(28) ――夏物を買うために、母さんと一緒に通販カタログを見ていた時のこと。 「ふふっ、やっぱり夏は水着よね。せっかくだから、2着買ってあげる。ワンピース型とビキニ型、どっちも着たいでしょう?」 「う……うん」 カタログに並ぶ可愛い女児服――それを自分が着て泳ぐことを想像して、スカートの中で勃起しそうになるのをこらえつつも、誘惑に逆らうことはできない。 淡い黄色のギンガムチェックに、イチゴがプリントされたワンピース水着。同じタイプの水着には、腰回りにスカートがついているものも多かったけど、あえてついてないこれを選んだのは、柄が子供っぽくて可愛いからというのもあったけど――股間が見えていた方が恥ずかしそう、という理由だった。 そしてもう一枚は、黒と紫のビキニ水着。こちらは逆に、背伸びしている女の子感がいろいろとアンバランスで恥ずかしい。なにより――これで外を泳いだら、恥ずかしい日焼け跡が残ることだろう。 そんな思惑で水着を選んだところでようやく終わり――と、思っていたら。 「あら、そういえばこれもあったわね」 ページをめくったところで、母さんがまた声を上げた。 水着の次――カタログの末尾にあったのは、浴衣・甚平の特集ページだった。こちらも一応男児用の甚平はあるけれど、やはり女の子用の浴衣が多い。 黄色や水色などのパステルカラー、あるいは黒や紺に花柄や金魚柄など。いかにも女の子らしいそのデザインは、水着やれおだーどほどの露出はないけれど――見ていると、ドキドキしてくる。しかも今どきらしく、襟にレースがあしらわれているものもあった。 これを着て、夏祭りに行ったら―― 早くもそんな想像に胸躍らせ始めたぼくに、母さんはくすくすと笑っていたけど、 「浴衣なら、こっちもいいわね」 何気なくめくった次のページに、またぼくの目が吸い寄せられる。 浴衣のような、しかし腰から下はふんわりと広がるスカートになっている浴衣ドレス。今までも、夏物の子供服カタログで何度か見たことがあるから知っていた。 「ふふっ、裕ちゃんのことだから、こっちの方を着てみたかったんじゃない?」 これを中学生のぼくが着て、たくさんの人がいるお祭りに行く―― 恥ずかしい想像にこみあげる劣情。しかし母さんの言うとおり、前々からカタログで見て、着て見たかった服なのだ。断るという選択肢はなく、 「う、うん……こっちのほうが、いい……」 ぼくはうなずいて、カタログの最後のページに掲載されている浴衣ドレスの中から一着を選び―― 「これでよし、と。ふふっ、なかなかいいじゃない」 「そ、そう? やっぱりちょっと、小さくない……?」 背後の母さんに浴衣ドレスを着せてもらったぼくは、目の前の鏡に映る自分の姿を見つめ、ドキドキと高鳴る胸元を押さえた。 ピンクと白のストライプに、花柄のプリントされた浴衣ドレス。腰までの短い浴衣のような上着と、大きく広がる三段ティアードスカート、アンダーバストからウエストにかけて結んだ帯のセットだ。襟と袖口、スカートのフリルの裾にはレースがついていて、浴衣よりもいっそう幼く、女の子らしく、華やかなデザインになっている。 デザインだけではなくて、着心地も独特だ。襟元はぴったりと合わせられ、しっかり結ばれた帯がウエストを締め付ける。腕から垂れさがる袖はちょっと動くだけでも揺れて、スカートは大きく広がって、内側にはインナースカート――パニエを入れているため、太ももの上半分にはたっぷりとしたフリルとレースが当たるのに、下半分は丸出しで、頼りないことこの上なかった。 着ているだけでむずむずしてくる。今までもいろいろな女児服や女子制服を着て、同じ感覚を味わってきたけど、この浴衣ドレスは格段だ。 なのにどうして、ぼくがこんな格好をしているかと言えば―― 「ぼく、本当にこの格好で、お祭りに……?」 既に夏休みに突入し、8月も半ば近くなった今夜、近くにある神社で開かれる夏祭り。狭い境内に夜店の屋台が並ぶだけの、ほんとに小さなお祭りに、日奈ちゃんや月乃ちゃんと一緒に出掛けることになったのだ。 なんだけど――今はまだ、朝の8時。まだまだお祭りに行くには時間がある。 「ね、ねぇ、母さん。汚したら大変だし、夜のお祭りの時に着替えるから、昼間は普通の格好でいた方が良いんじゃないかな……?」 「気をつければ大丈夫よ。せっかくなんだし、ずっと浴衣ドレスでいたいでしょ?」 「そ、それは着ていたいけど、でも――」 浴衣ドレスの着心地をずっと味わっていて、果たしてオナニーせずに我慢せずにいられるだろうか――そんな不安は、口に出すことはできずに黙り込む。 「ふふっ……そうそう裕ちゃん、浴衣を着るときのルール、ちゃんと守らないとね」 「ルール?」 「ええ。浴衣って、実はもともとが下着なの。つまり、浴衣の下に下着を着るのはおかしいから――」 そういえばそんな話を聞いたことが――はっと気づいた時には、背後から伸びた母さんの手が、ぼくの浴衣ドレスのスカートの中に入り込んでいた。直後、下に穿いていた女児用ショーツが膝までずり下されて、 「ひゃっ!? な、なにするの、母さん!?」 「浴衣は下着なしで着るのがマナーってことよ。着せてあげるときはさすがに恥ずかしいと思って着せてあげたけど、ちゃんと着つけも終わったんだから、マナー通りにパンツなしで着なさいね」 「そ、そんなぁ……」 情けない声を出すけど、母さんの手はショーツを足首まで引き下ろし、強引に足を上げさせて脱がせてしまう。うぅっ、ただでさえ恥ずかしいスカートの内側――パニエのつるつるが直接おちんちんに当たって、ますます落ち着かない。なにより、ちょっとでも油断すると勃起しそうになってしまう。 こんなんじゃ、ますますオナニーしたくなっちゃう……ぐっと唇を引き結んでいると、 「ふふっ、昼間はちゃんと我慢しなさいね、裕ちゃん。匂いでバレたら大変だから、ね」 「う……は、はい……」 母さんの言葉、その意味するところを理解したぼくは、真っ赤な顔でうつむいて、うなずくことしかできなかった。 (続く)
十月兔
2021-08-05 07:49:38 +0000 UTCelli-kasuga
2021-08-05 07:27:00 +0000 UTC