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連載小説「やり直し」(49)

 2-1.露見   (4)  リアル女子小学生たちが、幼稚園の中でも普通の教室を割り当てられる中、男子高校生である自分が、いかにも幼稚園児らしい、幼い内装の部屋を割り当てられる。  普通に考えれば、最年長者なのだから逆に気にしないだろう――そういう配慮に他ならない。じっさい、祐奈と千絵はそう受け取ったようだ。  しかし、歩実自身は―― (男子高校生なのに、こんな可愛い部屋をあてがわれて) (気にするほどのことじゃない、気にしなくていい、そのはずなのに――) (なんでこんなに恥ずかしくて、こんなに、嬉しいんだろう……!)  レイカを見ると、にやりと小さく笑い返された。  やはり、バレているのだ。とりわけ幼いデザインの女児服や、女児用紙おむつに昂奮する歩実が、こうした幼稚園児扱いにもまた、胸を高鳴らせてしまうのだと。  そこまでお膳立てされて――断れるはずもなく。 「わ、わかりました……あたし、年少組の教室を、使います……」  言った瞬間、歩実はまた禁断の扉をひとつ開けてしまったような昂揚感に包まれた。  紙おむつの中では勃起がますます窮屈になり、前かがみになりそうになるのをこらえる。下手をするとワンピースの上からでも、おむつを押し上げているふくらみがばれてしまいそうで、歩実はこっそりとスカートの裾をつまみ、膨らませるように持ち上げる。  その様子を見た祐奈が、目を輝かせて叫ぶ。 「わぁ! 歩実ちゃん、スカートを持ち上げてるなんて、お姫様みたいで上品! 可愛い~!」 「え? あ、ありがとう……」  少女の無邪気な誤解に、歩実はますます赤くなり――先を歩くレイカが、くつくつと喉を鳴らすように笑った。 「うんうん、気に入ってもらえてよかったよ」  レイカは笑みを浮かべ続けながら、今度は廊下の反対側を示す。 「こっち側は、手洗い場とトイレになっている。男子用もあるけど――まぁ、みんな女の子だから、関係ないね」 「うん!」 「ええ、そうね」 「う、うん……」  何の疑問もなく受け入れている女子小学生2人とは対照的に、歩実は歯切れ悪く返事する。  しかし同時に、 (そういえば、トイレ――)  合宿が始まってまだ間もないのに、早くも尿意の高まりを感じていた。考えてみれば、自宅を出てからここまでトイレに行っていないのだ。熱中症対策で水を多めに飲んでいることもあり、尿意を感じても不思議ではないのだが―― (ま、まぁ、まだ大丈夫なはず……合宿所に着いて施設の説明も始まってないし、他の参加者――小学生たちだって平気そうな顔をしてるのに、トイレに行きたいだなんていいにくいし……) (それに――万が一の時のために、おむつも当ててるんだから……)  ワンピースの、スカートの下――下腹部を包むもこもことした感触に、いつしか妙な安心感さえ覚えてしまっている歩実だった。  その間に、一行は廊下の突き当りにある扉にたどり着く。 「ここが大部屋だ。もともとはお昼寝や、室内運動で使われていた部屋だけど、合宿所では食堂兼、ロビーとして活用している」  ドアが開かれると、レイカが言ったとおりの空間になっていた。  中央に、大きなテーブルと、10脚の椅子。  片端にはテレビが設置され、その前にソファが鎮座している。  歩実が気になったのは、部屋の隅に置かれた3つの段ボール箱である。まるで「舌切り雀」のつづらのように、大中小と置かれていた。なんだろうと思って見ていると、 「基本的にこの部屋には、あたしがいることになるわ」  今度はレイカではなく恭子が、説明のために口を開いていた。 「3食の食事は、時間通りにここでとること。テレビは譲り合って見ること。もし争いが起きたら、以後はチャンネル固定にします。ゲーム機の類をつなぐのは他の参加者たちの同意を得てからにすること。ほかに、生活の中でわからないことがあったら、この部屋にいるあたしに訊くこと。――そのくらいかしら、レイカさん?」 「ああ、上出来だ」  レイカは深々とうなずいて、 「この後、皆に治療方針を説明することになるけれど――まずは3人とも、届いている荷物を確認してほしい」  そういって指さしたのは、先ほど歩実が気になっていた、大中小の段ボールだった。 「小さいのが千絵くんの荷物。中くらいのが祐奈くんの荷物。大きいのが、歩実くんの荷物だ。発送元は書いてあるから、確認の上、それぞれの部屋に運び込んでおいてほしい」 「はい」  うなずいて、それぞれの荷物の場所に向かう女子小学生二人。  しかし歩実は戸惑って、 「ぼ――あ、あたしの、なんであんなに大きいの……?」 「さて。それほど重くはないから、たぶん衣類じゃないかな。歩実くんはずいぶんオシャレだし、きっと可愛い服が入ってるんだろうね」 「う、うう……ママったらぁ……」  合宿できる女児服を自分で選ぶのは恥ずかしいと、母親任せにしたのが失敗だった。おそらくは一抱えほどもある段ボールに、七泊八日の合宿では必要ないくらいたくさんの服を入れて送ったに違いない。  もっとも、ちゃんと自分でやらなかった自業自得である。歩実はため息をつき、名前を確認したうえで段ボールを「年少組」の部屋に運んで行った。 (うう、いったいどんな女児服が入ってるんだろう……)  考えると恥ずかしくなると同時に、またおむつの中が苦しくなってくる。  幸いなことに、ロビーからの距離は、歩実に割り当てられた年少組教室が一番近い。いかにも幼稚園らしい、パステルカラーの教室の床に段ボール箱を下ろし―― 「あ……!」  その瞬間、悲劇は起きた。   (続く)

Comments

ありがとうございます~! ふふふ……

十月兔

ムフフーっ🤩💕 何が起こったのかな~😍 次回の更新が楽しみっ‼️💕👍

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