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異無
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リクエスト:小悪魔メイドの再臨



 リルはハルトを国王として、影の支配者として君臨していた。

 

 宰相も教皇も裏ではリルの奴隷であり、この国でリルに逆らえる者など存在しない。

 

 だが、国民はハルトとリルの関係など知るはずがなかった。

 

 故に、リルは王妃として、ハルトは国王として外では振る舞わなければならない。

 

「興行は順調のようですね」

 

「はい、国王様。コロシアムは今日も満員です。はい」

 

 黒メガネを光らず奴隷商が揉み手をしながら、ハルトと話していた。

 

「…………」

 

 奴隷同士を戦わせるコロシアムの視察であり、今日のハルトはリルの奴隷ではなく、国王として振る舞わせていた。

 

(まったく、この私が奴隷のハルトと並んで歩かないいけないなんてね。ハルトと並んで歩くなんて、首輪を嵌めて四つん這いにして歩かすならまだしも、不愉快だわ)

 

 リルは退屈そうに肘掛けに頬杖をついてコロシアムを見下ろしていた。

 

 バカな愚民どもが騒いでいる。

 

 私が巨人ならここのクズども虫けらみたいに踏み潰しているわね。

 

 そんな楽しい想像に浸っていると、コロシアムの銅鑼が鳴り響き、一人の男が姿を見せた。

 

 リルの奴隷国家政策が進み、女の剣奴は廃止され、男だけが剣奴として見せ物にされているのだ。

 

 勿論、ここだけではなく、国家の風潮として女尊男卑を進めつつあるが、国民全員の意識が変わるにはかなりの時間がかかるだろう。

 

 それでも、リルにとっては楽しい遊びではあった。

 

 この国全てをメチャクチャにする遊びとして――。

 

「今回、ハルト様とリル様にご覧に入れますわ。このコロシアム無敗の最強の剣奴――ロキになります」

 

 奴隷商の言葉を適当に聞き流していたリルは唐突に顔を上げた。

 

「ロキ……ですって?」

 

「えぇ……七歳で剣奴としてデビューして連戦連勝無敗の奴隷です。今年で12才ほどですかね」

 

 奴隷商の言葉にリルは退屈げな表情から真剣な眼差しでコロシアムへ視線を向けた。

 

 伸びた鬣を生やした逞しい獅子と、剣と盾を身につけた少年が対峙している。

 

 銀色の髪と頬に大きな傷。

 

 成長して容姿は変わっているものの、かつての面影は残っていた。

 

(ロ……キ……)

 

 リルは胸を抑えてその名前を呟いた。

 

 忌まわしい奴隷の過去。

 

 腐った様な臭いと不衛生な空気。

 

 鋼鉄の檻に入れられ、凍える寒さの中、身を寄せあっていたのが、私と同じ奴隷のロキだった。

 

 少ない食事をわけあい、何日もの地獄を過ごした。

 

 私はあれから外に出て、メイドとして買われ、ロキがどうなったのかはわからなかった。

 

 メイド時代に調べたが、誰かに買われたことしか調べられなく、足取りは途絶えていたのに……。

 

 まさか、こんなところで会うなんて……。

 

 運命を感じずにいられなかった。

 

「ロキ……」

 

 心配する私に対し、愚民達は大盛り上がりで、ロキとライオンとの戦いを囃し立てている。

 

 ロキが殺されたりしたら、ここにいる全員処刑してやるわ。

 

 私は憎悪を燃やしながら、ロキを見つめていた。

 

 指の間接が白くなるほど強く握る中、ライオンが檻から放たれ――。

 

 ◆

 

「あの奴隷を買うわ! 値段はいくらでもいいわよ?」

 

 コロシアムの視察が終わり、応接室に入って開口一番に私は言い放った。

 

 ロキは正直かっこよかった。

 

 見た目もだが、あのライオンを圧倒して見せた姿は、まさに男だった。

 

 他の下僕どもとは違い初めて胸が熱くなった。

 

「い、いくら王妃様のご要望でもあの奴隷は……」

 

