 

 

 


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