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SS「逆転の日」(11)

  (11)  言った途端、  ずりっ、  とリサお姉ちゃんの手が動いて、激痛と快感が同時に走った。 「ひっ」 「んふっ、あんまり大きな声を出すと、お外の『お姉ちゃん』にバレちゃうわよ」 「う、うぅっ……」  ぼくは泣きそうになりながら、左手でスカートの裾を持ったまま、右手で口元を押さえた。  それを見たリサお姉ちゃんの頬が赤く変わり、目がねっとりと潤んで、舌先を出して唇を舐める。まるでこの上ないご馳走を前にしたように。 「でも、ふふっ、痛かった? ごめんね、お姉ちゃんも、男の子のおちんちんのことはよく判らないから――じゃあ、もうちょっとゆっくり、優しく擦ってあげるわね」 「う、うん――んぅっ!?」  ゆっくりと。優しく。  確かにそれは間違いではないんだけど、ただでさえ敏感になっている表面をハンカチでゆっくりと擦られる感覚は、そのまま魂まで出し入れされているような、恐怖にも似た戦慄が背筋を駆け抜けて、 「やっ、待って、リサおねえ、ちゃんっ……! マキ、自分で……!」  涙目で必死に懇願する。せめて自分の手で擦るのなら、快感をコントロールできるから、射精もしやすいと考えたのだ。  けれど、 「だめだめ。お姉ちゃんが出させてあげるから、マキちゃんはスカートを握って、鏡を見てなさい。ね?」 「う、ううっ……!」  正面の鏡を見れば、年少組の女児制服を着て、女子高生の「お姉ちゃん」に勃起を弄ってもらっている自分の姿。あまりにも変態的な自分自身の姿が、制服自体の着心地とも相まって最高のオカズになってしまう。ペニスがさらに大きく膨らんだのを、 「んふっ、これなら」  頃や良しと見極めたのか、リサお姉ちゃんの手の動きが、一気に早くなった。  握る強さはそのまま――表面をハンカチがかすめる程度で、速度だけが上がったのだ。とうぜん、限界ぎりぎりまで怒張した欲望の獣性が、その刺激に耐えられるはずもなく―― 「んっ、んんっ、う――はぁっ、はぁっ……」  気付いたときには、ぼくは射精の余韻に身を震わせて、すでにすっかり委縮したペニスをリサお姉ちゃんに綺麗にしてもらっていた。 「んふっ、ずいぶん気持ちよかったみたいね、マキちゃん」 「う、うん……」  ぼくはふわふわとした気分のまま、リサお姉ちゃんに肯いてみせた。  あとから思いだしても、ただ「気持ちよくて頭が真っ白になった」としか言えない、あの感覚。全身がバラバラになり、純粋な快楽しか感じられないほどの多幸感。アレに比べたら、今までぼくがしてきたオナニーなんて文字通り児戯同然だ。  抗うことなど一切考えられない、これを永遠に感じていられるならすべてを手放しても惜しくないとさえ思ってしまうほどの快感は、もはや危険なドラッグのようですらあった。  それでも数秒して、ようやく意識がはっきりしてきて――冷静になると、いまの自分の状況に愕然とする。 「お、オレ――いったい、何を……!?」 「あははっ、オレだなんて、まるで男子高校生みたいなこと言っちゃって!」  井上さんはにんまり笑って、 「それに、何を? だなんて、んふふっ、見ればわかるでしょ? 妹ちゃんより年下の年少組制服にお着換えしてる途中に、おちんちんがおっきくなっちゃって、でもすぐに射精するのを我慢して、制服をぜんぶ着てから、あたし――『リサお姉ちゃん』にお願いして、おちんちん気持ちよくしてもらってたのよ?」 「う、ううっ……それは――その……」 「ほら、こんなにいっぱい出しちゃって――っていっても、これがどのくらいの量なのか、よく判らないけど。でも、けっこうずっしり重くて、ドロドロして、青臭い匂いがして……」 「や、やめて、言わないでっ……!」  ぼくはスカートから手を放し、思わず顔を覆ってしまう。  今までの自分は、何を考えていたのか。催眠術にでもかかったか、熱狂にでも浮かされたかのようだ。悪夢か何かだと思ってしまいたいほどだったが、全身をつつむ女児制服の着心地は、そんな逃げすら許してくれない。 「ちょっとちょっと、マキちゃん! スカートから急に手を放したら、おちんちんがぶつかって濡れちゃうでしょ! ちょうど拭いた後だったからよかったけど――ほら、お姉ちゃんがおちんちん、しまってあげるから、ね」 「う、うぅ……」  止める間もなく、井上さんにスカートをめくられると、すっかり委縮したペニスを握られ、ショーツの中に押し込まれる。それだけで、ぼくの男子としての尊厳は――今さらといわれるかもしれないけれど――あっという間に崩壊してしまった。 「これでよし、と。ほら、いつまでもぐずってないで、顔をあげてちょうだい。せっかく可愛い制服姿が台無しよ?」 「や、やだっ、やっぱり、着替えるっ……!」  込み上げる羞恥心に、これ以上耐えきれない。ぼくはまず、通園バッグを下ろそうとして―― 「おっと、そうはいかないわ。――サキちゃん! マキちゃんのお着換え、終わったわよ!」  井上さんが、試着室の外に向かって声を張る。 「や、ま――」  慌てて制止しようとするが、もはや後の祭り。 「ほんと!? お兄ちゃん、見せて見せて!」  妹の無邪気な声が、カーテンが開くと同時に響き渡り――ピンクの年少組制服を着たぼくの姿は、紺の年長組の制服を着た「お姉ちゃん」に見られていた。   (続く)


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