 私の言葉に奴隷商は困った顔になっているが、どうでもいい。

 

 この奴隷商の運命など知ったことではない。

 

 渋る奴隷商に対し、私はさっさとジョーカーを切ることにした。

 

「ハルト……ここ潰すと圧力をかけてでもあの奴隷を買って頂戴。これは命令よ」

 

 ハルトの耳元で他の人間には聞こえないように、そっと耳打ちする。

 

「は、はい。リル様……」

 

 私の声にジン、と身体を震わせたハルトは目を一瞬トロン、とさせたが、すぐに王としての仮面を被り、奴隷商に睨んだ。

 

「王族の命令だぞ? それとも、この興行を廃止にしたいのか? 言い値でよいと言っているのだから、はやくしろ。それとも、奴隷『商』の看板は偽りか?」

 

「は、はい! すぐに契約書にサインいたします!」

 

 さすが王の権限は絶大ね。

 

 本来の姿を見たら、ここにいる奴隷商や護衛も卒倒するのに……。

 

 私は無様に這いつくばり、足を舐めて歓声をあげているハルトの姿を思い出し笑みを浮かべていた。

 

「ハルト王は大変に王妃様思いであられますね」


「勿論だ。我が妻の願いを叶えるのは当然だろう?」

 

 ハルトにとって崇拝するリルの言葉は絶対だ。

 

(女神に等しきリル様を妻などと! あとで謝罪いたします。リル様)


 心の中で懺悔するハルトへ、奴隷商が契約書を用意する。

 

「こちらが所有権について書かれた契約書です」

 

「ふむ。では、王妃のサインでよかろう。欲しがったのは彼女だからな」

 

 外ですら、リル、などと呼び捨てするなど畏れ多いと思ってハルトは王妃と言葉を濁して、ペンを彼女に渡した。

 

「ありがとうございます。ハルト」

 

 偽りの笑みで羽ペンを受け取ったリルはロキの奴隷契約書にサラサラと自分の名前を書いた。

 

 同じ身分の、そして弟の様に可愛がり、苦楽を共にしてきたロキ。

 

 そして、あの幼かったロキはその幼さも残しながらも、逞しく成長していたのだ。

 

(ロキったら私に会ったらどんや顔をするかしらね)

 

 私はサインしながら、再会を描きながら、胸を高鳴らせるのだった。

 

 

「まさか、お前が売られるとはな……」

 

「俺も驚いてるよ。あの奴隷商が手放すとは」

 

 コロシアムの守衛とロキは檻越しに話していた。

 

 本来なら奴隷とこんな親しげに話すことなどないが、コロシアムの英雄であるロキは守衛達からも一目おかれていた。

 

 やはり、男は強さが尊重されるのだろう。

 

 密かにロキに戦い方のコツなど聞きにくる兵士もいたりするくらいなのだから。

 

「まぁ、達者でな」

 

「おう……」

 

 檻から出されたロキは暴れないように手枷と足枷つけられた状態で荷馬車へのせられる。

 

「また檻かよ」

 

 ため息をつくロキが辺りを見回しても、買い手らしき人間がいない。

 

 ただ、相当に身分が高いのは護衛の兵士と、彼らが守るように囲んでいる馬車を見れば、自分を買った人間の身分は想像できた。

 

 貴族……それも伯爵か公爵か。

 

 かなりの地位だろう。

 

 どんな人間か知らないが、俺みたいな人間を買うなんて物好きもいるとはな。

 

 戦うことしか能がないのだから、買い手などつかないのだ。

 

 飼い犬に噛み殺されたらかなわない、と多くの人間は強すぎる奴隷は買わない。

 

 まぁ、それを泣かせて楽しむ変態趣向の貴族も一定数いるらしいが……。

 

「どっちにしてもロクなもんじゃねぇな」

 

 そうぼやいて荷馬車に乗った俺は、自分の糞みたいな人生が大きく変わったのをこの時は知るよしもないのだった。

 

 ◆

 

「まじかよ……」

 

 荷馬車から降りて最初にロキが目にしたのは城だった。

 

 とてつもなく巨大な、この国で最も高貴な人間が住む場所。

 

 コロシアムからは見ることすらほとんどなかったが、誰でも知っている建造物。

 

 王国の象徴である城が目の前に聳え立っている。

 

 地位の高い人間が買ったとは思ったが、まさか王族が?

