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「変態女装子メイカー」(9)

命令2.変態女装子マミは女子制服で入学する   (4)  舞台の上に立ち、体育館を埋め尽くすほどの人に見られながら話すのは、カンペがあるとはいえ緊張するものである。  まして女子校に男一人――ハーレム状態に心を躍らせる男子もいるかもしれないが、あいにくマミにそんな度胸はない。羊の群れにを渉猟する狼ではなく、狼の群れに投げ込まれた羊のような気分である。しかも、いまにも下着が見えそうなミニスカートの女子制服を着せられ、「変態女装子」として挨拶しなければならないのだから、 (なんかもう、悪い夢としか思えない……!)  震えそうになる膝をこらえ、マミは前方に掲げたカンペを読み始める。 「みなさん、初めまして。本年度、特待生として入学させていただいた、へ、変態女装子、マミ、です……」  マイク越しの声が、体育館に響く。  壇上にいるマミの耳に届くほどの声は上がらなかったが、それでも低いざわめきが起こり、左右で見かわす生徒の姿も多かった。 (変態女装子?) (女装子ってことは男子?) (男子なのにあんな短いスカート穿いてるなんて) (パンチラしたいのよ。変態なんだもの)  そんな悪意と嘲笑に満ちたささやきが、聞こえてきそうなほどだった。 (ううっ、あのアプリ、いくら何でもやりすぎだろ……本当にこれ、初級モードなのか……?) (でも、ペナルティでモードが切り替わったって表示は出てなかったし……これでも初級なんだとすると、上級はどれだけひどいことになっちゃうんだろう……)  密かに考えつつ、続けて文章を読み上げてゆく。 「ほ、本来なら男子のマミは、女子校に、入学することはできません。ですが、『変態女装子』特待生として、入学させてもらうことができました。これからの高校生活で、『変態女装子』にふさわしい行動を心掛けて、頑張ります――」  狂気じみた「挨拶」は、本来であれば即座に壇上から引きずり降ろされそうなものだったが、教師も、生徒も、誰も止めようとしない。常軌を逸した言葉に真面目な顔で聞き入っているその光景は、もはや宗教じみていた。 「へ、変態女装子として生活するために、ま、マミは、次のことをお約束します――」  カンペの文章が不穏になるのを感じながらも、マミはそれを読むしかない。 「制服のスカートは、股下3センチより短いものしか着用しません。また、す、透けブラを隠さないように、夏服でもベストや、カーディガンなどは着用しません。そ、そして、他の生徒や先生からのお求めがあれば、よ、喜んでスカートをめくって、パンティーをお見せすることをお約束します。ぱ、パンティーだけではなく、お、おちんちんや、おしりも、喜んでお見せいたします……」 「……………………」  「下着」でも「ショーツ」でもない、「パンティー」という表現に、マミはいよいよ自分が変態になっていく感覚を覚える。  しかし――「変態女装子」としての約束は、さらに過激になってゆく。 「あ、朝は校門の前でスカートをめくって、登校する皆様に、マミのショーツを見ていただきます。また体育では、クラスメイトからリクエストされた衣装を着て授業を受けます。放課後は、め、メイド服を着て、校内の清掃を行いますが、その際に皆様のご希望があれば、どんなご奉仕でも致します」 (オレ、これから、こんな高校生活を――?)  想像が脳裏を駆け巡る。  朝一番に校門前でみずからスカートをめくり、登校する女子高生たちに下着のふくらみを見られる自分の姿。 (学校の女子生徒に冷やかされたり、ショーツどころかおちんちんを見せるように要求されたりして……)  また、クラスメイトからリクエストされた衣装で体育の授業を受ける、自分の姿。 (絶対、普通の体操着じゃないんだろうな。ブルマーとかレオタード、スクール水着なんか――) (いや、それならまだいいほうかもしれない。スカートやワンピースで、下着や、へたしたらおちんちんを見せながら体操することになるのかも――)  さらにまた、放課後にメイド服に着替えて、校内の掃除をする自分の姿。 (掃除だけならまだしも、メイド服を着るなんて――そのメイド服だって、普通の長いスカートの奴ならいいけど、短いスカートだったり、メイドビキニだったりするのかも――) (しかも皆様にご奉仕って、いったい何をさせられちゃうんだ……)  「変態女装子」としての学校生活――膨らむ妄想に、マミが勃起しないわけがない。 「うっ……」  ショーツの中のものも膨らんで、早くも皮の剝けた亀頭が裏地にこすれ、マミは低いうめき声をあげる。こっそり見下ろすと、スカートの前側が隠しようもないほど膨らんで、勃起しているのが丸わかりになっていた。 (や、やばっ……こんなところで、勃起したら……!)  壇上にあるのはマイクだけ。両手でカンペを持っているため股間を隠すすべもなく、 (み、見られてる……! スカートの中で勃起しちゃってるの、体育館にいる人全員に見られてる……!)  ひそひそと、舞台下のざわめきが大きくなる。 「ねぇ、あの子、あんな挨拶しながら、勃起しちゃってる……」 「うわぁ、本当に変態女装子なんだねー」 「あんな変態女装子を見られるなんて、同じクラスの子、羨ましいなぁ……」 「くすくすっ、でも放課後なら、なんでも奉仕してくれるんだって。なにさせよっか」  そんなささやきは、今度は切れ切れにマミの耳に届いてくるほどだった。 (も、もう、こうなったら、最後まで、ちゃんと読まないと――)  壇上から降りるには、それしかない。  マミは覚悟を決めてカンペの続き――いよいよ終わりに差し掛かった部分を見て、 「え……」  凍り付いた。  その、内容は―― 「さ、最後に、へ、『変態女装子』としての、誓いを立てる、意味も込めて――皆様の、目の前で、お、オナニーさせていただきたいと、思います……」  マミの震える声が、殷々と体育館に響き渡った。   (続く)


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