連載小説「やりなおし」(51)
Added 2020-09-25 10:50:40 +0000 UTC2-1.露見 (6) 外からは、祐奈と千絵が話をしながら大部屋に歩いてゆくのが聞こえる。 女子小学生2人がおもらしもせず、普通に説明を受ける中で、ひとり濡らしてしまったおむつを交換するのは、なんとも惨めな気分だった。 「はぁー……」 バッグから、おむつ交換4点セット――おむつ交換マット、おしりふき、ベビーパウダー、そして替えのおむつを取り出して床に並べつつ、歩実は深々と溜息をついた。 落ち込んでいるのは、おもらしのせいばかりではない。 先ほどの恭子への対応。いくら恥ずかしかったとはいえ、言下に断ってしてしまったのは痛恨のミスであった。 (あそこまで行ってくれたんだから、恥をさらしてでもおむつを替えてもらって、それで、仲直りを――) (いや、そんなにうまくいくとも限らないか。恭子がぼくと仲直りしたがってるとは限らないんだし) (何よりも――これを見られたら、それこそ失望されちゃうかもしれない) 歩実はスカートを両手で大きくめくりあげて女児用紙おむつを露出させると、おむつ交換マットの上に座り込む。お尻の下に敷きこまれた厚い吸水パッドの座り心地に嫌な顔をしつつ、スカートの裾が落ちないように口で咥え、紙おむつの左右を破いて大きく広げた。 そのとたん、紙おむつに閉じ込められていた濃密なアンモニアの匂いがあたりに立ち込め、雄の証がボロンとまろび出て、可愛らしい幼稚園の内装に戸惑うように揺れながらも聳え立った。 (さすがにこれを見られたら、いっぺんで合宿を追い出されそう――) 女子小学生のふりをしておもらし改善合宿に参加してるだけでも、変態扱いされるのがふつうである。まして女児服や紙おむつに昂奮して勃起しているなどと知れたら、今度こそ一巻の終わりだ。 隣の部屋では説明が続いているが、あまりのんびりしてもいられない。歩実は急ぎ、まずは前側をおしりふきで拭くと、今度は左手でスカートの後ろ側をめくりつつ膝立ちになるという、かなり無理のある態勢で腰を浮かせ、会陰部からお尻にかけて清めていった。 (や、やっぱり、ひとりだとやりづらい……!) 膝立ちで中腰になり、口でワンピースの前側を、左手で後ろ側を持ち上げつつ、露出した下半身を綺麗にする――みっともない姿になっているのは判ったが、どうにも見えないとやりにくい。 (ええと、どこかに鏡は――あ、あった!) 教室の一角に設置された、高さ180センチほどの姿見。幅も60センチほどあり、なかなか大きい。 (何かの授業で使ったのかな……? まぁいいや、ちょっと借りよう) 歩実は念入りに下半身を拭くと、いったんワンピースの裾を落とす。 ざらつく化繊の肌触りが、露出して敏感になっている亀頭やお尻を撫でた。思わず射精しそうになるのを奥歯を噛んでこらえつつ、ベビーパウダーの缶とパフをもって、よろよろと鏡の前に向かっていった。 「はぁっ、はぁっ……うう、改めて見ると、恥ずかしくなってくる……」 鏡に映る、ピンクのノースリーブセーラーワンピース。女児らしくも清楚なワンピースだったが、着ているのは男子高校生の自分である。この格好で自宅から駅、そしてこの合宿所までやってきたのかと思うと、ますます昂奮が滾ってきてしまう。しかも今はノーパン状態で、ボックスプリーツのスカートが、下半身に直接触れている状態なのだ。 (恥ずかしいのに昂奮するってのも、おかしいけど――とにかく早くパフを当てて、おむつを穿いちゃわないと) ベビーパウダーのふたを開け、パフにたっぷりと取る。アンモニア臭を塗りつぶす甘い匂いに悶えつつも、歩実は改めてスカートを左手でめくり、下半身を露出させた。 可愛らしいワンピースの下から現れるは、雄々しい屹立。なまじ股間以外の場所が(やや高身長で手足が長いとはいえ)、ピンクのワンピースの似合う女児としか見えないだけにシュールだ。 (あんまり見てると、それだけで射精しちゃいそうだから、手早く済ませよう。心を無にして、平常心、平常心――) 自分に言い聞かせ、ぱたぱた、ぱたぱたと陰部周りにパフをあてがい、滑らかな粉末をまといつける。 (無心、無心――心を、空にして――) シキソクゼクウ、クウソクゼシキと、うろ覚えの文句を唱えながら、会陰部からお尻にかけてもはたいていき――そのせいで、廊下を走る足音への反応がいっしゅん、遅れた。 「歩実ちゃん! おむつ交換、終わったー?」 遠慮のない声とともにガラリと扉が開いて、祐奈が顔をのぞかせた。 「ゆ、祐奈ちゃ――んぅっ……!」 とっさに歩実は、両手でスカートの前の裾を押さえて怒張を隠す。果たして間に合ったのかどうか判らなかったが、見られていなかったことを祈るよりほかにない。 いや、それよりも大きな問題は―― 「あれ? 歩実ちゃん――また、おもらししちゃったの?」 祐奈は無邪気な顔で首をかしげて、指摘する。 歩実が両手で押さえた、ワンピースの裾。 その前側――ちょうど股間に当たる部分に、まるでおもらししてしまったかのような、大きなシミが広がっていたのだ。 「あ、あのっ、んっ、これは――うん、おもらし、しちゃった……」 切れ切れに苦しい息の下、なんとか答える歩実。 しかし彼の腰は、たったいま行われた射精への余韻に、ガクガクと激しく震えていた。 祐奈の闖入にとっさにワンピースの裾を下ろし、怒張を隠そうとしたその拍子に――亀頭にこすれて、暴発してしまったのだった。 (続く)