 

「こちらへ……」

 

「え……あ……」

 

 声の方を振り向くとメイドが数名並び、ロキを出迎えていた。

 

 とても奴隷を向かえる感じではない。

 

 別人と勘違いしてるんじゃないのか?

 

 現実が受け入れられないロキはメイドと鎧を来た騎士たちに連れられ、場内へと案内された。

 

 

「………………」

 

 顔を真っ赤にしたロキは、人生でありえないことだらけに目を閉じていた。

 

 これは夢じゃないか?

 

 もしかして、ライオンとの戦いで自分は死んでいて、これは死後の世界とかでは?

 

 それほどの状況だった。

 

 奴隷としての首輪も反抗しないよう拘束する手枷と足枷も外され、いい薫りのするお風呂へ入れられて、隅々まで洗われた後、触れたこともないフワフワのバスローブとやらを渡され、案内されたのはこれまた豪華な部屋だった。

 

 首輪がなければ奴隷とは区別できないだろう。

 

 それに手枷と足枷もなければ、ここの騎士を倒して逃げることも容易い。

 

 それに他人に身体を洗われるなど経験すらない。

 

 そもそもあんな高そうなお風呂見たこともないし。

 

 挙げ句に渡された服も、ロキの給金ではどれだけかかっても買えないんじゃないのか?

 

 部屋の調度品だって、一つ一つで奴隷が買えたりするのでは?

 

 ロキはソファに体重を預けて天井を見上げた。

 

 ずっしりと自分の体重を受け止めてくれるソファはなんて座り心地のいいことか。

 

 硬い床や藁の寝床など比べ物にならない。

 

 さすが王族と言ったところか。

 

 にしても……目的はなんだ?

 

 奴隷にする待遇ではないだろう。

 

 ロキは首を傾げながら、どうなるのか考えていると――。

 

 ガチャリと扉が開けられ、再びメイドが姿を見せた。

 

「王妃様がお呼びです」

 

「あ、はぁ」

 

 自分を買った相手とやっと御対面の様だ。

 

 どんな変わり者なのだろうと好奇心をもたげながら、ロキは案内しにきたメイドの後を付いていくのだった。

 

 ◆

 

「王妃様、つれて参りました」

 

「通しなさい」

 

 ギィと巨大な扉が開かれると、一人の女性が豪華な部屋に佇んでいる。

 

 ロキがさっきいた部屋も豪華と思ったが、比べるのが馬鹿馬鹿しいだろう豪華さだ。

 

 金のかけかたが違う。

 

 ベットも絨毯もソファも細かい装飾は金や銀細工で宝石も惜しげもなく使われている。

 

 王妃様の部屋ってとこか。

 

 ちょっと目がチカチカする景色だな。

 

 佇んでいる女性はドレスを着ていて、顔は大きな扇で隠している。

 

 下卑な奴隷には顔は合わさないってか。

 

「あなた達は下がってよいわ」

 

「はっ!」

 

 王妃の命令にメイドは素早く退出した。

 

 不用心だな。

 

 それとも、俺が歯向かわないと絶対の自信か?

 

 普通は初めて会う、しかも奴隷相手に一対一などありえないのに、王妃はそうした。

 

 暗殺者とか見張ってる気配もないし、扉越しに聞き耳を立ててそうな相手もいない。

 

 ただ、クローゼットの中に誰かいるが、明らかに素人だ。

 

 王妃も気づいている様子だし、特に盗み聞きの輩ではないのだろう。

 

「あんたが俺の買い手か……。物好きもいたもんだな。剣奴なんざ剣以外の能はないんだ」

 

「そうね。私もあなたじゃなければ、絶対に買わなかったわね」

 

 俺を知っている?

