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「思い出のワンピース」(34)

「思い出のワンピース」   エピローグ  5年前にアメリカへの長期出張が始まってから、年に1度、12月24日に我が家に帰るのが、雪田康介のスケジュールとなっていた。 「ただいま、千代子」 「おかえりなさい、あなた」  およそ1年ぶりの我が家と、出迎えた妻の笑顔に、康介はほっと表情を緩めた。  そして、その隣―― 「博希も、ただいま」 「お……おかえりなさい、パパ」  出迎えに玄関に出ていた「娘」の姿に、康介は眼鏡の奥の目を細める。  赤と白を基調に、緑のリボンをあしらったサンタクロース風ワンピース。丈はかなり短く、白いタイツに包まれた太ももが付け根近くまで露出している。 「ははっ、これはまた、ずいぶん可愛らしいサンタさんのお出迎えだな。元気にしてたか?」 「うん。パパも元気そうで、よかった」 「ああ。大きく――はあまりなってないが、すっかり可愛くなったな」 「あ、ありがとう、パパ」  恥じらいながらも笑顔でうなずく息子に、康介は心の底から安堵していた。  息子があまり自分の意志、欲望というものを持っていないのは、康介もうすうす感づいてはいた。同僚たちに「出張から帰るたび子供にたくさんのお土産をねだられている、あいつらは俺より土産の方が楽しみなんだ」なんて愚痴を聞かされているのに対して、康介には息子からおねだりされた記憶すらないのだ。羨ましがる同僚たちに対して、逆に妬ましささえ覚えてしまうほどであった。  しかし最近になって、博希も自分の「楽しみ」を見つけたらしい。国際電話で知らせてきた妻の声も、嬉しそうに弾んでいた。女装、それも「女の子の服を着るのが楽しい」というのは予想外であったが、送られてきた写真はどれも可愛らしく――康介にとっては、遅めの娘ができたような気分である。  そして、今回は―― 「さぁ、クリスマスプレゼントだぞ――って、サンタさんに言うのも、変な話だな」  リビングに場所を移し、用意されたパーティーもたけなわといったところで、康介はかねて用意のプレゼントを取り出した。クリスマスらしいラッピングが施された、一抱えほどもある箱。 「わぁっ、ありがとう、パパ! 開けて見てもいい?」 「ああ、ぜひ見てくれ」  瞳を輝かせながら、プレゼントを開ける「娘」。包装を解き、箱を開いた瞬間、その顔が喜びに満ち溢れる。 「か、可愛い……! ありがとう、パパ!」 「どういたしまして。気に入ってくれたかな?」 「もちろん! とっても嬉しい……!」 「ふふ、よかったわね、ヒロちゃん」 「うん! さ、さっそく着てみてもいいかな?」 「ああ。ぜひ着たところを、パパに見せてくれ」 「はーい!」  箱を抱えて、いそいそと2階に上がる「娘」。  その後ろ姿を見送って、 「ははっ、博希のやつ、ずいぶん笑うようになってくれたな。あんなに嬉しそうなところは、初めて――そうだ、初めて、見た……」 「ふふ、そうね。それに――そんなに嬉しそうなあなたも、初めて見たわ」 「お、そうか。子供に喜んでもらえるっていうのは、こんなに嬉しいものだったんだな……」  康介は眼鏡を外し、少し目元をこする。  そこへ―― 「パパ! ママ! ど、どう……かな?」  下りてきた博希が着ていたのは――アメリカのベビープレイで使われるフリフリドレス、いわゆる「Sissy」系の衣装であった。  目にも眩しい、淡いピンクのサテン生地。襟元にも、パフスリーブの袖口にも、そしてもちろんスカートにも、たっぷりとフリルとレースが重なって波打っている。丈は股下どころか股上数センチで、太ももの付け根の間からは、オーバーパンツの逆三角形がチラリと覗いていた。  腕には白いレースのグローブ、脚には同じく白いレースのストッキングをホックで留め、足元は15センチものヒールがついたピンクのエナメルシューズ。  そんなフリフリドレス姿の息子に、両親は―― 「おお、可愛いじゃないか」 「うんうん。似合ってるわよ、ヒロちゃん」 「そう? あ、ありがとう、パパ、ママ……」  博希は赤い顔で、にっこりと笑い、 「じゃ、じゃあ、このカギは、パパとママが、持っててちょうだい」  そう言って、小さなカギを1つずつ、両親に手渡した。 「ふふ、これがなければ、ヒロちゃんはずっと、そのお洋服を着たままね」  母の言葉に、博希は小さくうなずく。  彼のシューズの足首には、鍵がなければ脱ぐことができないよう、南京錠が取り付けられていた。足首だけではない。南京錠はドレスの襟足のところにも取り付けられていて、鍵の持ち主の許しがない限り、ずっとこのドレスを着ていなければならない構造になっているのだった。  そして両親に渡したのが、その、ドレスとシューズの鍵であった。 「す、すごい、ドキドキするっ……!」  自分では脱げない。その緊張感に、博希はますます昂奮しているようだった。密かに貞操帯を着用していなければ、間違いなく勃起していたことだろう。  千代子はポンと手を叩いて、 「ふふ、それじゃあ、せっかくかわいいドレスを着ているんだし、ヒロちゃんには、パーティーのお手伝いをお願いしようかしら。ちゃんとお手伝いしないと、鍵を返してあげないからね?」 「う、うん! わかった!」  オーバーパンツが見えるほど丈の短いふりふりドレスを着て、ハイヒールを履いたまま、母親の手伝い――キッチンとダイニングを何往復もして、料理や飲み物を出したり、お皿を下げたりすることになるのだろう。もしかしたら、足りないものを買いに行かされたりもするかもしれない――想像するだけで、オーバーパンツの中が疼いてきてしまう。  康介はワインを飲みつつ、すっかり可愛らしくなった息子の姿に目を細めて、 「なら、パパはアルバムを見せてもらおうかな。画像は送ってもらったけど、やっぱり現物が見たいからな」 「うんっ。はい、どうぞ」  アルバムを受け取って、康介は表紙をめくる。  水色のワンピースを筆頭に、たくさんの女児服を着せられては撮影されてきたアルバム。どれもこれも、博希は嬉しそうに――あるいは恥ずかしそうに笑っていた。  半ば足らずのところで、アルバムは終わっていた。  しかし康介は、その先にある空白のシートを眺めて、 「これからも、アルバムを埋めていこうな、博希」 「……うん」  父の言葉に、博希は赤い顔でにっこりと笑い、力強くうなずいたのだった。   (おわり)

Comments

おつありです! 本人にも女児女装への興味があるキャラは少し迷ったのですが、感情移入しやすいと言っていただけて嬉しいです! 今後とも、喜んでいただけるような作品を目指して精進していきます!

十月兔

完結おつかれさまでした👏やっぱり本人がカワイイ+恥ずかしいの好きというのは感情移入しやすいですね👌 さらに、まわりもその願望を見透かしながら積極的に着せたり辱めたりしてくれ🌟衣装も定番のものからバレエやキッズドレスまで豊富で🎀さらにその衣装に合わせた各シーンでの濃厚なプレイ💕まさに夢のシチュエーションでした✨


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