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異無
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シュリンカーワールド3 足牢獄


「はい、これで洗礼の準備は完了よ」

 

 巨人こと天城美琴はテムズとアルトの姉弟を右と左の足指の間に挟み込むと、そのまま靴下を履き、ブーツを履く。

 

 美琴にとって、女の小人のアルトは一度この刑にしていたし、捕まえて何度も踏みつけていたから耐久力もわかっていた。

 

 一度、学校に履いていったこともあるのだ。

 

 持久走では美琴は何度も激しく踏んんだので、死んだかと思っていたが、意外と頑丈な小人であるアルトは生きていたのだった。

 

 しかし、かなり弱っていた姿と、逆に弱ったアルトが許しを乞う時の懇願の顔はゾクゾクと美琴を感じさせ、嗜虐を増す結果になってしまったが。

 

 その日はロッカーには行っていないからテムズがアルトがそんな目にあっていることなど知るよしもなかったが……。

 

 今回はそのテムズの耐久力を計るための洗礼でもある。

 

 アルトより年下のテムズがどれくらい頑丈かはわからないが、この洗礼は小人の心を折るには、楽でとても愉しいのだ。

 

 小人は自分がどれほどちっぽけな存在か嫌でも理解でき、大抵の小人の精神を屈服させる第一段階にもなる。

 

 もし、これで折れなくても、力の差は嫌でも思い知らされるから問題ない。

 

 実際、この洗礼と呼ばれる行為は美琴達以外の女子もやっているし、多くの小人が壊れてきた。

 

 中には物理的に潰れる小人も少なくない。

 

 ただ、小人の種族によって頑丈さは違う。

 

 だが、美琴は姉弟だし大丈夫程度に思って躊躇わずに洗礼を実行するのだった。

 

 もし潰れても一匹は残るからいいや、と軽い考えで。

 

「いってきま~す」

 

 カツン、とブーツを鳴らして立った。

 

 瞬間、テムズとアルトを捕らえていた足指から凄まじい重みが加わり、身体中が軋む。

 

「あぐぅぅぅぅぅ!」

 

「ぐぅぅぅぅ!」

 

「♪」

 

 立つ時に爪先に体重をかけた瞬間、足指をグニグニ、コリコリした感触が足指の付け根を刺激して気持ちいい。

 

 二匹の小人はそれぞれ、踏み心地が違う。

 

 テムズを履く右足からは痛みに身体をわずかに震わせたのもわかった。

 

 左足にいるアルトは必死に耐えているのだろう。だが、女らしい胸が潰れて足指をくすぐる感触は気分がいい。

 

 こうして立つだけで小人には耐え難い苦しみになるのだ。

 

 そして、小人が苦しむだけ、美琴たちを喜ばせる結果になるのだった。

 

(まぁ、耐えても無駄な努力なんだけど)

 

 美琴は内心な笑いを噛み殺しながら、身体を軽く揺らし、ゴリゴリと小人を骨を軋ませて、履き心地と足つぼを刺激できるのを確認すると、扉をあけた。

 

 ガチャ、と遠くで扉をあける音がテムズとアルトの耳に聞こえてきた。

 

 そのまま巨大な足が動き、歩きだしたのがわかる。

 

「うっ……くっ……うっ……」

 

 ブーツを履き、1日蒸れた汗と臭いを吸い込み、溜めた靴下内では規則正しく全身を押し潰す重圧、高まる熱気と密度をます臭気がテムズとアルトを責め苛んでいた。

 

 ヌルヌル。

 

 テムズを踏みつけている美琴の足指からは熱気に比例するように、ジワジワと汗が染みだしていた。

 

「うっうっ」

 

 ヌメッた足指が全身をまさぐるように踏みしだき、痛みとは違う妙な感覚を時折走らせてくる。

 

「うぶぅはぅ!」

 

 骨を軋ますような痛み、肺から無理やり空気を絞り出される痛み、それとは違う舐めるような愛撫がテムズの頭を変にさせていた。

 

「あ、あ、あ、あ」

 

 規則正しく足が下がれば足指は巨大なハンマーの様に全身をくまなく踏み潰し、足が上がると今度はその勢いで身体はわずかに揺らされ、ヌメッた足指が全身をまさぐる。

 

 それが延々と繰り返されるのだ。

 

 頭がおかしくなるのも当然だろう。

 

 ただ歩く行為が小人には拷問になるのだ。

 

「あああああああああああ」

 

 絶え間ない異常な空間と行為に悶えるテムズを嘲笑うかのように美琴の親指が顔を踏みつける。

 

「むぅぁぁぁぁ」

 

 叫んで開けていた口を塞ぐのはベットリと蒸れた足指。

 

 テムズのファーストキスは美琴によって無慈悲に、それも意識すらさせずに無惨に奪われた。

 

 普通なら吐き出していただろうが、異常な精神状態の上、凄まじい脱水症状で正常な判断ができなくなっていたテムズは舌先に指の腹が触れた瞬間、それを美味しいと感じていた。

 

 適度な塩気、意識を保たせてくれる苦味と納豆の様な発酵した激臭。

 

 それすら、命をつなぐ水分と理解できると、ありがたくすらあった。

 

 ん、じゅる、じゅる、じゅる。

 

 なにしろ、もしここで脱水症状で死んだりすれば、姉のアルトも殺される。

 

 だから、絶対に死ねない、とテムズはただそれを思って耐えていたのだ。

 

 美琴のブーツの中は美琴の足の熱気と染み付いた汗とで激臭が籠るサウナと化していたのだ。

 

 モワモワ、と湯気が立ち上る熱気でテムズが生きているのは、美琴の足から漂う凄まじい悪臭と染み出す汗のおかげだった。

 

 テムズは意識を無理やり保つため、痛みすら感じられた臭いを自ら嗅ぎ、意識を何度も起こしていた。

 

 脱水症状でも耐えれているのはこの汗を舐めているからだ。

 

 テムズが、死にかけているのは美琴の足のせいなのに、生きているのも美琴の足のおかげという奇妙な状況になっていた。


(僕は足にすら勝てないんだ。あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ)

 

 染み出す足汗を舐めながら、惨めさに涙を流すテムズ。

  

「う、う、うぅぅぅ」

 

 だが、その嗚咽すら遥か高みにいる美琴に届くことはなく、テムズを包み込む足指によってただ押し潰された呻き声に変わるのだった。

 

 

シュリンカーワールド3  足牢獄

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