 

「まるで俺を知ってたみたいだな」

 

「知ってるわよ。あなたがコロシアムにいる前は第7市街の路地裏で育ったことも、棒切れで暴れ回って兵士を倒したことも……」

 

「そんな過去を知ってるなんて驚きだな。わざわざ調べたのか?」

 

「調べなくても知ってるわよ。だって――」

 

 王妃は扇をずらして俺の前に素顔を見せた。

 

 顔を見た瞬間に俺は昔の埋もれていた記憶が一気に溢れだした。

 

 あの掃き溜めのような地獄で唯一心を許せた、姉のように慕っていた少女の顔が。

 

 大人びで雰囲気も変わっても姉弟の様に一緒にいたからこそ、わかる。

 

 この王妃は――。

 

「リ……ル?」

 

「久しさぶりね、ロキ!」

 

 俺はありえない場所でありえない地位についたありえない少女と再会を果たしたのだった。

 

 ◆

 

(リル様があんな奴隷と親しげに……! しかも、ベットに……あぁ! あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!)

 

 クローゼットに監禁される様に押し込められ、耳と口をを塞がれ、二人の光景を目にするしかないハルトは、崇拝する女神が、今日買ったばかりの奴隷をベットに誘う光景に猿ぐつわが千切れるほど歯を食いしばっていた。

 

 握った手が掌に食い込み激痛が走るが、それすら忘れる嫉妬の炎で気が狂う。

 

 なんで。

 

 なぜ。

 

 どうして。

 

 リル様リル様リル様リル様リル様リル様リル様リル様リル様リル様リル様リル様リル様リル様リル様――!!

 

 ナンデ。

 

 ナンデ。

 

 ナンデ!!

 

 胃液が込み上げそうな苦しさに胸が潰れそうだった。

 

 ベットで抱き合う二人の、その行為に涙が流れてくる。

 

 そんなハルトなど気にも止めず、ロキとリルの二人は運命の再会を祝うが如く、仲睦まじい行為を夜通し続けるのだった。

 

 ◆

 

「フフフ、外の空気は美味しいかしら?」

 

 ロキを用意した部屋に送り届けた私はハルトをクローゼットから取り出して床に転がした。

 

「リサ様……なんで……」

 

「なんで? なんで私がロキとしたのかって?」

 

 私の言葉にハルトは憔悴と悲しみを浮かべた顔でコクコクと頷いた。

 

「なんで……リル様は僕の妻……なのに……」

 

 絞り出した言葉に私は眦を吊り上げた。

 

 この奴隷……それも連帯の足奴隷が私を妻……ですって?


 ドゴッ!

 

「がふっ!?」

 

 無意識に振り抜いたヒールが鳩尾にめり込み、ハルトを悶絶させる。

 

「お前、私が何って? よく聞こえなかったわ……」

 

 ゴリ、ゴリ、ゴリ。

 

 ヒールのピンヒールが肋骨と肋骨の間に食い込み、今にも心臓に突き刺さりそうだった。

 

「ねぇ? 下等なハルトの分際で何て言ったの? ちゃんとした身分を教えなさい?」

 

(あぁぁぁぁぁぁぁぁ! リル様が怒っている! いやぁぁぁぁ!)

 

 低くなった私の声に心の底から震え上がった。

 

 嫉妬から、ロキの優位に立ちたくて、あんな言葉を言ってしまったが、それが彼女の怒りに触れてしまったのだ。

 

 リルはヒールを履いた足を振り上げると、穴を空けるが如く、足をストンピングさせてきた。

 

 ドカ! ゴッ! ガスッ!

