奴隷の競りが販売されると、会場はにわかに熱気に包まれた。
ジャラリ、と鎖の音がして舞台に引かれてきたのは屈強な体つきの青年だ。
「今回の商品、奴隷一号となります。年齢は19歳、身長175センチ、体重80キロ。肉体労働、騎乗用の家畜、性奴隷としてもご利用いただけます! まずは50からです!」
他の女性と同様に仮面をつけた女性がマイクで会場に響く声で売り込みを開始した。
「100」
「130」
「200」
「280!」
「280が出ました! それ以上の方はいらっしゃいますか?」
「…………」
「では、七番の女主人様が奴隷一号の落札者となります!」
カン、カン、とハンマーの音がして舞台に引き立てられていた奴隷は競り落とされた。
人間同士のはずなのに買われる者と売られる者。
支配する者とされる者。
そこには明確な立場がここではさらに浮き彫りになっていた。
「フフフ、競り落とした奴隷はもう使っていいのよね?」
「勿論でございます」
「ほら、奴隷。今日から私がお前のご主人様よ。ご挨拶しなさい!」
ガツ!
競り落とした女性は額が割れたのではと思うほどの勢いで足を振り下ろし、奴隷の頭を踏んで床に叩きつける。
「がふっ! あ、ありがとうございます。女主人様、これから一生お仕えさせていただける喜びを女神様に感謝いたします」
「フフフ、いい心がけね! ほら、御褒美よ! ぺっ!」
女性は服従の証とばかりに奴隷の顔へと唾を吐きかける。
男としての価値など、ここではペットなど比較にならないほど低いと思い知らされる。
いや、家畜ですら、競り落としていきなり虐待などしない。
道具だって買っていきなり傷をつけたりしないだろう。
一体、男とは……。
アグニは次々と競り落とされては、拷問され、辱しめられる男だった者達の姿を見せつけられながら、呆然とするのだった。
◆
「フフフ、これで男がいかに情けない下等で惨めな生き物か理解できたでしょ?」
競り落とされた男達が痛めつけられているのすら、お礼を叫ぶのを眺めながらリルは笑っていた。
アグニの表情を見れば、もう男の価値が彼の中でどうなったかなど想像するのは簡単だった。
幼い少年の思考を支配するなど簡単だ。
それは経験の為せる技であり、犠牲者の数が物語っていた。
(フフフ、隣国の王子を奴隷して言いなりになれば、いずれは私の支配域も広がるわ。より奴隷国家を広めましょう……。世界中の男が女性にひれ伏す奴隷世界を目指してね)
リルは自分の中生まれたて壮大な欲望に舌舐めずりした。
これを達成できれば、どれほど楽しいだろうかと嗜虐的な愉悦に頬を赤らめながら――。