 

「私は! リル様の! 卑しい! 奴隷ですぅ!」

 

「ふんっ! わかってるじゃない。形容が足りないけど許してあげるわ」

 

 リル様のヒールが顔の側に振り下ろされた。

 

 純白のヒールがリル様の美しいおみ足をさらに高貴に輝かせている。

 

(リル様のお許しが出たんだ。感謝を……感謝を示さないと)

 

 洗脳され尽くしたハルトはリルに何時ものように感謝を示すべくにじりより、

 

 ペロ、チュ、ベロ、ピチャッ……。

 

 リルのヒールに舌を這わせ、爪先にキスを繰り返すハルトを腕を組みながら、侮蔑の眼差しで見下ろしていた。

 

「ふんっ! 身の程がわかった? お前は命令もなくても足を舐める様な変態なのよ? それが私に対して……畏れ多いにも程があるのよ!身の程を知りなさい! ペッ!」

 

「はわぁぁぁぁ! ありがとうございますぅ!」

 

 ダメだった。

 

 リルの蔑みの視線も、罵声も、唾すら全てが心地よくハルトの心を震わせてしまう。

 

 リルの言葉がなければ生きることがハルトにとって、崇敬するリルに捨てられることが最も恐ろしいのだ。

 

 嫉妬の炎すら、リルから与えられる刺激の前では容易く踏み消されてしまうのだった。

 

「フフフ、お前の様な変態はこうやって惨めな姿を晒してればいいのよ! 地位しか価値のない変態負け犬マゾ国王!」

 

 自尊心全てを否定する言葉すら、リルの言葉だと快感のトリガーになってしまう。

 

 ビクン! ビクン!

 

「なんの価値のないマゾチ●ポ、ビクつかせて……。本当に哀れだわ。自分の下等さがわかったかしら?」

 

 私はヒールを脱ぐと、じっとりと蒸れた足で顔を踏みつけてやる。

 

 瞬間、ハルトの顔が恍惚と蕩け、鼻の穴が大きく膨らんでいた。

 

 スー、スー、スー!!

 

「ハハ! なんて情けない姿なのかしら! 気持ち悪い変態ね! ほら、もっとしっかり消臭なさい! ロキに私の足が臭いなんて思われたら殺すわよ!」

 

 リルは高笑いしながら乱暴に顔を踏みにじった。

 

 皮膚が歪み、痛いのにハルトは快感で身体がますます熱くなる。

 

「フフフ、もう私の足の臭いがないといきていけないみたいね。ほら、止めをさしてやるわ」

 

 私はゆっくりと体重をかけ、ハルトの顔を潰す。

 

 ギシギシと頭蓋骨が軋み、顔が真っ赤に染まっていた。

 

 にもかかわらず、ハルトは狂ったように私の蒸れた足の臭いを貪り、狂った様にチ●コを震わせている。

 

 フフフ、もう限界よね。

 

 もうお前の身体は私の意思一つで射精もさせれるのよ。

 

 思い知りなさい……。

 

 私はスッと目を細め、ハルトの目を見つめる。

 

 慈悲を乞うように潤んだ瞳はまるで殺さないで、と訴える罪人の様だ。

 

 勿論、許さないわ。

 

 お前の意思なんて関係ないんだから……。

 

「ほら、い・け🖤」

 

 私は声に出さず口だけ動かして命令してやった。

 

 それだけで、ハルトのペ●スは大きく天を向き――。

 

 ビュビュビュビュルルル!

 

「あぁぁぁぁぁ!」

 

 足の下で奴隷の悲鳴が響き、ハルトは狂った様に射精した。

 

 白い粘り気のある精液が床を汚す。

 

「フフフ、所詮お前は私の足にも叶わないのよ。これから、またロキに会うからお前の鼻で消臭させてあげたわ。どう? 嬉しい? 悔しい? 勿論、嬉しいわよね? 私の役に立てて! アッハハハハ!」

 

 絶望と快感でヒクヒクと震えたハルトの顔をとどめとばかりに踏みにじった私はそのまま部屋を後にした。

 

 愛しのロキの待つ部屋へと向かうため――。

 

 

 ロキがリルと再会して数日が過ぎた。

 

 ある夜――。

 

 「あぁ、リル様! リル様! リル様!」

 

 真っ赤な絨毯がひかれた床に縛り上げられ、芋虫の様に転がされたハルトは何度もリルの名を叫びながら、顔にくくりつけられたヒールの匂いを嗅いでいた。

 

 ロキと再会して何度も身体を重ねたリルはロキに今までの経緯を話し、国王であるハルトの本性を見せつけていた。

 

「ふぅん、そんなことがあったのか。これは色んな意味で衝撃だわ」

 

 ロキは目の前でよがり狂うハルトを見下ろしながら軽蔑の笑みを浮かべていた。

 

 国中の忌々しい貴族の頂点の成れの果てがこれとは、笑えたのだ。

 

「えぇ、あの時のハルトの表情は忘れられないわ。あれほどまでに優越感に浸れたことはないものね」

 

「そうか、それはよかったな。俺もリルが楽しかったならそれでいい。貴族たちが酷い目にあうのは爽快感しかないしな」

 

「フフ、ロキってば優しいのね」

 

 ロキとリルはハルトを見下ろしながら、玉座で抱き合っていた。

 

 本来はハルトしか座ることの許されない椅子にどっかりと座るロキの膝にリルが座り、その首に腕を回して見つめあっている。

 

 その足元でハルトは嫉妬と絶望に顔を歪ませながら、その光景を見せつけられていた。

 

「ねぇ、ロキ……」

 

 リルは欲情に燃えた瞳でロキを見つめ、胸に顔をこすりつけてくる。

 

 フワッと甘い香りが鼻孔をくすぐり、胸が落ち着く。

 

「なんだ? 甘えん坊さんなのか?」

 

「フフ、違うわ。ただ、こうしてたい気分なのよ。ダメ?」

 

「ダメじゃないさ。好きなだけくっついてろよ」

 

「うん」

 

 仲睦まじく愛を囁く二人にハルトは胸が押し潰される苦しみに襲われた。

 

 まさかリルが貴族ではなく、奴隷であり、貴族家を簒奪した罪人だったなんて――。

 

 それが今や王妃なのだ。

 

 だが、手遅れだった。

 

 それを叫んだところで、誰ももうハルトの言葉に耳は貸さないだろうし、ハルト自身がリルなしでは生きていけない。

 

「……ねぇ、ロキ」

 

「ん?」

 

「私、貴方のこと好きよ」

 

「知ってる」

 

「本当よ。嘘だと思うの?」

 

「まさか」

 

「じゃあ、証明してあげるわ。ほら、こっち向いて」

 

「ああ」

 

 リルに言われるまま振り向くと、唇に柔らかいものが触れた。

 

「――――!?」

 

 見たくもない光景にハルトの目からボロボロと涙が流れ、絨毯を汚すが、それを尻目にリルはますますロキの唇を貪った。

 

 それに答えるようにロキもリルと唇を重ねる。

 

「幸せね」

 

「俺もだ」

 

「これからはロキと私がこの国を支配してやるの」

 

「あぁ、クソったれの貴族どもを顎で使えるなんて楽しみだな」

 

 ロキとリルは玉座から立ち上がると腕を組ながら、ハルトの側まで歩みより――。


「これからもよろしくね(な♪ 奴隷の国王様♪」

 

 同時に二人の足が踏み下ろされ、ハルトの顔を踏み潰したのだった。

 

 この国そのものの未来を踏み潰す様に――。

 

 

リクエスト:小悪魔メイドの再臨

Comments

コメントありがとうございます! いろいろな構図とかありましたが、その一つをリクエストでいただけたので、作品化できました! 心配していただいてありがとうございます。 体調のほうも気をつけて作品のアップのほうも滞らない様にしていきたいです! ぜひ、これからも応援していただければ幸いです

異無

ロキさんとリル様幸せそうで良かった♪ ハルトさんは、もうこれすらご褒美なんでしょうね、 これからこの国がどうなるのかとっても気になります! 愚民の一部を小さくして、リル様が蹂躙とかも楽しそう! (ロキ&ハルトさんの前で、とかw) ここ最近寒くなってきましたので異無さんも どうかご自愛ください! 微力ながら応援しております~!

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